ダイバー1「全員伏せろ!!」
彼の声を聞いた大部分の兵士達は反射的にその場に伏せるが、一部の兵士達は間に合わずに”ズバァン!!!”という音と共にその命を上半身ごと刈り取られる。
ダイバー1「かなりの学習速度だな…もう誘導弾とスタングレネードの迎撃能力を備えたか。」
ダイバー2「ダイバー1、もうスタングレネードによる効果は見込めん。次の無力化プランを試す他ない。このまま行けば衝撃波攻撃によって被害が拡大するばかりだからな…」
ダイバー1「そうだな、聴覚を支えるあの角のような感覚器官を破壊する。狙撃班、狙えるか?」
狙撃兵「ああ。チャンスをくれるか?ダイバー1。」
ダイバー1「良し、時間稼ぎをしつつ隙を作るとしよう。」
ダイバー1の指示に従い、部隊は一斉に”ウォーデン”目掛けて攻撃を継続する。小銃、機関砲、爆発物…ありとあらゆる兵器が牙を剥き、”ウォーデン”目掛けて殺到する。銃撃や爆発を喰らいながらこちらも衝撃波で反撃する。
隊列に次々と穴が空きつつも必死に喰らいつき、徐々に”誘導”を行う部隊。命を削り、欠員を出しつつも必死に”ウォーデン”を導いた先には…
兵士「これでも喰らえ!化け物め!!」
“ウォーデン”の足元にあるのは対戦車地雷。ファントムの最後の仕掛けである。
爆炎に包まれるがその中にはくっきりと”ウォーデン”の影が写し出される。爆発が済むとダメージによって直立する”ウォーデン”の姿が見える。狙撃には充分すぎる隙だ。
狙撃兵「援護に感謝する。」
そう言って放つのは、対物ライフルによる射撃…狙うのは、何度も何度も攻撃に晒されてきた衝角…感覚器官である。これを2丁の対物ライフルで根本からへし折った。
“!?!?!?!?!?!?!?!?…!!!!????….?..?….”
ビクン!!…と暴れていた”ウォーデン”は振り上げていた腕をおろし…その場で沈黙する。まるでシャットダウンしてしまったかのように…
兵士1「と、止まった…?」
兵士2「やった…のか?」
今まで暴れていた怪物が、嘘のようにピクリとも動かなくなった状況に兵士達は困惑の色を隠せない。
ダイバー1「全員気を引き締めろ!!油断は禁物だ。負傷者を後退させろ、戦える者は”アバドン”を包囲する! 戦車部隊!NZ砲弾による射撃は可能か!?」
戦車小隊長「ああ!ここからなら可能だ!全員下がらせてくれ、ダイバー1!!」
ダイバー1「了解した。聞いたか全員!?包囲を維持しつつ距離を取るぞ!」
そう言って兵士達は下がり始めるが、ある者が”ウォーデン”の異変に気付いた…いや、気づいてしまった。
兵士「ん…?”アバドン”が震えている?」
その言葉で包囲していた全員が一斉に”アバドン”を見る。
さっきまで弱く震えていた”ウォーデン”が段々と強く震えていく…フルフルからガタガタと…そしてビクンッと体を更に強く震わせt…