【未来のぼうし】
[2話] ~Bパート-1~
未来「そう言えばサバちゃんは休みの日は何してるのですか?」
サバ「ミンミーちゃんと『狩りごっこ』だね~」
サバちゃんがいつも持ち歩いている「ミンミービースト」を見る。
どう見てもヌイグルミだ。
動きそうにない。
未来「!」
そうか。 膝に乗せて一緒に「モンハン」でもしているのだろう。
そう思うことにした。
未来(?)
気のせいか、ミンミービーストの顔が曇ったように見えたが角度のせいだろう…
サバ「でも最近はお休み続きで、体ばっかり鍛えられるんだよね~」 (¬д¬。)
しまった! うどんs… やぶへびだ!
未来「ひゅ~」 ♪~( ̄ε ̄;)
サバ「吹けてないし…」
サバちゃんには言ってなかったが、実は小説をまったく書いてないわけではなかった・・・
監督「僕って思いついたアイデアが面白いと思ったら、手当たり次第注ぎ込んで使い果たしちゃうんですよね」
未来「え!? そんなことしたら後で困るでしょ?」
監督
「でもそれぐらいしないと本当に面白い
もたもたしてるうちに他の人が先に似たアイデアを形にしたらコッチは使えなくなるでしょ?
だから1作品終わったら抜け殻ですよw」
未来「抜け殻…」
監督
「でもね。 クリエイターは『作ってナンボ』が身に染み付いてるから、時間が経てば湧いてくるんですよ。
作りたいという意欲とか、アイデアとかが。 苦しい時もあるけど、やっぱり楽しいですよ。
何かを作るというのは。 ここまでくると『業』ですよねw」
あの騒動の後、しばらく抜け殻のようになっていた私も、不意に
良い関係を築いていた頃の監督の言葉を思い出し、気付くと一心不乱に書いていた。
「かばんとぼうし」のサブキャラの2人を主人公に据え、ぶらり旅をさせるというスピンオフ作品だ。
ただ、出版社を通して大々的に世に出すと、鎮火し切っていない所に薪をくべそうだったので、
匿名(分からないだろうけど、アイコンはぼうしにしておいた)で、ある掲示板にひっそり投稿した。
当然、世間の反響なんて無かったし、連載終了後 数人の読者が「いいね」をくれただけだったが
まんぞく… だったし、まだ書けることが分かって安心した。
1週間ほど前、お客様にはツイッターでの短い近況報告を欠かさない監督から、私に直接の連絡があった。
最初にして、恐らく最後の。
監督
「お久しぶりです。 実は昨夜、あなたの出版社を爆破する夢を見ましてねw
そしたら気が晴れました。 また仕事を ご一緒できるといいですね」
生返事しか出来ない私に、監督は電話口の向こうで必死に笑いを堪えているようだった。
翌日、監督による新作アニメの制作発表がされた。
私は呆気に取られたが、すぐに
「これは監督なりの気遣いと、戦友への激励だ」と思うことにした・・・
未来「そろそろ本気で仕事を再開しようかしら・・・」
サバ「ホント!?」
サバちゃんはチョろいなぁ。
この手には何度も引っ掛かってるはずなのに…
でも元々「かばんとぼうし」は前後編の第一部として考えられた作品で、おおまかなプロットは頭の中にあった。
続編では私の前職での経k…
未来・サバ「「!?」」
grr…
振動している。
最初は雷かと思った。 スピーカーからの重低音にも似ている。
体の芯に響くものだったが、空気の振動ではなかった。
未来「地震?」
振動は地面からのようだったが今まで感じた地震とは明らかに違った。
地球が怒りに震えているようだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぱっかーん!!
地面が空気を送り込まれた風船のように みるみる膨れ、破裂したようだった。
目撃者は、そう証言したらしい。
(そんな近くにいながらよく無事だったものだ)
私たちが見たのは、西の空に花火のようにキラキラ光りながら吹き上がるサンドスターだった。
サバ「なにあれ、なにあれー!?」
サバちゃんは無邪気に はしゃいでいるが、私は目の前に起こったことが信じられず、ぼーっとしていた。
心の古傷が疼いた…
ーと、なんばの空にも、虹色の粒と・・・ 黒い粒……?
ーが目の前の#かに道楽の看板に当たった。
未来「まさか…」
サバ「未来さん…」
未来(今度こそは・・・! この子だけでも守らないと...)