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僕らの物語・第7章・Vs.グワンド

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僕らの物語・第7章の戦闘スレッド(試験的に実施中)

黒い羊
作成: 2023/10/03 (火) 23:09:06
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1

グワンドはただの人間ではない。
醜い容貌は先祖由来の血からなる遺伝。
ゆえに彼ら民族が容赦ない差別を受けた来た。
魔法の国の隅にある枯れた土地で滅ぶのを待つだけの運命をたどる彼らの生業は、非人道的なものだった。

美しいものを奪う、美しい者から孕ませる。

それがさらに差別を悪化させたのは言うまでもない。
グワンドもまた成長していくにつれ、国や民族の狂気におかされていった。

彼を満たしたのは奪うことではなく、美しいものへの復讐。

美しい女性に対する倒錯した感情によって暴力の手段はより磨きがかかり、武術の技にその下劣さが滲みでてしまった。
その醜い強さを、かの2人に買われたのだ。

「うぐ…くくくう……! くはっ!」

締める腕に手応えあり。
脱力したヒカリを抱いたまま、後ろのめりに倒れ込んだ。
ここで生死の確認をとるべきなのだが、これまでにない戦いからなる体力の消耗と満たされていく精神が心地よい脱力を生む。

「かはーっ、ふう、うう……っ」

この感覚だ。嬲り、弄び、痛めつけたあとにくるこの充足感。
自分と敵対していた女が、生と死という関係によって空間と、世界と一体化したこの詩的とも言える情景。
神の視点で観れないのは残念だが、まだ首にゆるく腕をまわしたままのヒカリのぬくもりと重みを一身に受けられるこの至福に対し、神への感謝を念じた。

そしてゆっくりと呼吸を整え始める。
まだ仕事はあるのだから。

2

グワンド「ヒカリ……様……」

落ち着いていく気分の中で昔を思い出す。
きわめて貴重な体験。
初めて女性が自分に声をかけてきたのだ。
彼女は魔法使いであり、一緒に仕事をしていくうちに仲良くなった。
自分の醜さを気にしようとはせず一緒に寄り添ってくれた彼女を、グワンドは愛するようになった。-----だが。

『ごめんなさい』

自分を人として見てくれている彼女に告白するも、苦々しく断られる。
そんな対象で見ていたのではない。ではなぜ?

それは彼に同情していたからだった。

顔も心も醜い一族の血を引く彼を可哀想と思い、自分が一緒にいてあげられるのならと思って声をかけただけにすぎなかった。
それ以上の感情もなかった。それ以前に心の底では自分のこの感情を満たしたいだけというものだった。

グワンドはそれを知り激怒して彼女に襲い掛かる。
森の中での壮絶なバトル。その中で偶然編み出したのが

『ゥっ!!?』

胸を鷲掴みにして虚を生み出し、瞬時に双打を打ち当てる技。
覚醒したグワンドはそこからの派生技を戦いの中で生み出し、徹底的に彼女を痛めつけた。

最期の瞬間まで、彼女が豹変しこちらを罵倒し、そしてついには命乞いを始め、そして命尽きるその瞬間までーーーーーーーー。

『ふふ、ふふふふふ、ふひひひひ……』

この惨劇が、のちの凶悪なグワンド像を作り上げたとしても過言ではない。
虚ろな顔で涙を流す彼女の死体を眺める過去の自分と、

今現在の自分が重なったように思えた。

「まさか昔を思い出すとは……」

3

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ヒカリ「…ぁ…か…っ゛……――――(徹底的に首を絞められ意識朦朧に陥る。天の聖杯である彼女ですら、そんな呼吸困難を前に意識を保つことはできなかった。虚ろう視界に、ずっと夢見ていた『楽園』が垣間見えてる―――)

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― 楽園 ―

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ホムラ「…ヒカリちゃん…私……もうっ……」

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ヒカリ「…ごめん、ホムラ。私が…私がもっと、しっかりしていれば…私がもっと、強かったら…」

二人以外誰もいない『楽園』の中で、彼女たちは互いに向き合い懺悔し合う。
天の聖杯である前に一人の女性であるが故の弱さを、彼女たちは初めて思い知らされたのだ。
いっそこのまま楽になれば…あの苦痛を味わうこともなくなるのだろうか
そんな諦めさえも過って…
黒く塗りつぶされていく視界の中で、少女たちは一縷の光を見出す。それは――――

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―――――はじめて邂逅を果たした、あの頃の「あなた」の顔だった

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ホムラ&ヒカリ『――――――― ! ! (フラッシュバックした「あなた」の横顔に、二人は同時にはっと我に返る)』

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脳裏に過る「あなた」の顔が、その暗がりを照らしだす
かつて災厄を齎してしまったが故にその十字架を背負うことを運命づけられた彼女たちにとって、それは光輝く道標。
「生きていてもいいんだ」、「強くなくてもいいんだ」と…優しく認めてくれる、そんな光を―――――

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ホムラ「………そっか…そうだよね……(思い出したように、その口の端が緩む)」

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ヒカリ「……そうだった…。ずっと救われてきたんだ。あの「光」に…(ホムラに釣られて俯いたその顔が徐々に上がっていく)」

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ホムラ「 だから私たちは歩いていける 」

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ヒカリ「 いつまでも、どこまでも 」

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ホムラ「 行こう、ヒカリちゃん 」

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ヒカリ「 行こう、ホムラ 」

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―――― " 二人で、「あの子」と一緒に " ――――

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ヒカリ「―――――― 「セイレーン」ッ!!!(そして、薄れかけていく視界を目一杯広げて、最後の一呼吸を吐き出して声を精一杯あげて、天の聖杯とリンクされた下部の名を呼び起こす)

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キ ラ ン ッ ――――――   ズ   ド   オ   ォ   ン   ッ   !   !   !   (ケイオスの大気圏に漂う人型起動兵器「セイレーン」がヒカリの声に呼応して起動。彼女の指令を受けて目標地点に目掛けて強力な閃光を一直線に解き放つ。それはオゾン層を、雲さえも突き抜けて…瞬く間にマジルカ城へと届き、その天井を貫いてグワンド諸共ヒカリに落下した)

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パ ラ パ ラ パ ラ … ッ … ―――― (瓦礫と共に吹き飛ばされたグワンド。空いた天井から月光が差し込む。光の柱のように伸びる月光の中に人影が一つ…否――――「二つ」に別れたのだった)

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BGM♪:Xenoblade Chronicles 2 - OST「Counterattack」
https://www.youtube.com/watch?v=0gGNwiBLOsY

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ホムラ&ヒカリ『―――――――(そこにいたのは、天の聖杯である「二人の少女」。互いの身体を入れ替えて、どちらか一つの身体を維持することができないはずの彼女たちが、今まさに、「二人」に別れてその姿が顕現されたのだった)』

ホムラ&ヒカリ『 チ ャ キ リ … ッ ―――― ! (両者の手にはそれぞれ聖杯の剣が握られる。一方は、聖なる焔に燃えて、もう一方は聖なる光に輝いて。その切っ先は、グワンドただ一人に向けられた―――) 』

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グワンド「-----!!?(経験上、ここから逆転することなど万に一つもありえない。しかしその一つが的中した。奇跡にしては恣意的で、道理にしては超常的すぎる。だがそれに見合う"美しさ"があった。ふたりの女神。これまで襲った中では極上の部類に入るふたりが一気に現れた。命と隣り合わせと同時に、これ以上なく魔羅に響いてくる)驚きましたよホムラ様、ヒカリ様……これまで相手にしてきた女の中ではナンバーワン、そう、ふたりでひとりの極上です。(スゥっと構える)いいでしょう。さぁ来なさい。ここであなた方を倒し、真の意味でアナタ方をワタクシのモノにするっ!! ふたり仲良く、ワタクシの愛でむしゃぶりつくしてあげましょうっ!!!」

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ホムラ「……私たちはもう、誰のモノにもならない。誰に命じられることもなく――――」

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ヒカリ「私たちは、「私たち」の意志で突き進む。世界を焼いた災厄ではなく、今度は世界を救う"光"として…!」

ホムラ&ヒカリ『もう…貴方の思い通りには、ならないッ!!(二人の少女が一斉に駆け出す。その手に携えた聖なる剣、その切っ先で地面を引っ掻くように軌跡を残しながら――――)」

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グワンド「シュッ!(輝くふたりに対して漆黒の残像を残しながら肉薄)ズガガガガガガガガガ、ズダン!(拳と剣がぶつかり合う中で見つけた一瞬の隙。ヒカリの剣をかかと落としの要領で踏みつけて抑え、そのまま横へとのかしたのち)でりゃあああああああっ!!(ヒカリよりも速度の劣るホムラに接近し、胸部に向かって掌底を繰り出す)

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ヒカリ「その手には――――(斬撃を退けられようとも―――)」

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ホムラ「――――乗らない!!(こちらに迫るグワンドの掌底が我が身に触れようとした次の瞬間―――)」

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―――― バ キ ィ ィ イ ン ッ ! ! ! (突拍子もなくグワンドの身体が弾き飛ばされる)

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ホムラ「―――――(グワンドを弾き飛ばしたのは…彼よりも奥手の攻撃に回ったはずのホムラの強い峰打ちだった)」

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ヒカリ「 “因果律予測” ――――― 悪いけど、アンタの行動は既に予測させてもらったわ。そして、二人に別れた今…この力はホムラにも共有される…!つまり…――― 」

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ホムラ「―――ヒカリちゃんのように、相手により早く、より正確なカウンターが狙える!!(追撃を仕掛けんと、弾き飛ばしたグワンドへ肉薄する)」

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グワンド「(直前まで確信は揺るがなかった。掌底による衝撃は心臓を貫通して即死へと至らせる。むろん、この速度で穿てば必ず当たり、ホムラの落命は確定したも同然だった)-----ズガッ!  な、にぃ……? (啞然とする。掌底が弾かれたことで現実に戻される。今までに経験したことのない戦闘パターン。自身の漆黒すらも穿ちかねないほどの眩しいシンクロニシティに目を見開いた)くぅう、調子に乗らぬことです!!(顔色が変わる。余裕の笑みは消え、どのように攻めるかからどのようにしのぐかへシフトしつつあった)

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名前なし 2023/11/21 (火) 21:55:45 修正

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ホムラ「そして、私の火力は―――――(グワンドの攻撃を弾いた直後、その背後に待ち構えていたヒカリにバトンタッチするように彼女へ道を開ける)」

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ヒカリ「―――私にも受け継がれる!!! メ ゴ ォ ォ ッ ! ! ! )(ホムラと入れ替わるようにグワンドの懐へ一瞬で潜り込むや否や彼の腹部へ凄まじい跳び蹴りを叩き込む。それは、速さだけが取り柄だったヒカリの華奢な脚部から繰り出された物とは思えないほどの破壊力を誇り、グワンドの骨身を軋ませる程の絶大的な痛手を与え、彼を強く蹴り飛ばしたのだった)

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速さと予測を手に入れたホムラにパワーを手に入れたヒカリ。
突如として展開される1on2。
対多数が経験がないわけではないが、彼からすればこれは異常なことこの上ない。

グワンド「ぐぁあっ!?(これまで女性に与えてきた痛みが二人の剣にのって襲い掛かる)…………ぜぇ、はぁ、ぜぇ、はぁ」

周囲を見る。環境を見る。
あれだけ高ぶっていた怒りが消えているのが不思議だった。

ただ純粋に、あのふたりが欲しい

その為の道筋を冷静にたどろうとするなど今までになかった気がする。

グワンド「不思議、ですよ。ここまでコケにされてこんなにも冷静でいられるだなんて…………(ざっと構え、一気に肉薄)シュバ!(拳を振り上げふたりに攻撃、かと思わせた次の瞬間)」

ーーーーーーーードゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!

その拳で地面を穿つ。
魔力を込めた拳によって炎が噴き出し地割れによって岩や小石、土が散弾式に飛ぶ。
単一の攻撃は因果律予測の餌食になるのは明白だ。だが無作為に飛ぶ広範囲攻撃ならば。

グワンド「でぇえええい!!(すぐに近づくことはせず、カポエイラじみた動きで岩や土を蹴り飛ばし、木々に当てるなどして跳弾をすることで飛んでくる攻撃と跳ね返ってくる攻撃を同時に繰り出した)

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ヒカリ「――――ッ!(考えたわね…!)(グワンドの意図にいち早く気付いたのだろう。四方八方へ降り注ぐ岩石、そしてそれらをこちらへ狙って蹴り飛ばすグワンドの攻撃に尻込みする)」

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ホムラ「任せて!(追い込まれそうになるヒカリと自身を光の膜で覆うことで飛来物の防御に徹する)……(ヒカリちゃんのやりたいことは私にも解る。だからその強みも弱みも知っている…!)」

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ヒカリ「―――(そう、私たちはいつだって「二人で一つ」。その強さも弱さも受け入れて―――)―――私たちは進むんだッ!!(飛来物の勢いが止んだタイミングを見計らい、光の膜を解除してグワンドへと急接近。前方から斬りかかる、と見せかけて―――)」

ヒカリ「 フォン―――フォンッ――――フォンッ――フォンッ――――フォンッ!! (――瞬間移動による消失。その後もグワンドのその死角という死角を完全に牛耳るように自らの位置を瞬間的に変えながら翻弄していく)」

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今になって武術の上でより磨かなかったことが悔やまれる。
女肉をほふることに焦点をおいた冒涜の技。少しでも真っ当な武の道を進んでいればここまでには至らなかったかもしれない。
今となってはどうにもならないが。

それでも自らの感覚を信じ、直感とセンスをフル回転させる。
そして行き着いた戦法。

グワンド「ハッ!!」

もう一度地面を隆起させ岩や砂を宙に舞わせる。
先ほどよりも弱いが粉塵と木くずなどで周囲がほこりっぽい。

とてもではないがさっきのような範囲攻撃としては威力が弱い。
それも彼は知っている。ゆえに…………

ォン―――フォンッ――――フォンッ――フォンッ――――フォンッ!!

パキ、サラサラ…………フォンッ、パキ

わずかだが聞こえる。瞬間移動のキレイな流れの中で聞こえる不純な音。
音の方向と鳴り方、そして全身の感覚で理解できる。

そして一点を見つけた。
二人が重なる位置。針の穴からほどに小さなわずかな死角。
そこにすべてをかけた。グワンドにはもう、それしかなかった!!

グワンド「ゼェエアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

瞬間移動に引けを取らない速度での正拳突きをその点に見舞う。

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グワンドが振り抜いた渾身の一撃がヒカリの身体に炸裂すると思われた、次の瞬間――――

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ヒカリ「――――――――(グワンドの拳がその身に届いた途端、自身の身体が粒子化し、彼の攻撃をすり抜けたのだ。そう、“因果律予測”だ―――)」

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ヒカリ「――――これで決める!!(輝煌の剣を―――)」

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ホムラ「ええッ!!(火炎の剣を―――)」

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―――― ガ ギ ャ ァ ン ッ ! ! (焔と光の双剣が交わるように重なり、その輝きは最高潮に達する。そして――――)

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ホムラヒカリ『――― “ エ ク リ プ ス ” ッ ! ! !  ―――』

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ザ ッ キ ィ ―――――――― ン … ッ … ! ! ! ! (翡翠色の粒子体から実体化したホムラとヒカリが剣を振り抜いた態勢でグワンドを振り抜くと同時に、紺碧に輝く凄まじい斬撃が彼の悪しき心身を一刀両断したのだった――――)

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黒を覆いつくす光。
一瞬無重力にさらされたような感覚のあと、肉体に鋭い痛みを覚え

グワンド「グゥワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?

枯葉のように宙を舞い、木に激突。

グワンド「がふっ。…………ふぅ、ふぅー…………くぅう」

なんとかして立とうとするも自由が利かない。
呼吸を整えながら苦々しい表情で痛みに耐えるほかなかった。

グワンド「ワタクシが、ここまで…………クカカ…………ぐううう!」

戦闘不能。
そんな言葉が脳裏をよぎる。

そしてホムラとヒカリを睨むように視線を送る。

グワンド「くひ、くひひひひひひ…………」

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ホムラ「はぁ…はぁ……!(やり切った身体をゆっくりと背後へ振り向かせ、仕留めたグワンドを睨みつける)……さようなら、そして…――――」

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ヒカリ「――二度と会うことはないわ…!(ホムラと共に眼光を飛ばす)

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グワンド「くひ、くひひひひ、二度とあうことはない、か。……ならばトドメをさせばいいでしょう」

彼女らの眼光の奥に秘める心を読み取るかのような眼差しを向けながら、

グワンド「ここで殺しておかねば、またワタクシは同じことをしますよ? 警察も来ることでしょう。たとえ捕らわれても、何度でも外へ出ましょう。なぜそうまでしたいかわかりますか? 女にそうするのがたまらないからです。中でもアナタがたはまさしく極上の部類だったぁ!! あのさわり心地はこれまでに類をみないほどの心地よさ。えぇ、ワタクシは諦めません。何度でも挑みます。腕を磨き、そして何度も女を襲いましょう。あなたがたにたどり着くその日まで。けして諦めない。アナタがたから学んだことです。何度でも挑んでやる。何度でも何度でも、くひひひ」

プライドの高いヒカリや自分よりも他者を労ることに重きをおいているホムラの心理を逆なでするような挑発。

だが、半ば真実味を帯びさせるように。
この男は確実にやる。それだけの行動力を身に付けてしまっている。

そんな雰囲気が感覚でわかった。

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ヒカリ「 ズ ド ア゛ ァ゛ ッ゛ ! ! !(長々と能書きを垂らすグワンドの発言を最後まで聞くことなく、彼の急所へ岩石をも砕かん勢いの凄まじい蹴りを見舞い、卒倒させる)」

ヒカリ「……心配なんていらないわ。生憎自分の身くらい自分で守ってみせる。それに…―――――」

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ホムラ「私たちには『仲間』がいる。守ってくれる『仲間』たちが。だから私たちは、そんな『仲間』を助けるために先を急ぎます。」

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倒壊するグワンドには目もくれず、二人の少女は歩を進めて扉を抜ける
彼女たちの進むべき道の先へ――――

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