札学心理学

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1333

問題2
「セリエ」はストレスとストレッサーを定義したカナダ人であり、それまでストレスはアメリカの生物学者ウォルターが生理学に応用し、セリエがさらに研究を進めて適応症候群の理論を中心とした「ストレス学説」を唱えた。適応症候群とは生体がストレスを受けたときに、それに適応しようとして生じる一連の防衛反応のこと。また、セリエの書籍では良いストレスはユーストレス(快ストレス)、悪いストレスはディストレスと記されておりユーストレスによる効果は、心理学的・肉体的・生化学的な範囲にまで及ぶとされ、個人に幸福感や前向きな感情を与え、健康状態を向上させる。外的刺激(ストレッサー)を上手く受け止めプラスに変える力があればユーストレスへ転換できる。例えば身近なものなら「お腹が空いた」という小さなストレスも「何かを食べる」という目標に繋がるユーストレスである。そして、外的刺激を上手く受け止めきれずマイナスになってしまいディストレスが溜まっていくと結果的にうつ病、強迫性障害、摂食障害などになってしまう。現在ではストレスを原因とした病を治す精神医学やメンタルヘルスケア、看護、福祉学などにもセリエのストレス学は通じている。そのためセリエは心理学上貢献したと言える。
参考文献
https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1180020115.pdf)
https://www.niph.go.jp/journal/data/42-3/199342030002.pdf)
https://www.japa.org/tips/kkj_0410/)

「ピアジェ」はスイスの心理学者であり知の個体発生としての認知発達と、知の系統発生としての科学史を重ね合わせて考察する「発生的認識論」(認知発達段階説)を提唱した。これは認知力の成長を4つに分けた考えであり、0~2歳の感覚運動期、2~7歳の前操作期、7~11歳の具体的操作期、11~形式的操作期の4つです。また、ピアジェは子どもを観察し、発達の基本的な仕組みであるシェマ(認知構造)の獲得「情報処理の枠組みを得る」、同化「新情報を既存のシェマで処理する」、調節「新情報を既存のシェマで処理できないとき、認知のやり方を変える」、均衡化「同化と調節によって認識精度を高める」を導き出した。これらを理解した上で子供との接し方、しつけ方には各期間によってポイントがあるということがわかった。また、ピアジェの「発生的認識論」は心理学のみならず教育学・哲学・生物学の分野にも影響を与えた。これにより心理学上のみならず様々な分野に貢献したと言える。
参考文献
https://chiik.jp/7h8rt/)
https://kodomo-manabi-labo.net/piaget-developmental-stages#anc2)
https://www.konoike.ac.jp/jeanpiaget/child-education/index.html)

1332

問題1
「手続的記憶」(6章)
手続的記憶とは長い間脳に記憶される長期記憶の一つであり、自転車や自動車の運転方法やはさみやカッターなどの道具の使い方といった同じ経験を繰り返すことで作り上げられる記憶のことをいう。教科書は手続的記憶について例をあげた説明しかなかったが、藤井(2010)によると、手続的記憶は長期記憶であるが、記憶の情報をいつどこで獲得したかという記憶は消失するとのことだった。手続的記憶の具体的な事例としては私はスキーをあげる。今年の冬、私は6年ぶりにスキーに行った。6年間も全くスキーに触れていなかったため、以前のように滑ることができるか、そもそもリフトに乗ることができるのかなど不安であったが、板をはめて準備をしていざ滑ってみると感覚は当時のまま残っており、問題なく滑ることができた。これはスキーを滑るということが手続的記憶として私の脳に保存されていたということである。この事例は、長い期間することがなかったことでもそれをする方法を脳が記憶していて、行うことができたということであり、該当事例であるといえる。

藤井俊勝(2010)『記憶とその障害』「高次脳機能研究」30(1).19-24.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/30/1/30_1_19/_pdf/-char/ja

「ソーシャルサポート」(10章)
ソーシャルサポートとは、現在抱えている不安や困難なことなどに1人で立ち向かうのではなく、物質的・身体的・心理的な援助を周囲の人々から受けるということである。援助の例として教科書では道具的援助、査定的援助、情緒的援助が挙げられていたが、和田(1992)の中で、和田(1989)はこれらの援助の他に所属的援助、評価的援助があると述べている。(論文の中では援助をサポートと表現しているが、ここでは教科書に合わせて援助とする)この2つを合わせた5つの援助について事例を加えながら説明していく。
1つ目は道具的援助である。これは物資を譲渡したり、何かの手伝いをしたりするなど、必要なサービスを提供するという援助の方法である。事例として田舎に1人で暮らしている足が不自由なおばあさんをあげる。おばあさんは足が悪いため衣服や食事など生活に必要なものを買いに行くということができない状況にある。このおばあさんのために近所に住んでいる仲の良い友達が代わりに買い物をすることになった。これは道具的援助であるといえる。
2つ目は査定的援助である。論文では情報的援助として表現されている。これは問題となっていることを理解し解決への導きをしてもらったり、アドバイスをもらったりするという援助の方法である。事例としては、どこの大学に進学するか悩んでいる学生をあげる。この学生は金銭的な問題で行ける大学が限られていた。そこで高校の先生に相談したところ、奨学金制度を利用すればお金がかかる私立大学にも行くことができるという選択肢があるということを教えてもらった。これは査定的援助であるといえる。
3つ目は情緒的援助である。これは友人や恋人、家族などから共感や信頼などをもらうという援助の方法である。事例としては、人間関係に悩んでいる学生をあげる。この学生は毎日一緒にいるグループの1人と喧嘩をしてしまいぎくしゃくした関係になってしまった。そのことによりグループ全体の空気が悪くなってしまい居心地の悪さを感じていた。この状況は学生にとっても辛く解決したいことであったため、家族や親友にどうしたら前のようにグループで仲良く過ごすことができるようになるかを相談することにした。これは情緒的援助といえる。
4つ目は所属的援助である。これは自由な時間を他の人と一緒に過ごすという援助の方法である。事例としては、仕事が忙しくほぼ休みがない会社員の男性をあげる。会社員の男性は、毎日朝から夜まで仕事が入っており、休む暇がなかったことにより疲労が蓄積し、後にうつ病のような症状を発症してしまった。しばらく休みをもらうことにしたため自由な時間が多く生まれた。そこで最近誰かと自由な時間を過ごすということをしていなかったことに気づき、高校時代からの友人と会い、飲みに行くことにした。これは所属的援助といえる。
5つ目は評価的援助である。これは自分自身が尊重され、受容されているという情報をもたらしてもらうという方法である。事例としては、自分に自信がもてなくなり、不登校気味になってしまった学生をあげる。この学生は友達からふと言われた容姿に対する言葉に傷つき、自分に自信を持てなくなり、自分を卑下するようになってしまった。そうして段々と学校に行くことも少なくなってしまった。そこで担任の先生は学生にスクールカウンセラーの先生と話をしたらどうかと提案した。スクールカウンセラーの先生は学生の話を一つ一つ聞き、学生が持っている長所を言葉として伝え、尊重・受容されているということを感じてもらい、自信を取り戻せるようにした。これは評価的援助といえる。
これら5つの事例は全て1人ではなく周囲の人々が関与して行われている身体的・心理的援助であるため該当事例であるといえる。

投稿しようとしとたころ同じ文献の同じ内容を使っていた人がいたため、追加でソーシャルサポートについて述べます。
教科書にはソーシャルサポートをすることでどのような効果が表れるかについては述べられていなかった。和田(1992)によるとソーシャルサポートは病気や心理的苦痛に対して、ガンの進行を遅らせたり、幼児虐待を抑制したり、仕事に対する満足感を高められるなどの効果がみられたとのことだった。また、このようなネガティブなことを抑制するだけでなく、心理的幸福感という生活に対する満足度感、ポジティブな気分をももたらしてくれる。このようなことからもソーシャルサポートを行うことは苦痛を感じている者にとってするべき援助だといえる。

和田実(1992)『大学新入生の心理的要因に及ぼすソーシャルサポートの影響』「教育心理学研究」40(4).386-393.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/40/4/40_386/_pdf

1331

最終レポート
問題1
・「手続的記憶」(6章)
手続的記憶は記憶を長期記憶と短期記憶と分けたうち、長期記憶に分類されるものである。その長期記憶の中でも手続的記憶は「運動や技能などの一連の手続き関する記憶」のことを指す。また、「きっかけがないと思い出せない」という潜在記憶であり、言葉で表現できない記憶である。手続的記憶を身につけるには一夜漬けではなく、繰り返し反復するトレーニングが重要である。一つの事例として、英語を挙げる。英語において、「英語コミュニケーション能力のうちの言語的能力」に分類される「スキルや技能」が手続的記憶にあたる。一つ具体例を挙げると、スピーキングがある。一方で単語の意味や文法は意味記憶に分類される。

参照文献
湯舟英一(2007)「長期記憶と英語教育 (1)― 海馬と記憶の生成、記憶システムの分類、
手続記憶と第二言語習得理論―」『東洋大学人間科学総合研究所紀要』7,147-162.
https://www.toyo.ac.jp/uploaded/attachment/799.pdf

・「ソーシャルサポート」(10章)
ソーシャルサポートとは、周囲の人から受ける物質的・心理的援助であると教科書ではなっている。その援助として教科書では、物質的な援助である道具的援助、情報や助言をもらう査定的援助、友人との親密な関係を確認する情緒的援助の3つが挙げられている。しかし、和田(1992)の中で和田(1989)はソーシャルサポートを5つの分類で表している。1つ目は、教科書でも挙げられている「情緒的サポート」である。「信頼、共感、愛などが与えられること」を情緒的サポートとしている。2つ目は、「所属的サポート」である。所属的サポートは、「レジャーや余暇活動に他者と一緒に時間を費やすこと」としている。3つ目は、「情報的サポート」である。「問題になっていることを理解してくれたり、アドバイスを与えてくれること」を情報的サポートとしている。4つ目は、「評価的サポート」だ。「自分が尊重され、受容されているという情報をもたらしてくれること」を指す。これは教科書には載っていないサポートの種類である。5つ目は道具的サポートである。仕事を手伝ってもらう、「金銭的・物質的援助」される、「必要なサービスを提供」されることである。もちろん教科書の説明とかぶるところもある。教科書の情緒的援助は「情緒的サポート」と「所属的サポート」を合わせたものと考えられる。また、情報的サポートは教科書の査定的援助と同様である。さらに、道具的サポートは教科書の道具的援助と同じである。事例として、震災で行われるサポートを挙げる。心理師が被災者に対して心のケアを行うことは情緒的サポートにあたる。炊き出しや自衛隊による風呂の提供は道具的サポートにあたる。さらに、ラジオやテレビニュースなどで被災情報や避難場所の案内などの情報提供は情報的サポートにあたる。

参照文献
和田実(1992)「大学新入生の心理的要因に及ぼすソーシャルスキルサポートの影響」『教育心理学研究』40(4).386-393. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/40/4/40_386/_pdf/-char/ja
一次資料
和田実(1989)「ソーシャル・サポート(Social Support)に関する一研究」『東京学芸大学紀要第1部門 教育科学,40,23-38.

1330

問題1

行動変容
 行動変容とは人が「したい」と思ったことを実行するために自分の行動を変化させることである。
 例えば、「Aは高い所にあるものを取るために手を伸ばした。しかし、届かなかったので台を持っていき上に乗っかりものを取った」ということがあったとしよう。
 Aはものを取るために手を伸ばすだけでは実行できないと判断し、「ただ手を伸ばす」という行動から「台の上に乗り手を伸ばす」という行動に自分の行動を変化させたのだ。
 なぜそう言えるのかというと人間を含む動物は自分の欲求を満たすために思考し、学習するからだ。

特性論
 特性論とはパーソナリティの特徴を表す行動傾向の組み合わせからその人のパーソナリティを説明するという立場のことである。
 特性論で代表的なものはルイス・R・ゴールドバーグによって提唱された5大因子論、ハンス・アイゼンクの人格モデル、レイモンド・キャッテルの16特性因子論がある。
 人が持つ行動傾向を特性と捉え、特性の程度を量的に測定するのが特性論の特徴である。
 例えば5大因子論における特性は調和性、誠実性、経験への開放性、神経症傾向、外向性がある。この5つの特性のうち誠実性と外向性と神経症傾向がそれぞれ4点と5点と2点評価されるとこの評価を受けた人は誠実で外向性の高く、神経症に比較的罹りにくいと言える。
 なぜこのように言えるかというとこの5大因子論などの研究は20年以上の研究結果が蓄積されているからだ。

参照文献 中野 明(2022) 心理学大事典 秀和システム

1329

問題1
「運動視差」とは移動している観察者が、ある対象を注視しているとき、その対象よりも遠くにあるものは、観察者と同じ方向に移動しているように見え、対象よりも近くにあるものは、観察者とは逆方向に動いているように見える奥行き知覚の手がかりのこと。
例としては車に乗っている時に追い越す人や物、建物は逆方向に動いているように見えるが、遠くの大きな
電波塔は常に同じ方向に動いているように見え、奥行きを感じることができる。

「ステレオタイプ」とはある他者がどのような人物か考える際、人は性別や人種、職業などのイメージから判断してしまうこと。理解したい対象に当てはめて考える、典型的で固定化されたイメージのことをステレオタイプという。また、ステレオタイプとは、その文化や社会において人々に広く共有されているカテゴリー。例えばステレオタイプは、「女の子なのに凄いね」、「女性は女性ならではの素晴らしい特性がある」など一見褒め言葉のように聞こえる言葉も女性の意欲を低下させるといった悪影響が指摘されている。このことから自分が良いも思った言葉、態度は自分のステレオタイプからきていて、そのステレオタイプは相手との相違によって悪影響を及ぼすことがわかった。
参考文献「https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssep/43/0/43_7/_pdf/-char/ja」

1328
F220381 2023/01/31 (火) 22:29:37

問題1
ネガティブバイアス(8章)
ネガティブバイアス(negative bias)とは人にはネガティブな情報がポジティブな情報より強い影響を与えていることである。例えば、ある人の顔がいい、皆にも可愛い顔と褒められている。しかし、体型はあまり良くない。そのために、あの人は自分は可愛くないと思うようになった。自信がなくて、劣等感が感じる。この状況では、その人、自分は可愛い顔が持っていることより、自分の体型があまり良くないほう注意する。または、ある人の印象を形成するとき、あの人は暴力が使う人、しかし困っている人見たら、手伝ってあげる。この二つ情報あげたら、ネガティブな情報に影響されて、あの人は暴力行う、怖い人という印象が形成しやすい。人を手伝ってあげるいいところは印象形成に大きい影響与えないようになる。

このような社交、心理健康、思考、感情など領域でネガティブな情報がポジティブな情報より大きい影響を与えている現象はネガティブバイアスである。

ステレオタイプ(9章)
ステレオタイプ(stereotype)とは人が特定の集団またはグループに対して持っている信念、期待。例えば、アジア人は頭いい、黒人は暴力的、女性は運転が苦手など。このような単純、片面的な印象はステレオタイプと呼ばれる。ステレオタイプの目的は人を短時間で分類して、効率な対応である。例えば、アジア人は数学が得意ステレオタイプある、そのために、数学に関わる仕事はアジア人にあげる。タトゥーが入っている人は危ないこういうステレオタイプがある、そして、普通人はタトゥー入っている人から距離を取って、危険を回避する。しかし、ステレオタイプもダウンサイドもある。ステレオタイプが差別になることもある。例えば、黒人は暴力的、犯罪するこういうステレオタイプが持っている警察は犯罪事件があるとき、すぐ黒人は犯人だ、黒人を逮捕する。こういうステレオタイプから差別事件になることがある。

問題2

スキナー
スキナーは1948年がHarvard Universityで教授として、働いて、研究していた。彼はJohn Bの影響で行動心理学の研究始まった。彼は意識というものは科学が発展する前の迷信と信じた。彼によると心理学の目的は生物の行動を予測し、控えること。彼はオペラント条件付けと効果の法則を精錬した。それ以外、彼は強化スケジュール、迷信的行動を体系的な探査した。
彼はスキナー箱を開発して、行動の学習プロセス(shaping)について研究した。これ以外、プログラム学習における学習装置を開発した。

参考サイト
Harvard University (people)
https://psychology.fas.harvard.edu/people/b-f-skinner

ロフタス
ロフタスは1973年がThe University of  Washingtonの副教授として雇用された。彼女はそれから人の意識がものを認識して記憶する方法を研究していた。彼女は目撃者のトラウマ記憶を調査していた。1974年、彼女の目撃者の記憶についての研究により、彼女は人の記憶は外部に影響できるものと信じた。偽り記憶は脳内で植えつける、作ったもの。例えば、テキストで書いた通りの実験、目撃者に質問する形、見せる証拠によって、目撃者の証言と記憶が変化があることが証明した。
参考文献
ゼロから始める心理学・入門
参考サイト
https://www.amacad.org/person/elizabeth-f-loftus

問題3
ネガティブバイアス(8章)とステレオタイプ(9章)
ネガティブバイアスはステレオタイプ原因の一つと考える。テキストによるネガティブバイアスは人に印象形成にも効果がある。ある人の悪いところといいところ見せたら、悪い印象形成する傾向がある。そしたら、ステレオタイプの一つ原因はネガティブバイアスが多くの人に起こって、その印象を共有した結果も考える。例えばアメリカで黒人は犯罪する人のステレオタイプ、はテレビで黒人が犯罪したニュースを見て、同時に黒人も社会に立派な貢献して、人を助けているニュースもある。しかし、市民は黒人が犯罪したニュースが注意して。結果として、黒人の犯罪のニュースが市民に黒人の貢献より影響与えて、黒人は暴力的、犯罪者というステレオタイプあげた。そして、そのステレオタイプを社会で共有した。この事例のように、人はあるものまたはある集団のポジティブとネガティブな情報同時に得られている。しかし、ネガティブな情報の方が注意している。なので、ステレオタイプになった。

1327

最終レポート
問題1
手続的記憶

(藤井)がいうには手続的記憶とは自転車に乗れるようになるとかうまく楽器の演奏ができるようになるとかというような記憶で、同じような経験の繰り返しにより形成され、意味記憶同様、その情報をいつどこで獲得したかについての記憶は消失することである。
実際に体験談とともに例を挙げながら説明していく。自分は小学生の時からサッカーをしていて利き足が左足だった。高校の部活の際に利き足が右足の子に「どうやったら左足でそんなにけれるの」と聞かれたことがある。自分はあしのここで蹴ったら飛ぶよや、蹴るときのフォームなどの大まかなことは伝えることができたが、細かなことまでは伝えることができなかったという経験をしたことがある。これは小学生からずっと左足を意識なしに当たり前のように使っていたという同じ経験の繰り返しによってその情報をどこで獲得したかの記憶は消失しているためである。また、手続的記憶の特徴である長期化(小学生から高校の時までずっと覚えている)、自動化(左足で何も意識しなくてもボールをけることができる)、言語化の困難(大まかなことは伝えられても細かいことまではうまく説明することができない)を満たすため、この事例は手続的記憶であるといえる。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/30/1/30_1_19/_pdf

ステレオタイプ

ステレオタイプとは特定の社会的集団に関する知識、信念、期待によって、構成された知識構造のことを言う。
これもまた実際に体験談とともに例を挙げながら説明していく。自分はサッカー部だったのだが、高校の体育の授業でサッカーをやった時に友達に「リフティングでなんか技みしてよ」といわれたことがある。動画再生アプリなどに挙げられているプロサッカー選手のリフティングの技などを見てサッカーをやっている人なら技ができると思われている。しかし、リフティングはおろかそれに加えて技を練習をするならシュート練習、ドリブル練習をする思考の人も多いと思うので技ができないひとも多いと思う。これはステレオタイプの事例ではないかと考える。なぜなら、サッカー部という社会的集団はリフティングの技ができるという無理解の人間によるイメージによって判断されているものだからだ。
教科書の「ステレオタイプに好き・嫌いなどの感情的な要素が加わると、偏見となる」とあるが、この事例は感情的な要素は加わっていないのでこの事例はステレオタイプといえる。

1326

問題1
「ステレオタイプ」(9章) 
ステレオタイプとは、特定の社会的集団に関する知識、信念、期待によって構成された知識構造である。と教科書にあるが、自分なりにかみ砕くと、特定の集団やその集団を構成している人に対して、人々が持っている否定的なものも肯定的なものも含めての固定概念だと考える。実例を挙げると、平井(2000)で「日本人らしさ」についてのステレオタイプを研究しており、その中で大学生の男女にアンケートを実施し平均値を出している。数値の高いもの(3.9以上のもの)で否定的なものだと「はっきりとした自己を持たない」、「恥をかかないように行動する」、「恥ずかしがり屋である」などがあるが肯定的なものも数値が高く「勤勉である」、「秩序を重んじる」などのものもあるためである。教科書の中でも偏見とステレオタイプは別物もので明記されているのでキイワードを適切に理解していると考える。

参考文献
平井 美佳(2000)「日本人らしさ」についてのステレオタイプ「一般の日本人」と「自分自身」との差異
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjesp1971/39/2/39_2_103/_article/-char/ja/

「質問紙法」(12章)
質問紙法とは、妥当性と信頼性が確認されている質問項目についてあらかじめ決められた手続きに従ってアセスメントを行う方法である。誰が調べても同じ結果が出やすく、検査者の特徴や検査場所による利害が出にくいという科学的な方法。と教科書にはある。自分なりの言葉で説明すると、測りたいことを本当に測れているかの指標と条件が同じであれば、繰り返しても同じ結果になるという指標があり、あらかじめ決められた手続きに従ってその人物を測る方法といえる。質問紙法の代表例としてMMPIがある。MMPIとは、ハサウェイ,S.Rとマッキンリー,J.Cが開発した質問紙でMMPIは被検者のパーソナリティを捉えるパーソナリティ検査の一つであり、精神医学的診断を行うための補助ツールとして開発された経緯にもあるように、臨床場面で多く活用されている。MMPIの大きな特徴としては、14の下位尺度から構成されている(10の臨床尺度と4の妥当性尺度)ことが挙げられる。特に妥当性尺度は質問紙法の欠点でもある、虚偽の回答を検出するために設けられたものであるため、MMPIの検査結果は信頼性と妥当性に優れているとされている。

参考文献
t8201f. “質問紙法とは?代表的な質問紙の例と特徴や長所・短所を解説”.Psycho Psycho.2022-08-25.https://psycho-psycho.com/questionnaire-method/. (2023-01-31)

1325

問題2
エリス(12章)について

エリスという人物は人の悩みの原因は、困った状況そのものではなく、状況の捉え方にあると唱え問題行動や情緒的混乱に影響を及ぼすのは内的な認知過程に注目した療法を考えた人物である。この考えから「理論療法」というものを考え出した。その中でも主に有名なのがABC論理というものである。出来事(A)信念(B)結果(C)に焦点を当てて考えていく理論である。このような論理療法は現在の理性感情行動療法と呼ばれ認知療法の基礎とされている。
参照文献
アルバート・エリス(2019)理論療法と個人心理学

セリエ(10章)について
セリエという人物は、ストレス理論の基礎を作った人物である。セリエはストレス反応を警告期、抵抗期、疲憊期の3つあると仮定しその3つをまとめて汎適応症候群とした。これはストレッサーに対して適応しようとする一連の過程で起きる症状とされた。このような反応過程が全員に起きるとは言われていないが現代のストレスを理解するための基礎として貢献している。

参照文献
坂部弘之(1993)ストレスと健康

1324

問題1
「質問紙法」と「学習障害」について

質問紙法と呼ばれるアンケートは性格検査や態度尺度などで使用される事が多い方法である。
この方法はあらかじめ用意された項目から回答を選ぶため性格など複雑なものでもまとめやすいという特徴を持っている。それとデータの結果に対して集計者の主観が入りにくいというのも特徴としてある。実例として「1、はい」「2、いいえ」
「3、どちらともいえない」というような選択肢がある質問紙を配って回答してもらうという方法がある。この方法であれば集計しにくい質問であったも集計などしやすくなる。実例や最初に述べた特徴から質問紙法は複雑な回答が予想されるアンケートに適していると思われる。

「学習障害」とは一般的な知能での遅れは見られないが「読み」「書き」「計算」といった特定の能力に多少の困難さを持つことを指す。
実例としては、学習ノートのマス目に従って文字や数字が書けない。教科書の音読や復唱で上手く読めないなどがある。このような「学習障害」は学校などの学習での過程でわかる場合が多いとされている。

1322

問題3
「盲点」(1章)と「視覚探索課題」(6章)
この視覚探索課題について教科書で説明されていたトリーズマンの実験で「O」の中から「C」を見つけるのは簡単だけど逆の「C」の中から「O」を見つけるのが難しく、1つ1つの図形を判断する処理を行う時間が違ってくる理由として背景となる図形と目標となる図形が入れ替わることで処理の仕方が変化するという説明が、盲点の説明でされていた白黒のチェッカーパターンと小さい十字を用いたものと十字の柱を背景にした円の実験の説明が類似していると考えました。
類似していると考える点は、視覚探索課題の「C」を背景として目標の「O」を探す実験の中で1つ1つの図形に注意を払って確認することで注目していないCかOの図形が盲点となり、Cの図形にOの形になってしまうあるはずのない線が描かれてしまい図形を判断する処理がしにくくなってしまっているからと考え、この2つが類似していると思いました。

1321

問題1
質問紙法
質問紙法は、意識的に自分の回答を調整する防衛機能が働き、本当の自分を隠すことができると教科書に説明されているが、質問紙法に働く防衛機能が実際どのように働くのかというと、各国の人に5件法リッカートを行った結果、日本はアメリカ人やカナダ人に比べて中間的な回答をするということがわかった。この結果は日本人は極端な回答を避けるという防衛機能が働いていることがわかる。教科書には質問紙法に対する防衛機能の具体例が説明されていなかったが、実際に質問紙法に対してどのように防衛機能が働くか理解することができる。
参照
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssp/29/2/29_KJ00008993917/_pdf

Chen, C., Lee, S., & Stevenson, H. W. (1995).Response style and cross-cultural comparisonsof rating
scales am ong East Asian and North American students. Psychological Science, 6, 170.
https://www.jstor.org/stable/40063010

ソーシャルサポート
私の親戚の事例をもとに説明する。私が小学生の頃に親戚が仕事によるストレスでうつ病になり、自殺をして亡くなってしまった。うつ病になってしまった親戚は病院の先生に相談をして助言をもらい、病院に入院をして介護をしてもらい、査定的援助と道具的援助を受けていた。そのおけげで今までは家族と外に出ることさえ難しかったが家族と地域のお祭りに行くことができていた。しかし、友人にうつ病になったことを知らせるのが嫌だったようで親しい友人にも何も話してなかったので友人との関りがなくなり情緒的支援が受けられなかった。そしてどんどん心を閉ざしてしまった。ソーシャルサポートとは、ストレスを受けるが物理的・心理的援助を受けることでストレス反応を減らすことができることであり、この事例はストレスに独立で立ち向かうだけでなく、周囲の人の協力や心理的な援助も有効であり必要であることがわかるので該当事例といえる。

199

 課題6 供述へのアプローチ 供述分析の技法
 知能の低い人でも、知覚シーンの記憶を保持しているとは限らないと考えています。これは知能に関係することではなく、正常な人であっても、他の何らかの理由で直観的な場面の記憶を保持することが困難になる可能性があります。知能の低い人はなおさらです。なので、この目撃談が信憑性があるとも言えません。知的な問題が知覚シーンの記憶に大きな影響を与えているわけではなく、それほど密接な関係はないのかもしれません。
 「能力とは、行動の確率的傾向を表示する概念に過ぎない」ということについては、能力があるからといって能力が生み出す行動が必ず起こるわけではないからです。行動は、能力だけではなく、さまざまな要因によって決まります。また、行動にも心理的な影響があり、心理的な要因が大きく作用する可能性があるため、能力の面から行動が起こる確率を見抜くことはできません。
 行動と予期の連鎖が見られる供述は、実体験の兆候とは考えられません。何らかの行為や意図の反応があったとしても、それは容疑者が以前に誰かの体験談を見ていた可能性があるからです。必ずしも実体験の徴候とは限らず、実際の犯罪体験として見ることはできず、実体験かどうかを証明することもできません。
 

1320

問題1
学習障害、ソーシャルサポートについて
1つの事例を用いてそれぞれ説明していく。

私は高校生の間、高校のノーマライゼーション企画で小学校から高校生までの発達障害児童、生徒の放課後デイサービスのお手伝いをさせていただいた。
そのデイサービスでは個人にそれぞれ特定の絵や作品などを作る課題がだされ、手順を元に完成させていくのだが、ある日担当させていただいた児童はお話はできるが、その手順の文字を読むことや、完成した作品に名前やタイトルの文字を書くことなど、小学校の授業や宿題などの学習には必要な能力を身につけることが困難である学習障害の児童であった。
そこでデイサービスの先生とともに、その課題を事前に1度私たちがつくり、その様子を動画で撮って見せ、視覚的にサポートしてみる、またその児童がゆっくりではあるが読むことのできるひらがなを用い、さらに読むことが心理的に苦になる可能性もふまえその児童の好きなキャラクターが喋っているような手順を作成した。

学習障害
この事例の場合、読むこと、書くことに限られているが、全般的な知的発達に遅れがないのに学校で他の児童と学ぶ際に必要な基礎的能力(読む、書く、話す、聞く、計算する、推論する)のうち1つまたは複数の能力を身につけることや、使っていくことが困難な状態であることを指す。

ソーシャルサポート
テキストではストレスに対するコーピングの中で出てきた用語ではあるが、「周囲の人からの物質的・心理的な援助」と定義している。このようにソーシャルサポートは広い概念であると考えられる。
この事例の場合、ソーシャルサポートは出された課題や、個人的に抱えている課題に対して児童が独りで立ち向かうのではなく、職員たちや私など本人を取り巻く人達が本人に合った様々な工夫をして援助することであると考える。

1319

問題1への解答

1、ステレオタイプの説明
ステレオタイプというのは、特定の集団に対しての、社会に広く浸透している固定概念やイメージのことである。
 ステレオタイプの例としては、血液型である。A型は几帳面で真面目、B型は好奇心旺盛、O型は大雑把、AB型は二面性があるなど、学術的根拠がないにもかかわらず、血液型による性格が当てはめられる。これは「A型」という特定の集団に対して「几帳面で真面目である」という社会のイメージがあるため、ステレオタイプの例として適当である。

2、葛藤についての説明
 教科書では、私達は、好ましい状態や物に近づきたいという接近欲求と、好ましくない状態から逃れたいという回避欲求という大きく分けてふたつの欲求を持っている。これらの欲求が同時に満たされないとわかった時に、欲求を達成するための行動が取れなくなってしまう。この状態を葛藤(コンフリクト)と呼ぶ、としている。つまり、同程度の強さの2つの欲求が存在する際に、その両方を選択することはできないために悩み続け、どちらを取るか決めかねている状態のことを言う。レヴィンは、人間が社会生活を送る上での葛藤を3つのパターンに分けて考察した。
 1つ目は接近と接近の葛藤である。これは、同じぐらい魅力を持つ誘因の間で、選択に悩む状態である。例えば、同じ日に違う友人から遊びの誘いを受け、どちらも同じぐらい行きたいが、どちらか選ばなければならず、迷っている状態である。
 2つ目は、回避と回避の葛藤である。これは、同じくらい回避したいのに、一方を回避すればもう一方に陥ってしまう状態である。例えば、受験勉強はしたくないが、受験勉強をしなければ志望校に落ちてしまう場合、「努力もしたくないが不合格も嫌だ」という回避と回避の状態にある。
 3つ目は、接近と回避の葛藤である。これは、ひとつの目標が魅力的な面とそうでない面を持っているので実行に移せない状態である。例えば、美味しいものを沢山食べたいけれど、食べることで太りたくないという状態だ。
 また、このレヴィンの分類の他に二重接近と回避の葛藤というものがある。これは、2つの事柄がどちらも一長一短あり、どちらを選択するか悩む状態である。例えば、車を買う時にある車はデザインが好みだが燃費が悪く、別の車は燃費はいいがデザインが好みでないといった場合である。

参照文献
齊藤勇(2020) 『図解 心理学用語大全』 和光堂                株式会社.

198

課題6
供述へのアプローチ、供述分析の技法について

その供述が体験によって得られた内容のものかそうでないかの違いは非常に大事です。
特に聴取の際のCQなどから得た情報を自分のものだと考えてしまったた場合、元の純粋な記憶が歪んでしまう上に冤罪すら生みかねない行為になってしまいます。
そのため、浜田氏の供述分析のやり方である、調書の内容の変遷を辿るというものは、どこで記憶が捻じ曲がったのか、何か聴取の際に得た情報によるものなのかなどが分かりやすく、非常にいいと思います。
ただ心理学者としてであるなら、「聴取のここに違いがあるから嘘、もしくは記憶の捏造があるぞ。つまりこの供述が嘘なら…」という捜査の真似をするのは好ましくないため、そう思ったとしても、分析内容に私見を織り交ぜないようにする工夫が必要だと考えます。
例えば、複数の心理学者で同じ供述について分析し、純粋な心理状態を確かめるなどの方法が挙げられるのではないかと私は思いました。

197

課題5  認知面接  子どもへの司法面接
「沈黙を体験の不在と判断する 」ことについては、陳述者の経験が沈黙の原因ではないかと考えられます。しかし、今回犯行を目撃した時にはそのような事実は見られなかったが、供述者は以前の生活体験から記憶を呼び起こし、沈黙を招いた。それまでの記憶は、今回の沈黙を有効に判別できませんでした。問題は、沈黙が犯行事実によるものかどうかを判断し、その後、どのように供述者が犯罪事実を正確に述べるように誘導するかだ。
 「教示: 思い出したことを編集せず」という目撃証言に対する認知面接法について、。編集者が思い出したことを考えるなと忠告しても、結果は期待通りにはならないかもしれません。人は自分の記憶を無意識に編集しているからです。自分でも気づかないこともあるので、これはなかなかやめられません。また、私たちが教示することで、目撃証言が編集に偏るようなこともあります。
  情報の取り方について供述や認定を強要せず、面接を受ける人の身分や心理状況によって異なる方法をとることは、非常に正しいことだと思います。特に面接を受ける子どもにとっては、どのような方法をとれば、子どもの心の中にある本当の事実を話せるようになるのかが重要です。事件を思い出して話す練習をしていたとき、彼の話には強制力があったように思います。もう少し婉曲な言い方をしたほうが、子どもの心のケアになります。

1318

最終レポート
問題1への解答
「水平伝播」について
 人間を主として見ない文化や文明、行動様式などについての、脳に蓄えられた情報が、同世代の集団の中で水平に伝達していくことを水平伝播という。水平伝播は教わったり、人のまねをしたりすることで起きる。このような他者の観察によって起こる学習を観察学習といい、他個体の存在によって行動が活発になる「促進」や、他個体と同じ行動をする「模倣」などがある。
 水平伝播の事例として、有名な人が投稿した動画にいいねが多くついていたのを見て、他の動画投稿者は同じような動画を投稿すれば自分もいいねが多くもらえるだろうと思い、同じような形式や内容の動画を投稿するというようなものがあげられる。これは、「模倣」によって起こされた水平伝播といえる。

「葛藤」について
 人間の持つ欲求には大きく2つあり、好ましい状態や物に近づきたいという接近欲求と、反対に好ましくない状態や物から逃れたいという回避欲求がある。これらの欲求が複数生じ、さらにこれらが同時に満たされないときに欲求を満たすための行動がとれなくなってしまう状態を「葛藤」という。葛藤が生じると、外的な障害がなくともどう行動するべきか判断できなくなり、動けなくなってしまう。葛藤には主に4種類ある。1つ目は「接近-接近葛藤」というもので、魅力的な選択肢が2つあるのに制限がありどちらかしか選べず、片方をあきらめなければならないというものである。2つ目は「回避-回避葛藤」というもので、2つの物事のどちらからも逃れたいのにどちらからは逃れられないというものである。3つ目は「接近-回避葛藤」というもので、目標としているものの中に魅力的な面と逃れたい面がある場合に、その目標に接近するか回避するかを判断できずに行動ができなくなるというものである。4つ目は「二重接近-回避葛藤」である。これは、「接近-回避葛藤」が2重になったもので、2つの目標のどちらかを選び難い状態になるものである。
 葛藤の事例として、「仕事は簡単だが給料は安い仕事」と「給料は高いが仕事は難しい仕事」の2つがあり、両者ともメリットとデメリットが存在して一長一短なため、悩んでしまうというものがあげられる。これは「二重接近-回避葛藤」にあたる。

196

課題5
認知面接、子供への司法面接について

子供は大人に比べて、記憶が曖昧になりがちなために、CQに類する質問をする際は、障害のある人同様注意する必要があります。そこで私は、質問はOQであることを心がけるべきだと思います。
そうでなければ、ラポール形成が上手くいこうと、貴重である新鮮な記憶からの情報を取り逃がしてしまうためです。
また次に大事だと思ったのは、出来事を思い出して話す練習です。出来るだけ親など大人の手を借りずに、少しでも覚えていることを口にする練習をすることで、より正確な情報に辿り着けると考えたためです。

195

課題4
目撃証言について

目撃証言は、自白に勝るとも劣らないほど証拠として強い力を持っています。しかし同時に、自白同様証言者の視点や考え方、個々の記憶の正確さにより非常に曖昧で危うい力を持っているとも思いました。
凶器を持っている場合は、なおさらその傾向が顕著です。
証拠能力があるのは疑いようがありませんが、裁判心理学的立場を持って考えるのであれば、「どんな状況においての目撃証言なのか」を明確にする必要があると思われます。
リラックスしている時のものなのか、非常に緊迫した状況でのものなのかが分かるだけでも、その証言の持つ証拠能力の程度に違いが現れると考えたためです。

194

課題4 目撃証言
15m以上の距離で、「 目撃時間は過大評価される 」について、距離が遠すぎると、人物が被疑者に行った犯罪行為の開始時間を判断することができないためです。実際の犯罪時間よりも短いこともあれば、長いこともあり、必ずしも犯罪時間が長くなるわけではありません。
「情動は記憶を阻害する、中心的情報は阻害されず」という場合、ある容疑者から被害を受けた経験を持つ目撃者が、その容疑者の特徴を持つ人を選好する傾向があるため、中心的な情報が阻害されることもあります。それは目撃者の心の動きに起因します。自分の心の意思に邪魔されず、目撃者が被疑者をより正確に識別できるようにする方法を研究すべきだと考えています。
 犯人が凶器を持っているときに「顔の記憶が不正確になることで生じると考えられている 」のは、必ずしも顔の記憶が正確でないからというわけではありません。凶器を持っていることで、自分の生存や安全に注意が向けられるようになり、犯人が持っている凶器に注意が向いて、顔への注意力が低下するからかもしれません。これは目撃者の主観的な感情ですから、自分の保身のためにも凶器には細心の注意を払わなければなりません。

1316

問題1
行動変容
行動変容とは、ある不適応的な行動を学習された結果だと考え、その行動の発生を強化している強化子を操作してその行動を適応的な行動に変容させることである
例えば、次のような事例があったとする。
「中学1年生の頃のA君は自分の思い通りにならない時、大きな声で泣き叫んでいた。周りの生徒は手に負えない状況だと判断し、いつもA君の思うようにしてあげていた。しかし、中学2年生になってからは周りの生徒が慣れてしまい、A君が大声で泣き叫んでも無視するようになった。すると、それと同時にA君は思い通りにならない時に泣き叫ばないようになった。」
この時、「大きな声で泣き叫ぶ」という不適応的な行動が起こる理由は、大きな声で泣き叫ぶことによって相手が折れて自分の思い通りにしてくれるからというように解釈できる。つまり、「自分の意見を優先してくれる」ことが強化子となり、「大きな声で泣き叫ぶ」という行動を強化しているということだ。しかし、周りの生徒がその行動に慣れて無視するようになったため、「自分の意見を優先してくれる」という強化子が消失した。そのため、「大きな声で泣き叫ぶ」行動がなくなるという行動変容が起こったと理解できる。

水平伝播
 水平伝播では、遺伝子によって親から子へ情報が伝達される垂直伝播とは違い、メディアを通して情報が伝達される。メディアとは、人と人の間を媒介するものである。水平伝播の特徴としては、垂直伝播よりも広く情報が伝達されることだ。垂直伝播は遺伝子による情報伝達という性質上、遺伝子的につながりのある関係内で情報の伝達が行われる。一方、水平伝播はメディアを通して情報伝達が行われるため、不特定多数の人に情報の伝達が行われる。
水平伝播が行われている日常的な例はツイッターである。私たちは誰でもライフハックや他人の生活などの情報をいつでもツイッターから入手することができる。また、自分の情報をつぶやくことで不特定多数の人に情報伝達を行うこともできる。この時行われている情報の伝達方法は、当然ながら遺伝子による親から子といった垂直の伝達ではない。この例では、ツイッターというメディアを通して、不特定多数の人への情報伝達が行われている。よって、水平伝播が行われているといえる。

1315

問題2
「エクマン(8章)」について
エクマンの基本6感情の概念は、看護師が患者さんの心理を読み取ろうとする部分に貢献していると考える。教科書では、エクマンの考えによれば、顔の動きと感情とは明確な相対関係があり、顔の動きとは、感情を伝達しようとする際の媒体なのだということと述べている。観察するのが人間であり観察する対象も人間であるため、エクマンの基本6感情が基本となり、研究に使われている。この論文では、基本6つ感情の中から医療現場で遭遇する機会の多いと思われる恐怖、嫌悪、悲しみ、幸福の4つの感情を選び、検証を行っている。その結果、それら4つの感情を表す顔の表情の特色を見出すことができ、顔に現れる心の動きを客観的に観察可能なことが明らかとなっている。
以上のことから、エクマンの基本6感情が患者さんの心理を読み取ることが可能になることに、貢献したと考える。

参照
太田・田村・真田・木曽・佐伯「表情分析―エクマンにより提唱されている表情と特徴との比較検討―」JN-SUMS0301p020.pdf.

「ウィング(11章)」について
ウィングは心理学にどのように貢献したかを調べた。
教科書はウィングについて、①対人関係②言葉③想像力が自閉症の本質であり、「Wingの3つの組」という考えが用いられていると述べている。
ウィングはASについて「ASであることは、必ずしも治療対象ではない」という考えは、ASDやAPAとの違いであるとされている。
3つの組が定義されたことにより、その人になじみやすい問題解決の道筋を提案することや、その人らしい選択を安心して見守ることなどに役立っている。
以上のことからウィングのASという視点は、精神科医の人間理解に新しい視点をもたらし、心理学に貢献したと考える。

参照
吉田友子「自閉スペクトラムと自閉スペクトラム症」ja (jst.go.jp).

1314

問題1
「特性論(5章)」について
私は、特性論の「全体像がとらえにくい」というデメリットについて調べた。教科書ではオルポートの14の共通特性と5因子モデルについて書いてあるが、キャッテルについて記載がないので調べた。
キャッテルは、特性の定義を「比較的永続的で広範な反応傾向」として、オルポート「独自性」の共通特性を対象とし、研究をしてきた。キャッテルは、特性を表していると考えられる用語を収集し、親しい者同士の集団で行動評価を行った。この評定結果に対し、「12の因子」が導かれた。また、キャッテルは実証研究を通じて「16の因子」を特定し、さらにそれらが、4つの第2因としてまとめられた。
また、キャッテルの因子分析を用いて、現在では5因子モデルが認められる。
「外向性」一般的な合意
「調和性」社会的規範への同調性
「誠実性」達成への意思
「神経症傾向」否定的情緒性
「開放性」感情や思考の柔軟性
しかし人間のパーソナリティは、5因子を認めたところで現し尽くせないという点が発覚した。また、人間の性格を細かく記述した時に個人差を測ることは可能だが、我々が普段使っている言葉のカテゴリーが、どのような基準に基づいて構成されているかが明確ではないため、全体を把握することが難しいのである。
以上のことから、特性論のデメリットである全体像が捉えにくいという部分を理解できる点で、教科書の内容の理解に貢献していると言える。

参照
岩熊史朗「“特性”の心理学的構築」Bunjo07-02.pdf.

「手続的記憶(6章)」
早期の記憶と手続的記憶の関連性について調べた。教科書には、「長期記憶は、手続的記憶と宣言的記憶に分類される」と書いてあるが、二つの関係性はあるのか気になったので調べた。
まず手続的記憶は、自転車が乗れるようになるというような記憶で、同じような経験の繰り返しにより形成され、その情報をいつ、どこで獲得したかについての記憶は消失する特徴を持っている。
幼児の早期記憶の特徴を知るためのモビールを使ったオペラント学習は、手続的記憶によるものとしては考えられていない。しかし、幼児の随伴性の認識とそれを行動として実現するという意味では、オペラント学習は手続的記憶である。このように最早期においての記憶は、遅延模倣のような宣言的記憶システムが機能し始めるとき、それまでの手続的記憶の機能と関わりを持ちながら発達しているということが分かった。
以上のことから、手続的記憶と宣言的記憶は2つに分類されるが、早期記憶では関わるがあるという部分が教科書の理解に貢献していると考える。

参照
橋本圭子「発達早期の記憶に関する考察―手続き記憶と愛着―」70373022.pdf (core.ac.uk).

1313

問題2
「E.シュプランガ―」(5章)
シュプランガ―はドイツの哲学者・教育学者で、自身の著書『生の諸形式』で人生の中で何を一番大切と考えるかという価値観で性格を分ける価値類型論を提唱しました。
価値類型論とは文化に対する人間の関わり方から個人の性格を形成し、性格を「権力・経済・社会・審美・理論・宗教」の六種類に分類して表した理論です。
・権力が大切で勝利を求める権力志向型
・お金が大切で結果を求める経済思考型
・仲間が大切で協調を求める社会志向型
・感性が大切で美学を求める審美志向型
・理屈が大切で真理を求める理論志向型
・道徳が大切で救済を求める宗教志向型
人が何に価値を置いているかを主にこの6つの価値観の型の志向に分けて考えているのが価値類型論です。この理論における自己診断などをすることで自分がどのタイプの志向が強いかが考えられ、人間関係の中で「あの人とは性格が合わない」と言ったりすることをこの価値観が性格を決めているとすれば説明することができます。
シュプランガ―の価値類型論は6つの価値観に分けて考えていて、どのタイプの価値観がどんな時に強く出るかを自分で確認して自分の価値観を確認できる考えで、価値観についての類型論を考えるうえで貢献していると思います。
リンク
「P.エクマン」8章
ポール・エクマンはアメリカの心理学者で、20世紀で最も影響のある心理学者の1人に挙げられるほどの学者であり、世界的に著名な顔の表情や嘘つきの研究者です。
エクマンによると、人間には「驚き・恐怖・嫌悪・怒り・喜び・悲しみ」の6つの感情があり、これらは世界共通の表情となっています。さらにその顔の動きを表す単位としてアクション・ユニットとして定義しました。
エクマンはあらゆる表情を分析するためにFACS(顔動作記述システム)というシステムを考案しました。このシステムは表情に関連する心理学や、精神医学や情報工学などの幅広い分野で活用されています。
そしてこのエクマンの表情分析をテーマにしてエクマンをモデルとした主人公による「Lie to me」という海外ドラマも存在します。
エクマンのこの6つの表情からなる研究は心理学などの学問だけでなく、ドラマといったエンタメにも影響を与えている学者であり、心理学の中でもとても多大な貢献をしていると思いました。
リンク

1312

問題2の投稿のリンクを間違えました。
正しくはこちらです。リンク

1311

問題1
ネガティビティ・バイアスとは人が物事に対して行う判断の際にネガティブな情報に引っ張られてしまう傾向のことである。私が身近にネガティビティ・バイアスが存在していると感じる事例を挙げる。私たちがある有名人の異性関係のトラブルや罪を犯してしまったニュースを知ったとする。その後、その有名人がどんな功績を残して素晴らしいことを行っていたとしても、私たちの頭の中にはその人に対するイメージに「この人は悪いことを行ったんだ」というイメージが残ってしまう。この事例は対人的な判断について起こるネガティビティ・バイアスの例を表したものである。例で出てきたある有名人に対するイメージが良いものであったとしても、悪いニュースが起こるとその人の良くないイメージが先行してしまう。このことがネガティビティ・バイアスであるといえる。

学習障害とは発達障害の一つである。学習障害とは学習に必要な能力に偏りがあるために、学習する場面において不適応が起こる障害のことである。学習障害について詳しく述べている書籍によると、「読む・聞く・話す・計算する・推論する能力のうち、1つまたは2つ以上に遅れが目立つ特徴があることをいう。」と書かれていた。例えば、国語の教科書朗読をする場面でうまく読めず朗読ができない場合、その朗読の場面での不適応から学習障害があるとみなされる。この例では「読む」という能力に遅れがある学習障害だといえる。
 ここで注意しておきたいのは、学習障害は知的な能力が全体的に遅れている知的障害とは違うということだ。ある特定の能力についての遅れがあるだけなので、その能力を用いない場面であれば全く問題がないのである。さらには工夫次第では能力の遅れによる不適応を解消することも可能である。工夫して解消できた例が参考にした書籍に載っていたので紹介する。「記憶するのが苦手なRさんは先生に頼まれたことを忘れてしまって困ってしまう。そこで工夫として頼まれたことをメモして覚えておく、事前に頼むことを書いてもらう、声にだしてとなえるなどを行った。そうするとRさんは頼まれたことを覚えることができたです。」このように工夫次第で学習障害を持っている人も普通の人と同じように生活できるのです。
出典 柳下記子(2021)「他の子と違うのはなんでだろう?学習障害のおはなし」平凡社

問題2
オールポート
教科書では、特性論で歴史ある理論としてオールポートの共通特性と個人特性が紹介されている。オールポートは人のパーソナリティについて研究する上で、多くの人に共通にある性格特徴とその人に特徴的にある性格特徴に分けた。それぞれ共通特性、個人特性という。オールポートが特に重視したのは個人の特徴を重視した個人特性である。これにはオールポートの生きていた時代が関係している。それを説明するためにオールポートについて書かれた書籍を参考にする。「オールポートが生きた当時のそれまでの心理学は人間の精神活動・適応の過程から個人性の部分を切り取って、実証的方法によって確かめられた一般的現象や法則のみ扱っていた。オールポートはこの個人が忘れられていることを批判した。」「1930年代のアメリカ合衆国では心理学に新しい発展がはじまっていた。それは個人を総合的、力動的な主体としてとらえようとする理論であった。この新しい動向の発端となったのはオールポート含む三人の著書である。」この文章から当時は人々に共通したものに重きが置かれていたことがわかる。対して個人にしかない、のちにオールポートが名付けた個人特性には注目されていなかった。オールポートは当時の心理学研究において個人に焦点が当たらない現状を批判し、そして心理学の新しい動きである個人のパーソナリティを捉えようとする研究の第一人者であることがわかる。
参考書籍 星野・青木・宮本・青木・野村(1982)「オールポート パーソナリティの心理学」有斐閣新書

ドナ・ウィリアムズ
ドナ・ウィリアムズは自閉症である自身の個人的な経験を辿って描かれた自伝的な著書「自閉症だったわたしへ」を残した。彼女の視点から描かれる描写は自閉症である人の中で起こっていることが捉えられている。ドナ・ウィリアムズの功績が参考にした文献に書かれている。「この著書が出るまでは自閉症とは他人から見ることができる行為をまとめて名付けられたものであった。しかし、自閉症であるウィリアムズの自伝的報告を見ることによって、体験としての自閉症がどのようなものなのか理解することが可能になった。」
参考書籍 ドナ・ウィリアムズ著 川手鷹彦訳(2009)「自閉症という体験」誠信書房

問題3
「適応」(3章)と「知覚的狭窄化」(7章)
7章で出てきた「知覚的狭窄化」の説明を見て、これは人類が進化する過程で「適応」した結果得た能力なのではないかと考える。知覚的狭窄化で行われる精緻化の段階とその能力を持っているか持っていないかで起こる適応度の違いが関係している。まずは精緻化の段階なのだが、教科書によると「初期の段階では決まりきったパターンを処理する段階」であると書かれている。この初期の段階から徐々に応用が利くようになっていくのだが、ここで進化の適応について考える。この初期の段階でとどまっていたものとその次の段階にすすんだものが同時代に存在したとして、どちらが生き残るかと考えた。考えた結果、精緻化の段階が進んだものが生き残ると判断した。具体的な例を出し、説得力を高めていく。知覚的狭窄化の対象が人の顔だとする。人の顔を区別する精緻化が初期の段階だと暗記のようになってしまい、仲間の顔の判断に時間がかかると考える。そうすると敵なのか仲間なのかの判断が難しく、生き残ることが難しいのではないかと考える。一方で、瞬時に人の顔の区別ができる精緻化の段階にいる者は生き残る可能性が高くなる。こうして環境に生き残りやすい知覚的狭窄化ができるものが生き残る適応があったのではないかと考える。

1310

最終レポート
問題3(第2章「学習」、第9章「偏見」の関連性について)

学習と偏見は類似している。2つの共通点として、新しい情報や経験に基づいて人間の行動や考え方を変化させることができる。また、学習と偏見は、エピソード的な出来事に基づく概念や考え方を記録して反応する能力が類似している。次に学習と偏見の関係性について説明する。偏見を新たな情報に置き換えるのに学習は重要な役割を果たしている。学習をすることによって新たな知識を得て、偏った意見や考え方を改めて考えられるようになる。例えば、SNSやメディアでノリの良い外国人が多く取り上げられることによって「アメリカ人は皆ノリが良い」という偏見が生じる。しかし、実際には内向的なアメリカ人も多く存在する。これは実際に内向的なアメリカ人がいるという事実と何らかの形で接触しない限り気づくことができない。「内向的なアメリカ人がいる事実と接触をする」という学習をしたことによって、自分の偏りすぎている考え方を改め、変えることができている。以上のことから学習と偏見は深い関連性があると言える。

1309

名前を付け忘れていました。
F22088です。

1308

最終レポート

問題3
血液型妄信と内集団バイアス
私はこの二つのワードについて、内集団バイアスは血液型妄信を包含していると考える。
血液型妄信とは、A型は几帳面、O型は大雑把、などのように血液型で性格などを判断する、一種の特性論である。
内集団バイアスとは、能力に差があまり見られない二つの集団でも、自分の所属する集団、つまり内集団のほうが優れていると評価し、自分が所属していない集団、つまり外集団には否定的な評価をする傾向のことである。杉浦ら(2015)は、内集団バイアスは、より良い社会的アイデンティティを得るための自己高揚方略であり、自己評価と密接に関係している、と述べている。
現在、日本では「ブラッドタイプ・ハラスメント」という言葉が存在する。「O型の人にはこの仕事は無理だよね」「やっぱりA型の人じゃないと」というように、血液型でその人の能力を判断しているような発言が見られる。
血液型によって能力の差がある、ということは科学的根拠がなく、論文でも発表されていない。それにも関わらず、血液型妄信として広まっているのは、血液型というカテゴリ分けを用いて、社会的アイデンティティや自己評価を保つために自分の所属する集団、つまり自分の血液型を高く評価し、その他の血液型を持つ人を低く評価する、内集団バイアスがかかっているからである、と考える。
血液型妄信は、内集団バイアスの一種であるといえる。

参照資料
杉浦仁美・坂田桐子・清水祐士(2015)「集団間と集団内の地位が内・外集団の評価に及ぼす影響:集団間関係の調整効果に着目して」『実験社会心理学研究』54(2).101-111.

1307

最終レポート
問題2「エリス(12章)」「エリクソン(7章)」

エリスについて
教科書はアルバート・エリスについて、認知の歪みを心の病の原因とする「論理療法」を提唱した人物として紹介している。論理療法は認知行動療法のベースになったとされる。教科書の事例では、悩みや心の病に繋がる考え方として”入試に不合格となる”という客観的事実に対して、”一生の終りだ”という不合理な信念・思い込みがあり、その結果として”辛い気持ちになる”としていた。エリスがなぜ不合理な信念や思い込みを重視したのかを知りたいと考え、追加で調べた。カザンツィスらによると、エリスは会計士として生計を立てていたが、小説を著すとともに政治的な活動家としても活動していた。彼自身が内気で貧しい家庭の出身であることから羞恥心を抱きやすく、それを克服しようとしていたようだ。やがてエリスは恋愛や性的関係に関心を抱くようになり、非営利目的でLAMP(愛と結婚問題)協会を設立している。40歳でコロンビア大学の博士プログラムに入学し、卒業後、精神分析の訓練を受け、結婚、セックスセラピーを実践した。しかし、洞察を獲得したあとでも改善できない人がいることを感じ、幼少期の経験を洞察(精神分析)を獲得したところでわずかな人しか変化がみられないという結論に至ったようだ。精神分析がセラピストに課す抑圧的役割から解放され、クライエントに自由にアドバイスを提供したという。その後、エリスは哲学に対して関心を抱くようになる。哲学者エピクテトスの「人は物事に煩わされるのではなく、物事を捉える見方によって煩わされる」という言葉を熟考し、セラピーに活用した。哲学的な仮説に基づきながらも、自分のビリーフの妥当性と機能性を検証し、さらにそれに代わる考えを抱くことで心の健康が高められると考えた。エリスはどんなビリーフであってもこだわらない方が気楽だ、と主張したという。1955年にアメリカ心理学会の論文で論理療法の理論をまとめたとされている。エリスの理論は認知行動療法の最初の型を作り上げたとされ、認知療法のアーロン・ベックにも影響したという。よって、エリスは認知行動療法に大きな影響を与え、心理学に貢献した人物だったといえる。

参考文献
ニコラオス・カザンツィス・マーク・A・ライナックアーサー・フリーマン(2012)「臨床実践を導く認知行動療法10の理論」星和書店.

エリクソンについて
教科書は、E.H.エリクソンは、ライフサイクルという概念を用いて、生涯発達における課題(ライフサイクル)を列挙し、人生を課せられたライフタスクを次々とこなしていく過程とした人物であると述べている。キャサリンらはエリクソンについて次のように述べている。エリクソンはドイツのフランクフルトで不義の子どもとして生まれた。生物学上の父親は不明で、母親は彼が3歳の時に再婚している。医学の勉強を勧められたが、反抗して芸術を学び、若い頃は放浪画家としてイタリアを旅した。そういった生活を続けていくうちに、自身がどう生きていくのかについて深刻なアイデンティティ・クライシスに悩まされ、アンナ・フロイトに就いて、精神分析の訓練を受けたという。さらにジンバルドーによると、エリクソンはパーソナリティの発達理論に対して3つの貢献をしたという。1つ目はフロイトの心理性段階と平行させ、自我発達と社会的段階を識別したこと、2つ目はパーソナリティの発達を生涯の全段階を通じて続くものとしてみなしたこと、3つ目は各段階で新しい水準の社会的相互作用が必要になり、正の方向へも負の方向へも変化しうるという考えを提案したことがあげられる。エリクソンは8つの心理社会的発達段階を識別した。中でも青年期の重要な課題として自我同一性を確立することをあげている。自分が誰なのか、首尾一貫した感受性を発達させることが獲得のための課題なのだが、問題が生じるとアイデンティ・クライシスとなる。アイデンティティ・クライシスという概念は、自身がアイデンティティについて悩んだ経験から生まれたものだと考えられる。また、以上のことからエリクソンは、人生のタスクと達成すべき目標などを明確にし、心理学に貢献した人物だということがわかる。

参考文献
キャサリン・コーリン(2013)「心理学大図鑑」三省堂. 
P.G.ジンバルドー(1997)「現代心理学Ⅱ」サイエンス社.

1306

問題1
「ステレオタイプ」
ステレオタイプは、多くの人に浸透している固定観念や思い込みのことで、アメリカの著作家・政治評論家のウォルター・リップマンによって提唱されたものです。ステレオタイプに似た言葉に偏見という言葉がありますが、ステレオタイプは偏見と違い、偏見という言葉はネガティブな意味で使用されていますが、ステレオタイプは必ずしもネガティブな特性のみで構成されるものではありません。
具体例としては、「女性ははっきりと意見を言わず、おしとやかである」と言ったり、「女々しい」など、女性はか弱いものという先入観を持たせるジェンダーでのことばと説明だったり、「アメリカ人は自己主張が強い」や「日本人は毎日着物を着てお寿司を食べている」と言った人種やこくせきによる思い込み、「A型の人は真面目」と言った血液型による決めつけなどが挙げられます。
ステレオタイプが引き起こす問題は思考停止であると言え、「あの人はA型だから」等と理由付けしてしまうとそれ以上思考する必要が無くなってしまい、単純化されたイメージがより肥大化されいずれネガティブな意見が肉付けされていく危険性があり、それを防ぐために偏った情報だけでなく自分で試行していくことが大切だと考えます。
リンク

「質問紙法」
質問紙法は心理アセスメントの方法の1つで、被験者に一連の質問項目を提示しあらかじめ決めた手続きにおいて、「はい」「いいえ」などの回答を選ばせて被験者の心理的特徴をとらえようとする手法であり、誰が調べても同じ結果になりやすく検査者や場所によっての違いが出にくく、科学的な方法となっています。「質問紙法」としての特徴としては施行が比較的容易で、集団で実施できる点や、結果の数値化が容易であり客観的な比較がしやすい点が特徴と考えられます。
質問紙法の回答の方法として、最も用いられているのがリッカート法と呼ばれる方法で
「全く当てはまらない」から「非常に当てはまる」のような段階的な選択肢を用意して、その中で適当なものを答えてもらうという回答方式で、統計的な分析にかけやすいという利点があります。この方法の実用例は、飲食店などが顧客の満足度を図る調査で印象を調査し、不満点を聞き取ることができたり、ブランドの認知度の調査で顧客からどのような認知やイメージをされているかなどのアンケートに用いることができます。
この質問紙法を用いての調査は実施が簡便で被験者への負担も少ないですが、被験者の意識的な部分しか読み取れないという点があり、検査結果を過信することなく全体的理解を試みるには面接法などほかの方法と組み合わせて試みることが重要となっています。
リンク

1305

問題2
3章 バンデューラ
バンデューラは、それまで主流であった個人単位での行動学習という考え方とは異なる社会単位での行動学習である社会的学習理論を提唱し、その理論を広めた人物である。
観察学習とは、他者の行動を観察・模倣することで観察者が新たな行動を獲得することである。観察学習は、1.注意過程、2.保持過程、3.運動再生過程、4.動機づけ過程の4つのプロセスに分けることができる。また、教科書で述べられている他個体の行動による賞罰を観察することによる行動の強化は特に代理経験といわれている。社会的学習理論はこのように、個人の経験だけでなく他者の影響を受けて行動を学習するという理論である。
バンデューラの考え方は、人間はこれまでの直接学習より、他者との観察学習のほうが優勢であるというもので、この考え方は学習心理学や発達心理学などで広まった。

https://psychologist.x0.com/terms/114.html

5章
H.オールポート
オールポートは、特性論を提唱した人物である。特性論とは、人の性格を「やさしい」や「神経質」という特性を組み合わせ、かつ「とても」、「たまに」などの量的な」表現も使うことで性格を細かく記述するという立場のことをいう。
オールポートは、22歳の時にフロイトと出会ったが、そこでフロイトの無意識の働きの考えに疑問を抱いた。このことがきっかけになり、特性を個人が固有に持つ「個人的特性」と多くの人に共通する「共通特性」に分別したうえで、他者との比較が可能な「共通特性」を使い、人の特性を表した。そして、特性は目に見えない深層的なものでなく言葉で表現されるという語彙仮説を考え人の特性を表す言葉を辞書から1万7953語を抜き出した。オールポートの提唱した特性論は個人の比較がしやすく、パーソナリティ研究に大きく貢献した。

1304

問題2
選択した人物1:セリエ
 セリエは、ウィーン生まれのカナダ内分泌学者である。セリエは、「ストレスとは何か」というストレス概念の先駆者である。セリエは「ストレス概念の神髄に触れる最も簡易な方法としては、おそらく、その歴史的な発展に沿って考えるべきであろうが、その出発点を想定するとなると、必ずしも容易ではない。」という考えを持ち、ストレスについて研究していた。そして、セリエが考えるストレスとは、「外部環境からの刺激によって起こる歪みに対する非特異的反応」だと考え、ストレッサーを「ストレスを引き起こす外部環境からの刺激である」と定義した。また、セリエは、ストレス反応は警告期、抵抗期、疲憊期という3つの段階が仮定されると考えた。警告期は、一時的に体の抵抗力が低下する。例えば、体温、血圧、血糖値の低下や神経活動が鈍くなる、筋肉も弛緩するなどだ。次に抵抗期はストレス自体に打ち勝つために生理的機能はむしろ亢進する。そのため、一時的に活発に行動しやすくなる。ここで打ち勝つことができれば問題はないが、ストレス状態が長く続くと、疲憊期に突入する。疲憊期では、生理的反応を保つことが難しくなり、抵抗力が弱まっていき、高血圧や心臓疾患、胃潰瘍などの疾患にかかるリスクが増大する。

参照文献
・セリエ(1988)『現代社会とストレス』法政大学出版局.

選択した人物2:エクマン
エクマンは感情と表情についての研究を行った感情と表情に関する研究の先駆者である。そして、エクマンは、基本6感情の概念を確立させた人物である。基本6感情とは、幸福、怒り、悲しみ、嫌悪、驚き、恐怖の6つである。これは様々な場面で使われ、看護学などにも使用されている。

URL
file:///C:/Users/81804/Dropbox/PC/Downloads/JN-SUMS0301p020%20(1).pdf

1303

問題1
1章 運動視差
運動視差は、観察者の体や視線が動くことで、観察者の網膜に映る対象物の像も変わって見えることであり、観察者が視界に収めた対象物の動く速さによって奥行きを知る手がかりのことである。
例えば、走行中の電車の窓から景色を見た時に、電車の手前にある建造物は速く動き、地平線のほうに見える山は遅く動いているように見える。このときに、速く動いて見える建造物の距離は近く、遅く動く山との距離は遠いという奥行きを知ることができる。
教科書で述べられている時間的配置とは、「速い」「遅い」のことを指している。
そして、近いものは速く動き、遠いものは遅く動くという、対象物が動く速さで、遠近の距離感(奥行き)を判断しているので、運動視差は両目である必要がなく、片目で成り立つ手がかりである。

7章 敏感期
敏感期は「特定の時期に学習が成立しやすい」というものだと、教科書は述べている。敏感期は、臨界期の「その時期を逃すと一生身につかない」という意味を持った言葉をよりマイルドにした表現であり、現在の発達心理学では敏感期を積極的に用いる。両者の違いは、言語の習得を例に挙げる。まず臨界期だが、吉川によると、Hyltenstam(1992)は、スペインやフィンランドを第一言語とするスウェーデン語学習者に対して、物語を読んだときの誤りを調べた際、6歳以降に学習を始めた人間にはネイティブほどの実力は身についていなかったが、6歳以前に学習を始めた人間はより高度であったと述べている。しかし一般には、言語の習得は思春期以前までに行えば習得可能であり、この時期を過ぎると習得が大変困難だといわれている。この思春期以前の段階までが敏感期である。このことから、敏感期では臨界期ほど厳密で狭い範囲ではないものの、言語など特定の分野を学習しやすくなるという発達において重要な時期であると理解した。
二次資料
https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/repository/metadata/4077/GKH024301.pdf
一次資料
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0166411508615058

1302

問題1
キーワード1:ステレオタイプ
 ステレオタイプとは、「多くの人に浸透している固定概念や思い込みのこと」であると、ウォルター・リップマンが『世論』(1922)の中で提唱している。ステレオタイプの事例として血液型を挙げる。血液型によって、A型はきれい好き・几帳面、B型は気分屋・マイペースなどの性格であると考える人がいる。これは科学的には根拠がなく、血液型で性格を決めることがステレオタイプである。他にも性別・国籍・年齢など様々な場面でステレオタイプが存在する。そして、ステレオタイプは、差別や偏見につながることもあるため気を付けて生活する必要があると考える。

参照文献
・リップマン(1922)『世論』岩波書店.

キーワード2:学習障害
 学習障害とは、「読む」「書く」「話す」「聞く」「計算する」「推論する」などの知的能力が部分的に遅れている状態をいう。そのため、学習の取得に時間がかかる。学習障害を持つ人は、人によって特性が異なる。「読む」でも、正しく発音ができない、文字を正しく読めない、音読ができても意味が理解できないなど異なる特性だ。他にも、「聞く」では、長い時間話を聞いていられない、会話の内容が理解できない、聞き取りが苦手など様々な特性が存在する。また、学習障害は生まれるつきの特性であり、得意不得意の差が激しいなどの特量がある。

参照文献
・宮尾益知(2019)『LD(学習障害)の子供が困っていること』河出書房新社.

1301

【問題2への解答】
「ウィリアムズ」(11章) 
(http://www.wakate-forum.org/data/tankyu/38/38_01_kawano.pdf)
 
ウィリアムズは1991年、Nobody Nowhereを出版した。自閉症者が書いた世界で初めてともいえる自伝的な報告であった。
これまでは当事者ではない研究者が観察し、予め決められた手順や方法で研究することが主流であった。だがそれは当人にとっては、重大な意義を持つ経験でも見逃されてしまうかもしれないということだ。
 
これは自閉症の研究にも通ずるものがある。
自閉症者という立場から、自らの障害を明らかにすることで、多くの当事者が苦しんでいることと、周囲が当事者に付与している問題にズレがあることを明らかにした。
 
ウィリアムズが当事者手記を書いたことで、当事者研究の推進に貢献した。
 
 
バージ(9章)
(http://rci.nanzan-u.ac.jp/ISE/ja/publication/se30/30-13suzuki.pdf)
バージは人間の行動のほとんどが自動的でさえあると主張した。ある刺激が与えられると、その刺激と意味的に関連する刺激にかんする情報処理が促進されるのである。この現象はプライミングと呼ばれる。
 
我々の意思決定の多くは無意識な過程で起こる。プライミングのような機械的なメカニズムが働いていることに気づいていない。騒音や良い香りがすることは意識していても、それが意思決定に影響を及ぼしていることには気づいていないということだ。
行動の予測や制御には意思決定メカニズムを科学的に研究する必要がある。
バージの主張は、近年、社会心理学研究によって明らかにされている。

1300

問題2への解答
「クレッチマー」
 クレッチマーは、精神医学の創設者と言われ、体格と気質に関する類型論を提唱した人物。教科書によると、1921年に『体系と性格』という本で体型と気質が関係していることを指摘したと紹介されている。野島・繁桝(2018)によると、クレッチマーは精神科入院患者の体型を観察し、身体の厚みよりも長さが目立つ肉づきの少ない細長型が統合失調症に多く、その一方で脂肪が蓄積しやすく丸みを帯びた肥満型が躁うつ病に多いことを見出した。さらに、骨格と筋肉がよく発達した闘士型の体型がてんかんに多いことを報告した。
また、細長型の体型に対応する分裂気質は、内気で真面目、臆病で従順であるという特徴、肥満型に相当する躁うつ気質は、社交的で善良、明るく気分の変動が大きい特徴、そして闘士型の粘着気質は秩序を好み物事に執着する特徴をもつとされる。
このことから、クレッチマーは、パーソナリティを考える際にこれらの体型と気質に関する類型論を提示した。そのため、心理学に貢献した人物である。

「オルポート」
野島・繁桝(2018)によると、辞書から約1万8000語のパーソナリティや個人の行動を反映する、人間を形成することのできる単語を抽出した。また、パーソナリティの特性論を提唱した(オルポート・キャッテル・アイゼンク)代表の内の一人である。また、教科書によるとオルポートの理論では、まず多くの人が共通してもち、違う人どうしで比べることのできる特徴である共通特性と、さらに個人特性で人の特性である個人特性と分けたと説明している。さらにオルポートは共通として、共通特性として、人の特性を表す言葉を辞書から1万7953語も選び出し、同じ意味を持つ言葉どうしを整理、分類した。その結果、外交的-内向的、支配的-服従的など14の共通特性を挙げた。特性論の他に日本心理学会(2010)は、性格研究を統合化し、性格の定義づけをしたと述べている。このことから、オルポートはパーソナリティの特性論を提唱し、現代の心理学史に貢献した人物である。

参照文献
野島一彦・繁桝算男(2018)「心理学概論」遠見書房.
日本心理学会(2010)ゴードン・オルポートとその墓石(https://psych.or.jp/interest/mm-24/)

予備でもう一つ同じリンクを貼っています。
https://psych.or.jp/interest/mm-24/

1299

最終レポート

問題1
水平伝播(3章)
→水平伝播とは、親から子へ情報が垂直に伝わっていく垂直伝播とは違い、その世代の集団の中で様々な情報が水平に広がっていくことである。この水平伝播があることによって、その世代特有の文化が生まれ、急速な文化の発展・進化へとつながる。
その身近な例として、お笑い文化の変遷を挙げる。
お笑いの変遷について、西条(2010)は、テレビの歴史が始まって10年ほどのお笑いのネタ番組の中心であった落語などのネタのたれ流しのような形が、「THE MANZAI」や「エンタの神様」などといった番組を通して、ネタ番組の芸人の登場の派手さやショートコントなど、現代のモバイルコンテンツに合うお笑いの形を形成したと述べている。また西条(2010)は、字幕や編集による効果音がコアでない一般の視聴者には効果的であったと述べている。
ここ数年では、TikTokのような短く完結する面白さが流行になっており、そのような形が現代の若者特有の笑いのツボにはまるのだろう。
また、最近のテレビ番組では、芸人がネタを披露する形だけでなく、リアクション番組やバラエティ番組なども、お笑いの形として主流となっている。
例として、「アメトーク」がある。運動神経悪い芸人や絵心ない芸人などは、課せられたお題をこなす映像にテロップや効果音を入れるだけで、笑いが取れる。これこそ、現代特有のお笑いの形である。
 お笑い文化も、世代特有のお笑いのトレンドが発生し、それがその世代の中で伝播してそのお笑いの形に合うネタや番組を作ろうとしていく。これは、水平伝播の一例であるといえる。

参照資料
西条昇(2010)「『現代のお笑い』に関する一考察:『ブーム』から『現代若者文化』」へ『情報と社会』20.187-201.

ネガティビティ・バイアス(8章)
→ネガティビティ・バイアスとは、ある人に関する良い情報と良くない情報があるときに、良くない情報に比重がかかった印象を受ける傾向のことである。これは自分に少しでも害を与えうるものから自分を守る一種の防衛本能である。
その例として、キャッシュレス決済の使用を挙げる。
谷口・高(2020)はキャッシュレス決済の不正利用に関して、2019年の7payの不正アクセスの被害や2018年のPayPayの不正利用問題、そこに個人情報や個人データの利用の在り方の問題が加わると、キャッシュレスの便益をいたずらに強調することは非常に危険である、と述べている。
実際、私はクレジットカードのように買い物等をする際に用いるものは使っておらず、交通系ICであるSAPICAのみ使用している。そこには上記のような不正利用に対する恐怖心が関わっている。
 クレジットカードのようなキャッシュレスの利便性が様々なメディアを通して伝えているにも関わらず、国内で広まりきっていないのは、キャッシュレスの利便性よりも不正利用などに対する恐怖心に比重をおいて考えてしまうからである。
 これはネガティビティ・バイアスの一例であるといえる。

参照資料
谷口洋志・高鶴(2020)「日本はキャッシュレス後進国か?」『中央大学経済学研究会』60(5-6).395-416.