【未来のぼうし】
[1話] ~Aパート~
未来「ん゙ん゙っ 我ながら良い話っ!」
・・・イさん… mライさん…
未来「ぐへへ… 」(じゅるり)
???「ミライ先生!」
未来「誰が先生やねん!」
両耳を摘んで左右に引っ張る。
未来「私のことを先生って呼ぶなって言うたやろ!」
???「イタイイタイ!」
ハッ! . Σ(゜Д゜)
未来「ごめんなさい。 引っ張りやすい耳だったから、つい… 」
???「ひどいよ~」
私の名前は未来。
ラノベ作家だ。 ちなみに未来はペンネームだ。
処女作は「かばんとぼうし」
仮想空間に作られたサファリパークに迷い込んだ主人公かばんの冒険活劇だ。
それが、とあるプロデューサーの目に留まり、まさかのアニメ化。
そしてネットの評判をきっかけにメガヒット。 劇場版まで作られた。
しかし、その後は・・・
佐波「もう、自分の作品を読みながら悦に入るのは気持ち悪いからやめてよぉ!」
彼女の名前は
一応、担当(編集)さんだ。
私はサバちゃんと呼んでいるが、本人は「みんみ」と呼んで欲しかったらしい。
どういう云われなんだろう?
目はクリクリしてて鼻筋は通っていて、ほっぺはぷにぷに。
キレイな富士額にいつも上がった口角。(例えるならmとω )
中学生かと見紛うような童顔だ。
そしていつも手乗りサイズのぬいぐるみ(ミンミービーストというらしい)を肌身離さず持っている。
なんでも護身用だと言う。
防犯ブザー的なアレだろうか?
未来「いいじゃないですか… 少しくらい過去の栄光に浸っても・・・」
サバ「じゃあ、せめてヨダレぐらいは拭いてよぉ」
未来「おっと、ごめんなさい」
言葉遣いが逆、と思われるかもしれないが、これは私から提案したものだ。
最初サバちゃんもおかしいと訴えた。
サバ「先生の方が絶対年上でしょ!?」
未来「永遠の17歳♡」
サバ「・・・」
露骨に「なんやコイツ」という しかめっ面をしていたので「可愛くないですよ?」と注意したら、
それからは半笑いと真顔を足して2で割ったような、なんとも微妙な顔をするようになってしまった。
私は心の中で「例の顔」と名付けておいた。
(そういえば、いつも持っているぬいぐるみの顔と似ているような気がする)
とにかく「先生と呼ばれるのは偉そうで嫌です!」で押し通した。
更に さばちゃんはタメ、私は敬語で話すというルールを設けている。
そうしないとポロっと大阪弁が出てしまうから。
ーということにしている。
未来「いつの間に勝手に部屋に入ったんですか?」
やっと本題に入れた。
サバ「連絡は入れたよ?」
確かにラインメッセージが届いていた。
だが時間はAM2:05 なんでも彼女は夜行性だから、らしい。
そういうわりには昼間も元気なのだが・・・
サバ「部屋のチャイムも鳴らしたのに返事が無いから、孤独死でもしてるのかと思って」
縁起でもない。
未来「 ーで、今日は何ですか?」
担当が作家の所に来て、何も無いものだが一応聞いてみる。
サバ「ねぇ、未来さん。 そろそろ新作を書こうよ!」
未来「・・・」
この子が担当になってから、仕事らしい仕事もせず、他愛もない話をしているだけだったので
いつ、そう言い出しても不思議ではなかった。
今まで決して急かしてこなかったボス(編集長)にも頭が上がらない。
未来「よし! じゃあ今から打ち合わせに行きましょう!」
サバちゃんは途端に「例の顔」になった。
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