「「「うわぁぁあああああ!!!」」」
古代都市通路、そこでは1台の爆走する兵員輸送車とそれを追いかける1体の”ウォーデン”。現在2体目の”アバドン”撃破作戦中である。
兵士1「おい!俺達の役割って”アバドン”を引きつけるんだよな!?これってただ襲われてるんじゃないのか!?」
兵士2「俺達だけであんな化け物どうこう出来るわけねーだろ!結果的に誘導できてるからいいじゃねえか!」
彼らが与えられた役割は装甲車を使った”アバドン”の誘導である。しかし、あまりにも待ちぼうけを喰らった”ウォーデン”は怒り心頭でおり、目の前の物を破壊するだけのマシーンと化している状態である。
兵士1「おい!距離詰められてきてるぞ!もっとスピード出ねえのか!?」
運転手「駄目だ!道が荒れててやがる!これ以上スピードを出したら横転しちまう!」
兵員輸送車も荒廃した古代都市のせいでスピードを出せずに、徐々にその距離を詰められて来ている。
兵士2「クソッ!近づいてきやがる!!」
兵士3「武器を出せ!少しでもいいから時間を稼ぐぞ!!」
彼らは兵員輸送車に搭載されている12.7mm機関銃や持参している小銃を後ろから迫りくる”ウォーデン”に向ける。
兵士1「撃て撃て!近づけさせるな!」
装甲車上部に取り付けられた12.7mm機関銃や、後部のドアを開けた兵士達が自動小銃を撃ちまくる。
しかしこの“ウォーデン”、20、30mm機関砲で負傷させないまでも、やっとダメージを与える程の硬さである。こんな豆鉄砲で止まるはずがない。現にやや遅くはなったが、ジリジリと距離を詰めてきている。
兵士3「ヤバいヤバいヤバい!まだなのか!?指定されたポイントは!!」
運転手「もう少し…あった!!飛ばすからどっかに掴まってろ!!」
前方に居る誘導ポイントで待機している兵士達の脇を掠め、まさかのドリフトをしながらダイナミック駐車を決める。ナイス駐車。
兵士1「良し!なんとか行けそうだな。ワイヤーを張ってくれ!」
その言葉を受け、誘導ポイントで待ち構えていた兵士達は足元にワイヤーを張って直ぐに退散する。
その数秒後に待ってましたと言わんばかりにその場所を目掛けて”ウォーデン”が突進してきた。そして結果は前回示した通り、足を取られて盛大にすっ転ぶ。
転んだ先は、地面に大きく書かれているバッテン印、ファントムお手製の罠である。『ズボッ』っという音と共に”ウォーデン”は一気に下まで転落する。その瞬間、穴で火柱が噴き上がった。
穴の下に設置されていたのは対戦車用の地雷、前回のIEDと同じく”本命”の攻撃前に行う所詮”繋ぎ”役の攻撃であるが…”ウォーデン”はあまりの衝撃に数m浮き上がるほどの威力であった。
しかし、穴の高さは約10m、工作兵が汗水垂らして必死に掘った結果である。推定体高が3〜5mの”ウォーデン”では数m浮き上がったとしても穴からは出られない。一瞬の浮遊の後はアリ地獄生活に逆戻りだ。
ダイバー1「ポイントにターゲットを誘導成功!! 砲兵部隊は第3波投射用意!!」
オペレーター「了解。砲兵部隊は宜しくお願いします。」
砲兵部隊隊長「おう任せな!お前ら指定のポイントに発射だ!!調理開始と行こうぜ!!」
砲兵1「発射準備いつでも行けます!」
砲兵部隊隊長「おう!奴らをこんがり調理しようじゃねえか!撃てぇ!!」
陣地後方の砲兵部隊が3度目の火力投射を行う、爆音を奏でた砲撃が周りの空気を震わせ、大きな衝撃を与える。
誘導員「砲撃がこっちに来るぞ!全員出来る限り距離を取れ!」
その声を聞き、先程まで装甲車に乗っていた者達、この場所で誘導をしていた者達が一斉に蜘蛛の子を散らすようにその場から退去を始める。
兵士1「ここまでくればいいだろう…来るぞ!その場で伏せて耳を塞いでろ!」
距離は取った、後は砲撃の衝撃から身を守るだけである。
観測兵1「砲兵部隊、砲撃しました!…5、4、3…弾着…今!!」
放物線を描いた投射物は、身動きが取れないながらも穴から出ようと藻掻いていた”ウォーデン”に真上から直撃し…爆発。綺麗な爆炎を咲かせる。
落とし穴という閉鎖的空間で喰らう衝撃は並大抵の威力ではない、爆発による衝撃が逃げる場所が穴の出口…上しかないからだ。その上から降ってきた弾頭が炸裂した際に圧力が一気に高まる…圧力鍋のような状態に近いのだろうか。
逃げられない“ウォーデン”は、文字通り上から降り掛かり穴の中で高まった衝撃を身を持って体験している。誘導弾や榴弾の炸薬によって爆炎の熱で身は焦げ、爆発の衝撃で体内の骨格や内臓は押され、潰れてグチャグチャになる。
穴の中にいた怪物はある程度原型は留めているものの、表皮が焼け爛れて体のあちこちから臓器、が飛び出た物言わぬ骸と化していた。
2度目の成果にファントム陣営から歓声が挙がる。
〜司令室〜
オペレーター1「2体目の”アバドン”の撃破を確認しました!」
オペレーター2「これで後1体を残すのみ…被害もほぼ微小…このまま行けば…!!」
前回とは売って代わり、2体の”ウォーデン”を被害無く葬った事実に司令部は安堵する。このまま行けば…最良の結果を持ち帰ることが出来る…その希望が見え始めた…。
〜〜〜
戦場では最後の”ウォーデン”が未だに銃弾の嵐の真っ只中にいる。頭部に付いている口からは唸り声が鳴るのと同時に、胸部にある大きな口からは青白い光が漏れ出していた。
決して慢心をしていた訳でも油断していたわけでも無い。しかし、今追い詰めていた獣は我々の知っているような只の獣ではなかった…そのことをファントムはその身を持って味わうことになる。
次回:その獣、手負いに付き。
手負いの獣は何よりも恐ろしい。
ボコボコにしてやるから首洗って待ってろファントム軍(鬼畜)
想像したら凄いグロかったです(?)
やはり茶番は文章描写が大事だと思っているので...しっかり描いてます。
次回からグロ描写及び鬱展開に移行します。
苦手な方注意です。