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【未来のぼうし】
[3話] ~Aパート-1~
かばん
「はじめまして。 かばん、です。
カコさんからお話は伺ってます。 ミライさん」
そう言うと、かばんちゃんは手を差し出した。
恐る恐る握ったその手は温かかった。
ミライ「本当に
かばん
「はい。
ツチノコさんやカコさんの見立てによると、
僕は貴方の飛ばしたぼうしに付着していた髪の毛から生まれた、と考えるのが合理的だそうですが・・・」
ツチノコさんの見解に関しては、私の書いた小説の設定と同じだ・・・
かばん
「小説も読ませてもらいました。
僕も驚きましたよ。 まるで見てきたかのように僕の冒険がお話になってるなんて・・・」
面と向かって本人に感想を聞く、というのは思った以上に恥ずかしくて・・・ 居た堪れない…
かばん
「キョウシュウを出て、ゴコクを目指して船で漕ぎ出したんですけど、すぐシケに遭って。
その後もいろいろありましたけど、カコさんのいるジャパリパークに辿り着いたんです」
カコ
「私も『別のジャパリパークから来た』という かばんちゃんが尋ねてきたときは驚いたけど、
ジャパリパークは、ほぼ同時にいくつも存在するようね。
便宜的に私たちの居たパークをJP-AP、かばんちゃんのいたパークをJP-AN1、
音子ちゃんのいたパークをAN2と名付けています。
他にもCO、PA、FEなど複数のパークが確認されていて、今回おおさかちほーにも出来つつあるわ」
ミライ「でも時系列が・・・」
カコ
「かばんちゃんが目の前にいることが何よりの証拠よ。
それにぼうしはともかく髪の毛がそんなに長く原型を留めていられると思う?
パーク自体が作られたのは設備の老朽具合などから見て、実はAN1が一番古かったということでしょうね。
誰が、いつ作ったものなのかは、これから調査してみないと分からないけど・・・」
辻褄は合っている。 ・・・ように思う。
壮大な「どっきり」ということも疑ったが、すぐに打ち消した。
誰得なんだ? という話だ。
それにもし、どっきり番組なら「事前の打ち合わせ」があるはずだ。
昨今では こういった番組に、いわゆる「やらせ」があるのは当たり前で、
騙される役の側にも演技力が求められるようになっているのだ。
ミライ「ところでサーバルちゃんは一緒じゃないんですか?」
訊いてしまってから、しまったと思った。
かばんちゃんがものすごく悲しい顔をしたからだ。
カコ
「現状でフレンズがパーク外、特にげんじつちほーに渡航しようとした場合、ヒトと同じ扱いというわけにはいかない。
煩雑な手続きの上、檻に入れられ貨物扱いになるわ」
げんじつちほーは非情だった。
かばん
「サーバルちゃんにはなんとか分かってもらって、いわゆる単身赴任でこちらに来ているんです。
僕は一見したらヒトに見えますから。
僕はいつかフレンズさんたちが、どこにでも自由に行き来できるようにしたいんです」
そう言ったかばんちゃんの顔は決意に満たされていた。
それに引き換え私は・・・
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