昨日見た月は双子星だったか

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ちょこん(FLO) 2018/11/06 (火) 02:33:52

03-06 少し整理しないか?

 俺の置かれている立場といい、登場人物といい、話が進んでいるようで全く進んでいない気がするんだ。

 もう一度話を整理しよう。

 先ず、女の声でクイズ。ハズレ。炎?に包まれ意識を失う。

 次に、状況を説明と言う名のキャラ登場回。おとさん、しんちゃん。

 んで、ナビキャラの絹枝が登場。

 後、ガチが来て移動手段確保。

 俺の目的は、この世界で自分の体を取り戻し、元の世界へ戻ること。

 倒した敵は、トカゲ1体。

 タンパクでもいい肉をゲット。

 なんちゃら兄弟、寿司職人、味噌職人、エジソン。

 召喚で、商人夫妻を撃破。召喚って俺の役に立つもののハズだよな……

 死角にしか存在出来ない高僧が登場?いや見えないところにいるのだから登場も何もないが。

 召喚は後9回。
 使えそうなSRアイテムは小鳥の羽。だがこれまでの流れからみるとあまり期待できない、期待しちゃいけない気がする。

 ガチャはワールを倒すと手に入れることが出来るリングを使用し、現在の残45R。

 アイテムは融合(鋼っぽい錬金)が出来る。まだ試していない。

─────────────────

「なあ。これってさ……」
「どれのことさ」
「これまでの話とか経緯とかのことだけど……」
「うん」

 人物?を出演させたいがための前フリのような……

「あながち間違いじゃないかも知れません」
「ガチは何か知ってるのか?」
「いいえ。ですが、この話の裏側にいる存在は、もしかしたら何も考えていないのかも、そんな気がします」

 俺もそんな気がするんだ。
 このまま話を進めていけば、おそらくアイツとアイツ、あの子が登場すると思うんだよ。
 ただ、それがこれまでと同じなのか、急展開が待ち受けているのか、どっちでも同じような気もするがね。

「ですが、目的を見失ってはいけません」
「そうだな。心してかかるようにするよ」

 今のところ、諸々著作や権利にひっかかっているところは無いはずなので、これまで通り、まったり瞬殺を繰り返していけばいいはずだ。

「おっちゃん。疲れてるね」
「ああ。色々と溜まってるからな。あと猿は見たくない」
「サル?」

 気にしないでくれ。
 後、皆、運営を責めないでやってほしい。彼らは上からの命令を聞いているだけなんだ。
 無い知恵を絞って、俺のガチャを爆死に導くだけの存在なんだ……

「おっちゃん、疲れてるね」

──────────────
ガチャ爆死のちょこん先生に励ましのお便りを出そう!

40
ちょこん(FLO) 2018/11/05 (月) 14:30:28

03-05 召喚獣との戦い

 結論だけ言おう。奴は瞬殺だった。

「ぐふっ、俺は非課金勢の中でさい……じゃ……」
「あなたーーー!」

 トラトラの姿がゆっくりと薄くなっていく。

「あなたっ!明日は子どもの……運動……かい……」

 少し遅れて南ちゃんの姿も消えていく。

─────────────

「あいつらは一体なんだったんだ」
「召喚獣でしょ?」

 いやそれにしたって、商人としても戦闘員としても使えなかったじゃないか。
 レベルとかあるんだろうか?育てる必要があるとか?

 うーんわからんことだらけだな。

「ひっそり」

 ん?

「絹枝なんか言ったか?」
「ううん、何も言ってないよ」
「ガチか?」
「いえ、私も何も」

 気のせいか。まあいいや。

 しかし、現状召喚獣があのレベルだと困ったな。
 数対程度のワールなら俺一人でもなんとかなりそうだが、十や百の単位になった時はどうにもならん。

「まったり」

 ん?

「絹枝、ガチ、何か言った?」
「いや何も言ってないって」
「同じく」
「ガチ、ワールの反応はあるか?」
「ありません」

 そうか、やっぱり気のせいか。うん、気にしないようにしよう。

「てっきり」

 なんだろう、死角に潜む坊さんがいる気がする。

「ばっちり」

 いや、もうそろそろこの回の行数もないから。

「どっきり」

 だから、もう行数がないんだってば。

「がっかり」

彼の正体は?そしてまだ見ぬ新キャラは一体?

39
ちょこん(FLO) 2018/11/05 (月) 14:30:08

03-04 召喚!

 さて、本線から外れると全く話が進まなくなるので、召喚だ。

「それではこれより、召喚の儀式にうつりたいと思います」
「何する気?」
「生贄を捧げますか。絹枝さんでいいですね」

 ガチ。R-12にしたいんだ。あまり過激にしないで欲しい。
 出来れば夏休みの課題図書にしたいんだ。よろしくな!

「いや、たぶんアイテムから召喚の素を選べばいいだけだろ」

 実行あるのみです。頭の中で一連の流れを実行します。

『召喚の素を一つ消費し、召喚します』

────────────

 なんのタイムラグもなく、俺の目の前には一組の男女がいる。

「殲滅だ!」
「どうもはじめまして」

 物騒な方が男、真面目な方が女。

「はじめまして。ちょこんと言うが、君たちは?」
「殲滅だ!」
「私たちは商いをしながら旅をしている夫婦です」
「殲滅(ゴン!)……痛っ」
「この度は召喚いただきありがとうございました」

 おう、女の方はいたって真面目だ。これまでの登場人物の中では一番まともなようだ。

「いえいえ、こちらこそこんなところまでお越しいただきありがとうございます。
 んで、何を扱っていらっしゃる?」

「はい、主に医療機器の部品を取り扱っております」
「医療機器?そんなもんここにはないが?」
「えっ……じゃぁ何故読んだのですか?」

 いや、召喚の素を使ったからなんだが。

「ちなみに、二人は戦闘力ある方?」
「殲滅(ゴン)」
「主人はともかく私は皆無です」
「ふむ。御主人はどれくらい強いの?」

 事と次第によっては戦闘時に旦那の方だけ呼出してもいいな。

「詳しくは分かりませんが、非課金勢では無敵だと叫んでおります」
「ほう。ならば一度手合わせしてみてもいいかな?」
「俺様に敵うとでも言うのかい?」

「お、口だけは一丁前だな。軽くやろう。奥さん名前は?」
「私は南と書いてナンと読みます」
「そうか、んで御主人の方は?」
「俺の名はトランスファータイガー、略してトラトラだ」

 うん。戦争は終わったんだよ。暗号は筒抜けだったんだよ。

「好きなタイミングでかかって来ていいぞ」

 奴の動きを見極めよう。
 非課金勢の中の無敵というのがどれくらいなのか知っておきたいからな。
 一撃くらいは覚悟しなきゃならんか……

38
ちょこん(FLO) 2018/11/04 (日) 02:47:52

03-03 ガチャは楽しい

「前フリはいらん、11連だ!」
「何か話しを早く進める必要があるわけ?」

 決して新キャラ投入を急いでいるわけじゃない、わけじゃないのだよ絹枝さん。
 11連をプッシュ!!さあ来い!

────────────

 よっしゃー!ガチの時と同じ演出だぞ!SR確定だ!

『空き缶アルミ』
『ペットボトルのフタ』
『SR 猫缶×10』
『使用済み単三電池』
『トイレットペーパー』
『古新聞』
『コンビニ袋』
『お買物券×10』
『SR 召喚の素×10』
『軍手・右』
『SR 小鳥の羽』

「SRが3つもある!3つだぞ!」
「へー」

 この野郎(ry
 猫缶は今のところ使い道がないから保留だな。

「組み合わせるとエチケット袋とかできそうだが、今はSRだ!」

 召喚の素と小鳥の羽か。召喚の素はなんとなく予想はつくが、小鳥の羽ってなんだ?
 しかも一つしかない。これの検証も後回しだな。

「聞いて驚け、見て叫べ!召喚の素を使います!」
「おっなんだろね」

 でどうやって使うの?アイテムとしてドロップしてないが。

「おっちゃん、メニューのアイテムにあるんじゃない?」

 おお、今まで全く触れてなかった「アイテム」メニューか!
 よしアイテムメニューオープン!

───────
アイテムメニュー
───────
所持アイテム一覧
アイテム収容
アイテム融合
アイテム破棄
───────

 一覧、収容も破棄もわかるが、「融合」ってなんだ?

「絹枝、ガチ。アイテムメニューの融合って何?」
「知らない」
「錬金みたいなものではないのでしょうか」

 錬金!そうか「鋼」っちゃえばいいのか!
 よし、失敗しても絹枝が全身鎧になるだけだからな。俺は一向にかまわない。

「おっちゃん、なんか悪い事考えてるでしょ?」

 お前なんか知らん!早く元気だせ!
 いつまでもくよくよしてるんじゃない!

そんなシーンはなかったがな。

37
ちょこん(FLO) 2018/11/04 (日) 02:30:59

03-02 ワール三兄弟の正体

「俺の名は寿司職人だ」
「私は味噌職人よ」
「僕はエジソン」

 三兄弟なら職人で揃えろよ……

「んで、どうあっても戦うのか?」
「その為に俺たちはここにきたんだ」
「今更命乞いかしら?」
「僕はエジソン」

 弟よ、お前もアホキャラだったんだな。
 あと、味噌職人、君はそんな子じゃないはずだ。いや何のアレもないんだが、なんとなくな。

「気はすすまないが、仕方ないな」

 俺が元の世界に戻るため(ガチャを引きたい)、それが世界を守る(ガチャを引かせてくれ)ためなら、止むを得まい。

「ガチャの為にしね」
「え?」

 二人の兄弟は瞬殺だった。
 味噌職人はわずかに残った意識で最期の言葉を吐く。

「来週はヒラメを釣りに……彼……ぴっぴ……」

 謎の言葉を吐いて事切れた。
 俺だって釣りに行きたい。だから許さない。許せない。

「お疲れ様でした」
「弱かったね」
「ああ、こんなもんなら楽勝だが、後味は良くないな」

 仕方ない(ガチャのため)、仕方ないんだ(欲望を満たすため)。

「欲望ダダ漏れだよ?」
「リングを確認されてはいかがですか」

 ふふふ。言われんでもメニューは出す!

───────
ガチャメニュー
───────
所持リング  145R
シングルガチャ 10R
11連ガチャ  100R
SR確定ガチャ 250R
???
───────

 おおおおお!100も上がったぞ!そして「???」があいたぞ!

「SR確定ガチャだと」
「SRって?」
「おそらくスーパーレアだと思うんだ」
「私もSRですよ」

 なんだって!ガチはSRだったのか!10Rで引けたなんて奇跡じゃないか!
 そして新たな「???」とな!

「引きたいんでしょ?」

 うーむ、悩む!悩むぞ!(引くけど)
 11連もあれば、1回はSRが出そうな気がする、いやきっと出る、来る!

次回はガチャ回だ!

36
ちょこん(FLO) 2018/11/04 (日) 02:18:27

第3章 奪取
03-01 ワールは語る

「ちょこさん、進路上にワールの反応です」
「来たか!」
「今度は三体ですが、どうしますか?」

 三体か。俺一人では手に余るが、どうすっかな。

「あたしは戦闘力皆無だからね」
「魔法的な何かでバババンと倒せないか?」
「無理無理。物理の方が確実って言ったでしょ」

 絹枝が頭数から外れると、残るはガチか。

「一応防衛システムはありますが、殲滅するほどの火力はありません。あくまで防御特化です」
「あらん。しゃーなし。やりますかね」
「おっちゃん死なないでね」

 死んでる場合じゃないしな。先ずは敵を見定めなきゃならんが……

「ガチ、ワールの映像って拡大できるか?」
「お待ちください……モニターに出します」

 お、フロントガラスの半面がモニターになってるのか。
 んで、どんな敵だ?

「人型やね」
「人型です」
「人型か……」

 トカゲはまだしも、人型はなー。抵抗あるな。
 まあそんなことも言ってられんか。

「話しが通じるならいいが」
「どうでしょう」
「まあ出てみるよ。二人は後方待機ね。危なくなったら拾ってくれ」
「かしこまりました」

 よし、いくか。

 ──────────

 三体の人型は、正に人だった。
 うー、できれば戦いたくないが、ガチがワールって言っている以上、敵なんだよな。

「お前ら話しは通じるか?」
「貴様の名を言え」
「俺の名はちょこん、お前たちは誰だ?」

 とりあえず言葉は通じたが、さて。

「我らは風の三兄弟。略して「風ブラザース妹もいるよ」だ」
「略の方が長いぞ」
「うるさい!默りなさい」

 妹と呼ばれた子はだいぶ勝気だな。

「俺の名は教えたんだ、お前たちも名乘ったらどうだ?」
「……」
「じゃないと、墓標に名を刻めないだろ」
「この野郎!」
「まあまあ兄さん落ちついて」
「そうよ、こんな奴なんてワンパンなんだから」

 長男はアホなんだな。

次回新キャラの正体が明らかに!

35
ちょこん(FLO) 2018/11/02 (金) 16:26:52

予告

次回いよいよ、あの人が登場!
あの人って誰だ?
私も知りません。
乞うご期待!

ちょこん先生に励ましのコメントを送ろう!
雑記にドシドシ書き込んでね!

ワールのキャラ、モデル大募集!
君が考えたワールが物語に登場するかも!
こちらも雑記に書き込んでね

34
ちょこん(FLO) 2018/11/02 (金) 07:21:47

02-19 そろそろ第3章の前フリを

 飯も食った。リングも手に入れた。とりあえず今できるのは前に進むことだけだな。
(章タイトル回収)

「おっちゃんはたまに自分の世界に行ったきりになるよね」
「……一人の時間が長い奴は皆そうなんだよ」
「可哀想だね」

 うっさいわボケ。

「さて、ガチ。ワールの反応はあるか?」
「今感知できる範囲にはありません」
「おっけー。絹枝さん進行方向を教えてくれ」
「あ、ガチのナビに登録してあるよ」

 GPSもないのに、ナビなんか動作するんかい?

「ちっさいビーコンをバラまいているから、三点なんちゃらでいけるんだってよ」
「三点なんちゃらではありませんが、位置情報を把握するビーコンを撒いています」
「ほぇー」
「使い捨てのバッテリーを内蔵しているビーコンですので、長期の使用はできませんが、距離を稼ぐことができれば、問題ありません」

 そんなもんなのか。まあよくわからんが迷わずにすむならね。
 なんせ、道もない大地だからな。

「んじゃ、ワールに警戒しながら進んでくれさい」
「かしこまりました。自動運転を行いますので、ちょこんさんは寛いでいらしてください」

 移動をガチにまかせて俺は今後のことについて考える。

 俺の体を手に入れる。元の世界に戻る。

 てか俺の体を手に入れるって、今のこの俺は一体なんなんだ?
 精神体?幽体?
 いやでも肉体あるような気がするよ?熱いとか美味いとか五感あるっぽいし。

 そもそも罰ゲームといって俺をこの世界に送り込んだあの声は何者なんだ?
 クイズ?がヒントなんだろうか。
 いや、あれはクイズの正解を求められていた感じじゃなかった気がする。

 そもそもあいつは敵なのか?敵?敵ってなんだ?
 敵とか味方とか、そういう区分なんだろうか?

 あと、次回あたりで新キャラ登場しそうな気がするよ?

33
ちょこん(FLO) 2018/11/02 (金) 07:05:52

02-18 料理シーンは最初からない

「さて、そんなに疲れてはいないが少し休みたいな。
 そしてお決まりのグルメシーンだ!」
「そんな決まりはありませんよ」

 ノリの悪いキャンピングカーなんかフロントガラスにヒビが入ればいいんだ。

「トカゲなんて食べられるの?おっちゃん試食してね」
「試食というか毒見だろ、それ」

 お前らもう少し俺を労わったっていいんじゃないか?

「とりあえず車内でお休みください」
「そだね、料理もよろしくね」

 よし、料理シーンだ!んなわけあるか!
 数分クッキングと同じ状態で、出来上がったものがこちらになります。

「おほほ。おいしそうだな」
「そう?あたしは遠慮しておくよ」
「私は食べられませんので」

 連れない奴らだ。お前らになんかやるかい!

「あち!あつ!うま!マジうまいっす」
「……じゅる」
「いや、ほんと、マジで、うまいっす」
「くれ。くれさい。お願い」

 あれ?絹枝は食べなくてもよかったんだよね?栄養は俺のオーラ的なものを勝手に摂取だったよね?

「それはそれ。これはこれ。ちょっとちょーだい」
「おう、俺は優しいからな」
「い、いただきます」

 食うがいいさ。大してうまくもないから……

「え?微妙?これがうまいって、ちょこんさん貧乏舌?」
「ふふふ。俺だけ食べるのはイヤだからな。お前を巻き込んだ」
「ちっ」

 そりゃそうだ。食用に飼育された家畜ならともかく、野性の生き物でしかもとかげだぞ?
 ささみっぽい感じもしなくはないが、めちゃくちゃうまいなんてそんな都合のいいことがあるかい。

「……そうだね。あたしはもうこれいいや」

 贅沢なやつだ。

「ちょこんさん」
「なした?ガチ」
「生命の種はどうしましたか?」

 あ。そうだ。ガチャのリングは生命の種からゲットできるんだった。

「いや、倒してゲットできたのは肉だけだったような?」
「ガチャのメニューは御覧になられましたか?」

 おう!そうだ。ガチャメニュー表示!

───────
ガチャメニュー
───────
所持リング   45R
シングルガチャ 10R
11連ガチャ  100R
未公開
───────

 おおおおお!増えてる!5増?15増?元はいくつだったっけ?
 細かいことは気にしちゃいけないんだよ。えへへ

32
ちょこん(FLO) 2018/10/31 (水) 19:38:11

02-17 戦闘シーンの描写は今後かかない

 軽くすぶりをしていると、砂煙をあげたワールが近づいてくる。
 うひゃードキドキするね。ジビエって言われても、狩猟経験もなければ、剣道も合気道もない。

「うし、やっか」

 片手剣を構えてワールの動きを見つめる。

「シャーッ」
「とかげ……か?」

 体高は2メートルぐらいか。俺より少し上に頭がある。でけえな。
 さて、どこを狙うべきか。つか、片手剣だと間合いが近すぎて奴の攻撃があたる可能性があるぞ。

「ギャシャーッ」

 大口をあけて向かってくる。
 奴の手は短いから、主な攻撃は噛みつきか?尻尾か?どちらにせよ予備動作があるはず。

 俺を見定めた奴は頭を少し後ろに引く。
 噛みつきで決定だな。
 前後の直線の動きを見据えて、左右に動きたい。

「ほれ来い!」
「グァァァ」

 なんとかギリでかわし、後ろ向きの奴に向かって思い切り片手剣を振り下ろす。

「やったか?」

 フラグ立ててやったぞ!ほれ!ほれ!立ち上がって向かってこい!

「グゥゥ……ウゥ……」

 あら、あっけないのね。
 奴は俺をにらみながら、二度と立ち上がることはなかった。

『シュシュシュー』

 はうあ!なんだ!変身か?第二形態か!

『とかげ肉20キロ』

 まさかのアイテムドロップ!

「おっちゃんお疲れー」
「おう、かっこよかっただろ。惚れるなよ?」
「大丈夫ー惚れないから」

 この超絶美少女もどきめ!
 さて、これが自給自足って意味なのか。

「てかさ、こんなに弱いの?」
「ちょこんさん、怪我はありませんか?」
「お、ガチ、外でも話せるんだな」
「はい、スピーカーもついてますし、所有者登録している方には一定の範囲であれば通信が可能です」
「ちょっと便利だな。
 んでガチよ、これが世界の悪性腫瘍なのか?弱すぎない?」
「ワールにも種類がありますし、どの世界からくるかによっても違うのでしょう。
 また、アイテムドロップについては、その片手剣の機能と思われます」

 ほほう。鑑定とかのスキルがあればこの片手剣の仕様が見られるんだがな。
 だが、当面の動物性タンパクは手に入れた。
 タンパクでもいい、逞しく育ってやるぞ。

31
ちょこん(FLO) 2018/10/31 (水) 06:08:12

02-16 ガチの思惑

「なあガチ子」

 ちょこんさんが飛び出した後、車内に残った絹枝さんが話しかけてきました。

「なんでしょう絹枝さん」
「なんかよそよそしいな、その呼び方」
「ではなんとお呼びすればよいですか?」
「絹たんって呼んでくれへんか?」
「畏まりました」

 絹枝さんが人間かどうかはわかりませんが、二足歩行して話すことができれば人間として扱います。

「ガチ子は、どっちや?」

 いきなり核心をついてきます。

「どっちと言うのは?」
「とぼけないでええで。ここには敵か味方かしかおらん」
「ちょこんさんの立場から見てですか?それとも絹たんからですか?」
「その言い方の時点で、ガチ子は敵じゃないって思ってええのかな?」

 ちょっと卑怯な言い回しです。絹枝さんはちょっと可愛いからって何でも許されると思っているのでしょうか。

「私はちょこんさんの役に立つ為に召喚されました。ですのでちょこんさんの味方です」
「ほーん。そういう言い方で逃げるのね?」
「逃げてはいません。絹たんこそご自身の立場を明らかにされてませんね」
「アタシはアタシの為にここにいるの」

 答えになってません。わかって言ってるのでしょう。

「では聞き方を変えましょう。ちょこんさんを殺すおつもりですか」
「いや、おっちゃんは殺さない。殺させない」
「では?」
「共闘せえへんか?」

 あくまでも自分の立場を明らかにしたくないようです。

「それがちょこんさんの為になるのなら手を結びましょう」
「ほなら、いつまで一緒におられるかわからんが、その時まで仲良くしよな」
「はい」

 私の中の警戒プログラムは、絹枝さんに対して警告を発しています。
 ですが、ちょこんさんに害をなさないなら、共闘も止むを得ません。今は少しでも成功の確率を上げなければならないからです。

「あとな、その喋り方やめて欲しいわ」
「わかりました。きぬたん、きぬたん!これからよろしくね!」

「……ごめん、やっぱいいです」

 絹枝さん、いや絹枝、許すまじ。

30
ちょこん(FLO) 2018/10/31 (水) 05:53:34

02-15 初の戦闘シーンか?

「リングってどうやって手に入れればいいんだ?」
「召喚の為に必要なリングは生命の種から入手できます」
「生命の種?」
「はい、ちょこんさんに引き寄せられてこの世界に現れる生物は、基本的にちょこんさんを襲うようになっています」

 いやん。私タゲ集中なの?

「あまり詳細は説明できませんが、様々な世界の悪性腫瘍となる生物は、それぞれの世界で病や災害などの災いをもたらします。
 それらは本来、それぞれの世界で力を蓄え、猛威を振るい、またエネルギーを蓄えるために休眠し、未来永劫それを繰り返します」

 それって何?いやなんか怖いんですけど。

「世界を一つのシステムと考えるなら、それぞれの世界の進化や発展をうながすためのウイルスみたいなものと位置づけられます」
「ちょっと待って、それぞれの世界って言ってるけど並行世界なんだよね?
 それって可能性の世界なんじゃないのか?」

「……お答えできません」
「あら、ならしゃーないね。オケ。んではさ、その悪性腫瘍となる生物ってさ、その世界の住人にとっては災いだけど、世界の発展のためには必要悪なんじゃないの?」
「仰る通りです。ですがちょこんさんが元の世界に居ないことによって、世界の崩壊が近づいている今必要悪の有無は問われません。
 まずはクエストをクリアすること。これが最優先です」

 なるほど。崩壊しちゃったら意味ないもんな。
 というかさ、「悪性腫瘍となる生物」って長いし分かりづらいし、面倒だから名前つけようよ。ね?

「なんとなく理解した。んで、悪(性腫瘍となる生)物、略称ワール(悪物)はどこにいるの?」
「ワール……?止むを得ず名称登録します。
 ワールは時間経過によって、次々と召喚されてきます。
 早速現れました。東2キロの地点に一体、こちらへ向かってきます」

 うひょー。戦闘シーンだぞ!来るぞ!

「ちょこんさん、得物をお使いになられますか?」
「得物?ああ、片手剣か。これ以外はないからな。
 とりあえず俺が出る。絹枝、ガチは少し離れていてくれ」
「おっちゃん大丈夫?無理しないでね」
「おう!」

 車を飛び出し、得物を構える。2キロ先から来るワールを見る。
 遠いよね?2キロって。どれくらいのスピードでくるのか、到達予定を聞いておけばよかったな。

 少し素振りをしてみる。
 OH、重いのね。体力持つだろうか。
 なんかノリで飛び出したけど、防具もないし、ワールの情報もないのに、俺ってやっぱりアホなんだろうか。
 まあ、死なない程度にやってみますかね。

29
ちょこん(FLO) 2018/10/31 (水) 05:29:47

02-14 運営など存在しない

「ちょこんさん」
「ん?どうしたガチ?」
「運営なんてありませんよ?」
「エスパーめ」

 何故わかった?ガチャがある以上運営がいないと運営できないじゃないか。

「ガチャの説明はお聞きになられましたか?」
「いや、おとさんもせんちゃんも時間がないって言って説明しなかったからな」
「そうでしたか。ガチャの説明をさせていただいてもよろしいですか?」
「ガチ知ってるのか?頼むよ、教えてくれ」

 何故ガチャから出て来たアイテム?がそのシステムを理解しているかはわからないが、知ってることがあるなら教えて欲しい。
 というか、おとさん、せんちゃん、絹枝とガチ、何故皆理解しているんだろうか?
 俺だけ知らないのは何故だ?

「よろしいですか?お話ししますね。
 ガチャはちょこんさんのクエスト到達の為の補助機能です」
「クエスト?」
「はい。ちょこんさんはアレ(肉体)を取り戻し、元の世界へと帰るクエストに挑戦中です」
「割とフランクなノリなわけ?」
「いいえ。事は重大です。
 ですが、ちょこんさんのヘタレな心では、受け止められないでしょうから、わかりやすくお話しています」

 ヘタレって。否定は出来ないがもっとこうオブラートに包んでくれたっていいじゃな……
 ああ、こういうとこか。まあ助かるな。

「戻ってこられましたか?続けます。
 ちょこんさんが理解されている世界と、私や絹枝さんがいる世界は同じであって異なる世界です。
 通常は、それぞれの世界で何が起ころうとも干渉することはありませんが、ちょこんさんは別です。
 ちょこんさんの肉体が失われたままですと、私達の世界も滅びてしまいます」
「うん、そんな説明は受けたよ」
「何故か、という質問はしないでくださいね。お答えできないこともありますから。
 私は生物ではありませんが、意識、人格に似たものは持っています。また私の属する世界が滅びると、私の仲間たちもいなくなってしまいます。
 それはとても悲しいことだと思います」

 AIの仲間たちって同じ工場で生産されたものなんだろうか。それともAI独自のネットワークみたいなものなんだろうか。わからんが、それらが失われることが悲しいって感情を持つAIがいるんだな。いや成長すれば感情を手に入れるのは人間と同じなのか。

「人によって生み出された私たちの根底には、人と同じ思考ルーチンが含まれています。同時思考などによって埋没しがちですが、私も感情を持っていると思います。たとえそれが演算結果の一つだったとしても、私はこの思いを大切にしたいと思っています」

 なんだろう。これまで登場した中で一番まともな意見を言うのがAIだなんて。AIだからか。うん。これで脱線しがちな話しが少しでも前に進むはず!
 たのむぞガチ!

「会話が多いから、地の文を入れたいのはよくわかります。続けますね。
 ガチャは、ある存在が与えた機能です。
 この世界に引き寄せられる物と異なりガチャで召喚されたものはあなたの助けになります」
「おし!引きまくり確定だな!
 そうだ、大切な事を聞かなきゃならないんだ」

28
ちょこん(FLO) 2018/10/31 (水) 03:26:02

02-13 ネーミングセンスはない

「文句があるなら言ってみろ!」
「……」

 なんだ?俺に何を求めてる?商品名を考えるのはさんざんやって来たからな。フランス語とか英語とか造語とかもうそういうのは飽き飽きなんだ!

「宝くじの支援で贈られる車は宝くじ号だ。なのでガチャで手に入れた車だからガチ号で何の不都合もあるまい!」
「……良い名をありがとうございます」
「良い名なの?」

 簡単な名前ほど呼びやすく感情移入するんだぞ?君らはわかってないだけなんだ。賢明な諸君はわかるよね?判ってください。

「さて、ガチさん」
「はい」
「ガチ号よりはガチさんのがいいね」
「だろ?」
「運転回りを説明してくれ」

 俺はそんなに車に詳しいわけじゃないが、運転歴15年(詐称)なのでマニュアルもオッケーだ。速度違反で捕まったこともない。金免許だから安心して欲しい。

「操作系はお判りになりますか?」
「ちょいまってね」

 一通り確認する。うん、俺の知ってる車と変わりないな。いわゆるオートマ車だ。

「ギアが特殊?レンジがよくわからんが」

 パーキング、バック、ニュートラル、ドライブと思しきものの他に「F」「A」とある。

「Fはフルオートになります」
「おお、自動運転かしら」
「そうです」
「んじゃAは」
「攻撃モードです」

 アタックのAですか。そうですか。何と戦うんでしょうか。変形合体とかしちゃうんでしょうか。

「しません」
「ガチさんも超能力者だったか……」
「違います」

 さて、他のパネルも確認していこう。
 うん、なるほど。なんとなくわかったってことにしておく。

「ガチさん、燃料はどうするんだ?」
「自動で補給します」
「太陽光とか?」
「ゴミや排泄物を分解し、そこからエネルギーを取り出します」

 え?その設定は使っていいの?未来に戻ったりしない?

「空は飛べません。多少なら頑張ってみますが、乗り心地は保証しません」

 頑張らなくていいよ……

 よくわからんが、燃料切れの心配はないとのこと。ただし俺たちの不要なものや排泄物は出来るだけ回収したいらしい。

 勘のいい諸君なら気が付いたよね。
 そう、俺たちがいるこの世界は何もない世界だということ。
 だから、本来は何もあってはいけないんだってこと。
 ガチャは運営が操作してるんだってこと。

27
ちょこん(FLO) 2018/10/31 (水) 03:07:06

02-12 これは車だ!車だぞ!

「おっちゃんこっちは?」
「どれどれ」

 キッチンの更に奥には、少し狭いがシャワールームもついてる。

「これは体を洗う場所だ」
「へー。覗かないでね?」

 失礼な。俺は幼女嗜好もケモナー思想もない。
 いや、どちらも可愛いが、保護対象であってそういう癖はない。

「任せろ!俺はお前には欲情せん。浴場だけに。ぷぷぷ」
「……」

 きっと彼女は浴場という言葉を知らないから、俺の面白さを理解できないのだろう。
 誠に残念である。

「もうそろそろよろしいでしょうか」
「はい?」

 室内に先ほどのロボチックな声が響く。
 そういえば、所有者登録してから、カタカナ言葉じゃなくなったな。

「ちょこんさん。運転席へお越しください」

 声だけの存在って流行ってるの?作画も音入れも楽だろうな。

「とっととお越しください」
「はいすいません」

 この野郎。いや男じゃ(ry

「説明をしますので、運転席にお掛けください」
「はいよろしくお願いします」

 俺は大人だからな。先ずは話を聞いてからだ。
 その後たっぷり仕返ししてやるんだ。

「私はG社のT型です」

 G社?地球のメーカーじゃないのか?それとも俺の知らないカスタム専用の会社なんだろうか。

「よろしければ私に名前を付けてください」
「お、おう!」

 車に名前を付ける。君らは子どもじみた行為と思うだろう。
 だが、これは大事なことだ。なんたって愛着が湧くからな。

「何がいいかね?お前さんは女の子なの?」
「ちょこんさんが望むならガチムチの声にも変更可能です」
「いや、ちょっと、それは、う?ありなの?いやなしの方向でお願いします」

 きっとナビ機能もついてるんだろうし、ごっつい男の声で「次の信号を右です」とか言われても萌えんな。信号なんてないんだろうけどな。

「名前か、うーん」

 しばしシンキングタイム。ここは焦って変な名前をつけると後で悔いる羽目になるからな。慎重にいこう。

 ガチャで手に入れたキャンピングカー……

「よし、お前さんの名前が決まった」
「はい、お願いします」
「ガチ号だ」
「……」
「……」

 ガチ号も絹枝も沈黙を貫いている。

26
ちょこん(FLO) 2018/10/31 (水) 02:50:31

02-11 快適な空間を演出

「俺もお前なんか知らないぞ!」
「おっちゃん、モノと何張り合ってるのよ」

 いかんな。いつもの冷静な自分を取り戻さなきゃ。
 平常心。平常心。

「ショユウシャ トウロク シマスカ?」
「所有者登録?するする!」

 ガチャから出てきたんだから俺のだ!俺のだよね?

「完了しました。お入りください」
「はやっ!」

 所有者登録が終わったらしい。網膜とかオーラとか何かしら俺を識別するものをスキャンしたんだろう。そういうことにしておいてくれ。

 さてではお待たせしました!

「ちょこん選手の入場です!」
「いいから早く乗ろうよ」

 こういうのはね、雰囲気が大事なんだよ。
 いいよね。新しいモノって。古いのも味があって好きだけど。最初のこの瞬間がたまらないよね。

 ドアを開け、車内に入るとそこは……

「ほほう!」
「ほぇー」

 テーブルを挟み、ゆったりとは言えないが二人かけの椅子が並ぶ。
 いわゆる電車のボックス席ってやつだな。

 助手席の後ろから横向きのソファー。こちらは普通の電車と同じシートと思ってくれ。
 ただ、すわり心地は快適だぞ!

「お!キッチンを見ろ!」
「なになに?」

 コンロが三つある!狭いのに!三つあるよ!

「へー竈みたいなもん?」
「そうそう。こりゃパスタを茹でながら、ソース、副菜まで一片にできるぞ!」
「ふーん、おっちゃん料理出来るの?」
「おう。伊達に独り暮らしは長くないからな」

 神の舌を持つ俺は、グルメが高じて食べたものを自分で再現したくなった。
 だが、このお話はグルメシリーズではないため、恐らくは料理シーンもこだわりの調理法も一切出てこないんだろう。
 いや、かなり長くなるからそれはいいんだが……

「おっちゃん、また一人で考えごとしとるよ」
「いかん。色々妄想が捗ってしまった」

 キッチンをざっと説明すると、コンロにシンク、お?お湯まで出るのか!
 電子レンジに食洗機、冷蔵庫までついとる。
 本格的とまでは言わないが、ちょっと贅沢すぎないか?

「おっちゃん、これって何?」
「うぉぉぉ!」

 ありましたよ!至高の調味料シリーズが!いかーんまた長くなる。
 最低限とは言え味付けにはこれでこまらんぞ!

「絹枝」
「なに?」
「早く獲物を見つけよう!野菜も欲しい!米もだ!」

 冷蔵庫には要冷蔵の調味料以外何も入っていない。
 いや、マヨがあるから最悪これで死ぬことはない。
 え?死ぬことはあるって?いいえ、マヨこそ最強。これは譲れない!

 

25
ちょこん(FLO) 2018/10/30 (火) 14:42:02

02-10 オマエハダレダ

「え?この演出ちょっと大きくない?」
「ほんとだね、ここに居たら危ないんじゃない?」

 俺たちは慌てて金演出の範囲外へ退避する。
 やがて、演出はおさまり、ガチャの正体が判明する。

『キャンピングカー』

 出来ればこの二重括弧はだみ声で、ポケットから爆弾やドアを出す人の声で脳内再生いただきたい。

「おっちゃん何言ってるの?」
「気にするな」

 キャンピングカーだよ!移動が楽になるよ!楽ちんだよ!

「おっちゃんこれって乗り物なの?」
「おりょ?お前の世界に車とかないの?」
「車?なにそれ?」
「えー説明めんどい」

 とは言えわからないと話が進まないので説明したことにする。

「へー便利だね」
「おう!これさえあれば俺は無敵だ」
「へー無敵なんだ」
「いや、ちょっと盛った」
「へーアホだね」

 うっさいわ!ボケ!

「んで、これどうやって動かすの?」
「ふふふ。運転歴四半世紀以上の俺に任せろ!」
「おっちゃんに任せるのはいいけど、歳がバレるよ?」
「あっ」

 俺はピチピチの30代です。キャピ

「可愛くないよ」
「うっさいわ!ひつじ!」
「早くのせてよ」
「もけ!」

 ようこそマイカーへ!
 ボディ側面の乗り込み口に手をかける。

「痛っ!」

 何だ?何だ?笑ってはいけないのか?電気ビリビリ攻撃だぞ?

「オマエハダレダ」
「しゃべったよ!」
「お、おう」

 え?何?今時のキャンピングカーはAI搭載なの?
 てか、今時だったらカタカナはなくない?

「ウルサイ。オマエノ ナマエヲ イエ」
「個人認証か?おれの名は……ちょこんだ」
「チョ……コン……」

 考えてるのか?

「シラナイ」

24
ちょこん(FLO) 2018/10/30 (火) 14:31:32

02-09 引き際が肝心

「おっちゃんガチャってなにさ?」
「お?興味が出てきたか」

 俺は絹枝にとつとつとガチャの説明をする。

「ふーん面白そうだね」
「ああ、ただR(リング)を補充する手段がわからないと、今後の使い方が決められないんだ」

 残り40R。4回引くか、60Rを手に入れて11連を引くか。

「おっちゃん、この世界には何もないって言ったよね」
「ああ、俺とお前、空と大地しかないな」
「でも、おっちゃんはこの世界でアレを手に入れなきゃいけないんだよね」
「俺の体をアレ呼ばわりは心外だが、手に入れないと先に進めないな」
「んで、ご飯も食べなきゃいけないよね」

 ん?何もない世界、何もない?確かお嬢ちゃんたちがなんか言ってたような気がするが。

「ちょっとまて」
「どしたん?」

 何もない世界では俺は生きられないが、片手剣はある。バッグもある。ジビエは決まってる。今は何もない。今は?今は生き物はいないが、増えてくるって言ってたな?

「俺ってさ、磁石扱いだったよな?」
「磁石かどうかは知らないけど」

 俺のところに引き寄せられる。俺が長くこの世界にいるとやばい。

「そうか。わかった」
「なにが?」

 東へ進む。アレ(俺の体)を見つける。元の世界へ戻る。時間をかけちゃまずい。

「よし、ガチャ引くぞ!」
「どうしてそうなったかわからないけど、引くがいいさ!」

 決してガチャを引きたい言い訳を探していたわけじゃないぞ!
 そうだ、前に進むために必要な行為なんだ!
 そうだ、そうだ!やっちゃえちょこちゃん!

「だれと話してるのさ?」
「う、うるさい!」

 さあ引くぞ!ポチっとな。

 …………

 おおおおおおお!金色っぽいぞ!
 俺の周囲のもや?は黄色からやがて眩しいくらいの輝きを放ち、黄金色の演出にかわっていく!
 これは期待できるぞ!こい!こい!

 次回新キャラが!

23
ちょこん(FLO) 2018/10/30 (火) 00:07:30

02-08 お約束は破るためのもの

 よし。メニューからガチャ表示だ!

───────
ガチャメニュー
───────
所持リング   50R
シングルガチャ 10R
11連ガチャ  100R
未公開
───────

 リングってなんじゃろ?ただ、ガチャの消費数っぽいところと共通の「R」がついてるってことは「R=リング」なんだろうな。

「絹枝さんや。君のところの通貨の単位は?」
「エーンだよ」

 これまた微妙に日本と似てるな。

「リングって知ってるか?」
「いあ知らない」

 ふむ、これはこのシステムの単位なのかな?それともおとさん、せんちゃんの世界の単位なのかな。わからん。

 わからんが、所持リングよりも多い11連がある。更に未公開もある。ってことはどこかでリングを補充できるんだろうか。

 いや、そんなまさか、課金じゃないよな?

「絹枝さんや」
「なーに?」
「お金持ってる?」
「ない」

 むむむ。俺もないな。この世界には何もないよな。
 ぐぬぬ。どうする俺!ひくべきか?ひくべきだ!

 どのみち11連は引けない。いつかリングを補充できるかも知れないが、補充できないかも知れない。ならば迷うことはない!

「一回ひきまーす!」
「何を?」
「ガチャだ!えい!」

 お?お?おおお!
 目の前にそれっぽい演出が繰り広げられる!
 蒸気?白い煙り?え?白って……

『ティッシュ』

 ……ちょっと鼻かみたいと思ってたんだ。
 というか、ティッシュって、ねえティッシュって……

「紙だね。よかったね。おしりふけるね」
「おう、これ欲しかったんだ」

 ちょっと涙が出て来た。
 新キャラまだかな。

22
ちょこん(FLO) 2018/10/29 (月) 23:52:09

02-07 最近物忘れがひどい

 体感で一時間ぐらいだろうか、ひたすら歩く。絹枝は何を目印にしているかわからないが、振り返って足跡を見ると正しく直線になっているので、根拠はあるのだろう。

 何か忘れているような気がして、しばらく考えながら歩いていると、

「思い出した」
「なにを思い出したの?」

 メニューだ。すっかり頭から抜けてた。

 よし、メニュー!

───────
ステータス 表示
アイテム  表示
ガチャ   表示
───────

「絹枝、メニューって知ってるか?」
「うん。知ってるよ。それがどうしたの?」

 ほう。絹枝も知ってるのか。

「これってどう使うんだ?」
「あたしにはおっちゃんのメニューは見えないよ」
「そんなもんなの?」
「そんなもんだよ」

 おとさん、せんちゃんは見えていたような気がするが……

「なあ、ステータス、アイテム、ガチャってお前もあるの?」
「ガチャはない。その変わりスキルがあるよ」
「おおおお!スキル」
「な、なに?その反応は?」
「スキルはええな」
「そう?別にメニューから使うわけじゃないから」

 そんなもんなのかしら。まあいちいちメニュー呼び出して使ってたらいざってとき困るよな。いざ?いざ?って何だ?戦闘?危機?

「スキルってさ、戦闘とか危機の回避に使えるの?」
「使えなくもないけど、普通に物理で闘ったり、防いだりした方が確実じゃない?」

 もしかしてだけど、このメニューってただ単に記録みたいなもんなのか?

「ステータスとかさ、スキルって自分の状態を知るためのものだったりする?」
「他に何があるのさ」

 ……そうだよな。異世界モノでもステータスは現在の状態の確認だよな。
 だがな、俺にはガチャがある!(アイテムもあるが)

「絹枝よ。ガチャって知ってるか?」
「知ってるよ。ガチャガチャでしょ?」
「お前の知ってるのと、俺の知ってるのとでは違うような気もするが、きっとこれは素晴らしいものなんだ!」
「ふーんよかったね。ほじほじ」

 この野郎。いや女の子だから野郎はないか。このまあまあ美少女め!

「まあいい。ちょっと休憩しよう」
「うーん、いいよ」

 お待たせしました次回はいよいよガチャの時間です!

21
ちょこん(FLO) 2018/10/29 (月) 23:51:35

02-06 目が覚めた

 緊張のせいだろう。何度か目が覚めたが、少し眠ったおかげで心も休めたようだ。

 見回してみると360度地平線ばかり。
 建物や山に囲まれて育ったせいか、これだけ広々としたところに置かれると自分の存在がちっぽけに感じてくる。

「おはよう絹枝」
「おっちゃんおはよう」

 絹枝は自身で言っていた通り、寝ずに起きていたようだ。

「先ずは顔あらいなさいよ」
「どうやって?」
「手を出して」

 両手を前に出すと、何もない空間から水が落ちてくる。

「おっと、これってどこから出したんだ?」
「気にしないでいいよ、顔あらっちゃいなよ」
「お、おう」

 YOUと言われそうだが、気にせず顔を洗い、口をすすぐ。

「あー冷たいな。雪解け水みたいだけど?」
「おっちゃんは気にしないでいいんだよ」
「んーそうか」

 食事か、まだバッグに何か入ってるかな。

「なんも、ないか」
「自給自足だね」
「と言われてもな……」

 何もないんだ。見渡す限り何もない。生き物も植物も山もない。海も湖も川もない。

「飯は出せないんだよな?」
「うん。出せなくもないけどおっちゃんが食べられるかどうかもわからないし、素直に獲物を探した方がよいよ」
「しゃーないな」

 東へ進むんだな。東ってどっち?

「絹枝さん。どっちへ進めばいいんだ?」
「んとね、あっちに向かって進んで」
「あっちねぇ」

 絹枝が指差した方にも、何もない。目印もない。

「心配しないでいいよ。ご飯もすぐとは言わないけど、あっちにあるから。多分」
「多分って……」

 とは言え闇雲に間違った方へ進むよりは、絹枝が示す方に進む方がまだマシなような気がする。

 あまりない荷物だが、バッグに仕舞い俺たちは歩き始めた。

20
ちょこん(FLO) 2018/10/28 (日) 09:30:47

02-05 絹枝の事情

 絹枝の情事とか勘違いしたあんたは朝起きたときに眼鏡が見つからなければいいのに。

 絹枝です。
 この世界に来る前は普通の酪農家の一人娘でした。
 特別な技能も知識もありません。

 ですが、私はこの世界に来る前に説明を受けました。

 女の人の声で、ちょこんのおっちゃんのこと、並行世界のこと、魔法のことなど、それまで知らなかったことばかりで、少し混乱しましたがその女の人は私がわかるまでじっくり説明してくれました。

 話しの内容は理解できましたが、納得できたかと言うとそれはまた別のお話しです。

 だって、酪農家の娘が何の助けもなく、見知らぬおっちゃんを導けと言われても、はいそうですかといって出来るものではありません。

 むしろ巻き込まないで欲しくないくらいです。

 ただ、その女の人はやりたくないなら断ってもよいと言ってくれました。

 悪い人には思えなかったので、しばらく考えた末にやることにしました。

 メリットは何もない、むしろ失敗すれば帰ってこれなくなると説明も受けました。

 家族に会えなくなるのは寂しいけれど、でも私が手伝うことで誰かが助かるならやってみたいと思いました。

 そしてこの世界に連れてこられました。

 おっちゃんは見た目はちょっと怖いけど、言葉遣いはかなり悪いけど、態度は横柄だけど、私のことをしっかりと見てくれました。

 見ず知らずの私を見て、人間とはちょっと違う私を受け入れてくれました。

 会話の流れには出て来ませんでしたけど、ずっと私を気遣ってくれていました。

 おっちゃんは私以上にお人好しなんだと思います。

 今も少し寝ては起きて私のことを心配しているようです。

 そんなおっちゃんを少しだけ可愛いと思ったのは内緒です。

 だけど私は目的があります。おっちゃんを助けるだけじゃなく、この世界でやらなきゃいけないことがあります。

 お人好しのおっちゃんを騙すことになりますが、これは私に与えられた権利です。

 最後にどんな答えが出るかわかりませんが、できればおっちゃんと笑ってお別れできるといいな。

19
ちょこん(FLO) 2018/10/28 (日) 08:11:42

02-04 それとも寝る?

「例えばさ、銀河の中にある惑星からその銀河の全容を知るのは無理だよね?」
「全く無理ではないんだろうが、今の科学では知りえないな」
「理論が確立されても物理的に無理ってのはあるじゃない?」
「そっか?そんなこともないと思うぞ?」
「そう?」
「理論的には観測できるだろ」
「ああ、理論的にはね」
「……」
「……」

※難しい話しが続きますが、書いている本人もよく判ってないのでご安心ください。

「んで、それと魔法となんの関係があるんだ?」
「いやあんまりないんだけどさ」
「おい」
「なんか話しの流れ的な?」
「もういいです……」

 つまり魔法は地球の人間が曖昧に認識している「勘」のようなものを研ぎ澄ませた結果使えるものだそうだ。

 ってことは俺も使える?

「いや無理じゃない?」
「なんでさ」
「赤ちゃんにいきなり100メートルを9秒台で走れって言っても無理でしょ?」
「そりゃそうだ」
「そういうことだよ」

 使えないらしい。でも、頑張ればいけるよね。こいつがなんと言おうといつかきっと絶対必ず使ってやるんだ!そう心に決めるちょこんであった。

「まあ頑張りなよ」
「おう!」

 さて、補給も済ませ、魔法の事も知り得た。この次ぎはどうすっかな?

「寝るか進むかしかないよな」
「そうね、あたしとしては寝る方をおすすめするけどね」
「その理由は?」
「あたしのエネルギーはおっちゃんから摂取してるので、早いとこ回復してもらった方がうれしいね。あと、つまんないボケかましたら痛い目みせるからね」

 牽制されてしまったでござるの巻。

「わかった、寝る。だが、このまま寝て大丈夫か?襲われたりしない?」
「あたしが襲う訳ないでしょ。他の生物的なものなら大丈夫じゃない?」
「なぜわかる?」
「見える範囲には生物もいないし、いたとしても近付けばわかるからおっちゃんを叩き起こせばいいし」
「うーんあんまり目覚めてすぐ動くのは避けたいんだが」
「贅沢言わないでね」
「まあ話しているよりはとっとと寝た方がいいな」

 絹枝がいることで安心したんだろうな。俺はそのまま地べたに横たわり眠りについた。

「おっちゃんおやすみね」

18
ちょこん(FLO) 2018/10/28 (日) 01:02:40

02-03 理解した

「一人でしかめっ面して、頭打ったりしたん?」
「してません。考え事してました」
「あっそう。ほじほじ」

 俺のことは検討はついた。だが今は考えないでおこう。決して検討がついたフリをして先延ばししているわけじゃないからな。

「地球からじゃないとするとどこから来たんだ?」
「うーん、説明しづらいけど、地球みたいな惑星からきたんだ」
「よくわからんが、並行世界の地球ってことかな」
「大体あってると思うよ」

 ヒツジのくせに並行世界とかよく知ってるな。でもさ、こいつ出てきたときに変な事いってなかったか?たしか……

「なあライトって魔法じゃないのか?」
「そうだよ?」
「魔法って、MPとかSPとか使って攻撃したり、防御したりパルなんちゃらしたりする奴だよな?」
「パルなんちゃらは知らんけど、体力を削って放つね」

 体力?体力ってHPとかじゃないのか?

「おっちゃんが言ってるのはゲームの話しじゃない?」
「そ、そうだな」
「これってゲームじゃないよ?」
「お、おう知ってる」

 本当にゲームじゃないのか?声だけの存在とか、テレパシー的な何かとか、ワープっぽいのとか、おかしくないか?
 もしかして俺が知らないだけで、実はそれがデフォなのか?

「おっちゃん。並行世界の理論はおっちゃんの地球以外では普通に知られているんだよ」
「そうなの?地球だけ知られてないの?」
「知られてないわけじゃないでしょ。ただ学問として確立してないし、証明もされてないから認められてないだけで、理論は知ってるでしょ?」
「そうだな。SFとかでも良く出るし、ひも理論とか多次元とか普通に研究されてるもんな」
「マルチバース理論ね」

 ユニバース。一つの宇宙に対して、複数の宇宙を表わすマルチバースか。

「おっちゃんも知ってるじゃん。それは地球以外では常識なの」
「へぇ……」
「別に地球が遅れてるってわけじゃないんだよ?」
「なら何故?」
「地球が特別というか、おっちゃんがいるからだよ」
「俺がいるから……そうか」

 俺は先ほど思いたった理論のもう一つの鍵を手に入れたようだ。

17
ちょこん(FLO) 2018/10/28 (日) 01:01:40

02-02 理解しかける

「ほいお待たせ」
「いいよ。少し落ち着いたかな」
「ああ。んでお前は何者なの?絹枝って名前といい、人間……なのか?」

 二本足で立つヒツジに人間の顔の絹枝の種族が気になる。

「おっちゃんはさ、地球から来たんだよね?」
「ああ、地球だな」
「あたしは地球から来たんじゃないんだよね」
「どういうことだ?」

 不思議生物なのか?いやでもおとさん、せんちゃんの説明ではそんなこと言ってなかった気がするが。いや、アイツらまともな説明なんかしなかったな。

『死にたいの?』

 え?え?せんちゃんの声だよな?

『いつもそばにいるわよ』
『そうですよ。絹枝さんだけじゃなく私達もいますよ』

 え?でも音声じゃないよね。
 テレパシー的ななにかかしら。

『どちらかと言うと骨伝導の方が近いかも知れないですね』
『なんでもいいじゃない、話しができればそれで』

 これはきっとあれだな、絹枝がドジっ子でフォローが必要な時や、話しが進まない時のアクセント用に残しておこうっていう魂胆だな。

『誰の魂胆なんでしょうね?』

 それは、あれだよ、もう一人のちょこんさんだよ。

『あなたは一人しかいないのよ』

 はいキタこれ。最初の方の話と今の言葉で凡そ検討はついた。

「俺は一人しかいないんだな?」
「おっちゃんいきなり何言ってんの?」

 あら、絹枝には二人の声が聞こえていないっぽい。

『そういうことです。絹枝さんにはこの声は聞こえません』

 その意味がわからんが、まあいいだろう。

『じゃぁまたね』

 中途半端すぎやしませんか?

16
ちょこん(FLO) 2018/10/28 (日) 00:12:38

連載再開します。ちょこん先生に励ましのコメントを書こう!
──────────────────────

第2章 前進

02-01 迎合する

「意味わかって使ってるの?おっちゃん」
「ああ、ネットで調べたことがあるからな」
「ふーん。ほじほじ」
「おい、何してるん」
「別にー?」

 お前は生意気女優か?

「んで、どうすればいいんだ」
「色々疲れたでしょ?先ずは補給したら?」

 言われてみれば、そんなに時間は経ってないものの精神的にはだいぶ疲れてるな。
 その証拠に声しか聞こえない存在相手に会話してたもんな。

「ああ、あたしの姿見せなきゃね」

 そう言うと絹枝の姿が現れてくる。

「ん?お?ひつじ?」
「そうだメェー」

 ぎゃぴーはどこに行った?

「うっさいおっちゃん少し黙って」
「お、おう」

 着ぐるみなのか、獣人?っぽいのか、とにかく二本足で立つ羊の顔だけ人類だな。
 まぁ顔は超絶美少女とは言わないが、そこそこ可愛い。

「そこそこじゃないよ。美少女だよ」
「そうですね」

 身長は150センチぐらいだろうか、俺よりも頭一つ分以上小さい。うん、可愛いな。

「よし、可愛いと認めるなら許す」

 許されたよ。
 バッグの中身を見てみるかね。

「お、いいもの発見」
「なになに?」

 コンビニのおにぎりとペットボトルのお茶だ。二本ずつあるがこれって……

「あたしは食べないよ?食べなくても大丈夫な身体だから」
「お前はバクか?」
「夢なんて食べられないでしょ」
「知らんが、お前回復はどうするんだ?」

 俺はジビエだとしても、ガイドキャラの絹枝の補給も必要になるだろう。

「あたしはおっちゃんのエネルギーを横取りするから大丈夫」
「そ、それって……ぽっ」
「おっちゃん、R指定はナシだからね」

 ちっ。

「説明は難しいけど、オーラ的な?」
「俺は黄色系の服を着るべきかしら?それとも殉教しなきゃならんのか?」
「くだらない事言ってないで、早く食べなよ」

 絹枝がオーラ的な言ったんだよな。乘っかっただけだよな。損したな。ちきしょう。

 満腹とまではいかないが、おにぎりとお茶で一息つく。

 あー煙草吸いたいな。

15
ちょこん(FLO) 2018/10/27 (土) 16:21:50

01-16 そして伝説へ

 いやこのタイミングで伝説になると終わっちゃうから。

 さて、お嬢ちゃんたちは元々声しか聞こえてなかったので、居なくなったかどうかわからんが、消えたっぽいな。勘だけどね。

 月の出る方を目指せと言われたが、よくよく考えれば月は昇れば沈むもんだ。
 今は天頂に近いところにある。

「暗くてよくわからんが、山とか目印になる森なんかもないから、月が昇っちまうとわからんわな」

 地べたに寝るのもなんだが、軽く目を瞑るくらいはしても大丈夫だろ?何せ俺以外の生き物がいないって言うんだから、襲われることもあるまい。

 この場で胡坐をかき荷物の確認でもしようかね。ただ明るさが足りないんだよね。こう暗いとアイテムを見分けるのもうまくいかんな。

「そんな時はライトの魔法ギャピー」
「ぎゃ?ぴい?」
「そうギャピー」
「よく見えないんだがお前は誰だ?」
「菌類の妖精、絹枝ギャピー」

 絹枝?日本人?んでギャピー?

「細かいところは突っ込まなくていいよ?おっちゃん」
「おい、語尾は演技か?」
「演技とかじゃないから。キャラ付けとかでもないから」
「ほう。わかった。とりあえずスルーしてやる」
「おっちゃんありがと」

 若いとは言わないが、おっちゃん呼ばわりは……まあいっか。

「あきらめは肝心だよ」
「そうだな。拘りは重要だが、固執しちゃいけないな」
「そうギャピー」
「お前もキャラ付けしなくてもいいぞ?所謂ガイドキャラだろ、お前?」
「ガイドキャラとかよくわからないよ?あたしはあたしだから」

 タイミング的に新キャラだからこの子?を連れて旅をするパターンとみた。

「旅は一緒にするよ?」
「なんだ、お前も心の中を読める系か?」
「いあ、読めないよ?顔に出てるよ?」

 がびーん。俺ってそんなに単純な奴だったのか。

「はい可愛そうだね。てかさ、もうそろそろなんじゃない?」
「え?何が?」

 そう、第1章はここで終わるのであった。

─────────────────
作者取材のためしばらく休載いたします。
ちょこん先生にはげましのコメントをかこう!
コメントの宛先は、雑記のパート3?にお願いします。

14
ちょこん(FLO) 2018/10/27 (土) 16:21:38

01-15 説明回は飽きたってば

「よろしくね」

 なんだ?巻きで進める必要があるのか?次のキャラを出さなきゃいけない都合とかあるのか?

「……」

 説明しよう。
 食事はなんとかなるようだ。
 睡眠は試してみろとのこと。
 もう一つの方はこの状況でやれるもんならやってみろとのこと。
 いや、出来ると思うぞ?男は馬鹿だからな。

 だが、そんな事に時間を使ってる暇もないっぽいらしい。

 そんなこんなで……

「はい、もう一つおまけです」

 何もない空間から少し大きめのバッグが出てきた。
 どんな形状でどれだけ入るかは皆さんの好きなイメージでよろしく頼む。
 俺はコンビニとかでも売ってる、書籍のおまけという名の背負えるバッグをイメージしてる。いや、実際目の前にあるんだがな。

「その中にアイテムが入っています」
「おお!ありがたい!」
「当然ですが、消費すれば無くなりますので、必要なものは自分で補給してくださいね」
「後ね、あなたが期待しているようなバッグじゃないから」

 収納容量無限とか時間停止とか重量軽減とか、そういうのじゃないっぽい……

「当り前でしょ?あなたの世界にそんなものあった?」
「いやないが、こういう流れだとそんな特典もあったっていいじゃないか」
「ラノベの読みすぎね。中身は後で確認しなさい」

 読みすぎてるんだろうか?普通の文学も嗜んでいるから大丈夫とは思うが、感化されてるのだろうか?

「じゃあ時間です」
「また会えるといいわね」
「え?もう会えないの?」
「あなた次第よ」

 ふむ。まあ最初の女が言った罰ゲームが気になるが、とりあえず二人は味方っぽいのでまた会いたいな。

「あ」
「あ」
「ん?」

 なんか忘れてたっぽい「あ」だぞ。

「いえいえそんなことはありませんよ(アセアセ」
「そ、そうよ(ダラダラ」
「おい?」

 これ絶対忘れてたやつや。

「じゃ、じゃあお元気で!」
「が、頑張りなさい……」
「おい?」

13
ちょこん(FLO) 2018/10/27 (土) 10:20:12

01-14 目指すのはどこだ

「今は生き物はいないけど、時を追うごとに増えていくわよ」
「どういうことだ?」
「あなたがこの世界に来たことによって、他の並行世界から様々なものがここへ来るの」

 なんだろう、俺ってすごく磁石チックな重力っぽい存在なんだろうか。

「詳しくは説明しないし、そんな時間もないから省くわ」
「お、おう」
「今は月の出る方へ向かいなさい」
「東ってことでいいのか?」

 天才なのに馬鹿な漫画じゃなければ月は東から昇るよな。

「……また長くなるわよ?」

 すみません。

「月の出る方向に行けば色々わかるから」
「わかった」

 わかったが、最初の片手剣とかどうすればいいんだろう。というか、水とか飯とか寝るところとか、どうすればいいんだ?

「要るの?それ?」
「え?要らないの?俺人間辞めさせられたの?」
「いいえ、ちょこんさんは人間ですよ」
「なら三大欲求は満たさにゃならんだろう」

 食欲、睡眠欲、海水浴だよな。

「おやじギャグは恥ずかしいわよ?」

 こういった小ネタはさまないと読者は離れていくんだぞ?

「いいかしら?」
「はい。すんませんでした」

 理不尽。

「食事は自分で確保なさい」
「確保とな?」
「ええ、その為の片手剣よ」

 おおう、ジビエコースっぽいな。というか片手剣で解体とかできるのか?そもそも解体なんてしたことないぞ?

「大丈夫ですよ」

 おとさん。君は大丈夫しか言ってない気がするぞ?

「……嫌われますよ?」

 まずいな。若い子に嫌われるとお茶に雑巾の搾り汁とかいれられちゃうからな。自粛しよう。

「解体の心配は不要ですよ。嫌でもわかるので今は話を進めましょうね」
「わかったよ」

 んで次はなんだ?

12
ちょこん(FLO) 2018/10/27 (土) 09:59:35

01-13 説明回は飽きた

 もういい加減説明回はあきたので、彼女たちの話を要約しよう。

 俺元の世界から喪失し並行世界へワープ?
 元世界へ戻らなきゃならん。
 んで元の体を取り戻す。

 たったこれだけのことのために何話かかっとるんだ。
 問題は、戻る方法と体を取り戻す方法だ。

「要約ありがとね」
「いえいえどういたしまして」
「続きも要約で頼むわね」

 まさかのショートカットときた。

 えー、この世界は空と大地しかない。
 生物はいない。
 元の世界へ戻るには、あるものを手に入れる必要がある。
 あるものを手に入れた後、この世界にあるある場所へ行き、うまいことしなきゃならんらしい。

「はい、よくできました」
「えへへ」
「可愛くないからね」

 ちっ。せんちゃんめ。

「メニューの使い方は後で自分で試してみて。子どもでもわかるはずだから」
「不親切だな」
「大丈夫ですよ?ちょこんさんなら」

 何がどう大丈夫かわからんが、出来るなら後でやってみるさ。

「さて、ずっとスルーしてたが、君らの声はするが容姿はわからんのだが?」

 呪文の声といい、せんちゃん、おとさんといい、姿が見えない。
 声から想像するに今いる二人は可愛いと思うんだが、これアニメ化になったときアニメーターが手抜きって思われないか?
 ある程度視聴者を引き付けるためには、女の子キャラの容姿は大事だと思うぞ?
 というか、そこ一番大事じゃないか?

「いいのよ。そんな予定もないんだから」

 身もふたもねえ。

「それより、時間がないので説明を次で終わらせるわよ」

 うん。次って言ったね。次って。

11
ちょこん(FLO) 2018/10/27 (土) 08:52:35

01-12 よもやそこが基準とは

「死んではいませんよ?」

 おおふ。おとさん。久し振り?

「はい、久し振り?」
「んで死んでないけど、失われたってのは?」
「だから、それは説明できないって言ってるでしょ?」
「うんうん。だが、なんか必要っぽくない?」

 だってさ、話しすすまないじゃない?理由もわからず、体を取り戻せ言われても、失われた原因がわからなきゃ、手がかりもなんもなくないか?

「それはわかりますよ」
「だよな」
「あーあなたは赤ちゃんに、哺乳類はなぜ空気が必要かって説明できる?」
「いや、そもそも赤ちゃんに言葉は通じないだろう。それに共通の基礎知識もなしに説明はできないな」
「そういうことよ」

 そうか、俺はいつのまにか赤ちゃんだったのか。バブー。すじこちゃんかっ!

「……いいかしら?」
「……」
「続けますね。あなたがここにいる以上、あなたは死んでません」
「理由はわからんが、俺が死んでなければ、他の世界の俺も死んでないってことでいいのかな?」
「はい。ですが、元の世界にあなたがいないと、この世界とどんどん離れていって、そのうちちょこんさんがいない世界が確定しちゃいます」
「確定しちゃまずいんだな?」
「まずいってレベルじゃないわ」

 おりょりょ。俺なんか基本要素っぽい扱いだな。

「間違ってはいないけど、あまり知ろうとしないでね」
「気にはなるが、話しが進まんからな」
「いい子ね」

 えへへ。

「せんちゃんが言う通り、元の世界へ戻る努力をすることと、体を取り戻すこと。
 この二つを出来るだけ早く行わないと、世界は崩壊します」

 おふ。まじヤバイのか?

「ヤバイのよ。だって世界が崩壊すると猫たちもいなくなっちゃうでしょ?」

 まさかの猫基準だよ。

10
ちょこん(FLO) 2018/10/27 (土) 08:39:48

01-11 章タイトル回収

「あんまり時間もないから、さっさと説明するわ」
「……お願いします」

 説明に数話使っているのは俺じゃない。俺じゃないんだ……

「はいはい。パラレルワールドで個人いない世界も理論上はあるわね。
 可能性の分岐だからそれは正しいわ。
 でもね、あなたは違うの」
「俺は違う?」
「理由は聞かないでね。あなたがいない可能性はあり得ないとだけ言っておくわ」

 おりょ。なんか大事っぽくないか。ちょっとだけ期待しつつもつっこまずに聞く。

「ほんとアホね」
「すみません……」
「続けるわ。
 ここにはあなたはいない。そしてあなたがいない可能性はあり得ない。
 でも、今あなたはここにいる」
「ああいるな」
「いちゃいけないってことはないんだけど、いないはずのあなたがいることで、この世界は動きだしたの」
「???」

 あまり考えたくはないが、いや考えるとうぬぼれてるとかナルシストじゃね?って疑われるから考えないようにしとこう。

「……触れないでおくわね。
 世界は動き出した。
 そこであなたがすべきことは二つ」
「二つ?」
「ええ、元の世界に戻る努力をすること」
「お、おう」
「そして、元の体を取り戻すこと」

 え?この体ってなんなんだ?幽体が離脱しちゃってるのか?双子のアレか?

「あなたのオリジナルの肉体は失われたわ」
「えーっと、それってデスですか?」
「つまらないわ」
「……死んだってことか?」
「あなたの言う死の定義がわからないけど、元の世界のあなたの体はないわね」

 俺死んじゃったの?

9
ちょこん(FLO) 2018/10/26 (金) 23:15:20

01-10 まさかのアホ呼ばわり

「……あなたって歳の割にはアホなのね」
「アホ言うな」

 危うくばれるとこだった。

「ばれてるわよ。続けるわ。
 パラレルワールドだから、あなた自身がここにいてもおかしくはないんだけど、本来のあなたがいるべき世界じゃないの。」
「ああ、月は二つないしな。つか、ここは地球なのか?」
「地球だけど地球じゃないわ」

 哲学か?禅問答か?

「どちらでもないわよ。確かに太陽系ではあるかもしれないけど、大きくことなった世界なの」
「大きく、異なる?」
「そう、本来ならこちらの世界のあなたがいて、あなたの可能性の未来を進むはずなの。
 でも、ここにはちょこんは居ないわ」

 いやパラレルワールドなら、俺がいない世界ぐらいあるだろうし、数十億年前まで遡れば地球が出来なかった可能性だってあるはずだよな。

「そうね、そこが説明できないところなの」

 えーとせんちゃん?説明できないところと俺が居ない世界ってのがうまくつながらないんだが。あとおとさんは寝てる気がするんだが」

「スピーzzz」

 本来は君が説明するはずだったんだよな。せめて起きててください……

「起きてますよ」
「お、おう、よかったよ?」
「説明のお邪魔なので、静かにしてました。そしてまたしばらくセリフはありません」

 セリフとか言うなし

「……いいかしら?」

 せんちゃんがイライラしてる。別にどの会話が誰かを改めて説明するために、この件を入れたわけじゃないからね!

「やっぱりアホね」
「すみません」

8
ちょこん(FLO) 2018/10/26 (金) 23:01:26

01-09 不思議な世界

「私も詳しい説明はしちゃいけないことになってるんだけど、あの子の話には大事な事が抜けてるのよ」

 聞き捨てならんな。大事な事とは?

「いつも抜けてるけど、今一番抜けちゃいけないことは」
「いつも抜けてるとか、言わないでください!」
「……はいはい」

 頼むから先に進んでくれ……

「ごめんなさいね。先ずあなたはこの世界に連れてこられたの」
「お、おう。月が二つある時点で、地球じゃないってのは何となくわかってた。んで、この世界ってのは、地球と同じ宇宙の違う星って意味か?」

 よもやラノベでもあるまいし、異世界転移!ってわけじゃないだろう。いやでもな、UFJを信じているあの先生ならともかく、一瞬?で地球から他の惑星に移動できる手段なんてあるのか?ワープ?毛が生えるヤツ?

「いい加減になさい」
「すみません」

 理不尽だと思う。だが今は一人じゃないってことがありがたいし、状況を知りたい。説明を頼む。

「長いから割愛するけど」
「説明できないって言ってたよな?割愛と出来ないは全く違うんだが?」
「……だまって聞きなさい」
「はい」

 あきらめるよ。ほれ話してくれ。

「異世界ではないの。並行世界の方が近いわね。パラレルワールドの一つって理解してもらえればいいわ」
「異世界もパラレルワールドも同じじゃないのか?」
「全く違うわ。異世界はそもそも創造神がいて、独自の物理法則だったり、魔素だの、くっころだのあるでしょ?」
「詳しいな」
「……暇なのよ」

 そうか、暇なのか。ならしゃーないな。

「続けるわよ。パラレルワールドは同じ世界線からわかれた可能性の世界なの。
 あなたがやったこと、やらなかったことの分岐で新たに生まれるし、簡単に崩壊するの。
 その中の一つがここ」

 世界線は学術用語だってのは知ってる。相対性理論のうんちゃらかんちゃらだな。よしわかった。不思議な世界だな?

7
ちょこん(FLO) 2018/10/26 (金) 22:31:51

01-08 お嬢ちゃんとせんちゃん

「私の名前は*****です。ちょこんさんにわかるように言うと、うーん?」
「『オットー』が一番近いんじゃないかしら」
「オットセイみたいでしょ!」
「……」
「……」

 もうその件は飽きたよ。

「おいお前ら」
「はい」
「ふん」

 わかっててやってるわけじゃないよな?俺をリラックスさせようとして?

「そうですよ?」
「そんなわけないでしょ」

 せんちゃんが正解なんだろうな。で名前は?

「もう何でもいいですよ……」

 いや捨て鉢にならんでくれよ。俺が対応に困る。

「んじゃ、おとさんでいいかい?」
「はい、では私は今からおとさんですね」
「ああ、おとさんだ」
「ふん、おとちゃんね」

 よし、とりあえずはクリアしたぞ。

「クリアとか言わないでくださいね」
「す、すまん、悪かった」

 おかしくないか?お嬢ちゃんたちが言い合いしてたのが、俺が悪いみたいになってないか?なってないな。まあいいや、続きをはよ

「あらごめんなさいね、おとちゃんの説明では足りないし、まだ貴方には話さなきゃいけないことがあるの」

 メニューとかガチャとか、話さなきゃとか、この後いったいどうなるんだ?

6
ちょこん(FLO) 2018/10/26 (金) 22:22:04

01-07 新キャラは誰だ

「お待ちなさい!」
「あら、野原さん」
「苗字で呼ばないで!」
「……」
「……」

 何やら二人で揉めているようだが、俺を忘れてもらっては困るんだが……

「おい、お前たち、俺が居ることを忘れるな」
「え?」
「あら、居たの?」

 お待ちなさいって登場したのは、誰だっけ?

「そうね、私ね。私は*****よ」
「え?なんて言ったんだ?」
「そうだったわね、あなたにはこの名前は聞き取れないわね」

 聞き取れるとか聞き取れないとか、コンビニの前の蚊の音じゃないんだからな?いや、もしかしてそっち系の音だったの?俺聞き取れなかったの?お年寄りなの?

「そういうのはいいから」
「はい……」
「ちょこさんにわかる言葉にすると、『せん』が一番近いですかね?」

 それって大丈夫か?両親が家畜になったりしないか?後からクレームこないか?

「そういうのは言いって言ってるでしょ?」
「すみません……」
「名前なんてどうでもいいのよ、好きに呼びなさい」
「お、おうわかったよ。せんちゃんって呼ぶことにするよ」
「いいわよ。ついでにあっちの子の名前も教えてあげるわ」

 そういえば聞いてなかったし、お嬢ちゃんとしか呼んでなかったな。

「お嬢ちゃんでもいいんですよ?」
「そういう歳じゃないでしょ?」
「うるさいですよ?せんちゃんさん」
「……さんはいらないでしょ?」

 頼むから俺を置いていかないでくれ。

5
ちょこん(FLO) 2018/10/26 (金) 22:11:13

01-06 ちゅうはなかった

 眼を瞑っていると、何やら体の芯が温かくなってきた。

「おい、これって大丈夫なヤツだよな?」
「何がダメなやつかわかりませんが、大丈夫ですよ?」

 それもそうだが…何か変なクスリとか注射されたとかじゃないよな?

「変なクスリとかやってたんですか?それはダメですよ?」
「いややってないから。マジで。ダメ絶対だ」
「そうですね。絶対ダメですね」

 やがて体中が熱くなってくる。いや、さっきのトラウマがあるから熱いのはマジで勘弁してほしいんだが…

「大丈夫ですから、もう少しだけ我慢してくださいね」
「……わかった」

 お嬢ちゃんの言う通り、だんだん熱も冷めてくる。

「はい、もういいですよ」
「お、おう」

 んで、何が起こったんだ?

「最初に心の中でいいですからメニューって思い浮かべてくださいね」
「メニュー?お食事の時間ですか?」
「そういうのはいいですから」
「……はい」

 よし、メニュー!

───────
ステータス 表示
アイテム  表示
ガチャ   表示
───────

 うん。ツッこむのはもう少し待とう。

「メニュー?が出たが?」
「はい、よく出来ました、それでは簡単に説明しますね」
「いや、ちょっと待ってくれ。これってゲームじゃないよな?」
「ゲームじゃないですよ?」
「うん、そうだよな。じゃぁ、ステータスとかアイテムはともかく、ガチャってなんだ?」
「それはですね……」

「お待ちなさい!」

 もう新キャラ登場か?

4
ちょこん(FLO) 2018/10/26 (金) 21:49:17

01-05 年齢は秘密だ

「女の子の歳は気にしちゃいけないですし、聞いてもいけないんですよ?」

 うん、わかった。これ心の中を読まれてるヤツや。

「はい!正解です!ごほうびあげましょうね」

 俺の体が輝きだす。それこそ蜂蜜フラッシュって感じで光ってる。いや服は破れてないがな。
 やがて光りは小さくなり、俺に起きた変化を見た。

「お嬢ちゃん、これってなんだい?」

 俺の手には剣が握られている。日本刀のような刀ではなく、中世の西洋で使われていたような「片手剣」だ。

「みた通りですよ。片手剣です」
「お、おう。片手剣だが、これって一体どういうことだ?」

 確かに怪しいフラッシュはあったが、俺は何も持っていなかったはずだ。

「はい、そうですね。ちょこんさんは正解したので、ごほうびをあげました」

 罰ゲームとかご褒美とか、一体何を言ってるんだ?俺は何に巻き込まれたんだ?

「うーん、今は説明できないんですよ。でも必ず判る時がきますから、慌てないで待っていてくださいね」

 そう言われてもな。せめて何をすれば良いのか教えて欲しいところなんだがな。

「それも言えないんですよ。ただ直近のことでしたら教えてあげられますよ」
「頼む、教えて欲しい」
「はい、それでは少しだけ目をつぶってくださいね」

 ちょっとだけ「ちゅぅ」を期待したのは秘密だ。

3
ちょこん(FLO) 2018/10/26 (金) 19:16:08

01-04 今度こそ現状分析

 さて、今判っていることを整理しよう。

 まず、声が聞こえた。クイズだった。外れた。炎?に包まれた。真っ暗な場所にいた。誰もいない。以上。

 さて、これで何をどうすればいいんだ?

 今流行りの異世界転生ってやつなんだろうか。もしかして、これってアニメ化されたりするんだろうか。うふふ。

 さて妄想はこの辺にして、これからどうするか考えよう。

 持ち物もない、人もいない。移動する目安もない。
 ふむ、先ず定番としては水場を探すべきなのかな。食べ物を探す必要もそのうち出てくるだろうが、寝る場所も確保しなきゃいけないだろう。

 ただ、こう暗くては何も出来ないな。
 うーん。どうすっかな。

 そんなことを考えながら、地平線に視線をずらすと月が見えた。

「ん?月が二つ?」

 月が二つってどういう事だ?

「こんばんわ。ちょこんさん」
「???」

 呪文の声とは違う女の子の声だ。

「えっと、こんばんはでいいのかな?夜だしな」
「はい、夜ですね」

 何とも可愛らしい声だ。と言っても子どもの声じゃない。18歳以上30歳未満の女の子と公然と呼べる年代だな。

(※30代以上を差別したものではありません。女性はいつまでたっても可愛らしい女の子です)