02-12 これは車だ!車だぞ!
「おっちゃんこっちは?」
「どれどれ」
キッチンの更に奥には、少し狭いがシャワールームもついてる。
「これは体を洗う場所だ」
「へー。覗かないでね?」
失礼な。俺は幼女嗜好もケモナー思想もない。
いや、どちらも可愛いが、保護対象であってそういう癖はない。
「任せろ!俺はお前には欲情せん。浴場だけに。ぷぷぷ」
「……」
きっと彼女は浴場という言葉を知らないから、俺の面白さを理解できないのだろう。
誠に残念である。
「もうそろそろよろしいでしょうか」
「はい?」
室内に先ほどのロボチックな声が響く。
そういえば、所有者登録してから、カタカナ言葉じゃなくなったな。
「ちょこんさん。運転席へお越しください」
声だけの存在って流行ってるの?作画も音入れも楽だろうな。
「とっととお越しください」
「はいすいません」
この野郎。いや男じゃ(ry
「説明をしますので、運転席にお掛けください」
「はいよろしくお願いします」
俺は大人だからな。先ずは話を聞いてからだ。
その後たっぷり仕返ししてやるんだ。
「私はG社のT型です」
G社?地球のメーカーじゃないのか?それとも俺の知らないカスタム専用の会社なんだろうか。
「よろしければ私に名前を付けてください」
「お、おう!」
車に名前を付ける。君らは子どもじみた行為と思うだろう。
だが、これは大事なことだ。なんたって愛着が湧くからな。
「何がいいかね?お前さんは女の子なの?」
「ちょこんさんが望むならガチムチの声にも変更可能です」
「いや、ちょっと、それは、う?ありなの?いやなしの方向でお願いします」
きっとナビ機能もついてるんだろうし、ごっつい男の声で「次の信号を右です」とか言われても萌えんな。信号なんてないんだろうけどな。
「名前か、うーん」
しばしシンキングタイム。ここは焦って変な名前をつけると後で悔いる羽目になるからな。慎重にいこう。
ガチャで手に入れたキャンピングカー……
「よし、お前さんの名前が決まった」
「はい、お願いします」
「ガチ号だ」
「……」
「……」
ガチ号も絹枝も沈黙を貫いている。