【飲み会(女子会?)】
『それですごいぎこちなかったんだから! あっちからしたら驚きしかなかったと思うよ!』
「そんなにか?」
『後半は自分で話すようになったけど、最初は殆ど耳打ちした内容を私が答えてたんだよ!』
「おーそうか……」
夜。
蔵から出てきた僕の携帯に電話をかけてきたのは飛龍。
まくし立てるようによどみなく話す様はいつも通り元気なんだなと感心させられる。
『私は報酬を求める!』
「報酬?」
『美味しいご飯とお酒をたくさん用意してもらうからね!』
「は?」
『セッティングに青葉と衣笠にも協力してもらったから、そのお礼がしたいんだよねー』
「いやいやちょっと待て、ウチで飲み会でもするのか?」
『え、そうだけど?』
「飛龍……」
思わずガクッと膝から崩れ落ちた。なぜ、気兼ねなくいきなりそういう事を僕に頼むのか。
天真爛漫は今に始まったことではないが、もはや横暴すら越えるレベル。
『でもね』
「ん?」
『お礼は建前でさ、同じ会社の人なのに私以外の人を知らなすぎるでしょ。 私もいつまでも担当持てるとは思ってないから、親睦を深める機会にもなるんじゃないかなってね』
「うーん」
掌を返す訳ではないがよく考えているなと感心した。
人見知りしている妻を思い、そういう場を設けて慣らせてあげようという考えがあるとは。
しかも将来まで考えて……。
僕は思わず唸ってしまった。
『まー湿っぽい話も似合わないし楽しく飲ませてもらうから! 雲龍には私たちにお酌をしてもらおうかなー!』
「こないだだってしてもらってたじゃないか」
『アレじゃ飛龍さんは満足しないよ? もっとこうセクシーな服を…』
「切るぞ」
『ごめんごめん! とにかく雲龍の事を思って協力してね、予定は追って連絡するから!』ブチッ
……切ろうと思ったら切られた。
好みの話とか色々聞きたいこともあるのだが。
まあ、雲龍が慣れてくれれば僕も嬉しい。
僕も諸肌を脱ぐか。
【おしまい】