【よかれはひとのためあらず】
7話
「・・・ゃん」
誰かの声が聴こえる。
ハル
「よかれちゃん」
声の主は寝ぼけまなこの僕を心配そうに覗き込むハルちゃんだった。
ヨカレ
「おはよ」
ハル
「おはよ~
・・・顔色良くなったね。
よく眠れたからかな?」
ほっとした様子でそう言う。
やはり心配を掛けていたようだ。
ハル
「朝ご飯できてるから早く起きてね」
そういって部屋を出る。
ヨカレ
「夢、か・・・ なんか1週間くらい寝てた気がするけど。
それにしても懐かしい夢を見たな」
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あの後、雪崩に巻き込まれた僕は死を覚悟したが、
フェネックさんと麓の温泉旅館の従業員、計3人の捜索によりあっさりと救助された。
(探索の得意なフレンズなんだね)
ーと言っても発見時は低体温&昏睡状態で、かなり危なかったらしい。
そんな僕を彼女らは雑に温泉に放り込み、もう少しで息を吹き返す前に窒息するところだった。
溺れそうになりながら、なんとか湯船から這い出した僕を
[しろすぎるひと]はおろおろしながら心配そうに見ていた。
ちなみに、そんな騒ぎの中でもマイペースに湯船に浸かっていた常連客のカピバラさんは
「ゆっくりしていけばいいのににに…」
などと言っていた・・・
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一連の騒ぎがひと段落して落ち着きを取り戻した僕は、
[しろすぎるひと](今はアカギツネの姿をしている)と畳の部屋で並んで座っていた。
そこでギンギツネさんが出してくれた風呂上がりの牛乳を飲みながら聞くところによると、
新しく生まれたフレンズは皆[としょかん]の長に挨拶に行く、という慣習があるらしい。
UMA?である[しろすぎるひと]も例外ではないそうで、
その案内を僕にしてもらえないか、という話だった。
当然のことながら「なぜ僕が?」という疑問が浮かぶ。
それをぶつけてみると、
・カピバラさんはあくまでお客さんなので頼むわけにはいかない。
(それはそうか)
・ギンギツネさんとキタキツネさんは温泉施設での仕事がある。
(キタキツネさんは僕たちの話してる横でダラダラげぇむをしてたけど…?)
・アライさんとフェネックさんはすでに旅立ってしまって、すでに居ない。
(相変わらず鉄砲玉のようだ・・・)
ーということで僕にお鉢が回ってきたらしい。
それもフェネックさんからの推薦だと言うのだ。
僕になら任せて大丈夫さ~と太鼓判を押していったらしい。
買いかぶりすぎな気もするが、乗り掛かった舟だ。
僕はその任を受けることにした。
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ほどなくして僕たちは[としょかん]に出発することにした。
ギンギツネさんには簡単な地図と、
フェネックさんから託されたというメッセージを受け取った。
この時の僕にはまだピンと来ない話だったが、
アライさんとフェネックさんのような『素敵なコンビ』には憧れたし、
彼女らは今でも僕の目標だ。
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博士と助手が絵本片手に言うには[しろすぎるひと]の原作は
UMA(妖怪)の一種: 雪女の類ではないか、ということだった。
ただ、妖怪としてはまだ若い(幼い?)個体で、
「遊び相手」としてフレンズたちにちょっかいをかけていたのだろう、という見立てだった。
博士
「ところで、その姿はどうにかなりませんか?」
[しろすぎるひと]は、今はメンフクロウの姿をしている。
道中でも出会うフレンズ、声を掛けてくるフレンズに関連した姿を取っていたのだ。
(彼女なりのコミュニケーション手段なのかもしれない)
助手
「すでに実在するフレンズの姿をされると何かと混乱を招いてしまうのです」
そう言われた[しろすぎるひと]は並べられていた 絵本から一冊を手に取ると、
その表紙に描かれた『雪ん子』をカジュアルにしたような外見になった。
フレンズになってからはすっかり素直で従順になっている。
一言も喋ってないのは気になるけど・・・
(もともと人見知りな性格なんだろうか?)
博士
「いいでしょう。
ところで名前はどうします?」
助手
「シロスギルヒトは我々が勝手に付けたニックネームようなものですし、
その姿になったのならユキンコでもいいですし。
それとも原作準拠でユキオンナとかユキジョロウとか・・・?」
[しろすぎるひと]
「ヨカレに付けて欲しい」
ヨカレ
「・・・ふつうにしゃべったーー!?」
文字反転していなかったことで反応が遅れたが、いろんな意味で驚かされた。
博士
「ほう…」
助手
「われわれ長を差し置いてのご指名ですよ。
さぞセンスの良い名前を付けてやるんでしょうね?」
プライドを刺激されたのか目を細めながらチクチク煽ってくる。
それを差し引いても大役であることには違いない。
・・・
しばし考える。
・・・!
つい最近まで住んでいたちほーに伝わるなぞなぞが頭に浮かんだ。
3話のラスト付近に出てきた「吹雪がやんだら何になる?」というものだ。
僕は彼女に『ハル』と名付けた。
8話に続く
予想を超えた展開で未知の世界を進んでいく面白さがあるのだ
ハルちゃんがヨカレのご飯を作ってる!意外過ぎて笑ってしまったのだ
しろすぎるひとの本能である[向こう側に連れて帰る]が
フレンズ化して消えてるのか一時的に忘れているだけなのかが今後気になるところ
ハルちゃん誕生につながるとは意外過ぎる展開なのだ
それが二次創作を読む醍醐味なのかも?想像 しながら創らせてもらってますw
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ハルちゃんが生まれたのだー!
ヨカレくんのところにも長い冬を越えて遂に『ハル』が来た瞬間ですね