ダイバー1「ポイントにターゲットを誘導成功!! 砲兵部隊は第3波投射用意!!」
オペレーター「了解。砲兵部隊は宜しくお願いします。」
砲兵部隊隊長「おう任せな!お前ら指定のポイントに発射だ!!調理開始と行こうぜ!!」
砲兵1「発射準備いつでも行けます!」
砲兵部隊隊長「おう!奴らをこんがり調理しようじゃねえか!撃てぇ!!」
陣地後方の砲兵部隊が3度目の火力投射を行う、爆音を奏でた砲撃が周りの空気を震わせ、大きな衝撃を与える。
誘導員「砲撃がこっちに来るぞ!全員出来る限り距離を取れ!」
その声を聞き、先程まで装甲車に乗っていた者達、この場所で誘導をしていた者達が一斉に蜘蛛の子を散らすようにその場から退去を始める。
兵士1「ここまでくればいいだろう…来るぞ!その場で伏せて耳を塞いでろ!」
距離は取った、後は砲撃の衝撃から身を守るだけである。
観測兵1「砲兵部隊、砲撃しました!…5、4、3…弾着…今!!」
放物線を描いた投射物は、身動きが取れないながらも穴から出ようと藻掻いていた”ウォーデン”に真上から直撃し…爆発。綺麗な爆炎を咲かせる。
落とし穴という閉鎖的空間で喰らう衝撃は並大抵の威力ではない、爆発による衝撃が逃げる場所が穴の出口…上しかないからだ。その上から降ってきた弾頭が炸裂した際に圧力が一気に高まる…圧力鍋のような状態に近いのだろうか。
逃げられない“ウォーデン”は、文字通り上から降り掛かり穴の中で高まった衝撃を身を持って体験している。誘導弾や榴弾の炸薬によって爆炎の熱で身は焦げ、爆発の衝撃で体内の骨格や内臓は押され、潰れてグチャグチャになる。
穴の中にいた怪物はある程度原型は留めているものの、表皮が焼け爛れて体のあちこちから臓器、が飛び出た物言わぬ骸と化していた。
2度目の成果にファントム陣営から歓声が挙がる。
〜司令室〜
オペレーター1「2体目の”アバドン”の撃破を確認しました!」
オペレーター2「これで後1体を残すのみ…被害もほぼ微小…このまま行けば…!!」
前回とは売って代わり、2体の”ウォーデン”を被害無く葬った事実に司令部は安堵する。このまま行けば…最良の結果を持ち帰ることが出来る…その希望が見え始めた…。
〜〜〜
戦場では最後の”ウォーデン”が未だに銃弾の嵐の真っ只中にいる。頭部に付いている口からは唸り声が鳴るのと同時に、胸部にある大きな口からは青白い光が漏れ出していた。
決して慢心をしていた訳でも油断していたわけでも無い。しかし、今追い詰めていた獣は我々の知っているような只の獣ではなかった…そのことをファントムはその身を持って味わうことになる。
次回:その獣、手負いに付き。
手負いの獣は何よりも恐ろしい。