『LAST RESORT』 #5(第5話)の個別戦闘スレ
※味方・敵サイド双方参加可能
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フロール「あれは……第四兵団の薬師寺団員…?無事だったんですね!敵の鎧も貫けている様ですね…これなら戦況もより有利に…!」
(爆走しながらマッドマックスばりにショットガンを撃ちまくる薬師寺の姿が目に入り、思わず安堵の表情が漏れる)
フロール「んん……そうですか?髪が伸びた以外も変わりましたかね……戸籍上はもう大人なんですが……ああ、いや……そういう問題じゃあないか。……少しだけ居眠りをしたお陰で、元気になれたみたいです。ちゃんと跨って座りたい所ですが、攻撃出来る体制を維持しておきたい。落ちはしないので、このまま全開でお願いします!」
(猛スピードで奔るバイクの後部で、リアフェンダーに足を引っ掛けて直立。弓を構えて周囲を警戒していたが……砲撃による風切り音、そして爆風に反応して振り返り)
フロール「ヴェスパー!砲撃だ!!VSを優先して潰しに来た!しかもあれは……政府軍の自走砲だ……!ヴェスパー!!アレを放っては置けない、制圧を優先する!!後ろの僕の事は考えなくて良い、回避を優先して走行を続けて!!」
(振動しながら高速で走るバイクの後部、加えて不安定な足場……複数の悪条件が重なって居ながらも、毅然として弓型のガジェットに魔力の矢を数本纏めて番え)
フロール「(この体勢で正確に操縦手や砲塔を狙撃するのは難しい、加えて別動隊が白兵戦に展開してくる……時間を掛けて一射ずつ照準は合わせられない。ならば……装甲の薄い上面を狙って、素早く"数"を撃つ!)これ以上好き放題させてたまるか…!」
バ ヒ ュ ウ !!
(弓を上に向け、山なりの軌道で複数本の魔力の矢を纏めて発射。直後に空いた手でナイフを抜き、迫る護衛兵の攻撃を迎撃。同時に、発射された矢が自走砲の上空で"炸裂"し、無数の小さな矢となって自走砲の上部へと降り注ぐ。)
ヨールダン「素敵な砲撃音が聞こえたが、アレは……装甲車両、自走砲か?態々引っ張り出してきたか………うちの隊で機械兵相手に運用したかったのに、まさか俺達に向けられる事になるとはな。実に残念だ……ヒヨッコ、聞こえるか!?砲撃だ。良い具合に回避運動を頼む!これから当てられる前に潰すつもりだが……面倒だな、接近戦の部隊も用意してるか……多少は用兵を理解してるらしい、が…」
(独り言ちながら、ガジェットをバズーカ砲の形態に変形。素早く懐から大砲用の榴弾を取り出して装填し、遠方の自走砲の車列へと発射)
ヨールダン「装甲車両なんて目視で簡単に狙える、こんな距離で……これ見よがしに見せびらかす為の物じゃあねえだろう! ……(砲撃は良いとして、直接突っ込んで来たか。電流を纏っているのは、フレーム2とか言ってたのと関連しているな。恐らくは身体能力の底上げか…アレだけ叩き切っても尚、接近戦を挑みに来る訳だな)その装備もだ!見せ過ぎだ、ガキ共!!」
(経験を積んだメカニックでもあるが故の洞察力で、襲い来るナガタ達の装備と戦法を推察。視線は彼らに向け、ガジェットを盾型に変形させて構えつつ、懐からスタングレネードを足元に落とし……それを器用にナガタ達に向けて蹴り飛ばし、迎撃を狙う)
メトロ【装甲車】「……!了解です!!( ギ ャ ル ギ ャ ル ギ ャ ル ゥ ッ ! )(よーる団の指示を受けてハンドルを切り、こちらでも目撃した自走砲の一基に狙いを定めつつ、一斉に飛びかかってくる第0護衛兵の応酬を掻い潜るようにスピードを上げた)標的を確認―――撃ちますッ!!( ズ ッ ド オ ン ッ ! ! ! )(装甲車の天辺に備わる迫撃砲「デカメロン」が火を噴き、自走砲のひとつを真横から砲撃する)」
ヴェスパー「ねえチャイナサーカスみたいな事してるけど大丈夫!?マジギュッてしがみついていいんだからねここ空いてますよ!お金取らないから一回やってみてくんない怖いから!!(本部を囲っていた円形状の城壁に車輪を付け、床に接触する寸前まで傾きながらも走行。 隊列を組んで進む自走砲三台と並走し……) っし、今ッ!!(バイク形態へ移行したガジェットのマフラーを抜き取りそれを火炎放射へ変形。並走する自走砲を追い抜きつつ容赦なく炎熱を浴びせる)
自走砲P1~P3「 ガ ガ ガ ガ ガ ンッッッッ (フロールの放った矢の雨が分厚い鋼の壁を貫通し自走砲に風穴を開ける。 中からくぐもった断末魔が響くとガソリンと流血が溢れ……) ┣¨ グ オッッ (ヴェスパーの放つ火炎放射が風穴から侵入し弾薬庫へ引火。派手な火葬を終え一網打尽にされる)」
.
第0護衛兵L「ナガタ!P3までやられたッ!!早くVSを潰さないと合流されるッ……!」
ナガタ「いや、第7の主力を分担させる事はできた……!この隙にヨールダンを突破!!残存兵が潜伏しているモグラの穴を叩くぞッ!第0といえど各国制圧後は疲弊している筈だ……少しでも御方々の負担を減らるよう勤めろッ!!(後衛に続く兵士を鼓舞しつつも、冷静に正面方向、遠くに見えるヨールダンやデカメロンを注視し"出方"を予測) ザ シャ ァッ(先まで先陣を切っていたが急に足を止め、後衛に続いていた自走砲を前に出させる)」
自走砲P4~5「 ? どうしたナガt ―――――――――――――― ┣¨ グ ォ ッ (デカメロンの砲撃が真横から貫通。並走していたP4~P5が纏めて大破し、その周辺が爆炎に包まれ……)」
ナガタ「 ―――――――見せびらかすぐらいでいいんだよ、"的"はな(トンファー型のガジェットを立て一文字に振り下ろし爆炎を縦に両断、後衛のアラタ装備兵と共にデカメロンの砲撃をやり過ごす)」
ナガタ「(爆炎を切り抜けるのも束の間、眼前にヨールダンが蹴り飛ばしたスタングレネートが迫る。瞳孔が収縮し、その閃光に飲まれるかと思われたが……) 舐める……なァ ッ!! (トンファーを横へ振り抜きスタングレネードを後方へ跳ね除ける。既に炸裂寸前だったそれを遠くへ跳ね返す事はできず、後続の兵士の何人かが視界を奪われるが構わず前進)」
ナガタ「……!(見えた、地下壕の入口!あそこを潰せば……!)そこを退け!! アルガントーラを護るのは……俺だァ"ァ"ア"ァ"了"ァ"ァ"ア"ァ"ァ"ッ!!!! (左腕に装備するトンファーをミサイルモードへ以降、メトロの駆るデカメロンへノールックで射出しつつヨールダンへ一気に間合いを詰める。 既に"レギュレイターが遭遇した戦線の数を超える死線"を潜り抜けた兵士に等しい、凄まじい圧を以てトンファーを振り下ろしヨールダンへ襲いかかる)
コロ……
瞬間、静かに球が一つ戦場に零れ落ちる。
見覚えのある形状だ。耳らしきものと足らしきものを持つ、顔が刻まれた球。
ハロ。
それは静かに目を点滅させ、周りの様子を確認する。
既に偽装されたトロイが投入されている以上、それがここにあってもなんら違和感はない。
……それが、本来の色から赤に変色を始めたことを除けば。
変形。瞬時にハロが変形し、人間大の戦闘機械へと変貌する。
AEGIS《神楯》「非常事態用緊急プロトコルを発動。全《神楯》、起動開始(光剣を振り回し、周囲の「敵」を焼き溶かす。その後、脚を踏み込むとナガタたちの背後へ瞬時に迫り、「本体」の挙動を完全に再現した太刀筋を四肢を全て活用し暴力的なまでの密度で振るう)」
第0護衛兵M~O「 !? トロイが……いや、こいつは―――――――――――――(二の句を終えるよりも前に頭部、胴体にニ閃、灼光に染まる線が走る。 火花をちらしながらそれがスレ……ゴトリと音を立て崩れ堕ちる) 」
第0護衛兵P「!! アレックス・ディノの……ッ ッ (太刀打ちできない。アラタで身体能力を上げようとも、目で追えないその太刀筋を相手に戦意は喪失し、立ち尽くしたまま死を待つのみ……その筈だった)」
.
ゴ ン ッ
.
第0護衛兵?「(前進に赤い電流を纏う兵士が割り込み、空中へ浮遊してから"適切に"上体を撚るだけで剣閃を潜り抜け、重金属音を立てAEGIS《神楯》の頭部に蹴りを入れる。 その瞳孔からは光が消えており、口橋から唾液を流している。)」
第0護衛兵?a~d「 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ ……ヴヴヴヴヴ(無数の残像を残す速度で首を左右に振りつつ、本隊の行動パワターンを模倣したAEGIS《神楯》を……否、"本体を模倣しているが故"に的確に僅かな"隙間"を見出し、その"情報処理"に付いてこれる身のこなしで攻撃を回避。そして)」
第0護衛兵?a~d「 ゴッッッ ギャ ゴ ン ッ!!!!!(一個生命体であるかのように統率された動きを見せ、蹴り飛ばす→飛ばした先で別の兵が包囲し、攻撃をやり過ごしつつジャブやフックといった小技で憲政。 ナガタ達と離れた場所でAEGIS《神楯》達と交戦を開始した)」
第0護衛兵P「 !? な、なんだ……お前らどうした……!?(バイタルがおかしい……心拍数が異常過ぎる、あの戦闘力の向上に関係があるのか……!?)」
AEGIS《神楯》「「「!!!(各個体が様子のおかしい護衛兵の面々と接敵して数秒のタイムラグの後、一律的に「本体」を模倣していた彼らがそれぞれ様子を変えて、蒼い炎をスラスターから吐き出しながら散る)」」」
AEGIS《神楯》A「様子がおかしい。こいつら機械的に統率でもされているのカ?(目を点滅させながら後転、素早く態勢を立て直しビームサーベルを構え直す)」
AEGIS《神楯》B「問題ないデース。それならお互いやりようがあるデース(まるで一つの生き物であるように動く護衛兵たちに対し、急激にパターンがばらけ、連携するように散りながら光を散らす)」
AEGIS《神楯》A「よし、245番は現地隊員の援護に行ケ(AEGIS《神楯》Bと連携しながら隙間を埋めるように斬り込み、敵集団を分断)」
AEGIS《神楯》C「了解ヤンケー(回転しながら変形、その場に衝撃波と蒼炎の余韻を残し離陸。空中を経由して援護へと向かう)」
ヨールダン「(自走砲は囮だったか……滅茶苦茶やりやがって、これが覚悟とやらか…!?)こいつ゛っ゛………!!」
(盾でトンファーの打撃を受けるが、一気に成長を見せたナガタの"圧"に押されて思わず後退り)
ヨールダン「一皮剝けたらしいな、経験よりも戦術よりも狂気で伸びるタイプだったか……面倒な事、に……」
(体制を立て直そうとした矢先、投入された"ハロ"……否、AEGISが目に入り)
ヨールダン「どっちだ………?いや、護衛兵とやり合ってやがる……アレックス・ディノ……やってくれるじゃないか…!」
フロール「よし、自走砲の処理は上手く行った……!正直な所ぶっつけ本番ですが、きっと大丈夫だと思いま……っすぅ!!」
(護衛兵の迎撃、そして自走砲には成功した物の、爆風とヴェスパーのバンク走行で危うくバランスを崩し掛け、リアフェンダーに足を引っ掛けたままブリッジする様な体制で、半ば抱き着くような形でヴェスパーの腰元を掴んで何とか転倒を回避)
フロール「あっぶっ………!!ヴぇ、ヴェスパー!?少し落ち着いたら体制は立て直します!とりあえず自走砲は片付きましたが……っ」
メトロ【装甲車】「きゃあぁっ!?( ズ ガ ァ ン ッ ! ! )(ナガタより射出されたミサイルが車体側面に直撃。幸い反対側だったため直撃こそは免れたものの、車体への損傷率は次第に上がっていった―――)――――!(ついに走行を停止させもうダメかと思われたところに、AEGISの加勢にあっと声を上げた)」
ヴェスパー「 フッ ぐぁっはやっべ今意識飛んでたッ!!(予想以上の接触で宇宙猫のような顔を浮かべ沈黙、浮遊感の伴う絶頂の後意識を取り戻しハンドルの握力を強める) ええと……そう、そう自走砲は無事処理ね!で、次は……――――――」
第0護衛兵?d~i「 ヴ ヴ ヴ ク ン (首を目覚まし時計のハンマーのように痙攣させ、"超人"級に身体能力を増強させたアラタ装備兵が一斉に、フロール達の上空を飛び交って包囲し、装備したライフルによる"オールレンジ攻撃"を仕掛けようとしていた)」
ヴェスパー「しまッ……――――――――――――― 」
ナガタ「……ッ!(ヨールダンを振り払った際に生じる反動がアラタを貫通し腕を一時的に麻痺させる。苦悶に顔を歪めバランスを崩すが) 目の前だ……!勝利は眼の前……ッ!(ローリングをしヨールダンの脇を潜り抜けワイヤーガンを地下壕付近の建物へ突き刺す。 着地を一切考慮せず最高速度で前進、メトロの駆るデカメロンを飛び越え、ついに……)」
ナガタ「俺は……俺は――――――」
.
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セイン、エクレイル、散っていった団員達……"殉職者"となれた者達の面影が脳裏を駆け抜けていく。
それらを"超えた"先、凱旋パレードを走行するオープンカーのシートに片足をかけ、歓声を送る人々に手を振り応える。
.
.
ナガタ「俺はッ!!英"雄"に"な"った"ん"だァ"ァ"ア"ァ"ア"ァ"ァ"ァ"――――――ッッッ!!!!(地下壕入口の直上へ到達。トンファー型ガジェットを再装備し、棍をミサイルへ移行。自身が爆発の余波に巻き込まれるであろう距離でも構わず、引き金に指をかけ――――――)
.
そんな夢を見た。
◆
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BGM:The Driver (feat. Dot Allison)
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寒い寒い雪の日でした
吐息は瞬く間に白く黒に紛れ消えゆく零度の中、私が地面に手をかざすとそこにお花が咲きました
蔦も葉も根もなく、ただ積もった白を染めゆく花弁が開いて広がるだけのお花です
こんなに寒いのに、こんなに凍えて寂しいのに、花は暖かく滴って――――――
.
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ロナ「おかあさん」
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見上げれば月夜、視線を落とせば茂みと砂利、目の前には熱を放ち揺らめき続ける焚き火
巻を入れなくても、私が丸太に腰を下ろせば灯る不思議な焚き火
おかあさんは火を挟んで向かい側の丸太に腰を下ろし、物言わず暖を取っていた
「さむいのか」と聞いたけれど、おかあさんは何も言わず首を横に振るだけだった
.
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おかあさん「選んだか」
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ロナ「何を?」
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おかあさん「…………」
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霧ノ原は広い広い茂みとどこまでも広がる霧、見上げれば星空、進めば"焚き火"か"狩りをする為の森"
望めば"家"がある ご飯と寝る場所には困らない
それだけの……暖かくて満たされる場所だった
.
焚き火の前の丸太に腰を掛けるとおかあさんは現れる
正確には、見えなかったのが見えるようになるだけ
話しかけない限りは何も言わない。他の子供は"教えを乞えば"彼女は何でも教えてくれる
でも、私だけは話しかけると決まって「選んだか」と問いかけるだけだった
私は何を選ばないといけないんだろう? おかあさんは絶対に何も答えてくれなかった
でもそれはきっと必要なこと 私はきっと、自分で見つけて選ばないといけない
.
.
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ロナ「大丈夫だよおかあさん、きっと私選べるようになるから」
おかあさん「…………。それまでは見守る」
ロナ「うん」
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他愛のないやり取り それが焚き火の前で出会うおかあさんとのやりとり
焚き火の前以外で出会うおかあさんは別人のようだった
"家"では薪の取り方、獲物の捕まえ方、作物の育て方……生きる術を教えてくれる
そんな快活なおかあさんに『何を選べばいいのか』聞いた事がある
おかあさんはまるで、その質問事態に意味がないような言葉を返し首を傾げた
.
.
.
ある日私はクリームシチューが食べたいと思った
右も左もわからない霧の中、ふらりと家から出て歩けば森の中
何処を向いても自分より小さな、ふと拳を握れば壊れる命がひしめきあっている
私は選べなかった
実のところ"肉"だけはおかあさんが用意してくれる食事には存在しない
食べたかった、満たしたかった、手を汚したくなかった
―――――――選べなかった
――――――――手を汚すか、心情に従うか。選べるのは二択、けれど私はどちらも選べなかった
.
.
半年ぶりに丸太に腰掛けて前を向いた
ゆらゆら、ゆらゆらはためく火のカーテンの向こう
おかあさんは向かい側の丸太に腰掛けて、膝に肘を乗せ長い白い髪を垂らし腰掛けていた
.
.
.
ロナ「おかあさん、私選べないよ」
.
.
それが私の"選んだ"本音
.
.
叱られると思った、がっかりされると思った、きっと追い出されると思った
でもやっぱり、私は怖かった
ガスマスクの大人が"お父さん" "お母さん"を撃ったあの夜
ガスマスクの大人が真っ赤に染まって、おかあさんと出会ったあの夜
私は今でもあの日の全てが恐ろしい
.
.
.
おかあさん「 君は選んだ その全てを肯定する 」
ロナ「え?」
.
.
けれど返ってきた答えは不思議なほど"何もなかった"
怒りも、失望も、そしてそれ以外の一切でさえも、何もなかった
おかあさんは顔を上げ、灰色に赤の十字架が刻まれた瞳を真っ直ぐ向け初めて"対話"をした
おかあさん「少し前、全ての暴力を否定しここを旅立った子供がいた
彼は暴漢から見ず知らずの親子を庇い、そして反撃を選ばず殺された
だが私はそれでもいいと考えた。いや……考えてはいないか
彼は選んだ、ただそれだけだ」
おかあさん「その後、全ての暴力を肯定し旅立った子供がいた
護るものもない、目指すものはない、あるのは渇望だけ
乾きは潤ったか? それは彼にしかわからないが……
彼の最後を見るに、あの笑い方は全てを肯定していた
悪逆の限りを尽くし、その報いを受け惨めに晒し者にされ死ぬにしても、
やはり彼は『しかたないことだ』と笑いながら逝った」
おかあさん「たった今だ。彼は正義を全うする為悪に堕ちると言ってここを出た
正しいと信じたことを死ぬまで成し遂げたなら、私が彼という悪を裁く。そう盟約を結んだ上で力を得てから
私は彼の行く末を知ってる、何度も"繰り返している"。きっとすぐ、私は彼に引導を渡す
それでもいいと、私は彼の在り方を肯定する」
おかあさん「ロナ、選ばないというならそれでいい。魂の在り方を強制することはない。 けれど"選ばない為"に"選ぶべき時"がきっとくる。それはすぐそこだ」
おかあさん「私はお前の魂の在り方、全てを肯定する」
おかあさん「――――――――――選択しないという事は、望む全て以外の一切を切り捨て前に進むということだ
. 何度でも前に勧め、十、百、千、お前が選ばず進んだ数だけ理の屍が道標となる
. それが戦士というものだ。命でも、国でもない、お前を拒む世界を殺してでも歩み続けろ。お前の魂という炎が尽きるまで」
そう囁くように告げると、いつもは私が立ち上がるまで見えていたおかあさんが先に腰を上げた。
焚き火と私を置き去りに、コートを翻して霧の向こうへ、暗闇の向こうへ消えてしまった
以降、私はおかあさんに会っていない
だから今日まで"選ばない"事を選んできた
それはきっと欲張りな事
"二択"を迫られた時、私は選ぶか捨てるかを決めないといけない
捨てる事を決めたらきっと引き返せない
でも、それがなに?
引き換えした事なんて今の今まで一度でもあったのかな
ああ、そっか。もう大丈夫だよお母さん だって私―――――――
.
.
.
◆
. ┣¨ グ オ ッ
.
.
――――――本部に隣接する高層建造物が"内部"から爆ぜ、烈火の塔が暗夜を引き裂く。
絶えず火花を散らし鉛の人骨が植物のように足から頭蓋まで成長し、それを白く血の通わない肉が、鉄の表皮が生成され覆う。
炎で照らされた表皮の色が定着し、紅蓮に染め上げられた「火の巨人」が顕現す。
.
.
BGM:Happy Birthday to You
アリエルΔ「 ■■■■■■■■--0-01----01010■■■■0101-----!!!
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眼に翡翠の炎を揺らめかせ、大気中の塵が発火しては散る程の蒸気を吐き空へ咆哮する。その荒ぶる巨人は、骨格こそ人のそれだが、 レギュレイターが知る"鉄機兵アリエル"とは似ても似つかない異形へ変貌していた。 龍の如き頭部、肋が筋肉を貫通し外部から形を成したような胴体、以前はなかった蛇腹式に連なる尾。 その有り様は―――――
.
.
ナガタ「 ぐァ" ……ッ ……!!??(熱風に煽られ木の葉のように飛ばされる。地下への攻撃は当然失敗。咄嗟にワイヤーガンを倒壊した建造物の鉄筋に巻き付け、突然出現した異形から遠ざかろうとする)――――!? なん、だ……帝国の新兵器……ゼレオロイド、か……!?
.
第0護衛兵「ァ……ァ ぅ、ァ うァ ァ ……!(ナガタと轡を並べていた「今も尚正気」の兵の眼から光が奪われる。 狼狽し、蜘蛛の子を散らすようにして撤退を初めた彼らの眼からすれば、町内に潜伏していたゼレオロイドが出現し明確に"敵"として出現したようにしか見えない。それだけで戦意を失うには充分だった)
.
第0護衛兵(フレーム2)「 ――ヴ― ヴ ヴヴヴ…… (AGESと交戦していた複数人が一斉にAGESから間合いを離す。 優先順位が変わったのか、或いは彼らを統率するプログラムに"何か"が介入したのか、踵を返し一斉にアリエルへ向かっていく。さながら、光に吸い寄せられる蝿のように)
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ロナ『 ………。(――――地平が見えない空、反射する水面の鏡面世界。アリエルのコックピットに居るはずの少女は、閉鎖空間と対局の場所に佇んでいた。) ………。………(両腕を広げ、さざ波を立てて吹きすさぶ風を胸いっぱいに浴び心地よさそうに目を閉じる。 雑音は聞こえない、どこまでも意識は清く澄み渡っていて、思考は鮮明だった。)』
.
ロナ『(目を開く。風に流されてきたのか、灰色に濁っていて、それでいて鉄のような質感の花の蕾が水面を漂ってくる。初めは一つ、しかしそれを認識した途端、自分を囲うようにして幾つもの蕾が存在する。それはどんなに灰色で、くすんでいて、焼け焦げていても"命"なのだと実感できた。)―――― うん、もう大丈夫。 』
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ロナ『 ぐッ (水面へ向かって屈んで腕を伸ばす。蕾を、詰み……) 』
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アリエルΔ「 しゃ っ (……取る。 周囲を飛び交う第0護衛兵を、飛び交う羽虫を掴むようにして。 初めは包むように、そして指の感触でそれが"対象"と認識するや……) ブ ――――
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ロナ『 ――――― ち ッ (手に取った蕾は赤く花開いてどこまでも澄み渡る地上の青空に赤い色彩を滲ませる。蜜が跳ねて頬を掠めた。それを指で拭うと、ふと向こうを見る) レイカさん、みんな。今助けに行くからねっ! (手を振る。相手もまた笑顔で手を振り返した。そこに至るまでの灰色の蕾には棘が生えていて、とても邪魔だった)』
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ロナ『 バシャッ (今度は手繰り寄せるようにして水面を動かし、浮いた蕾が自分の腕の中に集まってくる。それを抱き寄せると) ――』
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灰色の蕾『 グババババ バベデグベ ダグ ――――――
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第0護衛兵「 ―――――すけてッ!!助けてッ!!ゆる、許してくれッ!!嫌だ!嫌だ!!死にたくない!!!!父さん!!!!か"あ " ギ ギ (巨人の手の中で自らの頭蓋が軋む音を聞いた。思考に異物が混ざる感触が恐怖を駆り立てる、それが脳髄に破片が混ざる感触とは幸い知ることなく、潰れ――― ― ― ・ ・ ・ )
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第0護衛兵「退けば殺れる…… 退けば――――くそッ!!(犠牲、死、名誉。恐怖が狂気に置き換わり、危機感は自らを奮い立たせる生存本能となって死地へ飛び込む。彼らには生存のために戦うという連帯感があった。 巨人を全方位から蜂の巣にできるよう、ワイヤーガンを駆使し、一斉攻撃のタイミングを見計らうが……)
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アリエルΔ「 キ ン (右ブロウを振り、立体移動に用いるワイヤーガンを腕に絡め取って芋づる式に第0護衛兵を捕まえる。左ブロウも同様に振るい、瞬く間に自分を方位していた"羽虫"を二手で捉え)
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アエリエルΔ「 ヒュ オ フォ ン フォ ン ガッ フォ ン ゴ ッ フォ ン (複数の人形が塊になって出来上がった水ヨーヨーを、完全な円を描いて振り回す。道中、それが周囲の建造物やら何やらにぶつかり、中の液体が散らかった気がしたが"お祭り"ではよくあることだ。気に留める必要はない) パッ (手を離し投げ捨てればいいだけ)
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ただの にく かい「 ゴンッ ビ チッ (メトロの駆るデカメロンのメインカメラが赤一色で染まる。 名窯しがたい形状のそれらは眼球が"複数"あり、歯があり、腕が五本ある。それだけの物体だった)
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―――――――第10のみんなか、レイカさんか。 勝つか、逃げるか。 生きるか、死ぬか。
私に突きつけられた選択は、一つ守り、一つ取りこぼすものばかりだった。
でもそれは、世界という現実が突きつける残酷でリアリティがあるだけの嘘だ。
"全部選べばいい"、何も失わない。その代わり、選んだもの以外を捨てればいいだけなんだ。
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赤が咲く。
赤が咲く。
触れた場所が咲いて、赤が咲く
花火みたいに散っては染め上げていく、とてもきれい
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ロナ『 大丈夫だよおかあさん。 もう私、ちゃんと選べるよ 』
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アリエルΔ「111000111000001110101100111000111000001010100100111000111000001010101011111000111000000110010101111000111000001010010011111000111000000010000010111001001011101110001010111001011000101010101001111000111000000110010001111000111000000110101011111010001010000110001100111000111000000110001111111000111000000110101101
アエリエルΔ「 ガ ォ ン ッッ (突然自らを抱きしめるように腕を交差させ蹲る。 背のスラスターが一斉に展開し、露出した水晶が緑白色の
光を灯したかと思えば……) キュ オ ッ (立ち上る黒煙を空間ごと無数に両断しきる光線を放つ)
第0護衛兵(フレーム2)「 ? (上空から弾幕を張り"焦土作戦"を以てアリエルを殲滅しようとしていた兵士達のバイタルが途絶える。最後に残っていた人としての意識の欠片が、無意識に自らを確かめるようにして手を見る。 最初は指、そして腕と"ズレ"が生じ……)
第 /0 /護衛 /兵 「 (血と肉の雨が降り注いだ)
ヨールダン「な………っ…………?(ゼレオロイド……いや、違う………?)目標が護衛兵のバカ共を狙ってくれてるが……ヒヨッコ!!一旦離れろ!味方かもしれんが……動きが滅茶苦茶だ!危険すぎる…!」
(護衛兵達の肉片を浴びながらもそれ自体は意に介さずその場で立ち上がり、メトロの装甲車の方向へと駆け寄りながら声を掛け)
ヨールダン「地下壕への攻撃は……止められた形になるのか……?ヨールダンは、連中が……無事だと良いが……」
メトロ「 ヒ ッ゛ ッ゛ ッ゛ (状況把握する間もなく装甲車の窓を塗りたくるように覆った衛兵たちの血肉。そのグロテスクな光景を前に一気に血の気が引き―――)―――――― ァ (絶命するかのように首が項垂れ、気絶してしまった――――)」