『双眸 ~紺碧の哀/紅蓮の愛~』のカオスドラマX併用スレッドです
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プルスト「………カレン、その子は無事ですか?(バゼルの鋭い殺気に臆することなく、冷静な面持ちで自身の背後に向けて声をかける)」
カレン「は、はい!とってもギリギリでしたけど、なんとか間に合いました……!(プルストの後ろで、息を切らしながら幼女の側についており)しかし…… お母様の方は、もう………。(幼女の母親の遺体を見て、悲し気な表情を浮かべながら)」
プルスト「………そうですか………(そう一言呟くと、眼前のバゼルに視線を戻し)神界からの報告を受けて来てみれば、とんでもない奴がいたものですね……… 僕が「死神」であることを見抜き、氷縛葬盾(ブリニクルウォール)を真正面から一撃で粉砕し、尚且つ無事とは……… 貴方、一体何者なんですか?そしてこれは一体――――― 何の真似ですか?(凄まじい殺気と共に怒りに満ちた瞳でバゼルを睨み付け)」
バゼル「 ォ ォ ォ ォ ォ ォ … ッ … … ―――――― (対峙し合う二人の死神。冷徹な眼差しが錯綜し合う中で、プルストの問いかけに顎を突きつけるようにその顔を上げる)」
バゼル「 殺戮だ――――それだけが、俺を俺たらしめる。その行為を正当化してくれる奴に出会い、俺はその名の下で思うように殺しを続ける。(背に担いだ大鎌。そこに付着した血液が垂れることなく、一瞬で刃の中へ溶け込むように消失する)」
バゼル「大量の血を欲している。血を流すには、殺戮があってこそ。故に俺は殺し続ける。閻魔に封じられた殺戮を、地上(ここ)でなら正当化される。それを是とする者がいる。俺を止めることはできない。」
バゼル「同じ死神でありながら、俺のこの意思を理解できぬというのか。笑わせるな、小僧。死神は、命を刈り取る者。その宿命を背負うことの何が間違っている?」
バゼル「俺の愉悦を阻むのなら…その魂魄も俺の手で殺める。『 バゼル・ヴィオ・グランツ 』の名において―――!」
.
――― Vs 【 赤い泪 】 バゼル ―――
.
BGM♪:戦国BASARA 第六天魔王
カレン「……そんな…… そんな理由で、この村の人たちを……… ひどすぎる………!(バゼルの語る異常な動機に、怒りと恐怖で体を震わせながら)」
プルスト「………カレン、その子を連れて下がりなさい。 カチャッッ――― ヴ ォ ン ッ ッ (そう言って、ポケットから取り出した冥界の鍵で頭上に空間の裂け目を作り出し)」
シ ュ バ ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ッ ッ ッ ―――――― (空間の裂け目から、鮮血のような赤を基調とした、禍々しいデザインの大鎌が出現する)
カレン「!(プルスト様、「あれ」を………!)……ここは危険です、すぐに安全な場所に行きましょう!(速やかに幼女の手を取り、走り出す)」
プルスト「……確かに、死神は命を"回収"する事を生業としています…… しかし、それはあくまで魂の循環を促し、輪廻の輪を正しく回し続けていくため…… そうして、この世のありとあらゆる生命を等しく救済する事が死神の使命だと、僕は師匠から教わりました…… 他の死神たちも、同じ志を持ってその鎌を振るっているんです、それを―――――― パシッッ… ブ ゥ ン ッ ッ (大鎌を手に取ると、小さな体からは想像も出来ない力で軽々と振り抜き、強烈な風を起こす)―――――――お前のような快楽殺人鬼と、一緒にするな!!!!(大鎌を携え、勢いよくバゼルに斬りかかる)」
バゼル「――――――――!( ブ ゥ オ ォ ォ ン ッ ! ! ! )(プルストが振るうその瞬間を垣間見、自身もまた大鎌を振り抜きだす―――)」
.
ガ ッ ギ ィ゛ ィ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ イ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! !
.
バゼル「 ギチッ…ギャリ、ギリ、ギ…ッ……!! (互いの凶刃がガチガチと激しい鋼の音色を響かせ、その度に小さな火花を散らす)
そうだ、すべては輪廻の基にある。生まれては死に、また蘇り、そうして生死を繰り返す。
だが、誰も覚えてなどいない。生前の生き様など、死に様など、いずれは忘却の彼方に消える。
「自分が殺された」という事実など忘れて、そして何も思い出せないまま新たな命を吹き込まれる。
実に、無為無聊…―――― そんな徒然なるままの輪廻に、何の意味がある?」
.
ギ ィ ィ イ イ ン ッ ! ! (鍔迫り合う両者が切り離される)
.
バゼル「生と死を強く実感できる"殺戮"。その一瞬に、刹那に感じる現実にこそ、生まれてきた意味がある。
俺たち『死神』は、その愉悦の伝道者であれば ―――― いい。( ガ ァ ン ッ ! ! )(鎌の持ち手先端部を地面に突き落とす)」
バゼル「――――――――― “掬拓(ムスンデヒライテ)” ―――――――――」
.
グジュリ…ジュリィ……ボゴンッ、ボォゴッ…!(大地が津波のように上下にうねり出す。するとその直後、気色の悪い異音と共に地面の随所が弾け、地中から赤い煙が吹きつける。そこから漂うのは、腐臭。)
.
ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ォ … ッ … ! ! ! (バゼルを中心に、大地が腐敗していく。その影響を受けた残骸や遺体が赤く浸食し、無残にも溶けだしていく。触れればひとたまりもない禁断の術が、プルストにもじわじわと牙を向きだすのだった――――)
プルスト「……っ 寝言は寝て言えよクソ野郎が―――― !?(再び斬りかかろうと構えた瞬間、大地のうねりに足を取られ)……い、一体、何が……… !?(悪臭と共に徐々に腐敗していく大地と、それが自身の方へと向かって近づいてきているのを見て)………!!(この技は、一体……… 少なくとも、あのエリアに触れたら間違いなくただでは済まない……… 空中に避けるか……? いや、まだカレンが生き残りの子と逃げているし、もしかしたらまだ生き残っている人が周囲のどこかにいるかもしれない………… あのエリアが広がる範囲が分からない以上、このままにしておいたらどれだけの被害が………!)」
ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ ボ ゴ―――――――(プルストが思考しているその僅かな間にも、腐敗した"領域"はもう目の前まで迫ってこようとしていた――――)
プルスト「(……これはもう、やるしかない……… "この技"で、一気に片を付ける………!!)チ ャ キ ッ ッ … (大鎌を後ろへ振りかぶって、眼前に迫りくる"領域"に狙いを定め)――――――ディスパトラ式冥闘術・陸ノ型―――――― 『絶 滅 波 動 斬(コラプス・エッジ)』!!!!(暗紫色のオーラを纏った大鎌を、渾身の力で振り抜き、横一直線の巨大な斬撃を放つ)」
バ シ ュ ウ ッ ッ ッ―――――― ビュゴゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ォ ォ ォ ッ ッ ッ ッ ! ! ! ! !(放たれた凄まじい斬撃は、大地を腐らせる"領域"の力を一片の欠片もなく吹き飛ばしながら、バゼルを目掛け真っすぐに飛んでいく)
バゼル「ッ―――――!(腐敗する大地を叩き割り、更には自身に届かせんと迫るその強靭な刃を前に――――)
.
――― ズ ガ ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (―――直撃。プルストが放った渾身の斬撃が、最悪の死神にへとダイレクトに炸裂したのだ)
.
シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ウ ウ ウ ウ … ッ … … ! (静寂の中を砂塵が吹きつける中――――)
.
バゼル「――――― オ ゥ ン ッ (そこに、真っ赤な眼光が一つ露わとなる)」
バゼル「………眠気覚ましにはちょうどよかったが――― (晴れ渡る硝煙の中でついに現れる全身。だがそこに、一つだけ違和感があった)」
バゼル「――――― まだ、俺には届かない ( キ ュ オ ゥ ン ッ )(ずっと歪に輝きを放つ赤い一つの目。そう…衝撃によって明かされた彼の素顔。頭部に被っていた骸骨の破片が抜け落ちて明かされたのは、隻眼。自身の眼は最初から片方しか存在しない。だが、その片眼が、異常なほどの醜悪なオーラを放ち続けている。死神すらも恐怖や殺気を感じる程の禍々しい邪眼――――)」
バゼル「貴様は俺には勝てない。『 死神の眼 』を持つ俺には、決してな――――― オ ゥ ン ッ (渦を巻く様に蠢く瞳孔が、不気味に赤い輝きを放ち続けている)」
プルスト「な―――――(バゼルの隻眼を目の当たりにした途端、身の毛もよだつ様な悍ましい感覚に襲われ)………っ ……はぁ……… はぁ………っ………!!(何だ…… あの目は……… 見ただけで…… 体の震えが……… 何だ、何なんだ、あれは――――)――――― カ ラ ン ッ ッ (持っていた大鎌を手から離し、その場に跪く)」
カレン「プルスト様!!(プルストの後方の茂みから現れ)さっきの子は無事に安全な場所に―――― !! プルスト様…… どうしたんですか!?(プルストの異常を察知し、駆け寄ろうとする)」
プルスト「!! カレ……… (後方より聞こえるカレンの声に、思わず我に返って)……来るな……… カレン!!こっちに来ちゃダメだ!!!」
バゼル「当然だ。この「眼」を前にすれば人間は愚か、同族すら正気は保てまい。
選ばれた死神だけが持つことを許された禁断の「眼」…それこそが『 死神の眼 』なのだから。(朴念仁な表情をひとつ崩さず、一歩ずつ踏み出していく)」
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コ ツ リ ――― ジ ュ ワ ァ … ッ … コ ツ リ ――― ジ ュ ワ ァ … ッ … (バゼルの足跡、その軌跡が、腐食していく―――)
.
バゼル「神さえも殺す役目を担う存在(もの)、それが「死神」。俺の前ではあらゆる種族は等しく、殺される定めにある。この「眼」で捉えた者は――――― 死より免れない! (ガバァッと、武器を手にしていない片腕を水平に広げた)」
バゼル「――――――――― “雪魂孤霰魂孤(ユキヤコンコアラレヤコンコ)” ―――――――――」
.
ズ ボ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ オ オ ン ッ ! ! ! ! (バゼルの背後より赤黒い瘴気が雪崩の如く押し寄せてくる。雪崩は瓦礫を物の一瞬で呑み込み、一瞬で腐敗蒸発させ、そのままプルストたちに向かって雪崩れ込んでいく)
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バゼル「 キ ィ ィ ィ ィ ィ イ イ ン … ッ … ――――― ! (この間際、自身の「死神の眼」が強く発光する)」
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バ シ ュ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ア ッ ! ! ! ! (雪崩がプルストたちに迫ろうとするその瞬間、まるで彼らを避けるように雪崩が二対の方向に枝分かれしていく。どういうわけか、間一髪助かったと思われたのも束の間――――――紅い雪崩は彼らの周囲を完全に取り囲み、逃げ場を崩したのだ。やがて、四方八方よりじわじわと腐食を齎す雪崩が押し寄せてくる――――)
カレン「え―――――(プルストの警告を聞き足を止めるも既に遅く、自分たちをあっという間に取り囲んだ紅い雪崩を見て)…………そんな………… ぁ………あぁ…………(四方八方を完全に取り囲み、触れたもの全てを腐らせながら迫ってくる雪崩を見て、その場に崩れ落ち)」
プルスト「カレン……… 待ってろ、すぐに………っ ………!?(再び冥界の鍵を手に取ろうとするが、体が思うように動かなくなり、その場に倒れこむ)…………っ(マズい……… さっきの大技の反動に加えて、あいつの"眼"に中てられたせいで………っ 早く……… 早く冥界の扉を開いて、ここから逃げないと…………! こんな所で……… こんな形で……… 師匠から受け継いだ全てを……… こんな僕を慕って、ここまで付いて来てくれた弟子を……… 失うわけには―――――!!)………ご………け………っ ………動 け え え え え ぇ ぇ ぇ ぇ っ…………!!!」
バゼル「朽ち果てていけ、この腐敗した大地と共に―――――!」
.
ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ゾ ォ … ッ … ! ! ! (触れるものすべてを蝕む紅い雪崩が無慈悲にも彼らを覆う。四面楚歌となった彼らに逃げ場などない。もはやこれまでと思われた、その瞬間―――――)
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ザ ッ パ ァ ァ ア ア ア ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! !
.
雪崩がすべてを呑み切る。
プルストたちの姿は、跡形もない。完全に呑み込まれてしまったのか…否――――――
バゼル「―――――――――――――― "逃げられたか"…(赤い渦に呑み込まれ全壊した村の中で、虚構を睨みつけるのだった――――)」
場面移り変わり―――――――
.
ギ ュ オ オ ォ ォ ン ッ ――――― ! ! (腐敗した村とは異なる場所―――どこかの荒野に突如として開かれた異次元の穴。そこから、プルストと可憐、彼女たちが匿っていた幼女――気を失っているが――とその母親の遺体、その四人が投げ出された。奇しくも、彼らはあの脱出不可能な状況から逃れたのだ)
.
エクロシア「 ブ ワ サ ァ … ッ … ――――― ! (その穴より、最後の人物が現れ出でる)
間一髪でしたね…危うく抹消されるところでしたよ。いくら死神の貴方がたといえども、ね…――――」
プルスト「………? あれ……… ここは、一体……… !!(突然変わった周囲の景色に戸惑っていた最中、エクロシアの姿が目に入り)貴方は……! どうして、ここに……… !………まさか………(何となくだが状況を理解し、驚いたような様子でエクロシアを見て)貴方が……… 僕たちを………?」
カレン「ぎゃっ!!(投げ出された後、盛大に地面に転がって)痛ったぁ……… あ、あれ?ここ、どこ……?さっきまで、私……… !! ま、まさか、私、死んで………!? 嘘……… そんな……… いやだ……… プルスト様……… どこ? どこにいるの………!?(状況が呑み込めず、パニックに陥りかけ)」
プルスト「! カレン………!(カレンの方へ駆け寄り、彼女の肩を掴んで)落ち着け!僕はここにいる!!君も、僕も、誰も死んでない!助かったんだ!ほら…… そこにいる「仲間」が間一髪で助けてくれたんだ!!(エクロシアの方にカレンの視線を向けさせ)だから………! ………もう、怖がらなくて良いんですよ、カレン…… 大丈夫ですから……… 本当に、無事でよかった………(安堵からか、泣きそうになるのを堪えた笑顔で優しく語り掛ける)」
カレン「ぁ………(プルストの声と、肩に触れる手の温度を感じ、一気に安心感が押し寄せてきて)………ぅ……… ぅああああああああああん!!!わああああああああああああああああん………!!!(プルストにしがみつき、大声で泣き叫ぶ)」
エクロシア「………(泣き叫ぶカレンを宥めるプルストを静かに見下ろし、彼女が落ち着いた頃合いに口を開きはじめる)……ひとまず、ご無事で何より。村の人々は…残念ながら、ですが。彼らの魂は私の方で連れて行きます。」
エクロシア「それはそれとして、プルストさん。本当によくご無事で。死神とはいえ、『奴』に標的にされてしまえばどうなっていたか…」
エクロシア「――――『バゼル・ヴィオ・グランツ』。恐らくあなたはご存じなかったかもしれません。無理もないです。
彼は大昔…まだ貴方が死神になる前から存在し、そして幽閉された、冥界において史上最悪の死神。閻魔様により、フロア7永久地獄に投獄された経緯を持っている。」
エクロシア「彼の異常な殺戮衝動を抑えることはできない。たとえ閻魔様をもってしても。だが、彼がその本性を曝け出す前に、彼の手腕を評価した閻魔様に、ある物が授けられた。」
エクロシア「 それこそが…――――――『 死神の眼 』 」
エクロシア「閻魔に選ばれた特別な死神だけが持つことを許された眼。あらゆる生命の寿命を看破し、その行く末を、そこから遥か未来まで見通すことだって容易い。かつて私が仕えていた女神様が持つ「千里眼」にさえも匹敵する程の、"神の眼"…!」
エクロシア「あの眼を見た時、感じたでしょう。神さえも殺しかねない気迫、殺意…それがあの眼の力です。
己が潜在能力を飛躍的に上げるだけでなく、対立する者の戦意を瞬く間に喪失させる。まさに、死神の名に恥じない、死神に相応しい眼。」
エクロシア「ですが、そのあまりにも強大な力を持つ目の力を取り入れることは、神ですら困難を極める。実際、死神の眼に適応できたものは数少ない。たとえ順応できたとしても、目に生命力や魂魄を吸い取られ、一度死した者でさえも蒸発してしまうのです。」
エクロシア「奴…バゼルは、その眼に完璧に順応した、歴史上唯一の死神。そんな彼は、今、眼の"片割れ"を持っている。「眼」とは本来、二つ存在するものですからね。」
エクロシア「もう一つの「眼」ですか?閻魔様により、地獄の奥底に管理されています。あのバゼルが目を両方揃えられないように、奴ですら居所を掴めない奥底に。」
エクロシア「プルストさん。貴方のことです。きっとバゼルを止めようというのでしょう。そんな貴方を止める資格は、私にはありません。ですが、推奨はしません。私ですらバゼルには到底及ばない。彼は現時点において、死神の頂点に立つ存在… その暴走を食い止めるのは困難でしょう。」
エクロシア「ですが―――――不可能ではない。
プルストさん。貴方の強い正義感は神界でも、地獄においても誰もが高く評価している。故に私でも理解しています。
貴方は決して、バゼルを野放しにはしない。その魂を失ってでも食らいつこうとするでしょう。」
エクロシア「そんな貴方に、方法を教えます。ですが、これも推奨はしません。バゼルを止める、唯一の方法を――――」
プルスト「(時間と共に落ち着きを取り戻しつつあるカレンを傍らに置きながら、エクロシアの話を黙って聞き続け)………通りで、あっさりとボロ負けしたわけですね……… そんな次元を超えた化け物が相手では、悔しいですが認めざるを得ません……… ですが、貴方の言う通り、そんな事で諦める僕ではありませんよ。(立ち上がり、エクロシアの方を真っすぐ見て)聞かせてもらいましょう、その方法とやらを。例えそれがどれだけ過酷なものだとしても、僕は構いませんから――――」
ギュッッ……(その時、何かがプルストのローブの裾を引っ張る。まるで、再び戦地に向かわんとする彼を止めようとするかのように――――)
プルスト「………?(ローブが引っ張られているのを感じ、その力が働いている方向へと目を向ける)」
カレン「………っ(プルストのローブの裾を右手で掴み)ぐすっ……… プルスト……さま……… 待って………くだ……さい………っ(涙で濡れた、不安そうな瞳でプルストを見つめ)」
プルスト「カレン……… …………(カレンの表情から、彼女の不安や恐怖などの重々しい心情を読み取って)………大丈夫ですよ、僕は君を置いてどこかに行ったりしませんから………彼(エクロシア)の言う方法を元に、必ず奴に勝ってみせます。(膝をついて、カレンの目を真っすぐ見ながら、優しげな声で言い聞かせる)」
カレン「……でも………相手は、史上最悪の死神だって………閻魔様でも、止められないくらい……… 強くて、強くて……… 止められる方法はあっても、推奨できないって……… 負けたら、今度こそ死んじゃうかもしれないし……… 勝っても、どうなるか分からないんでしょう………? ……そんなの、嫌です……… ようやく、プルスト様から褒められることが多くなって…… 一人前の弟子に近づいて来たって、思えて来たのに……… もっと、もっと……… 一緒に……… 教えて欲しい事がいっぱいあるのに………(涙を流しながら、プルストに縋りつき)」
プルスト「………分かってます。(縋りつくカレンをそっと抱き寄せ)だとしても、やらなくてはいけません…… 閻魔様の思いを裏切り、魂の循環を守る死神の名に泥を塗り、多くの罪なき命を踏みにじる奴の蛮行…… 冥界神の名に懸けて、止めないわけにはいきません……… 安心してください、僕もまだまだ君に教えたい事がたくさんあります。だから絶対、死ぬつもりはありません。何があっても戻って来ると、約束します。 ……というか、もう約束させられてますけどね?「仲間たち」から、きつーく――――(今この場にはいない、惑星神の仲間たちの事を思い浮かべながら)」
エクロシア「……――――(プルストとカレンのやり取りを静観し、そこから彼の決意が本物だと察して静かに目を瞑る。そして、再び開き、改まった顔で彼と向き合う)」
エクロシア「バゼルを倒せる方法はたった一つ。目には目を…"死神の眼には、同じ死神の眼を"、です。
閻魔様が管理している死神の眼の"片割れ"を、貴方が受け継ぐのです。
ですが、先程も申したように決して推奨できるものではない。
「死神の眼」を受け継ぐということは、"死"さえも超越する程の並々ならぬ精神を、その「魂」を持つことです。
さもなくば…眼を移植した時点で、命を落とすこととなる。」
エクロシア「ですがもし……もしも、本当にもしも、貴方が「死神の眼」に適応したならば、あのバゼルと互角に渡り合えるほどの力を手にすることは保証しましょう。それだけあの眼が齎す力は禁断なのですから。」
エクロシア「いついかなる時代において、大いなる力には相応の代償がつきものです。その覚悟がおありですか?」
プルスト「………やっぱり。 もう一つの「眼」というワードが出た時点で、薄々そうなんじゃないかと思ってましたよ……… ……覚悟? そんなの、もう聞かなくても分かってるでしょう?(エクロシアにそう返し、再びカレンの方へと向き合い)カレン…… どうか、僕を信じて行かせてくれますか?」
カレン「………っ(再び、泣きだしそうになるのをぐっと堪えながら、目の前にいる師の覚悟をしっかりと感じ取り)………約束です…… 絶対、生きて……… あいつに、勝って……… 帰ってきてください……… じゃないと…… 師匠といえど、許しませんから………!!」
プルスト「………ありがとう、カレン……… 約束します、僕は絶対死にません。(決意のこもった表情でそう言った後、立ち上がって)………案内してください、エクロシアさん……… もう一つの「眼」の元へ――――」
エクロシア「……無用な質問でしたね。ええ、行きましょう―――――『 地獄 』へ
.
エクロシアにより切り裂かれた空間の裂け目。その先へと通じる「地獄」へ、彼らは堕ちていく――――――
.
― 地獄 ―
.
エクロシア「―――――――――とのことで、彼に『死神の眼』の"片割"を授けたいと考えています。本人は、覚悟を決めています。」
ディガロ「―――――――(エクロシアの報告を受けるは、彼らよりも何十倍もの体躯を誇る巨人。地獄を統べる者、"閻魔"であった―――)―――よかろう… 元はと言えば、あのバゼルに『死神の眼』を与えてしまったのは私の罪だ。今更止める権利などありはしない。」
ディガロ「だがよりもよって…若き死神のプルストを選んだことには、あまりにも心苦しいものだ。「死神の眼」の代償は計り知れん。将来有望な死神を失いかねん。だが……――――私は君を信じよう。そして賭けてみる。歴代の死神共が成し得なかったことを、君に。」
ディガロ「――――――『 フロア8 』へ行け。エレベーターで降りられるよう、専用のカギをエクロシアに預けておく。」
エクロシア「……『 フロア8 』…幻の階層… 私も踏み入れるのは初めてですね。そんなものが実在していたとは…」
ディガロ「当然だ。『死神の眼』は地獄が誇る禁断の眼だ。囚人共はおろか、看守や死神共にさえ手の届かない絶対領域に保管する必要がある。到達したら、そこで眼の移植を行うといい。だが、それは痛みすら生易しく感じるものだ。眼を取り込もうとすれば、自我も理性も彼方に吹き飛ぶほどの責苦が待ち構えている。魂魄がその意地を見せなければ、死神の眼に打ち勝つことはできん。君の真の意地を見せる時だ、プルストよ。」
プルスト「ありがとうございます、ディガロ様…… 必ずや、その期待に応えて見せます。(ディガロに深く頭を下げ)………それではエクロシアさん、引き続き案内をお願いいたします。」
そう言って、エクロシアの方へ悠然と歩み寄っていくプルストだったが、長いローブの袖に隠れたその手は秘かに震えていた。
冥界神として多くの「死」と向き合い、自らも「死」の淵を何度も彷徨い、子供とは思えぬ強靭な精神力を身につけた彼であっても、今回のこの状況には内心堪えている様だった。
しかし―――――
プルスト「………頼むまでも、ないと思いますけど―――――(これまでになく毅然とした態度と表情で、エクロシアに目を向けて)―――――この先何があっても、手助けは不要ですからね。」
師から受け継いだ「誇り」と、自分の帰りを待つ弟子や仲間たちへの強い思いが、膨れ上がる恐怖心を押さえつけ、彼の決意を支えていた―――――
エクロシア「プルストさん………―――(彼のその決意で固まる眼差しから意を汲み取った)」
エクロシア「―――――――わかりました。行きましょう、『フロア8』へ―――――
.
そして彼らは落ちていく。奈落の底のように暗く深い、幻の地底へと――――――
.
* * * * *
.
― フロア8 ―
.
看守用巨大エレベーターを通じて長い時間かけて降りた二人の死神
彼らが到達したそこには、光もささず、闇よりも暗い深淵の層
ただ虚無のみが広がる絶対空間であった―――――――
.
エクロシア「――――――ここが、隠された幻の階層…「フロア8」。囚人も看守も踏み込めない絶対領域…。」
エクロシア「……さて、プルストさん。私はここで待っています。この暗がりの先に『死神の眼』はあるはずです。
それを探し出し、『眼』との適合を成し遂げてください。私は、ここで見守ることしかできませんからね…」
プルスト「ありがとうございます、エクロシアさん……(頭を下げ、礼を告げた後)………では、行ってきます。」
そして、彼は闇より暗い深淵へと消えて行った。
その中はただひたすらに暗く、何処に何があるかも分からない。歩いても足音1つ響かない。踏み入ったその瞬間から、もう抜け出すことは出来ないのではないかと思うほどの"虚無"が広がっていた――――――
プルスト「………うわぁ………(周囲を見渡して)………とりあえず、真っすぐ進んでみますか………。(フロアの奥へと真っすぐに進んでいく)」
歩き始めてから数分――しかしプルストにとっては数時間も過る感覚――が経ち、そこに流れる異様な空気に感覚が薄れかけていく
地獄よりも深く暗い深淵、そこは生ける者も死ねる者もみなひとしく、その魂が抜け落ちていくようなおぞましさが漂う
どこまで進んでも変わらぬ景色…だが、その前方に小さな赤い光球が瞬き始めた
その光の正体こそ―――――――――――
.
――――――――『 死神の眼 』
.
その眼は、光の膜のようなものに覆われたまま浮遊していた
永い長い時の中を、永遠と眠り続けていたかのように――――――
プルスト「! ……あれは………(赤い光球の方へと駆け寄り、その光が「死神の眼」であることを確認して)………! 見つけた……… これが、「死神の眼」の"片割れ"――――――(光の膜のようなものに覆われた「眼」を、そっと手に取って)」
フ ワ ッ ッ ・ ・ ・ (ようやく見つかったその「眼」は、プルストの掌の上で静かにその輝きを強めていく)
プルスト「………(「死神の眼」を間近で見つめて)……あの時は、見ただけで体が動かなくなったのに…… もしかして、この膜が「眼」の力を抑えているのか………? ……………(………この「眼」を、これから移植するんだよね……… でも、どうやって………? 手術をするような器具も無いし…… 一旦、持ち帰るか……? いや、エクロシアさんはここで適合しろと言った……… 移植するのは、今この場で無ければならないのだろう……… だとしたら――――――)(「眼」の移植方法についてあれこれ考えを巡らせながら、ふと手に持った「眼」を自身の左目に近づけてみる)」
―――― キ ュ ガ ア ア ア ァ ァ ァ ア ア … ッ … … ! ! (近づけられた死神の目がプルストの存在を察知したのだろう、眼は光瞬く。そして―――――)
.
ド ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ ッ グ ン ! ! ! !
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プルストの全身が、心臓が、びくりと脈打つ。
それは一瞬にして彼に襲い掛かった計り知れない"憎悪"――――
かつて対峙した、同じ「死神の目」を持つバゼルが放った邪悪な覇気とまったく同じ衝撃がその身に襲い掛かるのだった
プルスト「――――!!!!(突如襲い掛かった衝撃に、思わず「眼」を放り投げそうになるが)――――ガシッッ――――(間一髪のところで放り投げようとした手を押さえ、踏みとどまり)………ハァ………ハァ……… 危な…かった……… せっかく、見つけたってのに……… 冗談じゃ…… ねぇっての………!(震える手を強く押さえつけながら、掌の中の「眼」に強い眼差しを向け)…………よく聞け……『死神の眼』よ……… 僕は冥界神、『プルスト・レイ・カローネ』……… お前を受け継ぐ、もう1人の"神"だ………!!(そう言って、自身の左目に『死神の眼』を再び近づけ)来いよ……… この左目をお前にくれてやる……… 代わりに、その力を……… 奴を打ち倒し、大切な命たちを守り抜ける力を……… 僕にくれ………!!!」
意を決した少年は、その邪眼を再び握りしめて自らに取り込もうと近づける
そこから先は、想像遥かを絶する地獄のような苦痛が彼のすべてを蝕んでいく
彼の悲痛な断末魔が虚空に無限に残響するのだった―――――――――――――