みうみう(統合国家ファントム)
5代目管理人 4f3af7a581
2024/09/18 (水) 22:12:59
???
やっと出来ました...練りに練った結果です...サボッテナイヨ。
前話に引き続き、グロ、鬱注意です。
閲覧には気を付けてください。
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〜〜〜
兵士「こちら後衛部隊!ポイントを更新!」
兵士「急げ!中衛地点まで移動するぞ!」
中衛部隊が”ウォーデン”と接敵する少し前、部隊が抜けて人員の空いた中衛の補充として後衛部隊が移動を開始しようとしていた。
兵士「全員乗ったぞ!移動してくれ!」
ピグリン兵「!…少し揺れるから気をつけてくれなんだべ!」
兵士「ああ!!こっちは気にせず急いでくれ!」
ピグリン兵「分かったべ!!」
そこにはダイバー1を慕う兵員輸送車を操るピグリン兵の姿もあった。音響機器を外し、兵士を移動させるために中衛地点への移動を行っていたのだ。
ピグリン兵「たいちょうさん…待っててくれだべ!!」
種族を超えても、そこにはお互いを想いやる友愛の気持ちがあった。はやる気持ちを抑えながら、彼はアクセルを踏んで輸送車を走らせる。
斜陽
〜〜〜
ダイバー1「105mm砲撃て!!」
号令と共に放たれる105mm砲と、”ウォーデン”の衝撃波が放たれるタイミングは奇跡的に一致した。装輪戦闘車達が放つ105mm砲弾は精密な射撃精度を持っていたことが仇となり全弾衝撃波と真っ向からぶつかる。
しかし腐っても人類の叡智が生み出した兵器。高い貫通力を持つために僅かながらその軌道が逸れるだけであった。
しかしその僅かな軌道の変化でも進み続ければ大きな誤差となる。結果的に砲弾は”ウォーデン”の周りに着弾し、奴の型抜きをするだけに留まった。
ダイバー1「射撃開始!」
105mmの最大火力による先制攻撃は失敗したが、直ぐに次の攻撃命令が下される。着弾の衝撃波で身動きが取れない”ウォーデン”に対して、銃撃の雨が殴りつけるように降り注ぐ。
“ウォーデン”「…?、…!?…?」
今までは何ともなかったチャチな豆鉄砲だが…何故か痛みを伴う様な素振りを見せる。そもそも”ウォーデン”に痛覚があるかは微妙だが、奴は困惑し身じろいでいる。
それもそのはず、銃弾が集中しているのは半ばから引き千切られた左腕の傷口や損傷が酷い箇所である。まるで傷口に塩を塗るかのごとく、外皮が硬いのなら中身を攻撃する事で有効打を与えているのだ。
この機を逃がすまいと20mmの連装機関砲を連射していた戦闘支援車が、同じく搭載していた4門のロケットランチャーによる対戦車ミサイルを解き放つ。それと同時に歩兵の陣営が動き、スタングレネードを幾らか投げつけた…複数からの致命傷を狙った波状攻撃である。
しかし、もうこの攻撃は経験済みであった。”ウォーデン”はダメージに耐えながらも即座に迎撃態勢に入った。スタングレネードの無効化は経験済みである為、すぐさま地面に向けて衝撃波を放ちスタングレネードを吹き飛ばす。そしてそのまま衝撃波を横薙ぎに放ち対戦車ミサイルを全弾迎撃、レーダーでも付いているのかと疑うかの様な正確ぶりだ。そしてそのまま間髪入れずに次は自分のターンとばかりに横薙ぎに衝撃波が放たれる。
ダイバー1「全員伏せろ!!」
彼の声を聞いた大部分の兵士達は反射的にその場に伏せるが、一部の兵士達は間に合わずに”ズバァン!!!”という音と共にその命を上半身ごと刈り取られる。
ダイバー1「かなりの学習速度だな…もう誘導弾とスタングレネードの迎撃能力を備えたか。」
ダイバー2「ダイバー1、もうスタングレネードによる効果は見込めん。次の無力化プランを試す他ない。このまま行けば衝撃波攻撃によって被害が拡大するばかりだからな…」
ダイバー1「そうだな、聴覚を支えるあの角のような感覚器官を破壊する。狙撃班、狙えるか?」
狙撃兵「ああ。チャンスをくれるか?ダイバー1。」
ダイバー1「良し、時間稼ぎをしつつ隙を作るとしよう。」
ダイバー1の指示に従い、部隊は一斉に”ウォーデン”目掛けて攻撃を継続する。小銃、機関砲、爆発物…ありとあらゆる兵器が牙を剥き、”ウォーデン”目掛けて殺到する。銃撃や爆発を喰らいながらこちらも衝撃波で反撃する。
隊列に次々と穴が空きつつも必死に喰らいつき、徐々に”誘導”を行う部隊。命を削り、欠員を出しつつも必死に”ウォーデン”を導いた先には…
兵士「これでも喰らえ!化け物め!!」
“ウォーデン”の足元にあるのは対戦車地雷。ファントムの最後の仕掛けである。
爆炎に包まれるがその中にはくっきりと”ウォーデン”の影が写し出される。爆発が済むとダメージによって直立する”ウォーデン”の姿が見える。狙撃には充分すぎる隙だ。
狙撃兵「援護に感謝する。」
そう言って放つのは、対物ライフルによる射撃…狙うのは、何度も何度も攻撃に晒されてきた衝角…感覚器官である。これを2丁の対物ライフルで根本からへし折った。
“!?!?!?!?!?!?!?!?…!!!!????….?..?….”
ビクン!!…と暴れていた”ウォーデン”は振り上げていた腕をおろし…その場で沈黙する。まるでシャットダウンしてしまったかのように…
兵士1「と、止まった…?」
兵士2「やった…のか?」
今まで暴れていた怪物が、嘘のようにピクリとも動かなくなった状況に兵士達は困惑の色を隠せない。
ダイバー1「全員気を引き締めろ!!油断は禁物だ。負傷者を後退させろ、戦える者は”アバドン”を包囲する! 戦車部隊!NZ砲弾による射撃は可能か!?」
戦車小隊長「ああ!ここからなら可能だ!全員下がらせてくれ、ダイバー1!!」
ダイバー1「了解した。聞いたか全員!?包囲を維持しつつ距離を取るぞ!」
そう言って兵士達は下がり始めるが、ある者が”ウォーデン”の異変に気付いた…いや、気づいてしまった。
兵士「ん…?”アバドン”が震えている?」
その言葉で包囲していた全員が一斉に”アバドン”を見る。
さっきまで弱く震えていた”ウォーデン”が段々と強く震えていく…フルフルからガタガタと…そしてビクンッと体を更に強く震わせt…
「オ゙ォア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!」
ドンッ!!っという音を響かせて雄叫びと共に衝撃波が真正面の空間を下から上に切り裂く。
先程放っていた物よりも更に太く威力の増した衝撃波によって射線上にいた兵士達は全身を、または半身を文字通り消し飛ばされる。
「は??」
これが誰が漏らした言葉なのかは分からない。しかし、あまりにも理解が出来ない状況だった。さっきまでこの化け物はピクリとも動かなくなっていたではないか?それなのになぜまた動けるようになったのか?兵士達の間に困惑の色が浮かぶ。
ドウゥゥ!!!と再び横薙ぎに放たれる衝撃波、それらは”ウォーデン”に対して正面に展開していた困惑している兵士達を薙ぎ払い始めた。
兵士「あっぶねえ!!」
上半身を文字通り消失する兵士達を横目にヘッドスライディングすることで直撃を防いだとある兵士。何度も何度も同じ攻撃パターンから姿勢を低くすることで生き延びてきた。
兵士「良かった。なんとかなっ…おぁごっぉえ!!」
姿勢を低くして頭上を薙ぎ払う衝撃波を躱したものの、頭上へ降りかかる衝撃波から逃げられず圧力で圧死してしまった。衝撃波がより強く太くなった影響で周りにも強い影響力を与えてしまい、もはや今までの回避方法でも死亡してしまう。
ダイバー4「なんだ…何なんだこの化け物は…」
ダイバー3「隊長!!…更に強くなってませんかこいつ!!」
ダイバー1「…ッ!!!」
ダイバーズは先に行動を起こし、”ウォーデン”の後ろに回り込んでいた為に被害を受ける事は無かった。しかし、2射…いや、薙ぎ払いの1射で包囲していた部隊の半数が死亡してしまった。
彼らが見たのは上半身が無くなった死体、上から降り注いだ圧力によって出来た血の染み達、強者が放つ圧倒的な力に弱者は無力だった。
ダイバー1「私が悪かったのか…!?」
恐らくあの怪物には何かしらの抑制…リミッターが掛けられていたのかもしれない。それを壊してしまった…パンドラの箱を開けてしまったのかもしれない。
自分が指示したことにより大勢の命が失われてしまった事に深い後悔と絶望が刻み込まれ…。
ダイバー2「ダイバー1!!惚けてる場合ではないぞ!!!」
副隊長が隊長に喝を入れる。そうだ、打ちのめされている場合では無い。いかなる犠牲を払おうとも今ここにいる怪物を倒さねば悪夢は終わらないのだ。
ダイバー1「戦車による攻撃でしかこいつはもう倒せない…奴を縫い留め続けなければ、すまないが命を懸けてくれるか?」
ダイバーズ「「「「了解!」」」」
ダイバー1「散開するぞ!挟み込んで攻撃!!」
この号令によって全員が左右に分かれて挟撃を行う。
体を銃弾で撫でられ、鬱陶しくなった”ウォーデン”はミシミシと体を軋ませながら射撃を行っているダイバーズに狙いを定めて一気に突進、近くにいたダイバー7に突進する。
ダイバー7「!?」
その目の前に広がるは”ウォーデン”の鉄鎚のような右拳。
ダイバー7「あ、げふっ!!」
正面から大質量の攻撃を喰らい、頑丈なはずの防弾ベストの隙間から血が噴き出す。”ウォーデン”の突進はこれだけでは止まらない。そのままダイバー7を拳に収めながら後ろの隊員も巻き込む。
ダイバー15「うぐぅっ!」
ダイバー5「あぎぇっ」
突進そのまま、三人のダイバーズを拳で押し込み後ろの遺跡の壁に叩きこむ。出来上がったのは三人の遺体が重なり、ぺしゃんこになった赤いサンドウィッチ。
「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!…オ゙ア゙ァ!!」
”ドウッ!!!”と三度、振りまきざまに放たれる衝撃波。それは直線上にいた隊員達を包み込む。衝撃波が通りすぎた後、そこに残ったのは隊員の足元のみ。手負いの獣の進撃を止める事は出来ない。
それはかつての悪夢の再現。一度目の遭遇に起こった事とほぼ同じ状況である。圧倒的暴力の前にただただ蹂躙される隊員を生き残ったダイバーズ達は見てるだけしかなかった。
強力な衝撃波を放った”ウォーデン”は全身からそして両方の口から血をしたらせ…急に”グリンッ”と首を回して彼らへ顔を向ける。視覚もなく聴覚も失い彼らの位置が分からないはずなのに、まるでそこに居るのが分かっているかのように彼らを視ていた。
ダイバー1「…ッッッ!!」
”次はお前だ”と言わんばかりの殺意を向けられ、尻込みをしてしまう。本能が”アバドン”を恐れてしまっているのだった。
”勝ち筋が見えな—”
ダイバー1「(いや、臆してはいけない。ここで奴を止めなければ、中衛部隊が…ここに参加している部隊全員が犠牲になる。ここで奴を倒さなければ…!!!)」
自らを鼓舞し、再び彼らに指示を行おうとした。しかし、この一瞬の隙が命取りになる。
ダイバー3「隊長!!」
ダイバー1の目の前には、既に”ウォーデン”が肉薄していた。腕を振りかぶり自分を攻撃する者達を率いる大将を殺そうと腕を振りかぶり…
「皆どいてくれだべ!!!」
突如聞こえた大声に反射的に身を下がらせるダイバーズ達、ダイバー1が見たのは”ウォーデン”の土手っ腹に突撃をカマす黒い兵員輸送車。そしてこの特徴的な語尾、来てくれたのだ。
ピグリン兵「うぉぉぉおおおお!…りゃぁああああああああ!!!」
アクセル全開。奴がダイバーズにしたように突進し、そのまま遺跡の壁に輸送車ごと”ウォーデン”を叩き込む。土煙を派手にあげながら、”ウォーデン”を壁に固定した…この手を逃すまい。
ダイバー1「戦車小隊!奴を狙えるか!!」
戦車小隊長「ああ、土煙が出てるが補足した! 輸送車にいる英雄を助け出してくれ!! 彼を巻き込みたくはない!!!」
ダイバー1「分かった!」
彼らは英雄を助ける為に急いで輸送車を目指す。
ピグリン兵「…ん…あれ、おでまだ生きてる…?」
一時的な失神から意識を回復したピグリン兵は潰れかけた運転席で目を覚ます。そうだ、たいちょうさんは大丈夫なんだろう…
”ドンッ!!”という大きい音と衝撃が輸送車を揺らす。車のフロントガラスに映っていたのは口から血をしたらせ、鬼のような形相をした怪物、”ウォーデン”の顔が至近距離にあった。
ピグリン兵「ひぃいい!!」
“ウォーデン”は胸の下までを輸送車に潰されながらも残った右腕で必死に車を押し、叩いて自らの自由を取り戻そうとしていた。
しかし、腕は力を入れるたびに”メリメリッ”と悲鳴を上げ、体の至るところにある傷からは”プシュッウ”と血が噴き出している。
彼等の戦いは無駄ではなかった。彼らが与えた傷は、たとえ小さくとも今となっては大きな傷となって広がり、”ウォーデン”の力を奪う。
ピグリン兵「早く…早く逃げなきゃ!!」
そう言ってドアを開けようとするがドアの開閉レバーが”ガチャガチャ”と動くだけで開けることは出来ない。先程の衝撃でフレームが歪んでしまった為、通常の方法では開けられないのである。
そうこうしている間に”ウォーデン”は自由を取り戻しつつある。腕が悲鳴を上げながらも輸送車をずらし、輸送車によって壁に埋まっていた胸にある大きな口が自由を取り戻す。
下半身はまだ埋まっているが、この大きな口から吐かれる衝撃波があれば、こんな輸送車なぞ吹っ飛ばす事が出来る。青い光が漏れ始め、衝撃波が今か今かと放たれようとしていた。
ピグリン兵「あわわ…早く、早く空いてくれぇ!!」
ピグリン兵も衝撃波が放たれれば自分がどうなるかなんてわかっている。ピグリン特有の膂力をもって必死にドアを開けようと藻掻くが、完全にフレームが歪んだドアはビクともしない。青い光が煌々と輸送車を照らし、放たれようとしたその瞬間。
“ウォーデン"の右肩に30mm砲弾が突き刺さり、傷だらけだった肩から肉を飛び散らせる。
「グォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オオオア゙????」
突如飛来した砲弾によりさらなる損傷を受け、苦痛を含ませた悲鳴を上げる。”ウォーデン”の右方向からは、歩兵戦車とその周りに展開するダイバーズが英雄の救出のために輸送車目掛けて進軍しているではないか。
運転手「ダイバーズ、30mmが効いてるぞ!このまま奴を削り続ける!今のうちに救出を!!」
ダイバー1「了解した!しかしこれ以上の被害は出せない…自分が行く!他の者は”アバドン”に攻撃!輸送車には絶対に当てるな!」
ダイバーズ「「「了解!!」」」
ダイバー1は輸送車目掛けて駆け出し、他の者達は歩兵戦車と共に攻撃を続行する。
「ガッァア゙ア゙!ゴッオ゙ェ゙ェ゙ェ゙エ!!」
小銃弾、30mm砲弾は共に”ウォーデン”の体表を削り、傷口に着弾した物は更なる深手を与えていく。もうあの時の無類の強さを発揮した獣はいない、ここまでやってようやく歩兵の装備で互角になるのだ。とはいえ完全に致命傷を与えるには大口径による砲撃が必要では有るが。
輸送車まで辿り着いたダイバー1は運転席にいるピグリン兵を肉眼で捉える。
ダイバー1「大丈夫か!?」
ピグリン兵「…!たいちょうさん!ドアが…ドアが開かないんだべ!!」
ダイバー1「クッ…!!やっぱり開かないか。」
やはり開閉レバーが機能してない。しかし、このロックさえ壊せれば二人の力で無理やり壊せるはず…
ダイバー1「下がってろ!」
そう言って自らの小銃をドアのロック部に突きつける。彼もダイバー1のやることを察し隣の席まで移動する。2度の発砲、それによってロック部を破壊する。
ダイバー1「今だ!合わせるぞ。」
ピグリン兵「おりゃああ!!」
“バキンッ!”という音と共にドアが開く。
ダイバー1「来い!!」
ピグリン兵「んだ!!」
ダイバー1が伸ばした手を掴み、共に輸送車から脱出、ダイバーズがいる地点まで急ぐ。
ダイバー1「戦車小隊!英雄を救出した!やってくれ!」
戦車小隊長「了解した!」
砲塔が回転し照準が輸送車の前にいる”ウォーデン”に定まる。
戦車小隊長「撃て!!」
主砲が火を噴き、”ウォーデン”を確実に死に至らす存在が高速で”ウォーデン”に向けて殺到する。
ダイバー1「よし、これで!!…!?」
ピグリン兵の手を引き走り続けたダイバー1が”ウォーデン”の様子を見よう振り返った。しかし、そこで彼らが見たのは”ウォーデン”が自分たちに向けられた胸に空いた大きな口。そこからは青い光が漏れ出していた。
ダイバー1「まずい!!」
既に衝撃波が今にも放たれようとしており、このままでは衝撃波によって二人が撃ち抜かれるのは確か。なら自分がすることは…
”ドンッ”という強い衝撃と共に自分を吹き飛ばしたのは、さっきまで自分の手を掴んで走っていたピグリン兵。人間が持つ膂力をはるかに超える力でダイバー1を衝撃波の範囲外に突き飛ばしたのだ。
衝撃波が迫りくる中でピグリン兵は…笑っていた。そして衝撃波は突き飛ばした影響で若干ずれたが…彼の下半身を跡形もなく吹き飛ばした。
ダイバー1「…!!??」
叫ぼうとした瞬間に、衝撃波の余波と主砲が”ウォーデンに”着弾した際に生じた衝撃で吹き飛ばされてしまった。体が宙を舞い、何度も地面に体を叩きつけられる。
ダイバー2「ダイバー1!!大丈夫か!?」
その衝撃はダイバー1を援護していたダイバーズ達の元にも届いていた。吹きすさぶ突風と砂煙に煽られながらも隊長の無事を確認する為に声を張り上げる。
ダイバー1「大丈夫だ!!…俺は…しかし…!!」
ダイバー1は辺りを見渡し、砂埃が視界を塞ぐ中、自らの命を救ってくれた”英雄”を探しまわる。…そして、彼の足がある物の前で止まる。
ダイバー3「隊長!見つかりましたか…!?」
ダイバー1の後を追ってきた隊員達が目にしたのは…下半身を消し飛ばされ、臓物と血が飛び散り、ぶちまけられていた…ピグリン兵の残った上半身の部分であった。
ダイバー1「…!医療キットを持ってこい!止血作業をする!!」
彼はそう言うとピグリン兵の元に駆け寄り必死に圧迫し血を止めようとする…が、もはや間に合わない…いや間に合うわけがない。すでに上半身しかない状態で、多くの臓器が失われ…また欠損している状態だ。体の断面が損傷部分である以上、人の手での止血など焼石に水。実際、彼が合わせている手の周りからは血があふれ出ているではないか。
ダイバー2「ダイバー1…もう…彼は無理だ…」
困惑した彼の口からそう、言葉が出る。医療キットを取りに行ったとて、延命出来るわけでは無い。悪い言い方だが、無駄な行動であった。
ダイバー1「無理ではない!今からでもまだ間に合う!!」
そう言って懸命に治療を行おうとするが…ダイバー1自身も間に合わないことは分かっている。しかし、だからといって諦められない。いや、諦められるわけがない。
ピグリン兵「…だ、だいちょう…ざん…?…よがっだ、ぶ…じで…」
”ヒューッ、ヒューッ”という息も絶え絶えなピグリン兵はそう呟いた。自分の事よりも他者を気遣う。優しい彼だからこそだろう。
ダイバー1「喋るな!!お前は死なせない…だから!!」
そう言って止血作業を続行するダイバー1の手にピグリン兵の手が添えられる。
ピグリン兵「もう…だいじょうぶ…だべ…た…いちょ…うさんが…ぶじな…ら」
あの時…あの作戦以来、たいちょうさんは生気もなくただただ死に急いでるように見えた。心配だった…だからこそ彼の為に何かしてあげたい…そう思ってこの作戦に参加した。他の自分と同じピグリンの仲間達にも止められたけど…それでも行きたかったのだ。
ダイバー1「駄目だ…駄目だ駄目だ駄目だ!!…一緒にホグリンのカツ丼を食うんじゃなかったのか!?」
そう、たいちょうさんに手を取られながら言われる。
作戦開始前に彼に言われた言葉。まさか故郷で飼っていたホグリンの肉がこんなにも美味しいものになるとは思っていなかった…何度も食べるくらいに自分のお気に入りの料理だった。…でも。
ピグリン兵「もう…おい..ら、はおなか…いっぱ…いだか…ら。あと…は、たいちょ…うさんが…たべて…ね…」
それが彼の最期の言葉だった。力を無くした手がダイバー1が握っていた手から落ち…地面に落ちる。彼の最期の顔は…穏やかな笑みを浮かべていた。
ダイバー2「ダイバー1…」
ダイバー3「隊長…」
ダイバー1の心境や如何に…隊員達が彼に声を掛ける。ダイバー1は力なく遺体の前に座り込む。
ダイバー1「…あ、ああ…ぁぁぁあああああああああ!!!!」
両こぶしを地面に叩き、何も救えず後悔と悲しみと怒りに苛まれ、虚しい叫び声が戦場に響き渡る。時刻は午後4時、戦闘から6時間経過し斜陽が照らす夕方の時であった。
ラストに後日談書いて終わりです...もう書きたくないです()
しばらく離れてしまいすみません…、まさか自分がいない間にここまで書いていらしたとは…
イエーイ、ピースピース✌(文章長くて死んだ目)
ずっと期間を開けてた自分が圧倒的に悪いです。お気になさらず。