札学心理学

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最終レポート
問題2「エリス(12章)」「エリクソン(7章)」

エリスについて
教科書はアルバート・エリスについて、認知の歪みを心の病の原因とする「論理療法」を提唱した人物として紹介している。論理療法は認知行動療法のベースになったとされる。教科書の事例では、悩みや心の病に繋がる考え方として”入試に不合格となる”という客観的事実に対して、”一生の終りだ”という不合理な信念・思い込みがあり、その結果として”辛い気持ちになる”としていた。エリスがなぜ不合理な信念や思い込みを重視したのかを知りたいと考え、追加で調べた。カザンツィスらによると、エリスは会計士として生計を立てていたが、小説を著すとともに政治的な活動家としても活動していた。彼自身が内気で貧しい家庭の出身であることから羞恥心を抱きやすく、それを克服しようとしていたようだ。やがてエリスは恋愛や性的関係に関心を抱くようになり、非営利目的でLAMP(愛と結婚問題)協会を設立している。40歳でコロンビア大学の博士プログラムに入学し、卒業後、精神分析の訓練を受け、結婚、セックスセラピーを実践した。しかし、洞察を獲得したあとでも改善できない人がいることを感じ、幼少期の経験を洞察(精神分析)を獲得したところでわずかな人しか変化がみられないという結論に至ったようだ。精神分析がセラピストに課す抑圧的役割から解放され、クライエントに自由にアドバイスを提供したという。その後、エリスは哲学に対して関心を抱くようになる。哲学者エピクテトスの「人は物事に煩わされるのではなく、物事を捉える見方によって煩わされる」という言葉を熟考し、セラピーに活用した。哲学的な仮説に基づきながらも、自分のビリーフの妥当性と機能性を検証し、さらにそれに代わる考えを抱くことで心の健康が高められると考えた。エリスはどんなビリーフであってもこだわらない方が気楽だ、と主張したという。1955年にアメリカ心理学会の論文で論理療法の理論をまとめたとされている。エリスの理論は認知行動療法の最初の型を作り上げたとされ、認知療法のアーロン・ベックにも影響したという。よって、エリスは認知行動療法に大きな影響を与え、心理学に貢献した人物だったといえる。

参考文献
ニコラオス・カザンツィス・マーク・A・ライナックアーサー・フリーマン(2012)「臨床実践を導く認知行動療法10の理論」星和書店.

エリクソンについて
教科書は、E.H.エリクソンは、ライフサイクルという概念を用いて、生涯発達における課題(ライフサイクル)を列挙し、人生を課せられたライフタスクを次々とこなしていく過程とした人物であると述べている。キャサリンらはエリクソンについて次のように述べている。エリクソンはドイツのフランクフルトで不義の子どもとして生まれた。生物学上の父親は不明で、母親は彼が3歳の時に再婚している。医学の勉強を勧められたが、反抗して芸術を学び、若い頃は放浪画家としてイタリアを旅した。そういった生活を続けていくうちに、自身がどう生きていくのかについて深刻なアイデンティティ・クライシスに悩まされ、アンナ・フロイトに就いて、精神分析の訓練を受けたという。さらにジンバルドーによると、エリクソンはパーソナリティの発達理論に対して3つの貢献をしたという。1つ目はフロイトの心理性段階と平行させ、自我発達と社会的段階を識別したこと、2つ目はパーソナリティの発達を生涯の全段階を通じて続くものとしてみなしたこと、3つ目は各段階で新しい水準の社会的相互作用が必要になり、正の方向へも負の方向へも変化しうるという考えを提案したことがあげられる。エリクソンは8つの心理社会的発達段階を識別した。中でも青年期の重要な課題として自我同一性を確立することをあげている。自分が誰なのか、首尾一貫した感受性を発達させることが獲得のための課題なのだが、問題が生じるとアイデンティ・クライシスとなる。アイデンティティ・クライシスという概念は、自身がアイデンティティについて悩んだ経験から生まれたものだと考えられる。また、以上のことからエリクソンは、人生のタスクと達成すべき目標などを明確にし、心理学に貢献した人物だということがわかる。

参考文献
キャサリン・コーリン(2013)「心理学大図鑑」三省堂. 
P.G.ジンバルドー(1997)「現代心理学Ⅱ」サイエンス社.

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