昨日見た月は双子星だったか

ちょこんの不思議な冒険(仮) / 31

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ちょこん(FLO) 2018/10/31 (水) 06:08:12

02-16 ガチの思惑

「なあガチ子」

 ちょこんさんが飛び出した後、車内に残った絹枝さんが話しかけてきました。

「なんでしょう絹枝さん」
「なんかよそよそしいな、その呼び方」
「ではなんとお呼びすればよいですか?」
「絹たんって呼んでくれへんか?」
「畏まりました」

 絹枝さんが人間かどうかはわかりませんが、二足歩行して話すことができれば人間として扱います。

「ガチ子は、どっちや?」

 いきなり核心をついてきます。

「どっちと言うのは?」
「とぼけないでええで。ここには敵か味方かしかおらん」
「ちょこんさんの立場から見てですか?それとも絹たんからですか?」
「その言い方の時点で、ガチ子は敵じゃないって思ってええのかな?」

 ちょっと卑怯な言い回しです。絹枝さんはちょっと可愛いからって何でも許されると思っているのでしょうか。

「私はちょこんさんの役に立つ為に召喚されました。ですのでちょこんさんの味方です」
「ほーん。そういう言い方で逃げるのね?」
「逃げてはいません。絹たんこそご自身の立場を明らかにされてませんね」
「アタシはアタシの為にここにいるの」

 答えになってません。わかって言ってるのでしょう。

「では聞き方を変えましょう。ちょこんさんを殺すおつもりですか」
「いや、おっちゃんは殺さない。殺させない」
「では?」
「共闘せえへんか?」

 あくまでも自分の立場を明らかにしたくないようです。

「それがちょこんさんの為になるのなら手を結びましょう」
「ほなら、いつまで一緒におられるかわからんが、その時まで仲良くしよな」
「はい」

 私の中の警戒プログラムは、絹枝さんに対して警告を発しています。
 ですが、ちょこんさんに害をなさないなら、共闘も止むを得ません。今は少しでも成功の確率を上げなければならないからです。

「あとな、その喋り方やめて欲しいわ」
「わかりました。きぬたん、きぬたん!これからよろしくね!」

「……ごめん、やっぱいいです」

 絹枝さん、いや絹枝、許すまじ。

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