【よかれはひとのためあらず】
8話
フレンズ化したことで寒さにある程度の耐性が付いているとは言っても元は雪の妖怪だ。
そう考えると住むに適しているのは[ごっかんちほー]辺りではないか。
地図を広げ指し示した場所は、偶然にも僕が最初に仲間たちと居た町だった。
(そう言えば、やけに寒い土地だなぁとは思っていた)
博士と助手は当然のように「お前が送り届けてやるのです」と要請 命令すると僕らを追い出し、
そそくさと出掛けて行った。
(早くしないとカフェの 限定クレープが売り切れてしまうのです、とかなんとか言ってた)
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無事[ごっかんちほー]に着いた後もいろいろあった。
ハルには社会常識や生活能力というものがまったく無かったからだ。
博士たちによるとフレンズには原作時代をはっきり憶えているタイプとそうでないタイプがいるそうで、
ハルは(変身能力以外)後者だったというのもある。
(覚えていたところでUMAの常識が通用するとも思えないが・・・)
必然的に僕が(放っておけない性格だったこともあり)何かと世話を焼くことになる。
そうこうするうちに一緒に暮らすまでになっていた。
なんとなく、流されるまま、という感じで始まったハルとの縁だったが、
仲間と一緒にいた頃には感じたことのない充実感に満ちていた。
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そんなある日のことだった。
ヨカレ
「真冬の楽団?」
ハル
「そう」
あと1週間で私たちが出会って1年になるから、と言い出したのはハルだった。
もうそんなになるのか・・・
僕の頭にはまったく無かったアニバーサリーを祝うために
どこからか(なぜかボカしてたのが気になるけど)コンサートチケットを手に入れた、とハルから聞いた時は
成長したもんだなぁ…と、しみじみしてしまった。
ヨカレ
「聞いたことないなぁ・・・有名なの?」
ハル
「それはもう!
結成3ヶ月で『あの芸―1グランプリ』に参加して優勝。それがマーゲイさんの目に留まってPPPのバックバンドに採用されて。その傍らでオリジナル曲を発表したらオリコン1位にまでなっちゃったの。すぐPPPの新曲に抜かれちゃったけどね」
ヨカレ
「そ、そう…」
ハルがオタク特有の早口みたいになってる・・・
(芸―1グランプリってのも初耳だし、オリコンのチェックもしていたとは!)
ハルの熱弁に圧倒されて、こっちは若干ゃ引き気味だった。
だけど・・・
ハル
「その真冬の楽団が凱旋公演をすることになったの。
もうすぐ結成1周年だしね」
僕たちも出会ってもうすぐ1年になるけど(偶然ってのはあるもんだ)、
そこまで何かに入れ込んでるハルちゃんを見るのは初めてで、とても新鮮だった。
ハル
「なんでも音楽を始めたのは、生みの親とお世話になった人に・・・」
ヨカレ
「わかったよ」
なんだか話が長くなりそうだったので、悪いとは思いつつ話を遮った。
ヨカレ
「必ずその時間は予定を空けとくから」
自分でも喋り過ぎたと思ったのか一瞬バツの悪い顔をしたが、すぐに気を取り直して
「うん、絶対だよ。
きっとヨカレちゃんもびっくりするよ」
ーと喋り過ぎた。
ヨカレ
「それ・・・言っちゃたらサプライズにならないんじゃない?」
ハル
「あ…」
1年付き合って気付いたことだが、ハルは少し(かなりの)イタズラ好きだ。
しかも、たまにシャレにならないレベルのものもあるので侮れない。
(原作だった頃の本能がうっかり顔を出しているのだろうか?)
しかしここは
「まあ、大抵のことじゃ驚いたりしないけどね。僕は」
ーと(そこはかとない不安を押し殺しながら)あえて強気な態度で受けて立ってみる。
「それでも、びっくりすると思うんだけどな・・・」
一方のハルは声こそ弱気だが、内容に関しての自信には揺るぎがないようだ。
お手柔らかにお願いします、と頼むんだったかと少しばかりの後悔をしながら、
せめて[ボギャー(>◇<)レベル]で済めばいいな、と思う僕であった・・・
次回、最終話!
ハルちゃんとヨカレ鳥は良い友達になったのだ
次回、真冬の楽団も出演して役者がそろうのだ
最終回も頑張ってくださいなのだ
ハルヨカレも『良いコンビ』だね!
最終回までもうひと踏ん張り!
ついに満を持して真冬の楽団が登場するのだ
出ないかと思ってたのでワクワクなのだ
そして最初はものすごい分量だなと思っていたのに
読みやすく改良してくれたおかげで
もう最終回!?と思ってしまうのだ
いやぁ〜、正直ものすごい分量ですよw
話を膨らませすぎたと反省してますのだ
(読みやすいと言ってくれたのはタスカル)
真冬の楽団×ヨカレにこれ以上踏み込まないのも
この物語のメインはあくまでハルヨカレ、ですから!
ーというわけで最終回はしっかり2人のエピソードで〆ます