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3話 ~縁の下の力持ち backyard staff~
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\やったー!/
歓声が沸く。
粉々に砕け散った『ダイヤリアンのへし』が、
#プリンセスの周りでダイヤモンドダストとなって
アナツ
「キレイだ・・・」
アナツがモブフレの集団の中から進み出る。
そして、さっき登ってきた階段を降り、手を差し伸べると・・・
アナツ
「僕のパートナーになってくれませんか?」
モブフレ
「キャー!」
「公開プロポーズ!?」
「プリンセスさん受ける? 受けちゃう?」
ニワトリ
「アナツさん…」
舞台を降りたのは、私をアイドルとしてではなく普通のフレンズとして見ている、
ーということなのだろう。
今までと違って、本気なのが伝わってきた。
でも・・・ だから・・・
プリンセス
「ごめんなさい!」
勢いよく頭を下げる。
プリンセス
「私にとってはペパプが…」
バシャァ!
一同「!?」
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❗
作戦成功の報を聞くと壁にもたれかかり、気を抜きかけた かばんだったが、
すぐに背を伸ばし、頭をフル回転させる。
うっかりしていた。却 って仇 になってしまった。
核となる『へし』を破壊したことで、ゼリー状だったボディーが水になってしまったのだ。
しかも雨を吸って水量は増えている。
狭いトンネル内に誘い込み、蓋をしてしまったことも
屋外と違い、行き場が失った水が、フレンズたちを襲うことになる。
だが、その経緯や事情などを説明している暇はない。
<<水が来る! 高い所に避難!>>
それだけをスケブに書いてツチノコに示す。
ツチノコ 🔈
「水だ! 高い所に避難しろ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
声だけを聴くと切羽詰まった状況を伝えたいようだが、要領を得ない指示だ。
そもそもセルリアンは倒したというのに・・・
「水」とは? 何が危険なのかよく分からない。
しかも「高い所」と言うが、ステージ上にいれば・・・
マーゲイの注意したように、下手に動かなければ・・・
❗
階段の下、アナツバメの向こうに濁流が迫っているのが見えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
#直前の話
アライ
「ばっくやーどすたっふ、ってなんなのだ?」
フェネ
「直訳すると『裏方さん』かな~?」
アライ
「おー さすがフェネックなのだ」
かばん担 ってもらいます。出力 不足に陥ることが充分に予想されます」
「はい。 皆さんには作戦名『PPPソニック』を下支えするという役割を
この作戦では、あくまでPPPさんをメインに考えていますが、
皆さんが懸念されているように、
ランペ
「出力、ですか」
ナルカ
「私たちだけで足りるのですか?」
当然の疑問に、かばんは想定内とばかりに答える。
かばん
「誰がhaquAさんとマドンナさんたち だけだと言いましたか?
フレンズさんなら沢山いるじゃないですか。 ココにも、シェルターにも・・・」
一同「!?」
かばん
「モブフレさんたちはに、オーディションに合格したことにして、PPPさんと合流。
一緒に歌って頂こうと思います。 皆さんにも」
タイリク
「全員か!?」
ヘラジカ
「とんでもないことを思い付くな」
ライオン
「やっぱり面白いなぁ、キミぃ」
マーゲイ
「まあ、オーディションに来た方たちは、
PPPと同じ舞台に立てるとなったら喜んで協力してくれるでしょうけど・・・」
ヒグマ
「PPPに気取られないように移動できるか?」
かばん
「それについては、僕に考えがあります」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
\わいわい/
モブフレ
「PPPライブに参加できるなんて」
「お芝居のオーディションだったはずだけど…」
「いいじゃない、何でも」
「フルル、フルルと同じ舞台に…」
キンシコウ 📣
<集団行動の極意は『#おかしも』です。
押さない、駆けない、喋らない、戻らないですよ。
タイリク
「こんな話を知っているかい?
言葉を食べるセルリアンというのが居て、
食べられると二度と喋ることが出来なくなるんだ」
\ぞぞーー/
ライオン
「お前ら、あんまり騒いでるとセルリアンの前に放り出すぞ!」
\びくっ!/
ヘラジカ
「それとも私の相手をしてみるかぁ?」
\・・・シーン・・・/
ヒグマ
「・・・」 (¬д¬。)
キンシコウ
「どうしました? 何か気になることでも?」
ヒグマ
「うーむ・・・
かばんの立案能力は買っているし、今回の作戦も神がかっている。 だが・・・
いや、むしろ悪魔じみてると思わないか?」
キンシコウ
「そう・・・ ですね。
確かに、かばんさん『らしくない』発想のような気はしますね。
まさか避難訓練を逆手に取ってセルリアンに立ち向かう、なんて・・・」
ヒグマ
「作戦成功の確率は着実に上がっている、という安心感はある。
だが… だからこそ不穏というか・・・」
キンシコウ
「裏がある…?」
バイパスのトンネルが、暗い口を開けてフレンズたちを出迎えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かばん
「出力アップの案としては、もう1つあります。
ダイヤリアンがトンネルに入り、しばらくして所定の位置を通り過ぎたら、
内側を#パラボラ状に加工された可動式の壁で退路を塞ぐように蓋をしてもらいます。
焦点Fにダイヤリアンが到達したと同時に発声することで、前後から歌(音波)を当てることが出来るはずです」
PPP+モブフレ+haquA+MIND < 歌 ⏩ ダイヤリアン ↩ ⊃|壁
F点
かばん
「図にするとこうなります」
\おおー!/
一同から感心の声が上がる。
かばん
「ぜねこんカルテットの皆さんを中心に
簡易的な舞台・パラボラ加工を施した可動式の壁を作って頂きますが、なにしろ時間との勝負なので
他のフレンズさんも、お手すきの方はお手伝いをお願いします。
それと・・・
ボスウォッチを取り出す。
「万全を期すために、これをパーク中に配ります。
これを使えば、『ゆきやまトリオ』も『ジャングルチーム』も、
パーク内のフレンズすべてが、この作戦に参加できます」
シロサイ
「まさに総力戦というわけですわね」
オーロックス
「どうやって配るんだ?」
博士
「それは我々が請け負うのです」
助手
「長の権力を最大限利用して、鳥のフレンズを総動員するのです」
鳥フレ
「・・・」
アナツ
「あの・・」 ノ
アナツバメが、おずおずと挙手する。
かばん
「はい、何でしょう?」
アナツ
「僕、これでも速く飛べるで、その分 配り終えるのも早いと思うんです。
なので、他にも何かお手伝いさせてもらえませんか?」
かばん
「他にも何か得意なことが?」
#アナツバメ
「#エコロケーションを少々…」
かばん
「・・・それも音波ですね。
分かりました。 考えておきます。
ご協力ありがとうございます」
鳥のフレンズたちは、博士たちに追い立てられながらボスウォッチを配りに行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ランペ
「出力に関しては、それでいいとして『音程』は、どうクリアするんですか?」
ロティ却 って足を引っ張らないか?」
「そうだ。 コウテイ曰く、精密さを求められるオペレーションなんだろ?
素人集団では
かばん
「それについては・・・ アルパカさん!」
アルパカ
「はいぃ~ 私ぃ~?」
かばん
「ミドリジルの作り方は覚えてらっしゃいますか?」
アルパカ
「さっきアナッちゃんのを見てたからバッチリだよぉ~?」
かばん
「じゃあ、ボスの前で実演してもらえますか?
それを撮影して、配信します。
#ミドリクサは各地に生えているはずなので、
パーク中のフレンズさんに各自 作ってもらって、飲んでもらえば音程は大丈夫なはずです。
あとで皆さんも飲んで下さい」
一同 (>Д<)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
マルカ
「いやぁ、マズかったねぇ…」
ドルカ
「でも、これでイッカクも参加できるね」
イッカク
「え? え?」
ナルカ
「一緒に歌いましょう!」
マーゲイ ❗
「イッカクさんもアイドルデビュー・・・?」
そんなやりとりにマーゲイが食い付いた。
マーゲイ
「それは名案です!
是非私にプロデュースさせてください!」
イッカク
「え? え?」
マーゲイ
「そうですねぇ グループ名は皆さんの頭文字
MARUKA IKKAKU NARUKA DORUKA を取ってMINDはどうでしょう?」
イッカク
「いや、私は・・・
「そしてゆくゆくはPPPとコラボしたり・・・、
イッカクの意向を全く無視して、マーゲイは暴走を始めるのだった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かばん
「ではトリノコさんたちも戻って来たところで、
[各員の配置をまとめます。:---
・haquAさんはPPPさんとアナツバメさんを送り届けたあと、こちらの皆さんと合流してステージへ。
・パンカメさんとリカオンさんはダイヤリアンの偵察と、必要に応じて足止め。
・キンシコウさん&ヒグマさん&ライヘラさん&タイリクさんはモブフレの移動と護衛。
・その他のへいげんチームの方々は、バイパス内ザコリアンの掃討。
・ぜねこんカルテットの皆さんと鳥チームの皆さんとアミメさんは舞台とパラボラ壁の作成
ダイヤリアンがトンネルに入ったら退路を塞ぐお手伝いもお願いします。
・アライさんとフェネックさんは、ぜねこんチームと資材の運搬。
・長のお2人は、音響や設営全般について、現場での総指揮をお願いします。
・haquA&MIND&スナネコさんとサーバルちゃんは演奏担当」
---]
サーバル
「え!?」
かばん
「出来る楽器、あったよね」
サーバル
「えぇっ? だ、大丈夫かなぁ…」
かばん
「以降、僕からの指示は随時ボスウォッチを通じて行います。
必ず上手くいきます!
ダイヤリアンを倒し、パークに平和を!」
\おおー!/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かばんの檄 でフレンズたちは三々五々散っていった。
静まり返った議場に、唯一 指示を与えられなかったツチノコだけが居残った。
ツチノコ
「ーで? どういうつもりだ?」
ツチノコの手には1枚のメモがあった。
<<最後まで残ってください>>
ふと『嫌邪の贈り物』を思い出す。
ここまで・・・ 作戦とは言え、フレンズたちを裏切り、PPPを騙してきた。
もう受け入れてもらえないもしれない。
築いてきた絆は壊れてしまうかもしれない・・・
でも歯車は回り始めている。
今更、後戻りはできない。
かばんは宣言した。
「これより、最後の作戦『director of silence』のブリーフィングを始めます!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライ
「アライさんがバスに乗れるのか!?」
かばん
「運転は自動ですけど。
じゃあラッキーさん、後はよろしくお願いします」
ボス
「マカセテ」
コツメ
「わーい、私もちゃんと乗るのは初めて!」
かばん
「まずは『こはん』近くの森で木材の調達、
その後バイパス内でステージと壁の製作、となります」
ジャガー
「まっかせて!」
プレーリー
「うおぉ! 切るであります! 組むであります!」
ビーバー
「・・・ かばんさん1人にして大丈夫なんすかねぇ…」
フェネ
「ツチノコさんと・・・
一応アドミーさんは居るはずなんだけど、ねぇ…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヒグマ
「暗いな」
キンシコウ
「そうですね。 このままでは危ないので明かりを点けましょうか。
え~と、スイッチは・・・」
???
「きひひっ
ブレーカーは落としたから電気は点かないよ」
ヒグマ
「何だと!?」
キンシコウ
「痛い目に遭いたくなければ、すぐに直しなさい!」
???
「あぁ、待って待って・・・
明るいのが苦手だから点けて欲しくないだけで・・・」
ヒグマ
「だったら最初からそう言え!」
キンシコウ
「もう、イタズラにもほどがありますよ?」
サーバル
「それより上の方から声が聞こえるの、気になってたんだけど、
あなたは何のフレンズ?」
外部コンテンツ
「ナミチスイコウモリのナミチーさ。
普段はこうして逆さ向いて暮らしてるけど、
普通に歩くことも出来るし、飛ぶことだって出来るよ」
サーバル
「すっごーい!」
スナネコ
「天井から ぶら下がってるぅ~」
サーバル
「ツチノコが#バイパスに変なヤツが棲み着いててって言ってたのはあなたのこと?」
ナミチー
「変なのって...
自分のことを棚に上げて・・・」
オリックス
「確かコイツ、ウシ科フレンズの血を吸うとか・・・」
オーロックス
「やべぇ、やべぇよぉ」
ナミチー
「ん? ジャパリまんがあれば血なんて吸わないけど?」
そう言うと赤黒い色をしたジャパリまんを取り出し、頬ばる。
スナネコ
「どうして逆さ向いてるのにスカートが捲れないんですか?」
ナミチー
「この布は鉄壁だからさ」
サーバル
「布なのに鉄?」
ナミチー
「メタいところに突っ込まない!
あとそっちのネコ、もう飽きてるでしょ?」
スナネコ
「騒ぐほどでもないかな… って」
ナミチー
「自分から振っといて!?
まあ、いいよ。
先に進みたいなら私が案内してあげる。
これでも私、エコロケーションが得意なフレンズだからさ」
マルカ
「君も?」
ナルカ
「あの、私#コウモリのフレンズさんとお散歩するのが夢だったんです」
ナミチー
「え、あ、そう・・・」
ドルカ
「じゃあ、よろしくね」
イッカク
「余計なマネはするなよ?」
ナミチー
「・・・」
ヒグマ
「とりあえず、どうにか進めそうだな」
キンシコウ
「では参りましょう」
ツキノワ
「パンカメちゃんたちは大丈夫かな...?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
リカオン
「向こうの様子はどうですか?」
ツチノコ 🔈
「・・・まだ準備が整っていない。 もう少し時間を稼いでくれ」
リカオン
「オーダーきついっすよ」
ダイヤを小刻みにバラまきながらバイパスまで誘導する。
それが自分に与えられた任務だった。
だが想定よりセルリアンの移動速度が早い。
それだけでなく、途中で降ってきた雨とダイヤを体内に取り込むことでセルリアンの体は膨張し、
いまや倍ほどの大きさになっている。
それでいて動きが鈍る気配はない。
「助太刀するでござる」
ステルス・パンカメの声がどこからともなく聞こえる。
ぷしゅ、ぷしゅぅっ
ダイヤリアンの足元から水が噴き出した。
マキビシを踏み付けたのだ。
パンカメ
「ふふ…
#ツキノワ殿に教わった新たなマキビシの使い方でござる」
ずんっ、ずんっ!
一旦は足止めに成功したが、いかんせん傷口が浅い。
ダイヤリアンは、すぐに修復を終えて動きだす。
リカオン
「パンカメさん、これ以上は危険です。 離脱してください。
あとは僕がなんとかします」
パンカメ
「それは かたじけないでござる。
リカオン殿も決して無理はなさらぬよう」
パンカメの気配が消える。
リカオン
「ありがとうございました。
でも多少無理してでもやらないと・・・
このままではセルリアンハンターの名折れです。
野生開放!」
ダイヤリアンに向かっていった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ナミチー
「! アレかな?」
サーバル
「やったー! 到~着ぅ」
スナネコ
「お~ 立派なステージですね」 キョロキョロ…
ビーバー
「いやぁ、照れるっす。
時間が無かったっすけど、ここの所にこだわr…」
スナネコ
「ア、ハイ」
ビーバー
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キンシコウ
「はい、そうです。 脱落者も無く」
マーゲイ
「お疲れさまでした」
\わいわい/
マーゲイ
「では、こちらにお並びください。
この緞帳が降りたら私がアナウンスしますので。
あとは演奏に合わせて歌ってください。
危ないので、こちらからの指示があるまで、舞台からは降りないように願います」
ヒグマ
「いいか、作戦はまだ半分だ。
気を抜くなよ」
\はーい/
タイリク ΛΛ”
「済まない。 後を頼む」
…走
ヒグマ
「え? おい!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アナツ
「そこ左の方は狭くなってるので、もう少し右に」
「足元、段差があるのd… ❗」
「すいません! 縦1列になってもらえますか!?」
コウテイ「ん?」
プリンセス「なに?」
ごーーーーーー 🍃
なにやら疾風が通り過ぎたようだった。
フルル「今の何~?」
ジェーン「新手のセルリアンでしょうか?」
アナツ
「・・・ 大丈夫です。 先に進みましょう」
「そこ段差があるのでゆっくり・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ツチノコ 🔈
「おい、リカオン状況を報告しろ。
セルリアンはどうなってる?」
膝をつく。
リカオン
「すいません、ヒグマさん、キンシコウさん…」
体力は限界だった。
???
「はっ! だらしねぇな。
まったく これだから新世代は…」
リカオン
「・・・? どうして…」
現れたのはダイアウルフだった。
ダイア
「お前たちの作戦など知ったことか!
私はセルリアンを、ダイヤリアンを倒したいだけさ」
タイリク
「よく頑張ったな、リカオン」
リカオン
「タイリクさんまで!」
タイリク作戦内容 分かってるはずだ。
「ダイアウルフ、どうせ君も『イヌ科アンテナ』を張って様子を窺ってたんだろ?
だったら
倒してしまおうなんて考えるなよ?」
ダイア
「それは、オオカミ連盟のリーダーとしての命令か?」
タイリク
「それを言うなら『元』を付けることになるんだろうが・・・
どちらにせよ『命令』じゃ聞いてくれないだろ?
これは『お願い』だ。 同じパークに生まれたフレンズとしてのな」
ダイア
「・・・ おい、どれくらいだ?」
一瞬、誰への質問か分からなかったが、
ツチノコ 🔈
「え、ああ。 あと1分。 それだけ持ちこたえてくれ」
ダイア
「・・・ 『例の技』だと やり過ぎになるな。
おい、指示を寄越せ」
今度はタイリクに、顔を向けないまま言う。
タイリク
「・・・ フッ w
ダイア、君は右から回り込んで気を引いてくれ。
リカオン、君は左だ。 私が正面から削る」
ダイア
「ったく、これだから群れでの行動はキライなんだ」
タイリク
「ありがとう」
「ありがとうございます」
もう一度立ち上がったリカオンも礼を言う
「じゃあ行くか」
「フレンズ使いの荒いヤツらだ…」
「うおおおぉぉぉぉーー!」
カバ
「ふふ…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アナツバメ
「ここ、少し足場が悪いです。
「この先、少し右カーブになってます。
「段差があるので気を付けて・・・」
最期は段差というより階段状になっていた・・・
アナツバメの案内は完璧で、全員無事に目的地に到着したようだ。
ツチノコ 🔈
「よし、そこで待機だ。 3分後にセルリアンを迎え撃つ」
コウテイ
「ここまでありがとう、君は逃げて」
アナツバメは軽く会釈をすると、黙って奥の暗闇に消えていった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アナツバメ
「ほぼ予定通り、ペパプを誘導できました」
キンシコウ
「ごくろうさま」
ヒグマ
「・・・やるじゃないか。
ところでタイリクとは鉢合わせにならなかったのか?」
アナツ
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ツチノコ 🔈
「所定位置をセルリアンが通過!」
\せーの!/
ずず… ずず… ずしん!
ビーバー
「これで蓋も閉ざせました」
ツチノコ 🔈
「よし。 後はマーゲイのアナウンスと伴奏があるまで、そこで待機だ」
プレーリー
「それにしても、お2人ともボロボロでありますなぁ」
ビーバー
「そんなに強いセルリアンだったんすか?」
タイリク
「ああ…」
リカオン
「? あれ、いつの間にかダイアウルフさんが・・・」
タイリク
「・・・
ところでジャガーくん、フェネックくん、相方は?」
ジャガー
「コツメは製作に目途が立ったところでステージ側に遊びに・・・」
フェネ
「アライさんは かなり早いうちから、明後日の方向に・・・」
一同「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ツチノコ 🔈
「来るぞ!」
「5!」 コウテイ「覚悟はいいか?」
「4!」 イワビー「ロックに行くぜ!」
「3!」 ジェーン「はい!」
「・・・」 フルル「・・・」 (ぎゅっ)
「・・・」 プリンセス「行くわよ!」
💡パパパパッ💡
スポットライトがPPPを、そしてトンネル内を明るく照らす。
PPP「!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
プリンセス
「あなたたち、どうして…?」
MIND
「先輩を立てるのは、後輩の務め!」
haquA
「トップを助けてしまうのは、ライバルの定め!」
モブフレ
「アイドルを盛り上げ助けるのは、ファンの役目!」
コウテイ
「君たち・・・」
私はこれまで、何を迷っていたのだろう?
ここまでされては今までの自分が間違っていなかったと認めるしかなかった。
やっと肚が座った。
手を繋ぐ。
PPPが今、繋がった。
心では皆とも繋がっている。
そう実感できた。
その想いを歌に乗せて・・・吠える!
うーがおー!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ダイヤモンドダストが降り注ぐ中、僕はゆっくりモブフレたちの中から歩み出る。
階段を降り、ステージに向き直り、手を差し伸べる。
舞台上に居たままでは、プリンセスやファンに『演技』や『演出』だと思われそうだったからだ。
アナツ
「僕のパートナーになってくれませんか?」
プリンセス
「ごめんなさい!」
速攻で断られた。
プリンセス
「私にはペパプが・・・」
そう。
分かっていた。
彼女は歌を、PPPのメンバーを、そしてアイドルであることに誇りを持っている。
でもここではっきりと、この気持ちにケリを付けておかないと前に進めないと思ったのだ。
バシャァ! 💦
バケツどころかタライをひっくり返したような音に、思わず振り返る。
雨とダイヤを体に取り入れ、膨れ上がっていたセルリアンのセリー状だった体が、
へしを失ったことで崩れ、水になる。
あっと言う間に水かさが増し、壁によって跳ね返ってきた水と合わさり、高波となって襲ってくる。
アナツ「!?」
ツチノコ 🔈
「水だ! 高い所に避難しろ!」
アナツ
「わぁっ!」
気付いた時には濁流に飲み込まれていた。
水位はステージの床スレスレまで上がってきていた。
プリンセス
「!」
ジェーン
「私g…」
バシャン! 💦
プリンセスが飛び込んでいた。
コウテイもジェーンの腕を掴んで止める。
コウテイ
「ここはプリンセスに任せろ。
君のスピードは他のフレンズが落ちた時のために・・・」
ニワトリ「アナツさん、プリンセスさん・・・」
つる… ドボン! 💦
2人を気に掛けていたニワトリまで、濡れたステージで足を滑らせ、水に落ちる。
ジェーン「!」 ザン! 💦
シュパッ! シュパッ!
ステージの端では幾つかの#リップ・クリーン・エントリーが行われていた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
水中でアナツバメの姿を追いながら、ふと#ツバメの王子様を思い出していた。
まるで物語に沿うようにアナツバメは、大切なもの=ダイヤを失い、溺れようとしていた。
(ニワトリはどうやら二羽鳥(トキ・ショウジョウトキ)のことだったらしい)
それを正夢にするわけにはいかない。
必ず この手で助ける!
・・・
だがアナツバメの姿がなかなか捉えられない。
一部、砂が巻き上げられ、視界の悪いせいもあった。
ナルカ「プリンセスさん、3m先、右手です」
頭の中に声が聞こえた。
しかもここは水中だ。
マルカ「私たちがソナーとエコロケーションでサポートします」
ドルカ「右に行き過ぎ。 岩が出てるから気を付けて」
イッカク「そうです。 そのまま真っ直ぐ」
見えた!
必死に手を伸ばす。
まさか、こんな形でアナツバメの手を取るとは・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アナツバメを抱きかかえ、陸地に上げる。捌 けていた。
水は徐々に
散り散りになった『へしの欠片』と共に じゃんぐるちほーの川に流れ込み、やがて海に流れ出るだろう。
ジェーンもニワトリを助け出し、隣に寝かせる。
2人とも気を失っているだけで、命に別状は無いようだった。
ナルカ
「他に、水に落ちたフレンズは居ないようです」
水中探索を続けていたナルカが報告する。
ヒグマ
「こっちも全員、無事だ。 水位が下がり次第、帰投する」
ツチノコ 🔈
「ご苦労だった。
各自、現地解散してくれ。
これにて通信を終了する」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
プリンセス
「じゃあ、行きましょうか」
ジェーン
「え? アナツバメさんが目覚めるまで待たないんですか?」
アナツ「う…」
ニワトリ「・・・」
プリンセス
「いいのよ。 この子と私は住む世界が違う。
私よりお似合いの子はきっと居るわよ」
ちらっとニワトリを見やる。
ジェーン
「そう、ですか…」
プリンセス
「ファンの子たちに無事な姿を見せてあげないと。
コウテイたちも きっと困ってるわよ?」
ジェーン「そうですね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アナツ
「・・・」
ニワトリ
「良かったんですか?
まだ追い掛ければ・・・」
アナツ
「もう終わったんだよ。
そしてプリンセスの中では始まってもいなかった・・・」
ニワトリ
「・・・」
なんと言って励ませばいいのか。 言葉が出なかった。
アナツ
「でも気付いたこともある。
僕はダイヤを配ることで、たくさんのフレンズの気を引いてきたけど、決して満たされることは無かった。
その意味を最初に考えさせてくれたのが、プリンセスだった」
ニワトリ
「・・・」
アナツ
「そして、ちゃんと気付かせてくれたのは、ニワトリ。 君だよ。
君が僕の「大切だと勘違いしていた価値観」を壊してくれたんだ」
ニワトリ
「!」
アナツ
「これからは『僕を見てくれる人』を大切にしたい。
だから・・・ 僕のパートナーになってくれませんか?」
ニワトリ
「・・・ はい!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
\わいわい/
コツメ
「大成功だったね」
ヘラジカ
「しかしライオンの歌ってる時の顔よw」
ライオン
「そっちこそ。 セルリアンに大口勝負を仕掛けてるのかとw」
ヒグマ
「なあ、現地解散なんておかしいと思わないか?」
マーゲイ
「モブフレさんたちは、それで良かったと思うんですけど・・・」
ビーバー
「なんだか心配っすねぇ…」
一旦 戻ることにした一行は、地下道を議場に向かっていた。
フレンズたちの中には、達成感と不安感が入り混じっていた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サーバル
「ただいま! かばんちゃん」
かばん
「・・・」
議場では かばんとツチノコ、アドミーが出迎えたが、
なんだか様子がおかしい
サーバル
「かばん… ちゃん?」
かばんはサーバルの顔を見ても返事をするでもなく、佇 むだけだった。
緊張した面持ちで
ツチノコ
「かばんは・・・
代わりにツチノコが声を発する。
「もう・・・ フレンズとは話せない…」
4話 ~もの言わぬ指揮者 director of silence~ ...に続く