再び、話を南昌昌北国際空港に戻す。
彼は日光照り付けるアスファルトの上で、
遠くに運ばれている旅客機を見つめていた。
特に理由はなかったが、視線が自然にその方向へと向いていった。
アエロ Ae-914が2重反転プロペラのけたたましい騒音を響かせながら、
1台の半装機式オートバイにゆっくりと牽引されて行っている。
何故、わざわざジェット全盛期のこの時代に
こんなターボプロップエンジンの大型旅客機を運用しているんだろう?
多分予算とか航続距離の問題だろうが、墜落しない限り何ら問題はない。
幸い、コイツは何の問題もなくここまで来れた。
文句を言う気は全くない。
次の瞬間には背を向けて、空港の出口に向かって歩き出していた。
ひとまず外でタクシーでも捕まえて、どっか適当なホテルでも見つけてくるか…。
何せ、下見と言う名の何の目的もない旅なのだ。 気楽に行こう。
…数分後。
彼は全く気楽ではなくなっていた。
「…なあ、俺はタクシーを頼んだんだが。
本当にコイツはタクシーなんだろうな?」
「お客さん、これは3輪タクシーですよ。知らないんですか?」
「ああ、知ってるが… 何というか、そもそもこれタクシーなのか?」
彼の目の前には、幌をかぶせられた1台の半装機式オートバイと
操縦席にまたがった人のよさそうな中年の中国人がいた。
クーラーはないが、幸いなことに扇風機はある。
乗ってみたいような気もするが…
まあ、時間はある。 ゆっくり考えようじゃないか。
エドゥアルト・ブラーズディル
チェコクリパニア陸軍第7騎兵空挺旅団「ルドヴィーク・スヴォボダ」所属。
イェロニームに頼まれて、トラストへと旅行の下見をされられる羽目になる。
イェロニーム・ミハルチーク
チェコクリパニア陸軍第7騎兵空挺旅団「ルドヴィーク・スヴォボダ」所属。
最近結婚した。
ヤロミーラ・ルニェニチュコヴァー
イェロニームの結婚相手。美人。