01-09 不思議な世界
「私も詳しい説明はしちゃいけないことになってるんだけど、あの子の話には大事な事が抜けてるのよ」
聞き捨てならんな。大事な事とは?
「いつも抜けてるけど、今一番抜けちゃいけないことは」
「いつも抜けてるとか、言わないでください!」
「……はいはい」
頼むから先に進んでくれ……
「ごめんなさいね。先ずあなたはこの世界に連れてこられたの」
「お、おう。月が二つある時点で、地球じゃないってのは何となくわかってた。んで、この世界ってのは、地球と同じ宇宙の違う星って意味か?」
よもやラノベでもあるまいし、異世界転移!ってわけじゃないだろう。いやでもな、UFJを信じているあの先生ならともかく、一瞬?で地球から他の惑星に移動できる手段なんてあるのか?ワープ?毛が生えるヤツ?
「いい加減になさい」
「すみません」
理不尽だと思う。だが今は一人じゃないってことがありがたいし、状況を知りたい。説明を頼む。
「長いから割愛するけど」
「説明できないって言ってたよな?割愛と出来ないは全く違うんだが?」
「……だまって聞きなさい」
「はい」
あきらめるよ。ほれ話してくれ。
「異世界ではないの。並行世界の方が近いわね。パラレルワールドの一つって理解してもらえればいいわ」
「異世界もパラレルワールドも同じじゃないのか?」
「全く違うわ。異世界はそもそも創造神がいて、独自の物理法則だったり、魔素だの、くっころだのあるでしょ?」
「詳しいな」
「……暇なのよ」
そうか、暇なのか。ならしゃーないな。
「続けるわよ。パラレルワールドは同じ世界線からわかれた可能性の世界なの。
あなたがやったこと、やらなかったことの分岐で新たに生まれるし、簡単に崩壊するの。
その中の一つがここ」
世界線は学術用語だってのは知ってる。相対性理論のうんちゃらかんちゃらだな。よしわかった。不思議な世界だな?