[ジャパリ童話シリーズ:ハルちゃんとよかれ鳥]スピンオフSS
【よかれはひとのためあらず】
1話
<ヨカレ>
鳥綱スズメ目タイランチョウ下目マイコドリ科ヨガレ属ヨガレ
レッドリスト 絶滅危惧CR(IA類)
普段は単独で生活。
繁殖期において、交尾が終わった日の晩にはパートナーと別れることから
忌み言葉(縁起の悪い言葉)を避けるためとして一般にはヨカレ(俗称)と呼ばれることが多い。
(抱卵・孵化後の世話も行われないためヒナの自立は早い)
渡りを行う際には群れを作るがその結束は緩く、迷鳥として各地で散見される。
ヨガレ(正式名)と名付けられた理由には上記以外にも諸説あり、
夜にその地を離れる(渡りを始める)ことから、という説。
生態が人間からは独り善がりに映ったことから(ヨガリ→ヨガレに転じた)という説などがある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヨカレ
「ただいま…」
ハル
「おかえり~って顔色悪いよ? 大丈夫?」
ヨカレ(顔色? そうかな…)
「大丈夫。 けど晩ご飯は要らないかな」
ハル
「ダメだよ。 後でお粥作って持ってってあげる。
明日のコンサートも行くのやめとく?」
ヨカレ
「行くよ。 ハルちゃんが僕のためにわざわざチケットを取ってくれたんでしょ?
早めに寝れば明日は大丈夫だから」
ハル
「そう・・・無理しないでね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日、僕はずっと気になっていた『あのあばら家』を約1年ぶりに訪れた。
屋根こそ無事なままだったが窓は一部割れていて、当然のことながら室内は汚れ放題だった。
それ自体は仕方ない。
忙しさにかまけて放置していた僕が悪いのだから。
それよりショックだったのは人形たちが跡形もなく、居なくなっていたことだ。
ドアが開け放たれたままだったところを見るに、誰かが持って行ってしまったのかもしれない・・・
(床や椅子に埃が積もっていたので最近のことではないだろう)
???「ふ~ん、人形なんて放っておけばいいのに」
???「キミってほんとお節介だよね」
・・・かつて投げ掛けられた言葉が蘇る。
それにつられて、これまで何度も陥ってしまいそうだった考えに囚われそうになる。
僕のしたことはまったくのムダだったのだろうか?
僕がよかれと思ってしてきたことなんて誰のためにもなってないのじゃないか?
だめだ、だめだ。
こんな時は考えるのをやめて早く寝るに限る。
ハルちゃんと出会って明日で1周年。
せっかくの日に暗い顔をしてはいられない。
そんなことを思いながら、やがて僕は眠りに落ちて行った・・・
2話~
今回の作品の位置づけとしては
[ジャパリ童話シリーズ:ハルちゃんとよかれ鳥]の前日譚(二次創作オリジナル設定)となりますので、
↓こちらを先にお読みいただくと、より楽しんで頂けると思います。
1話
2話
3話
4話
すぺしゃるさんくす:ツッコミ隊長さん
リンクありがとうなのだ😄
あくまで借り物ですし、そこは持ちつ持たれつ、ということで
よかれ鳥のファンSSなのだ!
続き待っているのだ
やっと目処が付きました(完成しているとは言ってない)
頑張ります
【よかれはひとのためあらず】
2話
僕は仲間内では浮いた存在だった。
コミュ障だった・・・のではなく、むしろ逆だ。
そもそも仲間は(という言い方が合ってるのかも僕の中では疑問だが)同胞にも無関心だ。
「そういう習性だから仕方ない」と思い悩むこともないくらい、とにかく冷めている。
ある時僕は、よかれと思って仲を取り持とうとしたことがある。
しかし両者から「余計なことはしなくていい」と言われてしまった。
その様子を見ていた別の仲間からは「お節介」とも称された。
僕は仲間のために動くことは二度となくなった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある日のこと、僕は1軒のあばら家を見つけた。
ーというか、窓際で佇む人形が目に留まったのだ。
いつも通り掛かっていたはずなのに気付いたのは今日が初めてだった。
どうしても好奇心が抑えきれなかった僕は、意を決して足を踏み入れることにした。
「おじゃましますよ…」
鍵が掛かっていなかったとはいえ、不法侵入であることには違いない。
悪気がないアピールのための挨拶を誰にともなくしながら・・・忍び込む。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
屋根の一部に穴が開いているせいで日光が差し込み、意外と明るい室内を見回してみると、
外から見た時は分からなかったが、人形は思ったよりたくさんいる。
窓際に立って外を見ている者、椅子に座っている者、床で寝っ転がっている者など。
造形のモチーフはどれも鳥・・・のようだ。
(1羽はまんま鳥だったし)
もしかしたら自分がここまで惹かれるのはそのせいかもしれない。
夜のとばりが下りるまで探索した僕は、
「今後やるべきこと」を頭に思い浮かべながら、そのあばら家を後にした。
3話 ~夜離れ2~に続く
鳥の人形たくさん・・・不思議なあばら屋なのだ
関係ないけど短めで細かく更新してくれるの読みやすくて助かるのだ
( ̄∀ ̄)ふふ…
今回もいろんなところに伏線を撒いてるのでお楽しみに
ふぉ~待ってましたなのだ!
読むほどに引き込まれる面白さがありますね
続きが楽しみなのだ!
ほんと気を持たせるだけ持たせておいてお待たせして申し訳ないです
その分しっかり(作品の内容で?)返していく所存であります
【よかれはひとのためあらず】
3話
「つめたっ」
頭に落ちてきた粒が雨にしては冷た過ぎる気がして空を見上げてみると
白いふわふわした綿のようなものが降ってきていた。
「雪だ」
仲間の誰かが言った。
「そろそろ旅立ちの時が来たようだ」
「そのうちもっと激しくなる。 早い方がいいな」
「しかし集めるには時間が遅い。 今日は知らせるだけにしておいて・・・」
僕も急がないといけない。
こんな時だけは団結力を発揮する仲間たちを尻目に1人、例のあばら家へ向かった。
いつものようにダチョウの羽で作られたという箒で鳥人形たちをはたく。
(なんとなく面白い取り合わせだ。 トリだけに…)
部屋の中をひと通り掃除し終わって外に出たところで声を掛けられた。
「お、こんな所にもいた。 近いうちに出発するってよ」
「何やってんの? 早くしないと大雪になるらしいよ」
僕は板を抱え、はしごを登りながら答える。
「だからだよ。
これまでだって雨が降り込んでただろうし、雪ならなおさら寒いだろうし・・・」
「ふ~ん、人形なんて放っておけばいいのに」
「キミってほんとお節介だよね」
ヨカレ
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぱたっ ぱたぱたっ
風に乗って、複数の羽音が聞こえてきた。
仲間たちは気が変わって、今夜旅立つことにしてしまったらしい。
「これでよし、と」
なんとか本格的に降る前に修理の終わった屋根の上で、
僕はその音をぼ~っと聴いていた。
置いてけぼりを食らった形になったわけだが、そのことに後悔はまったく無い。
ただ、彼らにすぐ言い返せなかったことが喉に刺さった魚の小骨のように引っ掛かっていた。
さすがに人形たちは仲間たちのように「余計なお世話」なんて言わない。
そして礼を述べることもない。
そもそも僕のことさえ憶えていないだろう。
それもこれも彼らが人形だからだ。
もちろん『笠地蔵』が夢(に至るまでの)物語であることは重々承知している。
恩着せがましいことを言うつもりはさらさら無いが、それでも思ってしまうことはある。
だったら僕は何のために・・・?と。
雪は相変わらずやまない。 加えて風も強くなってきた。
ふと、このちほーに伝わるなぞなぞを思い出した。
『吹雪がやんだら何になる?』
ーというものだ。
その答えを聞いた当時の僕は、感心…を通り越して感激したものだったが、
仲間たちの反応は一様に「だから何?」という冷めたものだった。
冷静になって考えてみれば、これまでの『春』は僕のために来たものでもなければ、
具体的に何かを与えてくれるものではなかったのは確かだ・・・
すると僕の心を突き動かしたものとは何だろう?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
🌀びゅーー~~っ!
「あ・・・」
そんなとりとめのないことを考えていたら雪交じりの突風が吹き、
すっかり油断していた僕は抗うことも出来ず、吹き飛ばされるしかなかった。
4話 ~出会い1~に続く
ヨカレちゃんは人形たちに何か特別なものを感じているのだ
続きもがんばってなのだ
ヨカレの想いは届くのか…?
こうご期待
【よかれはひとのためあらず】
4話
気が付くと、吹き飛ばされた先は一面の銀世界だった。
幸いなことに雪はやんでいるし、風もほとんど無い。
ただ右も左も分からない場所なので、とりあえず進んでみることにした。
・・・が、しばらくして失敗に気付く。
明らかに「登って」いるのだ。
しかも『山の天気は変わりやすい』とはよく言ったもので
さっきまでとは打って変わって風も雪も強くなってきている。
さらには最近起こったと思われる雪崩の形跡さえ見られる。
わずかな希望は天気が崩れる前に見えた、山頂の方で立ち上っていた煙(蒸気?)だ。
行けば誰かが居るかもしれないし、道中で山小屋などが見つかるかもしれない。
無事にそこまで辿り着ければ、だが・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばらく進むと洞穴が見つかった。
いや、よく見ると雪だけで出来たドーム状の・・・かまくらだ。
山小屋ほどしっかりした作りとは言えないかもしれないが 差し当たって吹雪を凌ぐには十分だ。
恐る恐るかまくらの中を覗き込んでみる。
先客、それこそクマなどが居たらいつでも逃げれる態勢で。
果たして・・・?
居た!
しかし幸いなことに奥まった場所でこちらに背を向け横になっている。
タヌキやムジナのたぐいだろうか。
「お邪魔しますよ」
どうやら危険は無さそうだと判断し、
害意が無いアピールのための挨拶を恐らく聞こえていないであろうタヌキ(?)にしながら忍び込み、
やっと一息ついた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
冷たい風が時折流れ込んでくる。
僕は少し寒いのを我慢しながら入り口付近に陣取り、
できれば先客が目覚めないうちに吹雪がやんでくれないものかと、やきもきしながら待った。
「くしゅん」
僕は一瞬身構え、声の主の様子と外の吹雪とを交互に窺う。
場合によっては飛び出さなければならないが、吹雪は先ほどと変わらずやむ気配がない。
一方の先客も起きる気配はなく、その代わり冬場のトイレの後のようにブルルっと体を震わせた。
僕は先ほどまでの警戒心もどこへやら、一計を案じた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぺた ぺたぺた… ぎゅ、ぎゅ…
「これでよし、と」
入り口を完全に雪で塞ぐと満足げに独りごちた。
冷たい風は完全にシャットアウト出来たので、そのうち室温も上がってくるだろう。 ただ・・・
「外の様子が分からないな。 さすがにやりすぎたか?」
その不安はすぐに違う形となって的中した。
「う… なんだか息苦しい気がする… せめて空気穴を残しとくんだったか。
それに、もし襲われたら逃げ場もないし・・・」
「う~ん… う~~ん」
唸り声につられ、奥に目を向けると・・・
?????
「!? いつの間にか入り口が塞がってしまってるのだ?」
ついに目を覚ましてしまった先客は思いもよらぬ行動に出る。
「誰かー! 助けてー! なのだ」
叫び出したのだ。
?????
「う・・・ ゴホッゴホッ!」
当然かまくら内の空気は大量かつ急激に消費されることになる。噎 せている。
当の本人も息苦しくなったのか
「だ、誰かー! たす・・・のだ、フェ…」 ドンドン…
それでも諦めずに声を振り絞り、出なくなったらなったで今度は壁を叩いて救助を求める。
マズい。
止めたいのはやまやまだが、こちらもほぼ酸欠状態だ。
意識も薄れてきてブラックアウト寸前だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フェネック
「う~ん、アライさんのことだから、この辺りで行き倒れてると思ったんだけどな~」
物騒な発言が気になるが、いつものように先走ってやらかしたアライさんのフォローをしているようだ。
・・・てー! なのd・・・
フェネック
「! アライさんの声キャッチ~」
居場所を特定しようと大きな耳に全神経を集中するフェネック。
・・・フェ」 ・・・ンドン…
フェネック
「!」
声や音・・・
というよりむしろアライさんの微弱な生体磁気をキャッチしたらしいガチックは北東方向にジャ…ンプ!
雪の壁にしか見えない場所に頭から突っ込んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヨカレ
「た、食べないでくださーい!?」
突然、かまくらの壁を突き破って現れたキツネ(?)の生首にパニクるヨカレ。
フェネック
「アライさ~ん、アライさんは~・・・?」
その悲鳴…どころか存在すら認識していないかのような態度で
生首と視線を上下左右にせわしなく移動させるフェネック。
ヨカレ
「コワイコワイコワイ…!」
フェネック
「も~、そんなところにいたんだね~
・・・と体が抜けないね~」
アライさんは酸欠で失神して突っ伏しているのだが、
フェネックはマイペースなまま、身動き取れなくなってしまった体をもどかしげに揺する。
そして、その状況に堪え切れなくなったのか、
「灼熱砂漠のオアシス~」
倒れていたアライさんの隣にそっと添い寝した。
ヨカレ
「キマシタワーヽ(*´∇`)ノ
・・・とか言うとる場合か!」 ((ꐦ ゚Д゚ノ)ノ💥
主人公を差し置いての茶番劇に、ついにキレちらかすヨカレなのであった。
5話 ~出会い2~に続く
意外すぎる展開なのだ!
ストーリーの「転」に当たる部分なので思い切りました
ここから更に転がします
まさかのあらふぇね参戦!
けもフレ(本家時空)からの友情出演です
ヨカレくんのアドバイザー役としてオファーしたはずなんですが
なぜかお笑い要員に・・・w
【よかれはひとのためあらず】
5話
前回の砂漠化は
バンク演出瞬間的なものだったらしく、今は元の銀世界に戻っている。互いに自己紹介を済ませた後、2人に話を聞いたところによると・・・
・カニクイアライグマ・オジロスナギツネと交代する形で探検隊から外れる
(最近、労基の指導が入ったせいでシフト制になったそうだ)
→有休消化のために温泉に訪れたが、突然お湯が止まる
→常連客も困っている
→従業員に掛け合うも
「じきに(ゲームの)タイムイベントが始まるのでそれが終わるまで待って欲しい」と断られる
→そんなの待ってられないから自分が行く、とアライさんが申し出る
→もう1人の従業員(どうやらこちらは責任者ポジらしい)が
「装備を整えないと危ない。 今から準備するから」と言われるが、話半分で飛び出してしまう
→案の定遭難し、たまたま見つけたかまくらで雪がやむのを待っていたら寝てしまった
ーということらしい。
僕は僕で事情を説明。
特にかまくらには避難のために侵入したこと、
入り口を塞いだことに悪意は無かったことを熱弁した。
必死過ぎて逆に怪しまれそうなくらいに・・・
対する2人の反応は拍子抜けするくらいあっさりしたものだった。
「こうやって行き違いにならずに合流できたんだから、むしろお手柄だよ~」
「フェネックの言う通り結果オーライというやつなのだ」
えぇ… ポジティブシンキング過ぎない?
フェネック
「もしかして、アライさんを助けて恩を売ろうとした~?
それとも人命救助でジャパリ警察に表彰されるためなのかな~?
そうじゃないよね~」
アライさん
「アライさんが寒そうにしてたから・・・さっきそう言ってたのだ」
ヨカレ
「そ、そうなんだけど・・・」
自分を断罪したいのか弁護したいのか、よく分からなくなってきた。
フェネック
「・・・
じゃあさ、罪滅ぼしってわけじゃないけど、一緒に行って手伝ってくれないかな~?」
ヨカレ
「え? 温泉施設の修理を?」
かえって足を引っ張ったりしないだろうか?
アライさん
「それは名案なのだ。
旅は道連れ余は情けねぇ、というのだ」
フェネック
「アライさ~ん、自己紹介乙だね~」
アライさん
「ふぇねっく~!?
いつものように訂正ツッコミしてもらわないとアライさん渾身のボケが台無しなのだ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
町に帰ったところでコレといってすることも無い(あばら家の様子は気になったけど)、
というのもあって僕も同行することになった。
3人で山頂の温泉管理施設に向かう。
今は吹雪もやんでいて、フェネックさんが従業員から借りたという携帯カイロもあってヌクヌクだ。
ズズ…
ヨカレ・フェネック
「!」
アライさん
「? どうしたのだ?」
ヨカレ
「今、なんか… 揺れなかった?」
この頃には2人のやりとりと人となりに感化され、いつの間にかすっかり打ち解けていた。
フェネック
「そうだね~ 地磁気の乱れも気になるね~
そろそろサンドスター山の噴火も近いのかもしれないね~」
フェネックの見やる方につられて目を向けると、不可思議な山がそびえていた。
アライさん
「じゃあ、また仲間が増えるかもしれないのだ?
どんなフレンズなのか楽しみなのだ」
そんな呑気なことを言ってる場合だろうか?
地震と言えば雪崩の心配が付き物だし、噴火と言えば被害の程度は想像も付かない。
ただ、彼女らが仲間を大事に思う人たちだ、ということは伝わってきて好感が持てる。
フェネック
「お湯が止まる前も地震があったしね~」
アライさん
「そうだったのだ? ぜんぜん気が付かなかったのだ」
フェネック
「結構揺れたと思うけどね~
装置が止まったのも地震を感知して自動停止したんだろうって言ってたし」
アライさん
「そんなこと言ってたのだ?」
どうやらアライさんは後先考えずに動くタイプらしい。
なんとなく親近感が湧く。
対するフェネックさんはアライさんよりは周りが見えるタイプなようだ。
(時々アライさんしか見えてない疑惑はあるが…)
なんにしても『いいコンビ』だと言えるだろう。
2人のことをそう分析していると・・・
フェネック
「アライさんはいつも『誰かのため』に動くからね~」
アライさん
「なんなのだ? 改めて・・・
でも、その通りなのだ。
フレンズのために粉骨砕身するのは当たり前なのだ。
パーク一の人気者としては」
フェネック
「ほんと、体張ってるよね~
誰もちやほやしてくれないけどさ~」
アライさん
「ふぇねっく~!?
それは言わない約束なのだ」
フェネック
「ヒトの国に良かれは他人のため非ず。 恩は着るもの着せぬものっていうのがあってね~
アライさんのためにあるような慣用句なんじゃないかなと思うよ~
報われてるようには見えないけどさ~」
アライさん
「アライさんはフェネックが居てくれればそれで十分報われているのだ」
かなりバカップルっぽいがお互いをリスペクトし合ってるのが伝わって、てぇてぇ気分になる。フェネック
「まあまあ。
慌てなくてもそのうちヨカレさんにも・・・」
そんなことを話していると山頂に到着した。
・・・しかし様子がおかしい。
山頂だけが、まるでスイッチが切り替わったかのように吹雪いているのだ。
フェネック
「あれ~ おかしいね~」
視線の先には人影・・・
いや、よく見るとその人物の周りでだけ吹雪いている。
アライさん
「お前は・・・!
なぜこんなところにお前がいるのだ?」
待ち構えていたのは吹雪を纏うように佇む、
本来ここには居るはずのないオジロスナギツネの姿だった。
6話 ~出会い3~に続く
先行きが気になるのだ
もどかしいのだ~
ふふ… ( ̄∀ ̄) 狙い通りですね
このために今週頑張ってここまで持ってきました
次の更新(明後日)までは悶々としておいて下さい
そこで一気に・・・と、誰かな? こんな時間に・・・
人影・・・な、何者なのだー!?
只者ではないですね、恐らく…
【よかれはひとのためあらず】
6話
アライさん
「お前は・・・!
なぜこんなところにお前がいるのだ?」
待ち構えていたのは吹雪を纏うように佇む、
本来ここには居るはずのないオジロスナギツネの姿だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
オジロスナギツネ(?)
「ねよすまりなくなが要必るすに気とろいろいうも、ばせ倒えさんさクッネェフ」
そう言ってファイティングポーズをとる。
アライさん
「な!
・・・なんて言ったのだ?」
フェネック
「・・・逆から読めばいいんじゃないかな~?」
アライさん
「えーと・・・ フ… ェ、ネ・・・」
ヨカレ「フェネックさんさえ倒せば、もういろいろと気にする必要がなくなりますよね、ですよ」
アライさん
「通訳ありがとうなのだ。
えっと…オジロスナギツネはそんなこと、たぶん言わないのだ!
つまりお前はニセモノのはず?なのだ!」👉
ヨカレ
「・・・」
フェネック
「う~ん、もしかしてセーバルと似た感じの
『外見をコピーするタイプのセルリアン』なのかな~?」
アライさん
「つまりセジロスナギツネなのだ?」
フェネック
「いやぁ~、そういう『原作』に居そうなネーミングはやめた方が・・・
あ、もしかしたら ホッキョクウサギや ケープライオンが言ってた
[しろすぎるひと]かな~?」
それを聞いていたのからなのか、偶然なのか、
[しろすぎるひと]を取り巻く吹雪が激しさを増したかと思うと今度はカニクイアライグマ?の姿に変わった。
「ーさのるなくなもとこるれわ違間ばせ倒をんさイラア」
アライさん
「う~・・・」
ヨカレ「アライさんさえ倒せば間違われることもなくなるのさー」
アライさん
「読みにくいのは何とかならないのだ?」
フェネック
「作者もなんとか『原作』に寄せようと、鏡文字のコピーを試みてみたけど上手くいかなかったみたいでさ~
そこは大目に見てあげようよ~」
メタ発言も甚だしかった。
[しろすぎるひと]
「ーさのいなくたき聞てんな訳い言いし々白
ーさのるけ付ロシロシろそろそ」
お話が終わるのを待っていてくれた[しろすぎるひと]だったが、ついに襲い掛かってくる。
ヨカレ
「白々しい言い訳なんて聞きたくないのさー
そろそろシロシロ付けるのさー
・・・か。 白すぎでしょ」
アライグマ
「もう通訳なんてしてる場合じゃないのだ!
フェネックと一緒に先に行け、なのだ!」
[しろすぎるひと]の攻撃を
体を張って食い止めマトモに食らいながらアライさんはそう言う。フェネック
「うん、ここはおまかせしたよ~
さあ行こうか、ヨカレさ~ん」」
フェネックも当たり前のようにアライさんを置いて先に進もうとする。
ヨカレ
「ちょ、ちょっと大丈夫なの!?」
フラグをダブルで立てられるとさすがに心配になる。
フェネック
「ゲームでも後発で出てくる亜種は上位互換、つまり私たちより格上って決まってるもんだよ~
ましてやケープライオンでも手こずった敵ポジションのキャラだからね~
たぶん2人掛かりでも厳しいと思うよ~」
ヨカレ
「だったら僕も・・・」
この際メタ発言には目を瞑ってそう提案する。
フェネック
「ヨカレさんだって戦闘向きじゃないでしょ~
アライさんじゃないけど『このフェネックさんにおまかせ』なのさ~
マトモにやりあって勝てないならココ、を使わないとね~」
トントンと自らのこめかみを指差す。
そしてスタスタと温泉管理施設に向かって歩いて行く。
終始押され気味のアライさんに後ろ髪を引かれながら、僕はフェネックさんに付いて行くしかなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フェネック
「まず、そっちの放水バルブを締めてくれる~?
次に元栓を締めてっと…」
フェネックさんはメモ用紙とにらめっこしながらテキパキと指示し、自らも操作する。
アライさん
「行かせない…のだ」
アライさんはボロボロになりながらも[しろすぎるひと]をこちらに近付けないよう食い止めている。
ヨカレ
「フェネックさん、アライさんが・・・」
僕はフェネックさんを手伝いながらアライさんの様子が気が気でない。
フェネック
「分かってるよ~」
そうは言うが、奥まった場所に居るフェネックさんからはアライさんの様子は見えないはずだ。
フェネック
「あとはこの震動センサーをリセット・・・
もうちょっとだけ地震は収まっててよ~」
実はさっきからひっきりなしに微震は起こっている。
そんな中、共同作業をするうちにフェネックさんの『狙い』はなんとなく察したが、
それはいろんな意味で一か八かの方法だ。
「ヨカレさん、私が合図をしたらお願い」
フェネックさんは給水用の元栓を開きながら言う。
ヨカレ
「あ・・・!」
アライさんが雪に足を取られバランスを崩す。
ここぞと[しろすぎるひと]が飛び掛かるが、
アライさんは体勢を立て直すのではなくあえて転ぶことで攻撃を躱す。
ホッとしたが、見ているこっちはヒヤヒヤものだ。
フェネック
「アライさんなら大丈夫だから、ヨカレさんはこっちに集中しててくれる~?」
2人の間で具体的な作戦の打ち合わせは一切されてはいない。
なのに、まるでリアルタイムで見ているかのようなフェネックさんのセリフ。
一方のアライさんも攻撃をわざと受けたり、受け流したりしながら
徐々にお温の放水口付近に[しろすぎるひと]を誘導している。
以心伝心とはこの2人のためにある言葉なのかもしれない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アライさん
「ぐにゅにゅ~」
今、アライさんと[しろすぎるひと]は向かい合ってそれぞれの右手と左手を握り合っている。
いわゆるプロレスの力比べ(手四つ)で組み合っている状態だ。
当然のことながら[しろすぎるひと]の方が押している。
一方のアライさんはブリッジの態勢でこらえてはいるが、水路に後頭部が押し付けられそうだ。
見ているこっちにも力が入る。
その瞬間 だ。
「今だよ!」
フェネックさんからの合図が出されたのは。
なまじ状況を把握していた僕は一瞬、躊躇してしまった。
当然反応は遅れてしまう。
次の瞬間アライさんは足を滑らせ、2人のパワーバランスが崩れた。
[しろすぎるひと]が前方につんのめるような体勢になったところに、
アライさんが巴投げを打ったような形になり、背中から水路の中に投げ出される。
ヨカレ
「あ・・・!」
慌ててバルブを開いたものの時すでに遅く、
お湯が来る前に[しろすぎるひと]は体勢を立て直して水路を脱出。
「待つのだ!」
それを追い掛けるように水路に踏み込んだアライさんをお湯が直撃。
「のだーーー!?」
そのままアライさんは流されていってしまった。
ヨカレ
「アワワワ…」
フェネック
「またやってしまったね~ アライさ~ん
でも最低限の仕事は果たせたんじゃないかな~」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
警戒を解いたフェネックさんに促されて外に出る。
[しろすぎるひと]は憑き物が落ちたように崖っぷちで呆然と突っ立っている。
フェネック
「どうやら魔力(?)は使い果たしたようだね~」
確かに、先ほどまで纏っていた吹雪が消えている。
つまり最初から時間稼ぎをして消耗させるのが目的だったのか・・・
「お湯は当てられたらラッキーくらいの作戦だったんだけどね~
それで倒せる保証も無いしさ~
限界まで闘えて満足もしたんじゃないかな~」
そうフェネックさんは見立てていたが、
しろすぎるひと
「いなせ出が雪吹
・・・いなれ帰うも」 ブツブツ…
一方の[しろすぎるひと]は途方に暮れているように見える。
「大丈夫?」
そう声を掛けようと近付きかけた瞬間、
🌋
どーーん!
音のした方を振り返るとサンドスター山が噴火(?)していた。
火柱こそ上がっていないが、虹色に輝くオーラが立ちのぼり、
小石やそれより大きめの火山弾のようなものが勢いよくどこかへ飛んで行ったりしている。
そして、この雪山にはダイヤモンドダストのようなものがキラキラ降り注いでいる。
フェネック
「ありゃ~ またやり直しだね~」
フェネックさんにとっては噴火は珍しいものでもないらしく、
お湯が振動で止まってしまったのを見て、温泉管理施設に戻ろうとする。
僕も手伝った方がいいのだろうか?
噴火の被害が今後どうなるかも気になるし、なにより[しろすぎるひと]の様子が気になるんだけど・・・
しかし、ある光景が目の端に入って来て思考は中断された。
そして次の瞬間には体の方が先に動いていた。
「危ない!」
そう叫ぶより先に[しろすぎるひと]の体を突き飛ばす。
崖下で雪崩が起こっていた。
[しろすぎるひと]の立っていた場所に倒れ込んだ形になった僕は、崩れた足場もろとも滑落する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
雪崩に巻き込まれながらも僕は、山頂の様子を窺う。(本当に見えていたのかどうかも疑わしいが)
[しろすぎるひと]はフェネックさんに羽交い絞めをされながら、
膝立ちでこっちを見ながら必死に手を伸ばそうとしている。
良かった・・・
無事を確認できた僕が意識を手放す寸前に見た光景は、
[しろすぎるひと]に虹色の火山灰が降り掛かり、
眩い光を放つ瞬間だった・・・
7話に続く
しろすぎるひとがフレンズ化するのだ・・・!
手に汗握るバトル!さすがのコチコチアライでも連れていかれるかと思いきや!
予想を覆す展開につづきが待ち遠しくなるのだ
>> 1122
もちろん、それだけで済むはずもなく・・・?
>> 1123
臨場感が伝わったようでなによりなのだ
そしてここから更にもうひと転がしするよ~
【よかれはひとのためあらず】
7話
「・・・ゃん」
誰かの声が聴こえる。
ハル
「よかれちゃん」
声の主は寝ぼけまなこの僕を心配そうに覗き込むハルちゃんだった。
ヨカレ
「おはよ」
ハル
「おはよ~
・・・顔色良くなったね。
よく眠れたからかな?」
ほっとした様子でそう言う。
やはり心配を掛けていたようだ。
ハル
「朝ご飯できてるから早く起きてね」
そういって部屋を出る。
ヨカレ
「夢、か・・・ なんか1週間くらい寝てた気がするけど。
それにしても懐かしい夢を見たな」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの後、雪崩に巻き込まれた僕は死を覚悟したが、
フェネックさんと麓の温泉旅館の従業員、計3人の捜索によりあっさりと救助された。
(探索の得意なフレンズなんだね)
ーと言っても発見時は低体温&昏睡状態で、かなり危なかったらしい。
そんな僕を彼女らは雑に温泉に放り込み、もう少しで息を吹き返す前に窒息するところだった。
溺れそうになりながら、なんとか湯船から這い出した僕を
[しろすぎるひと]はおろおろしながら心配そうに見ていた。
ちなみに、そんな騒ぎの中でもマイペースに湯船に浸かっていた常連客のカピバラさんは
「ゆっくりしていけばいいのににに…」
などと言っていた・・・
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一連の騒ぎがひと段落して落ち着きを取り戻した僕は、
[しろすぎるひと](今はアカギツネの姿をしている)と畳の部屋で並んで座っていた。
そこでギンギツネさんが出してくれた風呂上がりの牛乳を飲みながら聞くところによると、
新しく生まれたフレンズは皆[としょかん]の長に挨拶に行く、という慣習があるらしい。
UMA?である[しろすぎるひと]も例外ではないそうで、
その案内を僕にしてもらえないか、という話だった。
当然のことながら「なぜ僕が?」という疑問が浮かぶ。
それをぶつけてみると、
・カピバラさんはあくまでお客さんなので頼むわけにはいかない。
(それはそうか)
・ギンギツネさんとキタキツネさんは温泉施設での仕事がある。
(キタキツネさんは僕たちの話してる横でダラダラげぇむをしてたけど…?)
・アライさんとフェネックさんはすでに旅立ってしまって、すでに居ない。
(相変わらず鉄砲玉のようだ・・・)
ーということで僕にお鉢が回ってきたらしい。
それもフェネックさんからの推薦だと言うのだ。
僕になら任せて大丈夫さ~と太鼓判を押していったらしい。
買いかぶりすぎな気もするが、乗り掛かった舟だ。
僕はその任を受けることにした。
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ほどなくして僕たちは[としょかん]に出発することにした。
ギンギツネさんには簡単な地図と、
フェネックさんから託されたというメッセージを受け取った。
この時の僕にはまだピンと来ない話だったが、
アライさんとフェネックさんのような『素敵なコンビ』には憧れたし、
彼女らは今でも僕の目標だ。
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博士と助手が絵本片手に言うには[しろすぎるひと]の原作は
UMA(妖怪)の一種: 雪女の類ではないか、ということだった。
ただ、妖怪としてはまだ若い(幼い?)個体で、
「遊び相手」としてフレンズたちにちょっかいをかけていたのだろう、という見立てだった。
博士
「ところで、その姿はどうにかなりませんか?」
[しろすぎるひと]は、今はメンフクロウの姿をしている。
道中でも出会うフレンズ、声を掛けてくるフレンズに関連した姿を取っていたのだ。
(彼女なりのコミュニケーション手段なのかもしれない)
助手
「すでに実在するフレンズの姿をされると何かと混乱を招いてしまうのです」
そう言われた[しろすぎるひと]は並べられていた 絵本から一冊を手に取ると、
その表紙に描かれた『雪ん子』をカジュアルにしたような外見になった。
フレンズになってからはすっかり素直で従順になっている。
一言も喋ってないのは気になるけど・・・
(もともと人見知りな性格なんだろうか?)
博士
「いいでしょう。
ところで名前はどうします?」
助手
「シロスギルヒトは我々が勝手に付けたニックネームようなものですし、
その姿になったのならユキンコでもいいですし。
それとも原作準拠でユキオンナとかユキジョロウとか・・・?」
[しろすぎるひと]
「ヨカレに付けて欲しい」
ヨカレ
「・・・ふつうにしゃべったーー!?」
文字反転していなかったことで反応が遅れたが、いろんな意味で驚かされた。
博士
「ほう…」
助手
「われわれ長を差し置いてのご指名ですよ。
さぞセンスの良い名前を付けてやるんでしょうね?」
プライドを刺激されたのか目を細めながらチクチク煽ってくる。
それを差し引いても大役であることには違いない。
・・・
しばし考える。
・・・!
つい最近まで住んでいたちほーに伝わるなぞなぞが頭に浮かんだ。
3話のラスト付近に出てきた「吹雪がやんだら何になる?」というものだ。
僕は彼女に『ハル』と名付けた。
8話に続く
予想を超えた展開で未知の世界を進んでいく面白さがあるのだ
ハルちゃんがヨカレのご飯を作ってる!意外過ぎて笑ってしまったのだ
しろすぎるひとの本能である[向こう側に連れて帰る]が
フレンズ化して消えてるのか一時的に忘れているだけなのかが今後気になるところ
ハルちゃん誕生につながるとは意外過ぎる展開なのだ
それが二次創作を読む醍醐味なのかも?想像 しながら創らせてもらってますw
こちらも反応を
ハルちゃんが生まれたのだー!
ヨカレくんのところにも長い冬を越えて遂に『ハル』が来た瞬間ですね
【よかれはひとのためあらず】
8話
フレンズ化したことで寒さにある程度の耐性が付いているとは言っても元は雪の妖怪だ。
そう考えると住むに適しているのは[ごっかんちほー]辺りではないか。
地図を広げ指し示した場所は、偶然にも僕が最初に仲間たちと居た町だった。
(そう言えば、やけに寒い土地だなぁとは思っていた)
博士と助手は当然のように「お前が送り届けてやるのです」と
要請命令すると僕らを追い出し、そそくさと出掛けて行った。
(早くしないとカフェの 限定クレープが売り切れてしまうのです、とかなんとか言ってた)
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無事[ごっかんちほー]に着いた後もいろいろあった。
ハルには社会常識や生活能力というものがまったく無かったからだ。
博士たちによるとフレンズには原作時代をはっきり憶えているタイプとそうでないタイプがいるそうで、
ハルは(変身能力以外)後者だったというのもある。
(覚えていたところでUMAの常識が通用するとも思えないが・・・)
必然的に僕が(放っておけない性格だったこともあり)何かと世話を焼くことになる。
そうこうするうちに一緒に暮らすまでになっていた。
なんとなく、流されるまま、という感じで始まったハルとの縁だったが、
仲間と一緒にいた頃には感じたことのない充実感に満ちていた。
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そんなある日のことだった。
ヨカレ
「真冬の楽団?」
ハル
「そう」
あと1週間で私たちが出会って1年になるから、と言い出したのはハルだった。
もうそんなになるのか・・・
僕の頭にはまったく無かったアニバーサリーを祝うために
どこからか(なぜかボカしてたのが気になるけど)コンサートチケットを手に入れた、とハルから聞いた時は
成長したもんだなぁ…と、しみじみしてしまった。
ヨカレ
「聞いたことないなぁ・・・有名なの?」
ハル
「それはもう!
結成3ヶ月で『あの芸―1グランプリ』に参加して優勝。それがマーゲイさんの目に留まってPPPのバックバンドに採用されて。その傍らでオリジナル曲を発表したらオリコン1位にまでなっちゃったの。すぐPPPの新曲に抜かれちゃったけどね」
ヨカレ
「そ、そう…」
ハルがオタク特有の早口みたいになってる・・・
(芸―1グランプリってのも初耳だし、オリコンのチェックもしていたとは!)
ハルの熱弁に圧倒されて、こっちは若干ゃ引き気味だった。
だけど・・・
ハル
「その真冬の楽団が凱旋公演をすることになったの。
もうすぐ結成1周年だしね」
僕たちも出会ってもうすぐ1年になるけど(偶然ってのはあるもんだ)、
そこまで何かに入れ込んでるハルちゃんを見るのは初めてで、とても新鮮だった。
ハル
「なんでも音楽を始めたのは、生みの親とお世話になった人に・・・」
ヨカレ
「わかったよ」
なんだか話が長くなりそうだったので、悪いとは思いつつ話を遮った。
ヨカレ
「必ずその時間は予定を空けとくから」
自分でも喋り過ぎたと思ったのか一瞬バツの悪い顔をしたが、すぐに気を取り直して
「うん、絶対だよ。
きっとヨカレちゃんもびっくりするよ」
ーと喋り過ぎた。
ヨカレ
「それ・・・言っちゃたらサプライズにならないんじゃない?」
ハル
「あ…」
1年付き合って気付いたことだが、ハルは少し(かなりの)イタズラ好きだ。
しかも、たまにシャレにならないレベルのものもあるので侮れない。
(原作だった頃の本能がうっかり顔を出しているのだろうか?)
しかしここは
「まあ、大抵のことじゃ驚いたりしないけどね。僕は」
ーと(そこはかとない不安を押し殺しながら)あえて強気な態度で受けて立ってみる。
「それでも、びっくりすると思うんだけどな・・・」
一方のハルは声こそ弱気だが、内容に関しての自信には揺るぎがないようだ。
お手柔らかにお願いします、と頼むんだったかと少しばかりの後悔をしながら、
せめて[ボギャー(>◇<)レベル]で済めばいいな、と思う僕であった・・・
この後、僕はハルがもたらした『思わぬ再会』を経て
[よかれはひとのためあらず]の真の意味を実感することになる。
ーとは言え、あまりのことに驚いてどんなシチュエーションでどんな話をしたかも覚えていない・・・
ので、読者の想像に任せたいと思う。
とりあえず彼女らとの後日談(一部前日譚)を置いておく。
[真冬の楽団シリーズ]
1話
2話
3話
4話
5話
6話
7話
次回、最終話!
ハルちゃんとヨカレ鳥は良い友達になったのだ
次回、真冬の楽団も出演して役者がそろうのだ
最終回も頑張ってくださいなのだ
ハルヨカレも『良いコンビ』だね!
最終回までもうひと踏ん張り!
ついに満を持して真冬の楽団が登場するのだ
出ないかと思ってたのでワクワクなのだ
そして最初はものすごい分量だなと思っていたのに
読みやすく改良してくれたおかげで
もう最終回!?と思ってしまうのだ
いやぁ〜、正直ものすごい分量ですよw
話を膨らませすぎたと反省してますのだ
(読みやすいと言ってくれたのはタスカル)
真冬の楽団×ヨカレにこれ以上踏み込まないのも
この物語のメインはあくまでハルヨカレ、ですから!
ーというわけで最終回はしっかり2人のエピソードで〆ます
【よかれはひとのためあらず】
最終話
ここまで長い回想に付き合ってもらったが、ようやく話は現在に戻る。
ハル
「…ちゃん、
・・・ちゃん!?」
ヨカレ
「あ、ごめん。 何?」
いかんいかん、考え事をしていたら朝ご飯とハルを目の前に、ぼ~っとしてしまった。
ハル
「もう。
顔色よくなったけど、何か『良いこと』でもあったのかな?って聞いたの!」
ーと、勢いよくフォークの先を人の眉間に向かって突き出しながら尋ねる。
話を聞いてなかったのは全面的に僕が悪いけど、目つきも相まってめちゃくちゃ怖いからやめなさい。
ハル
「それとも私の勘違い? まだどこか調子悪い?」
打って変わって心配げな顔になる。
これだかたら憎めないんだよなぁ…
ヨカレ
「そんなことないよ。
体調は元々悪くないし、気分がスッキリしたのは確かだし・・・
っていうかよく分かるね」
ハル
「まあね。 いつも一緒にいるからね」
いつかの(ギンギツネさんに託された)フェネックさんのメッセージが蘇る。
「ヨカレさんのことを分かってくれる人は、そのうちきっと現れると思うよ~
だから諦めずに頑張って~」
[僕のしてきたことには意味があったんじゃないだろうか?]
[僕がよかれと思ってしてきたことは・・・]
今ならそう思える…ような気がする。
ヨカレ
「良いことっていうか、改めて自分のするべきことが分かったというか・・・」
ハル
「ふ~ん?」
ヨカレ
「ハルちゃんは?
ハルちゃんの方こそ最近何か『良いこと』があったりしないの?」
ハル
「えぇ…? 良いこと?
うーん、そうだな・・・」
しばらく思案顔をしていたかと思うと目を輝かせてズイッ!と顔を近付ける。
僕が思わずのけぞると花が咲いたように屈託なく笑うと言った。
「ヨカレちゃんと出会えて・・・いつも一緒に居てくれること、かな?」
クリティカルヒットだった。
文字通り面食らってしまった僕は、思いっ切り顔を背ける。
ハル
「なんてね。
照れてる? あれ、よかれちゃん照れてる??」
ハルは右から左から僕の顔色を覗き込もうとステップを踏む。
さすが元[しろすぎるひと]だけあってフットワークが異様に軽い。
僕はフクロウ並み(?)の首の振りでハルから顔面をガードしながら
いつものように、と自分に言い聞かせながら、諭すような口調で反撃を試みる。
ヨカレ
「ほら、早く支度しないと。
真冬の楽団が待ってるよ」
保護者ムーブ?をかますことでなんとか場を濁そうとした・・・
ハル
「きゃー! もうこんな時間~
ってもう準備は3日前に出来てるよ。
ヨカレちゃんこそモタモタしてると置いてくよ?」
・・・が、向こうの方が1枚上手だった。
ヨカレ「わかったわかった。 すぐ用意するから」
(ホントは1週間前、ハルからこの話を聞いてすぐに準備は終わらせてるけど)
お茶目なノリツッコミを軽くあしらいながら僕も出掛ける用意をする。
・・・振りをする。
こうして、いつものように『どったんばったん大騒ぎ』のうちに2人の時間は過ぎてゆく・・・
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僕はこれからもよかれと思うことを迷うことなく、していくだろう。
ハルちゃんに『良いこと』が続くように、と・・・
【すぺしゃるさんくす】🙇♂️
ツッコミ隊長さん
お借りした作品:ハルとよかれ鳥シリーズ、しろすぎるひとシリーズ、真冬の楽団シリーズ
ふぉ~面白かったのだ!!
ハルちゃんしぐさがかわいくてたまら~んのだ
ほっこりさせていただきましたのだ☺
大長編おつかれさまでしたのだ
あらためてありがとうなのだ🤗
な、泣いてない…だと?(最終行の灰色文字)
ーというのは半分冗談として、最後までお読み頂きありがとうございました
「一番最初に思い付いて描きたかった」のは最後の2行だけだったんですが、
どうしてこうまで長くなってしまったのか・・・w
何はともあれ、ここまで辿り着けてことらもホッとしました
良い話だったのだ
ヨカレ鳥とハルちゃんの日々は続いていくのだ!
遅くなったけど完結おつかれさまでしたのだ~
こちらこそ
こんな長い話に最後まで付き合って頂いてありがとうございますm(ーー)m