【よかれはひとのためあらず】
5話
前回の砂漠化はバンク演出 瞬間的なものだったらしく、今は元の銀世界に戻っている。
互いに自己紹介を済ませた後、2人に話を聞いたところによると・・・
・カニクイアライグマ・オジロスナギツネと交代する形で探検隊から外れる
(最近、労基の指導が入ったせいでシフト制になったそうだ)
→有休消化のために温泉に訪れたが、突然お湯が止まる
→常連客も困っている
→従業員に掛け合うも
「じきに(ゲームの)タイムイベントが始まるのでそれが終わるまで待って欲しい」と断られる
→そんなの待ってられないから自分が行く、とアライさんが申し出る
→もう1人の従業員(どうやらこちらは責任者ポジらしい)が
「装備を整えないと危ない。 今から準備するから」と言われるが、話半分で飛び出してしまう
→案の定遭難し、たまたま見つけたかまくらで雪がやむのを待っていたら寝てしまった
ーということらしい。
僕は僕で事情を説明。
特にかまくらには避難のために侵入したこと、
入り口を塞いだことに悪意は無かったことを熱弁した。
必死過ぎて逆に怪しまれそうなくらいに・・・
対する2人の反応は拍子抜けするくらいあっさりしたものだった。
「こうやって行き違いにならずに合流できたんだから、むしろお手柄だよ~」
「フェネックの言う通り結果オーライというやつなのだ」
えぇ… ポジティブシンキング過ぎない?
フェネック
「もしかして、アライさんを助けて恩を売ろうとした~?
それとも人命救助でジャパリ警察に表彰されるためなのかな~?
そうじゃないよね~」
アライさん
「アライさんが寒そうにしてたから・・・さっきそう言ってたのだ」
ヨカレ
「そ、そうなんだけど・・・」
自分を断罪したいのか弁護したいのか、よく分からなくなってきた。
フェネック
「・・・
じゃあさ、罪滅ぼしってわけじゃないけど、一緒に行って手伝ってくれないかな~?」
ヨカレ
「え? 温泉施設の修理を?」
かえって足を引っ張ったりしないだろうか?
アライさん
「それは名案なのだ。
旅は道連れ余は情けねぇ、というのだ」
フェネック
「アライさ~ん、自己紹介乙だね~」
アライさん
「ふぇねっく~!?
いつものように訂正ツッコミしてもらわないとアライさん渾身のボケが台無しなのだ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
町に帰ったところでコレといってすることも無い(あばら家の様子は気になったけど)、
というのもあって僕も同行することになった。
3人で山頂の温泉管理施設に向かう。
今は吹雪もやんでいて、フェネックさんが従業員から借りたという携帯カイロもあってヌクヌクだ。
ズズ…
ヨカレ・フェネック
「!」
アライさん
「? どうしたのだ?」
ヨカレ
「今、なんか… 揺れなかった?」
この頃には2人のやりとりと人となりに感化され、いつの間にかすっかり打ち解けていた。
フェネック
「そうだね~ 地磁気の乱れも気になるね~
そろそろサンドスター山の噴火も近いのかもしれないね~」
フェネックの見やる方につられて目を向けると、不可思議な山がそびえていた。
アライさん
「じゃあ、また仲間が増えるかもしれないのだ?
どんなフレンズなのか楽しみなのだ」
そんな呑気なことを言ってる場合だろうか?
地震と言えば雪崩の心配が付き物だし、噴火と言えば被害の程度は想像も付かない。
ただ、彼女らが仲間を大事に思う人たちだ、ということは伝わってきて好感が持てる。
フェネック
「お湯が止まる前も地震があったしね~」
アライさん
「そうだったのだ? ぜんぜん気が付かなかったのだ」
フェネック
「結構揺れたと思うけどね~
装置が止まったのも地震を感知して自動停止したんだろうって言ってたし」
アライさん
「そんなこと言ってたのだ?」
どうやらアライさんは後先考えずに動くタイプらしい。
なんとなく親近感が湧く。
対するフェネックさんはアライさんよりは周りが見えるタイプなようだ。
(時々アライさんしか見えてない疑惑はあるが…)
なんにしても『いいコンビ』だと言えるだろう。
2人のことをそう分析していると・・・
フェネック
「アライさんはいつも『誰かのため』に動くからね~」
アライさん
「なんなのだ? 改めて・・・
でも、その通りなのだ。
フレンズのために粉骨砕身するのは当たり前なのだ。
パーク一の人気者としては」
フェネック
「ほんと、体張ってるよね~
誰もちやほやしてくれないけどさ~」
アライさん
「ふぇねっく~!?
それは言わない約束なのだ」
フェネック
「ヒトの国に良かれは他人のため非ず。 恩は着るもの着せぬものっていうのがあってね~
アライさんのためにあるような慣用句なんじゃないかなと思うよ~
報われてるようには見えないけどさ~」
アライさん
「アライさんはフェネックが居てくれればそれで十分報われているのだ」
かなりバカップルっぽいが お互いをリスペクトし合ってるのが伝わって、てぇてぇ気分になる。
フェネック
「まあまあ。
慌てなくてもそのうちヨカレさんにも・・・」
そんなことを話していると山頂に到着した。
・・・しかし様子がおかしい。
山頂だけが、まるでスイッチが切り替わったかのように吹雪いているのだ。
フェネック
「あれ~ おかしいね~」
視線の先には人影・・・
いや、よく見るとその人物の周りでだけ吹雪いている。
アライさん
「お前は・・・!
なぜこんなところにお前がいるのだ?」
待ち構えていたのは吹雪を纏うように佇む、
本来ここには居るはずのないオジロスナギツネの姿だった。
6話 ~出会い3~に続く
先行きが気になるのだ
もどかしいのだ~
ふふ… ( ̄∀ ̄) 狙い通りですね
このために今週頑張ってここまで持ってきました
次の更新(明後日)までは悶々としておいて下さい
そこで一気に・・・と、誰かな? こんな時間に・・・
人影・・・な、何者なのだー!?
只者ではないですね、恐らく…