02-03 理解した
「一人でしかめっ面して、頭打ったりしたん?」
「してません。考え事してました」
「あっそう。ほじほじ」
俺のことは検討はついた。だが今は考えないでおこう。決して検討がついたフリをして先延ばししているわけじゃないからな。
「地球からじゃないとするとどこから来たんだ?」
「うーん、説明しづらいけど、地球みたいな惑星からきたんだ」
「よくわからんが、並行世界の地球ってことかな」
「大体あってると思うよ」
ヒツジのくせに並行世界とかよく知ってるな。でもさ、こいつ出てきたときに変な事いってなかったか?たしか……
「なあライトって魔法じゃないのか?」
「そうだよ?」
「魔法って、MPとかSPとか使って攻撃したり、防御したりパルなんちゃらしたりする奴だよな?」
「パルなんちゃらは知らんけど、体力を削って放つね」
体力?体力ってHPとかじゃないのか?
「おっちゃんが言ってるのはゲームの話しじゃない?」
「そ、そうだな」
「これってゲームじゃないよ?」
「お、おう知ってる」
本当にゲームじゃないのか?声だけの存在とか、テレパシー的な何かとか、ワープっぽいのとか、おかしくないか?
もしかして俺が知らないだけで、実はそれがデフォなのか?
「おっちゃん。並行世界の理論はおっちゃんの地球以外では普通に知られているんだよ」
「そうなの?地球だけ知られてないの?」
「知られてないわけじゃないでしょ。ただ学問として確立してないし、証明もされてないから認められてないだけで、理論は知ってるでしょ?」
「そうだな。SFとかでも良く出るし、ひも理論とか多次元とか普通に研究されてるもんな」
「マルチバース理論ね」
ユニバース。一つの宇宙に対して、複数の宇宙を表わすマルチバースか。
「おっちゃんも知ってるじゃん。それは地球以外では常識なの」
「へぇ……」
「別に地球が遅れてるってわけじゃないんだよ?」
「なら何故?」
「地球が特別というか、おっちゃんがいるからだよ」
「俺がいるから……そうか」
俺は先ほど思いたった理論のもう一つの鍵を手に入れたようだ。