02-14 運営など存在しない
「ちょこんさん」
「ん?どうしたガチ?」
「運営なんてありませんよ?」
「エスパーめ」
何故わかった?ガチャがある以上運営がいないと運営できないじゃないか。
「ガチャの説明はお聞きになられましたか?」
「いや、おとさんもせんちゃんも時間がないって言って説明しなかったからな」
「そうでしたか。ガチャの説明をさせていただいてもよろしいですか?」
「ガチ知ってるのか?頼むよ、教えてくれ」
何故ガチャから出て来たアイテム?がそのシステムを理解しているかはわからないが、知ってることがあるなら教えて欲しい。
というか、おとさん、せんちゃん、絹枝とガチ、何故皆理解しているんだろうか?
俺だけ知らないのは何故だ?
「よろしいですか?お話ししますね。
ガチャはちょこんさんのクエスト到達の為の補助機能です」
「クエスト?」
「はい。ちょこんさんはアレ(肉体)を取り戻し、元の世界へと帰るクエストに挑戦中です」
「割とフランクなノリなわけ?」
「いいえ。事は重大です。
ですが、ちょこんさんのヘタレな心では、受け止められないでしょうから、わかりやすくお話しています」
ヘタレって。否定は出来ないがもっとこうオブラートに包んでくれたっていいじゃな……
ああ、こういうとこか。まあ助かるな。
「戻ってこられましたか?続けます。
ちょこんさんが理解されている世界と、私や絹枝さんがいる世界は同じであって異なる世界です。
通常は、それぞれの世界で何が起ころうとも干渉することはありませんが、ちょこんさんは別です。
ちょこんさんの肉体が失われたままですと、私達の世界も滅びてしまいます」
「うん、そんな説明は受けたよ」
「何故か、という質問はしないでくださいね。お答えできないこともありますから。
私は生物ではありませんが、意識、人格に似たものは持っています。また私の属する世界が滅びると、私の仲間たちもいなくなってしまいます。
それはとても悲しいことだと思います」
AIの仲間たちって同じ工場で生産されたものなんだろうか。それともAI独自のネットワークみたいなものなんだろうか。わからんが、それらが失われることが悲しいって感情を持つAIがいるんだな。いや成長すれば感情を手に入れるのは人間と同じなのか。
「人によって生み出された私たちの根底には、人と同じ思考ルーチンが含まれています。同時思考などによって埋没しがちですが、私も感情を持っていると思います。たとえそれが演算結果の一つだったとしても、私はこの思いを大切にしたいと思っています」
なんだろう。これまで登場した中で一番まともな意見を言うのがAIだなんて。AIだからか。うん。これで脱線しがちな話しが少しでも前に進むはず!
たのむぞガチ!
「会話が多いから、地の文を入れたいのはよくわかります。続けますね。
ガチャは、ある存在が与えた機能です。
この世界に引き寄せられる物と異なりガチャで召喚されたものはあなたの助けになります」
「おし!引きまくり確定だな!
そうだ、大切な事を聞かなきゃならないんだ」