おんJ艦これ部Zawazawa支部

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名無しのおんこれ部員@Zawazawa 2016/10/30 (日) 22:41:08 8f50c@1c7c0

つい先日行われたお姉ちゃんの学校の文化祭。
私たちももちろん行きました。部活の展示、吹奏楽部の演奏、授業で制作した作品の公開と、中身自体は普通の文化祭。
村雨ちゃんはレクリエーション部の活動として今年釣り上げた魚の魚拓を展示していました。
ざっと測ると30cm。かなり大物を釣り上げたご様子。展示の説明しているお姉ちゃんが活き活きしていて、こちらもエネルギッシュになった気分。
妹は自家製の和紙で作られた扇子を見て自分も作りたい!とぴょんぴょん跳ねて興奮していました。ちょっと調べて来年の自由研究の材料にしてみてはどうかと提案してみよう。

ステージの方はというと、村雨ちゃんはもともと出場予定がなかったみたい。ぼうっと傍目に見ているとステージが暗転。どうしたかとしばらく気になっていたがここで放送が。
「サプライズゲストをお呼びしております。グラーフ・ツェッペリンと加賀!彼らのマジックショーと歌をご鑑賞ください。」
壇上に上がったのはまさかの旦那。
ステージに立つやいなや、早速次々とマジックを披露していく。マジックは話術も重要と聞いたことがあるけれども、無言でBGMだけが流れたままいくつかこなしていた。それだけマジックに自信があるということか、それとも……。
終始無言で通したマジックもド派手に終わり、ここでグラーフと加賀の紹介が入る。というかいつ打ち合わせして練習したんだ二人は。と自分の中だけでツッコんでいた。
自己紹介が終わると二人は舞台袖に引っ込んでいって、着替えて出てきたら時計はヒトヒトゴーゴー。
「Es ist fünf vor zwölf.今は12時の5分前。私たちの本日最後のプログラムとしよう。」
「ミュージカル『エリザベート』より『闇が広がる』。どうぞお聞きください。」
後に旦那から聞いた話であるが、この曲の原語はドイツ語らしい。それにもかかわらず日本語で難しいメロディーパートを歌い上げていた。加賀の低音のハモりも素晴らしいとしか言えないほど整っていた。流石加賀岬を艦娘時代に歌った空母である。
片手を伸ばしてお互い向かい合いながらゆっくり回る演技をしていたのが気になっていた。これもミュージカルならではなのだろう。
曲が終わったあと、加賀が舞台袖に逃げていってすぐに緞帳が降りた。ご清聴ありがとうございましたの挨拶のアナウンスがしてしばらくあとに服装は元通りだがメイクが残っている旦那が戻ってきた。
お昼時だ。3人で近くの店のトルコライスでも食べようかしら。
村雨ちゃんにはお手製弁当渡したけど3人のナイショにしておこう。

来週末には演劇の打ち合わせも始まるのでここから忙しくなりそう。旦那は依然とのんびりだけどどうなるのだろうか?

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お酒作り 2016/10/30 (日) 16:11:37 29bdb@67512

【ご挨拶】
「お疲れ様でした」
帰りの車に向かう道すがら。村雨さんの一家を見かけたので、思わず僕は話しかけてしまった。
あまりに急なことで驚いたはずなのに優しい笑顔でこちらこそと返してくれた旦那さんは良い人だ。 ボキャブラリーが乏しいが、家族を愛する優しい人。
……話しかけるにも関わらず、僕の影にこっそり隠れようとする妻をわざと旦那さんの方へ出した。
ほら、こういうところで仲良くならなくてどうする。

ペコリと固く頭を下げる妻を見て旦那さんは気がついたようだ。少し驚いたのか目を見開いたのを僕は見逃さなかった。
そうです。
劇の脚本を書いたWolke・Drachenは山雲の母であり、僕の妻、目の前の雲龍。
「小説の方、エッセイの連載前から読んでました」
「家族の愛に対する書き方や、父性のあり方について共感しています」
「その、前に会ったときには言えなかったので……」
雲龍は僕の手を強く握りながら、旦那さんに話す。
……というかファンだったのか。

すっかり恐縮した様子の妻を見て、同じく恐縮したように頭を下げてくれる旦那さん。
なんだかとても申し訳ない。

「良かったら、ウチのお酒とかいかがですか?」
今思い返すと、とんでもないタイミングで訳分からない言葉を出してしまった。
フォローでもなんでもない。 妻とお仕事するという事でそのお礼がずっとしたかったのだがタイミングが来たと浮かれていたせいだと思う。
『僕はあまりお酒が強くないので……』
やんわり断られた。
お酒小学生や関係のある人が多い人が好む、あるいは必須なものは……。
「それならお米! ウチには田んぼがあるので収穫したのをプレゼントさせてください!」

帰りの車内。
後部座席でぐっすり寝ている山雲と比較して少しドンヨリしている僕ら夫婦。
「あなたお米って…」
「きっと食べ盛りだろうし食べるかなって。 君こそ仕事の話じゃなくて、本の内容について色々話していたじゃないか」
「私は仕事だから……」
「……もっと慌てないようにしないとな」
「そうね……」
僕達も山雲に負けないくらい成長しなくては…。

【おしまい】

125
お酒作り 2016/10/30 (日) 16:10:51 29bdb@67512

お昼を食べ終えて午後の目玉競技はリレー。

朝霜ちゃんも睦月ちゃんも、そしてウチの山雲も選手。
そして何よりトップバッターが山雲と睦月ちゃんの直接対決とは僕も知らずにびっくり。
午前中に考えた対決が実現してしまうとは……、大事なリレーの1番手になる誉れを貰えるのはうらやましいぞ。

『ヨーイドン!』パァンッ!
2人の真剣勝負。
固唾を呑む僕。
「山雲しっかり!」
柄にもなく声を出して応援する雲龍。
カメラのことなんて飛び跳ねるなんて珍しい。 気持ちも昂ぶっているようだった。
結果だが、2人共譲らずに同じタイミングで次の走者にバトンパスへ。
その後は朝霜ちゃんを筆頭に赤組の方がジリジリと差を広げていってしまい、白組の敗北。
いやいや、それでもリレー選手から応援していた子たちまで全員が頑張ったと思う。良い勝負だった。

そして閉会式。
白組はリレーが響いて負けてしまったが、力を出しきった山雲の姿は普段よりも大きく見えた。
きっとこういうイベントを1つずつ乗り越えて階段を昇るんだろうな。
改めて大きな成長を感じた1日でした。

124
お酒作り 2016/10/30 (日) 16:10:29 29bdb@67512

運動会のプログラムをペラペラ捲っていたら借り人競走というのを見つけた。
借り物競走の借り物が人になったものらしい。
「借りた物を返す手間が無くていいじゃない」と雲龍が言っており、僕も同意。
楽しい場所でのトラブルと言うのは避けたいことだろうしね。

この借り人競争には山雲が出場していたが、借り人は【ツインテールの人】。
ツインテールの人なんてそうそう……。
「山雲とー、一緒に来てほしいなーって」
「はいはーい、村雨で良かったらついていってあげる」
「やったあー!」
……ありがとうございます。
トテトテと歩いてきた山雲のお願いに笑顔で快諾してくれる村雨さんに感謝。
二人で仲良く手を繋いで無事にゴールしてくれた。
ありがとうございました。

さて、僕は借り物にならなかったが雲龍は借り人になった。
【カメラを持っている人】
持っているどころか身につけているから……。
それに背が高いから雲龍は目立つし。
顔を赤くして恥ずかしそうな姿を見るのは僕は大好きだが、村雨さんと比べたらもう少し人懐っこくなってほしいかなと苦笑。

お昼の時間。
唐揚げや卵焼き、いなり寿司を筆頭に山雲のリクエストで作ったお弁当のお昼。
『おいしいおいしい!』と大喜びで頬張ってくれる姿が嬉しい。
早起きして雲龍と作ったかいもあった。
特に雲龍作のいなり寿司がかなり気に入ったようだ。
ぼ、僕の唐揚げだって美味いぞ。
「睦月ちゃんにもーあげてくるからー」
待て!と止める間もなく紙皿にいなり寿司を乗せると村雨さん宅に山雲が輸送作戦へ。
慌てて止めようとしたが時既にお寿司、いや遅し。
睦月ちゃんも朝霜ちゃんもいなり寿司にパクっと食べていた。
頭を抱える僕に気にしなくて良いですよと手を振って答えてくれた寛大な村雨さんと旦那さんには感謝しかないなあ。

123
お酒作り 2016/10/30 (日) 16:10:06 29bdb@67512

競技の方だが、徒競走、玉入れ、騎馬戦、綱引きなど僕が子供の頃と変わらない種目が殆どだった。
僕が卒業して暫く経つけれど、流石に突飛な種目には変わっていないか。

さて徒競走。
我が愛娘はと言うと、笑みを絶やさず疾走中。
普段の愛らしさに力強さが追加されて、もう最強。 この一言に尽きる。
僕は声を張り上げて応援し、妻は淡々と連写をしていた。
『艦載機を飛ばして空撮しようかしら』と過激なつぶやきをしていたのであわてて止めたが、普通のデジカメでもなかなかじゃないか。
特にこのゴールテープを切る瞬間の1枚はベストショット確定だな。 よもや年賀状筆頭候補がこんな所で手に入るとは。

他の子供たちも速い速い。 山雲がライバル宣言していた睦月ちゃんも速かった。
パワフルだなぁと舌を巻かざるを得ない。
2人は対戦しなかったが競走したらどっちが勝つのかと考えてしまった。
親バカではあるが山雲が勝つと僕は信じたい。

そしてダンス。
リズミカルな音楽に合わせて、飛んだり跳ねたり、身軽に子供たちが舞う。
ここまで息を揃えて踊るには練習も大変だったろうに。 微笑みを浮かべて踊る山雲の姿に僕の心はグッと掴まれてしまった。

122
お酒作り 2016/10/30 (日) 16:09:37 29bdb@67512

昨日の話。
いよいよこの日がやってきた。
なんて大げさに言ってしまうが、今日は山雲の晴れ舞台の運動会。
ところどころ晴れ間はあるものの曇り気味、おまけに少し肌寒い。
ただそんなの関係ないと体操着姿の小学生たちはグラウンドで元気いっぱいだった。
子供は風の子とは言うけど本当にその通り!
いやはやたくましい。

「山雲はどこ?」
「ほらあそこ、白組」
「前の方かしら、背中しかみえないわ……」
今日は雲龍も連れてきた。
この間とは違いメガネを外して、僕の隣で背伸びして必死に探す姿は愛らしい。
普段は出不精だが、やはり母として娘の頑張っている姿が見たかったようだ。
この日のためにと、新しいカメラまで首から下げている。
……って僕の持ってる機種より新しい奴じゃないか。
家電量販店の広告で見かけて僕が密かに買おうと思ったのに。
ま、まあ気合いの入れようが半端ないことは良い事だろう。

そうそう、すぐ近くでは村雨さん一家の姿を見かけた。
見かける度に思うが、温和な第一印象を受ける素敵な旦那さん。 あの雲龍が後半からとは言え自分から話しかける人だから、優しさ溢れる方なんだろうなと勝手ながら僕は思う。 隣にいて旦那さんにくっつく村雨さんもポニーテールを揺らして子供たちに声援をかけており、賑やかだ。
睦月ちゃんと朝霜ちゃんは赤組か……。
お母さんの声を聞いて手を振り返す2人を横目で見て、僕らの方に目を向けずクラスメイトと談笑中の山雲に歯がゆさと寂しさを覚えたり。

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村雨の夫 2016/10/27 (木) 00:32:22 修正 5c457@a5cb1

子供達には大きすぎる二段ベッド。上で姉が、下で妹が規則的な寝息を立てている。のびのびと伸ばした足のさらに先には、ちょっとした物置スペースが設けられている。
思い思いにシールや絵で飾り立てた元段ボール箱は、外装以上の夢を内側に湛えている。絵本や、おもちゃや、ぬいぐるみ。正義の碇に、魔法のステッキ。ごちゃごちゃと詰め込まれたそれらは、夜も輝きを失わない。

寝息に紛れて、くぐもった声が漏れる。朝霜が寝返りを打ったらしい。すこし首を伸ばして見れば、可愛らしさの残る手に小さな傷がついている。綺麗な肌に不釣り合いな擦り傷。それを隠すように、はじかれた布団を肩までかけなおす。一度の寝返りで出来る乱れじゃないし、どうせいつも通り軽く胸あたりまで潜っただけで寝たんだろう。まだ冬布団は暑く感じてしまうのも、仕方がないところはあるか。

誇らしい練習中の傷。努力の証。一生残る痕じゃあるまいし。いくら語られても、頭で納得したつもりになっても、笑顔の娘たちに笑顔で返してみても、父としていい気分にはなれない。―――提督としても、終ぞ、傷を肯定することはできなかった。

過保護気味の教育も、過剰に慎重な采配も、絶対的な正義ではない。わかっているけれど、それでも、できるならひと時すら苦しむことなく育ってほしいと思っているし、一度の戦闘なく終戦になればと思っていた。
安全主義の看板のもと出撃も訓練も兵装拡張も小規模で、最前線は余所任せの戦時だった。大戦世代のひとりだなんて、全く名前負けも甚だしい。あの頼りない提督は、彼女たちにどう見えていたのだろう。艦娘としての爪牙を振るう機会を、未熟と臆病で失わせた僕をどう思っているのだろう。気にならないと言えば嘘になるが、とはいえもう過去の話。今さら問いただす機会も、理由もないから、ただ胸に秘めるだけ。
二人はどう思っているんだろう。妻にべったりで、娘たちも甘やかし気味で、だけど時々妙に口うるさい。今は良くても、早ければ数年後にも疎まれるかもしれない。考えたくもないが、反抗期って来るものだからなぁ。非行に走らなければいい…くらいで構えておくべきなんだろうか。僕の書いた「父親」たちは、どんな風にしていたっけ。

……あまり思い詰めても仕方ないかな。僕と彼女の子なんだから、まぁ、悪いようにはならないだろう。
幸い、元艦娘たちもいれば親友達も少しはいる。特に山雲ちゃんのお父さんは、貴重な男親仲間だ。穏やかながら芯の強そうな雰囲気は、同年代ながらなかなかに頼りがいを感じさせて、一応は僕の方が父として先輩(らしい)ということを忘れそうになる。奥様を見たことないけれど、どんな人なんだろう。編集チームみたいなキャリアウーマンとか?どんな人でも、幸せな家庭なんだろうな。
僕らも、今以上に幸せな家庭を築いていこう。

起こさないようにそっと撫でる。朝霜も睦月も、いい寝顔だ。常夜灯程度の明るさでも、見紛うことのない愛おしさ。
今は幸せな夢を見て、おやすみ、おやすみ。

120
名無しのおんこれ部員@Zawazawa 2016/10/26 (水) 13:49:13 5c457@20acb >> 119

素敵な夜ですこと。いいお父様ですねぇ。

119
お酒作り 2016/10/25 (火) 23:13:06 29bdb@dd1b6

ん?山雲どうした。
……そっか、眠れないか。
お父さんもちょうど眠れなかったんだ。
少しお散歩するか?
今日は特別に肩車だ、二人きりで夜のお散歩しよう。

良かった、雨が止んだみたいだ。
山雲、上着着せたけど寒くないか?
……そうか、もう週末には運動会なのに風邪ひいちゃ困っちゃうからな。
お父さんもお母さんも山雲の活躍する姿が見たいんだ、リレーもダンスも色々な競技でさ。
他のお父さんよりも一生懸命声出して応援しちゃうぞー。
え、それは恥ずかしいから禁止だって?
……寂しいなあ。

山雲は将来どんな人になりたい?
……そっか、まだ分かんなかったかー。
そうだお父さんは山雲に叶えて欲しいことがあるんだ。

『たくさん素敵なものに触れてほしい』

まだ世の中には山雲の知らないもので溢れているんだ。
それは綺麗なものかもしれないし、可愛いものかもしれない。 きっとお父さんやお母さんが見たことの無いものも有るだろうね。
山雲にはそんな素敵なものにたくさん触れて大きくなってほしいんだ。

今はまだこの日になると胸がザワザワしたりお腹が痛くなるかもしれないけど、その時は素敵なものが山雲を守って、支えてくれる。
もちろん、お父さんとお母さんが1番に守るけど!

……だから何も心配しなくていいよ。
もう怖いものはいないから、素敵なものが世界にあふれてるからさ。

さて、明日も学校だ。
帰ったら、お父さんの作った甘酒を一緒に飲んで温まろう。
それで温まったら一緒に寝よう。
ぐっすりぐっすり。

今日は10月25日。
明日はきっと良い日。

118
村雨の夫 2016/10/25 (火) 08:52:53 5c457@0012b >> 117

「ところで。朝霜ちゃんと睦月ちゃんは学校に行っているとして、村雨さんはどうしたんですか?」
「なんや、家にカミさんおいて一人だけ贅沢か。悪い男やなぁ」
食後のお茶で口を潤してから、反論開始。
「贅沢なのは村雨ちゃんです。ママのランチ会だそうで」
「あら、ランチ会ですか」
「うち来てくれればええのに」
「ねぇ」
「そう言うと思った」
お皿を洗いながら、卓上を整えながら、サラウンドに売り込まれても、決定権は僕にないから仕方ない。今日は如月ちゃんのママの番だったかな。
「せや!村雨ちゃん打ち合わせに連れてきゃええんや!な?」
「……唐突に何を」
「だってぇ、お姉ちゃんなんやろ?キミみたいな奥手な坊やより女同士のほうが話が早いわ!」
「そうですね、授業参観みたいで面白いかもしれませんし」
「せやったらウチらも見に行きたくない?鳳翔ちゃん」
「そうですね、お弁当持っていきましょ!」
「百歩譲って村雨ちゃんはいいけど、なんで二人が来るのさ」
「だって、ねぇ?」
「いくつになっても、あなたは私たちの提督(ぼうや)なんですから」
今回は親睦会でまた来るという条件で丁重にお断りできたけれど、本当に、この二人には敵わない。

117
村雨の夫 2016/10/24 (月) 22:23:31 5c457@0012b >> 116

「そんで、その人となんとか仲良くなれればええんやな?」
一方、長と並び立つ軍師は思案しつつ即座に切り込む。ざっくばらんに見えて思慮深く、面倒見もいい彼女もまた人気者。
「せや、キミのお話の男の子、どんなことしてたっけ」
「男同士のノリが通じる感じじゃないんだよね」
「ちゃう、女の子とずいぶんイチャコラしてるやん。そっちや」
「既婚者に既婚者を口説かせようとするな!……それでなくても、あれは学生の話だからね」
「ほな酒!大人の付き合いや!」
「僕が強くないの知ってるだろ」
「あー、せやったね……。ちょっとキミ文句多いんちゃう?」
「まぁまぁ、ゆっくり考えましょ。ご飯も冷めちゃいますよ」
「おっと、ごめん。龍驤もほら、お茶飲んでさ」
此度の応酬に収穫無し。促されてしまったことだし、食事にもう一度向き合おう。少し冷めかけてはいるけれど、それでもおいしいお味噌汁。生姜焼きの味は強く優しく、白米との相性は語るまでもない。さすが、村雨ちゃんの料理を鍛えただけはある。口の中に広がる世界を堪能していると、二人は僕をにこりと一目見て話を再開する。あれ、口の端にお米ついてたかな。
「んー、そやなぁ。昔は艦載機の話しとけば新入りと打ち解けたもんやけど」
「あら、懐かしい。そうですね、その方との共通点というと」
「何より作家やろ。でもぎくしゃくしてんのに商売の核話せるもんかなぁ」
「少し難しいかもしれませんね。趣味のお話……今のご趣味は?」
「んー、ゲームとか?家族と出かけたり。仕事抜きにアニメや本や劇や色々見てるつもりだけど」
「ゲーム盤持ち込んで、は微妙やなぁ……。せや、最近見て面白かった本は?」
「最近ならエッセイかな。雲龍って人のなんだけど、独特な視点や雰囲気と読みやすさのバランスがいいんだ」
いつだったか、えらく速筆のエッセイストがいると聞いて探した一冊だけど、なかなか読み応えがあった。残念ながら素早く書くコツは得られなかったし、シリーズを読み漁るせいで筆が止まったりもしたけれど。
「ほなそういう話すればええやん?お互い本好きやろ?」
「確かに、書き手ではなく読者目線なら自然にお話しできるかもですね」
「そうだな……。海外の本とかよく知らないし、教わってみよう」
「海外の姉ちゃんなん?なんやザラたちみたいな」
「名前からしてドイツ系かな?日本語堪能だったけど。飛龍さんに頼ってたのも言葉のせいなのかな」
「なら異文化交流ということで、うちに招いてもいいかもしれませんね。お待ちしてますよ」
「はは、鳳翔さん商売上手だね」
「ウチよりよっぽど戦略家やからね!あっはは」
「あらあら、そんなつもりじゃなかったんですけれど。うふふ」
ひとしきり笑って、一件落着。お料理もご飯粒一つ残さずに満足。
「ごちそうさまでした」
「「おそまつさまでした」」

116
村雨の夫 2016/10/24 (月) 22:19:59 5c457@0012b

「なぁ龍驤さんや」
「なんや藪から棒にさん付けなんてしてェ、気色悪い。ほい」
鋭すぎる切り返し。お茶を注いでくれる手の静かさとは真逆だ。
「ありがと。緊張を解すコツとかって知らん?」
「そんなん、キミの専門やろ。舞台とか演台立ってるんやから」
「いや、舞台に立つのもそうだけどさ。もっと日常的な……」
「初対面同士で、ですか?」
「そうそう、そんな感じ」
調理場の奥から、日替り定食(豚のしょうが焼き)を持って現れるのは鳳翔さん。載せられた僕の分でない湯呑みから察するに、このまま僕の相談に付き合ってくれるらしい。昼のピークを外した甲斐があった。
「なんかあったん?」と仕切り直しつつ、自前の湯呑みを傾ける龍驤。鳳翔さんが来る前から向かいに座ってるから流石の貫禄だ。僕も挨拶して、二口三口味わってから応じる。
「最近新しく組む人と打ち合わせすることがあってさ。この前は間に入った人のお陰でなんとかなったけど、どうもまだ打ち解けれてなくて」
「ふーん。青葉やお衣や劇団の人に頼るのは別に悪いことじゃないんやない?」
「今度は飛龍って編集さんもいたね。その人と一緒だったからか、慣れてくれたのかはわかんないけど、まぁ上手くはいったんだけど」
「ならええやん。飛龍もな、ええ子やしな」
「あぁ、知ってるの?」
意外なところで繋がりがあるもので、どうやら編集トリオもいいお客さんらしい。
「えぇ。でも、お忙しそうな方ですし、みなさんいつもいられるとは限らないから、橋渡し役がいないときが不安だ……と?」
「そゆことです。豚さん美味しい」
「うふふ。ありがとうございます」
鳳翔さんにはいつも先にセリフを言われてしまう。本人は何食わぬ顔で、冷茶を一口。この底知れなさは、やはり百戦錬磨の空母の長の経験ゆえか。柔和なお姉さんはそんな奥深さも人気の要因、らしい。

115
名無しのおんこれ部員@Zawazawa 2016/10/24 (月) 21:06:30 8f50c@1c7c0

「また有楽町にいるの?」
「ああ、今日もだ、すまない。」
「いつものアンテナショップのカレー、頼むよ」
「わかったわかった。」
これが最近の日常。
横浜から電車で30分ほどの有楽町駅。最近伯爵閣下はトートバッグをぶら下げてよく行ってるご様子。趣味の観劇をするために通いつめているようで。
お土産はいつものレンコンカレー。旦那は中辛であんまり好きじゃないけども3人はこれを楽しみにしていたりしている。

劇の打ち合わせの日時が決まった。
娘二人は旦那についていくけども私は自由参加。
もちろんお供しますが。
おめかしの服でも、と思ったが特によそ行きの服装でなくてもいいらしい。むしろ私服が良いのだとか。
ちなみに演劇の衣装は専門家の弥生と一緒に考えて作るみたい。物語の構想、イメージが固まったらすぐにデザインしないと間に合わないらしい。
ちなみにホールはもう借りたらしい。風上ホールという名前の地元の施設がちょうどあったようで。

そういえば彼、あるホールのオーナーだとは聞いたことはあるが……また聞いてみよう。

114
お酒作り 2016/10/24 (月) 08:22:15 29bdb@b3a3b

【飲み会(女子会?)】

『それですごいぎこちなかったんだから! あっちからしたら驚きしかなかったと思うよ!』
「そんなにか?」
『後半は自分で話すようになったけど、最初は殆ど耳打ちした内容を私が答えてたんだよ!』
「おーそうか……」
夜。
蔵から出てきた僕の携帯に電話をかけてきたのは飛龍。
まくし立てるようによどみなく話す様はいつも通り元気なんだなと感心させられる。
『私は報酬を求める!』
「報酬?」
『美味しいご飯とお酒をたくさん用意してもらうからね!』
「は?」
『セッティングに青葉と衣笠にも協力してもらったから、そのお礼がしたいんだよねー』
「いやいやちょっと待て、ウチで飲み会でもするのか?」
『え、そうだけど?』
「飛龍……」
思わずガクッと膝から崩れ落ちた。なぜ、気兼ねなくいきなりそういう事を僕に頼むのか。
天真爛漫は今に始まったことではないが、もはや横暴すら越えるレベル。

『でもね』
「ん?」
『お礼は建前でさ、同じ会社の人なのに私以外の人を知らなすぎるでしょ。 私もいつまでも担当持てるとは思ってないから、親睦を深める機会にもなるんじゃないかなってね』
「うーん」
掌を返す訳ではないがよく考えているなと感心した。
人見知りしている妻を思い、そういう場を設けて慣らせてあげようという考えがあるとは。
しかも将来まで考えて……。
僕は思わず唸ってしまった。
『まー湿っぽい話も似合わないし楽しく飲ませてもらうから! 雲龍には私たちにお酌をしてもらおうかなー!』
「こないだだってしてもらってたじゃないか」
『アレじゃ飛龍さんは満足しないよ? もっとこうセクシーな服を…』
「切るぞ」
『ごめんごめん! とにかく雲龍の事を思って協力してね、予定は追って連絡するから!』ブチッ
……切ろうと思ったら切られた。
好みの話とか色々聞きたいこともあるのだが。

まあ、雲龍が慣れてくれれば僕も嬉しい。
僕も諸肌を脱ぐか。

【おしまい】

113
お酒作り 2016/10/24 (月) 08:21:56 29bdb@b3a3b

「それで今度、グラーフ・ツェペリン。 彼女を交えてまた話し合いをするみたいだから」
「へ、へえ…」
「宝塚で奥さんと勉強してきたって言っていたから、忌憚のない意見を受ける事になると思うわね」
「宝塚って本格的だな……」
「かなり楽しんでたみたいって飛龍が言ってたわ」
ネット界隈を始め、飛龍ですら魔法使いと言っていたグラーフ・ツェペリン。
彼女がやって来るというのは相当な気合の入れようだなと思った。
……僕ならプレッシャーに潰されそうだが、妻は楽しみにしているように見える。
さすが作るものへのプライドが強い彼女だ。
評価されたうえで良いものを作ろうと向上心が強い。
僕の背筋がピシッと伸びた。 彼女のいいところを夫として見習わないと……!
「もっと良い物作れるようになりたいから、勉強しないといけないわね」
「僕も応援するよ」
「そう? なら次の話し合いにはあなたにも付いてきてもらおうかしら」
「えっ!?」
「また飛龍に耳打ちで話すのも大変だから」
……少し人見知りな所は治してあげなきゃいけないな。

心地よい秋晴れのある日。
僕の運転する車は妻を乗せて娘の待つケーキ屋へ向かうのだった。

112
お酒作り 2016/10/24 (月) 08:21:34 29bdb@b3a3b

天城の店に向かう最中、雲龍から今日の話し合いについて僕に教えてくれた。

「飛龍、青葉さんと衣笠さんもお立ち会いとは思わなかったわ」
「へー。 てっきり村雨さんのの旦那さんとサシで話し合いかと思ったけど、お互いの編集さんがいたんだ」
「そうね、青葉さんと衣笠さんとは数回くらいしか話したことがないから……」
「緊張したの?」
「とてもね」

さっきの額の汗はそういう事か。
人見知りな雲龍が面識のあまりない他分野の方と話すだけではなく、作家を纏める立場にある編集さんもいた。 普段から親交のある飛龍ではない編集さん達がいたと考えれば……。
だから尚更緊張してしまったと。

「話し合いはどんな内容だったの?」
「とても有意義だったわよ」
お、緊張したから話し合いが中折れしてしまったかと思ったけれど『有意義』って言葉が出た!
「私が飛龍の話を元にどんな人が出るかイメージして書いたでしょ?」
「さながら事情聴取だったアレか」
「演じる子供たちや役者さんの性格や彼らが何がしたいかって要望や意見を村雨さんの旦那さんが色々と言ってくれたから」
「内容がより具体的になったと」
「そうね。 私の意見について納得してくれるところもあったから、話し合いはとてもやりやすかったわ」
2人共、作品を書くことを生業としている人だ。 きっと共感できる部分があったのだろう。
人見知りしている彼女がそうした意見を聞いて作品を創り上げようとする姿は新鮮。 自分の考えを言えているなら良かった。
「お子さんの写真を見せてもらったわ。 やんちゃそうな朝霜ちゃんに元気そうな睦月ちゃん、美人な奥さんの村雨さん……」
僕も何度か山雲の保護者会等で旦那さんを見かけたことがあるが、優しそうな印象は受けたけど家族が1番の方だったか。
愛妻家で子供たちが好きつてまさしく理想のお父さんじゃないか。
僕も見習わないと!

111
お酒作り 2016/10/24 (月) 08:21:12 29bdb@b3a3b

ピロロロロロ……
僕の携帯電話からデフォルトの着信音が響く。
お、来た来た。
それを持つと緑色の通話のボタンを押して耳へつけた。
「終わったわ、そこで待ってて」
「分かった、気をつけて」
「ええ」
思ったとおり、電話の主は雲龍からだった。
声のトーンは平坦。
それをどう判断していいのか悩むが、きっと悪い事は無かったんだろうなと僕には思える。
根拠は無い、ただの勘ではあるけれど。
駐車場に止めた自動車の中。
僕は大人しく待つことにした、妻の言う通りに。

「ただいま」
「お疲れさまでした」
電話に出てから5分後くらいだろうか、緊張したからなのか表情が暗い妻がドアを開けて助手席に乗り込んで来る。
席につくとおもむろに日曜夕方のアニメに出てくるであろうかけていたグルグル眼鏡を外した。
「いかがでしたか、ヴォルケ先生?」
「……その呼び方はダメ」
僕なりにリラックスさせるためのジョークで言った名前は恥ずかしいのか一蹴され、少し睨まれた。
僕からしたらとてもかっこいいと思うけどなあ。
親しい人にはそういった芸名では呼ばれたくないのだろうか。
「やっぱり緊張してたみたいだね」
「……分かるの?」
「そりゃそれだけ額に冷や汗を浮かべてればね、ほら拭いてあげるから」
嫁の額には雫が浮かんでおり、相当緊張していた様子が容易に想像できる。
ハンドタオルで額を吹くとフワッと香水の香りがした。普段香水なんて全く付けないのに気合入れたんだなあ。
ほんのり甘い感じのするこの香りはジャスミンだったっけ。僕の好きな香りだ。

さて、某出版社の駐車場から僕の車は天城のパティスリーへと向かう。
まっすぐ家に帰りたかったがお店には山雲がいるからそのお迎えがあるのだ。
以前、妻と二人で話し合いも兼ねて天城のパティスリーに行ったことを山雲に話したら、『ずるいわー』と怒られた。
なのでその穴埋めではないが、天城のお店のケーキを食べて待ってていいよと約束したのだ。
店に着き、たくさんのケーキがところ狭しと並んでいるガラスケースを見つけると山雲は目を輝かせていた。
女の子は老若問わず甘いものが好きなのだと、改めて知ることになるとは。

137
Red Bull Fleeting 8384b9ac27 2016/10/21 (金) 11:47:26 37edf@218b7

好きになった理由
舞風 人懐っこくて明るい性格とその理由の史実
鈴谷 フレンドリーでめっちゃいい娘、あとおっぱい
熊野 放っておけない尽くしたい娘、史実 意外と食いしん坊
野分 たまに使うタメ口、時報と限定ボイスと舞風に対してで柔らかくなるのほんとかわいい
萩風 健康を気遣ってくれて、尽くしてくれるママ 甘やかされたい あとおっぱい
嵐  男勝りで時折見せる乙女のギャップがやばい、バレンタインとホワイトデーで完全に堕とされた
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110
村雨の夫 2016/10/21 (金) 11:02:48 5c457@0012b >> 109

寝室にて。
「編集さんは本当元気な人。青葉とお衣と同じくらい…いや、二人を足したような」
「あらぁ…そんな人なら大変だったんじゃない?」
「でも、いい人だよ。魔法使いさんも、まだとっつきにくさはあるかなー。けど…」
「けど?」
「たぶん、うまくいく。みんながいるから」
「ふふ。そうね」
口づけののち、消灯。

109
村雨の夫 2016/10/21 (金) 11:02:35 修正 5c457@0012b

「そういえば、どうだったの。打ち合わせ」
「ぶぇ?」
奇しくも数日前と同じように頬を弄られてるタイミングで村雨ちゃんが聞いてくる。今度のお手手の主は朝霜で、ゲームに連勝して上機嫌らしい。運が強く絡むゲームとはいえ、負けは負けである。甘んじておもちゃになろう…といじくられている矢先のこと。
「しょうらな…やっぱり初めてのひとらから、まだひょっとぎほひないかにゃ」
「パパなんて言ってるの?」
「パパ新しいお仕事の人とまだお友達になれてないって」
「え~、頑張ってよぉ」
「かんばう、かぁんばうよ」
頑張る、という決意表明すら頑張ってこれ。いい加減に飽きてくれないかな。それかすべすべの村雨ちゃんかもちもちの睦月のほう行ってくれないか。乗せてる脚もしびれてきた。健康的に育ってるから尊い重さなんだけどさ。ギブアップ、タップタップ。言葉のいらない意思表示。応じて、手を放してくれたけれど、彼女はまだどかない。僕の肩をつかんで一緒に揺れながら、第二ラウンドなんだろうか。風呂で磨かれた髪は、結んでいないこともあっていつもより静かに波を作る。
「にしし、あー面白かった。それで、あたいの出番はどうなった?」
「ん、ちゃんとあったよ」
「うしゃっ!」
「でも、あくまで学校優先だからな。宿題とかいろいろな」
「…はーい」
このころころ変わる表情、どれも魅力的なんだから、わが娘ながら期待が持てる。
「それにしても、初めてとは思えない目の利きようだったな」
「ふ~ん、そんなにすごいのか。どんな人?」
「マイペースな感じで…でもたまに鋭くて…あんまり会ったことないタイプ。ポーラっぽい…?そうだ、睦月の友達の山雲ちゃんだっけ。あの子に似てたな」
「ふぇ?山雲ちゃんみたいな……おじさん?」
「いや、お姉さん。僕や村雨ちゃんくらい」
暗に自分たちがお兄さん、お姉さんで通ることを主張してみる。娘にしてもしょうがないが、何事も練習だ。
「おねえさん!」
「ほー。父ちゃん、浮気すんなよー?」
キョトンとした顔から、一気に明るくなった睦月。意地悪な顔できれいな目と歯をぎらつかせる朝霜。どちらもいい笑顔だけど、朝霜、それはいかんよ。
「何を言ふんだ」「そんなことしないわよね?あなた?」
「パパはママ大好きだもんね!」
髪の手入れを終えた二人が、ソファーへ。朝霜に注意をしようとしたところで、いつの間にか背後を取られて、頬をつつかれ釘を刺される。流行りなのか、これ。
「しないよ。村雨ちゃん大好き」
「知ってますよ。私も大好き」
「ひゅーお熱いお熱い。睦月、逃げるぞー!」
「きゃーっ」
はじけるようにソファーから飛び出していく。行先は子供部屋か、執務室か?寝る前のストレッチ、運動会の序章として、一丁リベンジしてやりますか。
出撃までのカウントダウン、30秒を数えつつ思う。夫婦でべたべたしすぎは、教育にいいのか悪いのか。今度相談してみようかと思ったけど、誰に相談すればいいのかわからなかった。制作陣みんな既婚っぽいし、今度話題にしてみよう。

108
村雨の夫 2016/10/21 (金) 10:59:42 5c457@0012b

「…はい、わかった。じゃその日で」
通話終了の文字列をタップしてやけに虚しくなるのは、受話器を置く重みか、ボタンを押す手ごたえがないからだろう。スマートフォンが普及してから数えるには少しばかり骨の折れる年月が流れた今も、つい小説内では「がちゃり」なんて使いそうになる。デジタル派で丁寧な仕事のお衣のおかげで何とかなっているけれど、これがアナログ愛好で変わり者の青葉だったら、すぐに登場人物がショルダーフォンを背負うことになる。
そんなことを考えていると、今度こそ本当にがちゃり。今度は扉。
「調子はどう?」
「あ、村雨ちゃん。お茶ありがと」
「はいはい、どういたしまして。…んー?」
「…何かな?」
僕の目をじっと見てくる。続いて、頭、指先?
「な、なに?汚れてる?」
「新しい打ち合わせでも決まった?」
「あれ、電話聞こえてた?」
「いーえ?」
日付をメモした手帳は、すでに閉じてある。その他、手掛かりになりそうなものは走り書きすらない。
「それが妻ってもの、よ」
「なんで」と問うことにすら先手を取って、上機嫌に肩に手を置いてくる彼女の表情は見るまでもなく満面の笑みで、纏う空気はいつも通り……。
「いや、違うな」
「…なに?私が妻じゃ不満?それとも勘のいい女はお嫌いになった?」
「いやいや、滅相もない」
「じゃあ、な・ぁ・に?」
「いつもと雰囲気違うなって」
「あら?そうかしらん?」
軽く返してくれるけど、ちょっと不機嫌そうな、試すような、尋常じゃない雰囲気。こりゃめったなことは言えないな。
「……ん。においが違う。シャンプー変えた?」
「…せーかい。サンプルをもらったの。これしゅき?」
「たまにはこういうのもいいかも。でも、村雨ちゃんが好きなのが一番かにぇあ」
的中されたのが悔しいのか、言い切る前に頬を挟まれる。「にゃにを」と彼女のほうを見れば、僕と同じようにつぶれ饅頭。どうやら、僕の手が先に香りに誘われて果実を捕まえてしまっていたらしい。罪な女性だこと。
「はなひて?」
「やぁら」
「えひひ」
「ふふふ」
離れようとするのは、離そうとしないのは、どちらなんだか。ほどほどにしておこうかな、と思っているとまたもや扉の開く音。今度は遠く、玄関から。
「ただいまーっ!」
「おかえりーっ!」
「手ぇ洗ってなさーい!」
恋人気分はここまで。うなずき合って、僕らのお姫様の待つリビングへ。
紅色の便りを肩に乗せて、曇りない笑顔はまさに秋晴れだ。

136
パラオロビンス 8f20ee3259 2016/10/20 (木) 23:28:44 ddb5d@adaa3

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パラオロビンス 8f20ee3259 2016/10/20 (木) 23:28:34 ddb5d@adaa3

組んでみたら機動部隊だった艦隊

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舞鶴CafE's 99dd03c982 2016/10/20 (木) 23:27:42 68850@ffab1

一位指名 秋津洲:やっぱり秋津洲がナンバーワンかも!
二位指名 瑞 穂:ちょっと強いけど大艇ちゃんが乗せられなくて一位には一歩劣るかも!
三位指名 高 波:かもですかも!
四位指名 あきつ丸:名前が似てるけどこっちは烈風拳が使えるかも!
五位指名 まるゆ:運が上がるかも!
六位指名 指名終了:エアま…る…? 難しい事は分からないかも
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133
終末シップファッカーズ 5944c9faa0 2016/10/20 (木) 23:24:18 28303@b4e33

大きすぎィ!

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大榛叡ジャイアンツ 7bb60e3b82 2016/10/20 (木) 23:24:13 6cb11@f27a3

画像1

コンセプト:「ちょっとイベント海域行ってくる!」艦隊

131
終末シップファッカーズ 5944c9faa0 2016/10/20 (木) 23:23:38 28303@b4e33

画像貼れるかな画像1

130
柱島食堂レックス e900062160 2016/10/20 (木) 23:22:44 b0fe2@0cd6a

画像1
こうか

129
柱島食堂レックス e900062160 2016/10/20 (木) 23:22:12 b0fe2@0cd6a

これやな
ドラフト艦隊

128
ブルネイドラゴンズ 528252ff5b 2016/10/20 (木) 23:20:35 35d09@bffaa

画像1
名前変えるの忘れてた

127
柱島食堂レックス e900062160 2016/10/20 (木) 23:20:29 b0fe2@0cd6a

画像どうやって貼んや

126
ブルネイドラゴンズ 528252ff5b 2016/10/20 (木) 23:19:34 35d09@bffaa

選手入団会見画像1

125
鹿屋ファーストスプリングス 680e4ce792 2016/10/20 (木) 23:17:57 4d237@b7e63

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嫁とその姉妹、そして上司
春風は…まぁ春繋がりってことで

124
ブルネイドラゴンズ 528252ff5b 2016/10/20 (木) 23:16:53 35d09@bffaa

監督談話が入っています
一位指名鳳翔:唯一無二の嫁。なんとしても獲得したかった。競合せず何より
二位指名扶桑:一番使っている戦艦。水上打撃や4-5、かつては3-5でもお世話になった
三位指名妙高:15夏E6、E7と連続で旗艦を撃破してくれた。非常に頼りにしている
四位指名吹雪:初期艦。下位での指名になったが競合せず何より
五位指名長良:地元枠その1。初めてのイベントとなった14秋では活躍を見せてくれた
六位指名木曾:地元枠その2。雷巡となってからは毎週の5-2でお世話になっている

123
Red Bull Fleeting 8384b9ac27 2016/10/20 (木) 23:15:21 20125@218b7

いつもの6人やね
鈴熊と第四駆逐隊

122
パラオロビンス 8f20ee3259 2016/10/20 (木) 23:14:17 ddb5d@adaa3

ツインテとツーサイドアップが好きなので髪型縛りで固めてみましたで

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終末シップファッカーズ 5944c9faa0 2016/10/20 (木) 23:14:15 28303@b4e33

嫁旗艦とあとは髪の色をカラフルに

120
柱島食堂レックス e900062160 2016/10/20 (木) 23:13:04 b0fe2@0cd6a

留守艦隊なので演習がうまいようにレベル高い順に駆逐を指名しましたやで

119
司会進行 2016/10/20 (木) 23:12:05 68850@ffab1

以上、お疲れサンバ
あとは各艦の指名理由とか書いてお留守番させて終わりです

118
司会進行 2016/10/20 (木) 23:10:16 修正 68850@ffab1
球団名第一巡第二巡第三巡第四巡第五順第六巡
Red Bull Fleeting舞風鈴谷熊野野分萩風
柱島食堂レックス清霜涼風綾波Z3
終末シップファッカーズ神風皐月浦風夕雲Верный時雨
大榛叡ジャイアンツ大和榛名比叡摩耶大鳳翔鶴
ブルネイドラゴンズ鳳翔扶桑妙高吹雪長良木曾
パラオロビンス瑞鶴利根大潮川内龍驤蒼龍
鹿屋ファーストスプリングス初春春風子日若葉初霜阿武隈
舞鶴CafE's秋津洲瑞穂高波あきつ丸まるゆ指名終了
青文字は指名獲得、緑文字は再指名獲得です
これにて全指名を終了しました。お疲れ様でした