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第1章
[4話 みずべちほー] ~それぞれの想い~
フルル
「は~い」
プリンセス
「イワビー、ダンスは相手と息を合わせて! 先走り過ぎよ」
イワビー
「わりぃ」
プリンセス
「ジェーン、セリフがあやふやになってるわよ。 しっかり台本を確認しなさい!」
ジェーン
「はい!」
プリンセス
「セリフ! コウテイの番よ。 なにボーっとしてるの?」
コウテイ
「す、すまない」
マーゲイ
「私の指示することがない…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
はあ、はあ…
プリンセス「・・・」
へたり込むメンバーたち・・・
マーゲイを監督に据え「1ヶ月後の公演」を目標に練習が始まったが、これまでになくペースは悪かった。
ピッチを上げるどころか、むしろモチベーションは下がってきているように見える。
コウテイに至っては「心ここにあらず」に見える。
マーゲイ
「少し早いですけど、今日は『上がり』にしましょうか。
それとコウテイさん、今後の進め方についてちょっと相談が・・・」
コウテイ
「…分かった」
こんな調子で間に合うのだろうか?
不安が募る。
・・・私も気分を入れ換えたくなってレッスン場を出ることにした。
ジェーン「プリンセスさんは、歌もセリフも振り付けも ほとんど完璧で…」
イワビー「でもこのままじゃマズいよなー」
マーゲイ「-で、タイリクオオカミさんを呼んでますので脚本の修s…
コウテイ「そうだな…」
フルル「は~ やっとジャパリまんが食べれる~」
イワビー「おまえなぁ…」
そんな声を背中越しに聞きながら…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
通報 ...
???
「歌はやめてくれないか?」
プリンセス
「誰!?」💢
???(CV:石田彰)
「う… 美しい... じゃなくて・・・ 僕のパートナーになってもらえましぇんか?」
プリンセス ( ゚Д゚)ハァ?
「ヘタクソか!
大事なプロポーズシーンを しどろもどろな上に噛むなんて。
コウテイの方がよっぽど・・・
あ、ごめんなさい。 今、お芝居の練習中で・・・」
???「あぅぅ…」
???「ちょっとアンタ! ・・・てペパプのプリンセスさん?」
???「こんな近くで初めて見ちゃった」
???「アイドルまで手玉に取ろうなんて」
???「そこに痺れる憧れるぅ」
また別の娘たちが現れた。
なんだろう? この集団は・・・
プリンセス
「誰よ? あなたたち」
最初に声を掛けてきた「トリの子」がキラキラオーラを振り撒きながら自己紹介をする。
<僕の名前は「アナツバメ=王子様」今、婚活中なんだ。 だから君も…
プリンセス (デリケートな話題すぎて、突っ込みにくいkrkrネームね...)
\キャーキャー/
また周りの
鳥巻き取り巻きたちがピーチクパーチク騒ぎだす。プリンセス(・・・ん?)
今度は取り巻きたちが...
「ヒメアリクイのヒメです… どう? このポーズ。 ワイルドでしょ?」
「ボクは#ヒメイカだよ。
#ダイオウイカ様くらい大きくなるために、この申し出を受けたんだ」
「ヒメアルマジロのフェアリーです。
アナツバメさんに幸せを運びたいです。 まず集めるところからですけど…」
「ヒメウォンバットよ アンタばかぁ?」
ーと、自己紹介した。
こっちもツッコミどころがあり過ぎるが、一番気になったのは、
『パートナー候補が なんで飛べない子ばかりなんだろう?』だった。
私も含めて、だけど・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いくつか疑問が浮かんだが、無難なところから取り敢えず訊いてみたることにした。
プリンセス
「アナツバメって一夫多妻なの?」
アナツバメ
「原作を持ち出す子こと自体ナンセンスだよ。
ヒトの認識にだって誤りはある。
たとえば#オシドリは毎年パートナーを替えたりするし、イクメンでもないらしいじゃないか」
プリンセス
「へー そうなんだ…」
アナツバメ
「だから僕に何人パートナーがいても、奥さん同士きっと仲良くできるさ」
プリンセス
「そんなわけないわよ!」
アナツバメ
「ヒッ!」
ーと、また周りが騒ぎ出す。
「私のアナツバメさんにツッコミを入れるなんて」
「私だってまだツッコミ入れたことないのに、羨ましい」
「私はむしろ突っ込まれたい」
「アンタばかぁ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アナツバメ
「お近付きの印にコレを・・・」 💎
めげないなぁ。
訪問販売の得意なフレンズなんだろうか?
プリンセス
「容姿で靡かないなら、モノで釣ろうっていうこと?」
アナツバメ「せれぶな暮らしを約束するよ? 必死にアイドルごっこなんてしなくても…」
プリンセス「こっちは遊びでやってんじゃないわよ!」 (# ゚Д゚)/
アナツバメ「ヒェッ!」 ((((゚Д゚))))!
ざわ ざわ…
プリンセス
「私は何を言われても構わないけど、大切な仲間をバカにするような人とだけは付き合ってられないわ。
さよなら!」
「歌はいいでしょ?」
「PPPの歌は心を潤してくれる…」
「歌はフレンズの生み出した文化の極みなのよ!」
「アンタばかぁ?」
アナツバメ「あぅぅ…」
あっさり掌を返す取り巻きたちと、慌てるアナツバメを尻目に、私はその場を去った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
プリンセス
「どうしよう・・・」
早速時間を持て余してしまった...
戻るのも気まずいし、自主練をする気分にもなれなかった。
💡
そうだ、かばんの所に行こう。
相談したいことがあったのだ。
今どこに居るかは分からないが、としょかんで博士たちに聞けば分かるだろう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
!?
あれは?
森を抜けると、としょかんからコウテイが出てくるところだった。
中から かばんが出てきてコウテイを呼び止める。
コウテイは振り返ると照れくさそうに何かを受け取った。
かばんは いくつかのボスウォッチを手渡すと、中に戻っていった。
コウテイはそれを大事そうに抱えて、みずべちほーの方に帰っていった...
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、少し時間をおいて としょかんを訪れた。
プリンセス
「こんにちは。 かばんは居る?」
博士「我々を差し置いて、かばんに用事ですか?」
助手「我々は忙しいので、些細なことは かばんにでも訊けばいいのです」
かばん
「いらっしゃい。 何でしょう?」
プリンセス
「あなたも忙しいでしょうに。 ごめんなさい」
かばん
「構いませんよ。 調べものは いつでも出来ますから。
今はサーバルちゃんもお昼寝中ですし」
プリンセス
「あの・・・ ね…」
いざとなると何から話していいものやら、言葉が出てこない。
かばんも急かすことなく、こちらの言葉を待っている。
博士「まったく、お見合いで2人きりにされた若い者同士ですか」
助手「これでも飲んで落ち着くのです」
かばん「ありがとうございます」
!?
博士と助手が紅茶を淹れて持ってきたのだ!
博士「何か珍しいですか?」
助手「我々が飲みたいから、ついでに淹れてやっただけなのです」
プリンセス
「でも『りょうり』もしない博士たちがそんなことを...」
博士「客を相手にしているかばんを働かせるほど、我々は鬼ではないのです」
助手「そもそもアルパカに紅茶の淹れ方を教えてやったのは我々なのです」
かばん
「#高い所からお湯を注ぐのが良いんですよね」
博士
「紅茶を淹れるのが得意なフレンズ、右京もそう言ってますね」
助手
「右京は推理もそこそこ出来るのですよ」
プリンセス
「・・・」
まあ、ゆっくりしていくのです。
そう言い残すと博士たちは別室に行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紅茶を飲んで落ち着いた私は話し出した。
プリンセス
「前に『漢字の読み』のトリビアを教えてくれたわよね。 日曜日がどーのこーの…」
やっぱり『相談』は切り出しにくくて、別の話題を出した。
かばん今日 4月1日 は日 曜日 、
一昨日 から続いて日本 列島は高気圧に覆われ、
4日 連続で全国的に日本 晴れの好天に恵まれました』
「ああ、『
ーですか?」
プリンセス
「そう、それ。 他にはないのかしら?」
生け花を生業 に生計を立てた生 え抜きの生娘 その生い立ちは生半可ではなかった
生憎 生まれたこのかた、生涯通じて生粋 の生 だった
ーとか、ですか?
<すごい、すごい!
かばん
「まあ、僕が考えた訳じゃないですけどね」
プリンセス
「謙遜しないでよ。 あなたのおかげで『あのヘラジカ』までお勉強してるんでしょ?
どうやって教えてるの?」
かばん (*´∀`)
「やっぱり共通の話題を振ることですかね」
プリンセス
「-と言うと?」
ヘラジカ
「うーむ…」
かばん
「どうしました?」
『へらじか』
ヘラジカ
「どうも女々しくて弱々しい。 書く気になれん!」
『ヘラジカ』
かばん
「これならどうですか?」
ヘラジカ
「・・・」
『箆鹿」
ヘラジカ
「おお、強そうな字だなぁ。 これならば...」
プリンセス
「へ~ そんなことが…」
『強』
ヘラジカ
「強そうな字だなぁ」
かばん
「そう、文字通り『つよい』って読むんです」
『勉強』
ヘラジカ
「さっきの字が使われてるな」
かばん
「べんきょう、と読みます。
今やっていることも形には見えませんが、強くなる1つの方法なんです」
ヘラジカ
「なるほど。 私も お前のような『強さ』を得られるのだな? 悪くはないぞ」
かばん
「強面(こわもて)でしたね」
ヘラジカ
「目力もあるよな」
かばん
「あと『強か(したたか)』ですね」
ヘラジカ
「そうか、私の目に狂いは無かったな」
かばん
「無理強い(むりじい)や、強引(ごういん)はダメですよ」
ヘラジカ
「そうか。 強いだけでもダメなことがあるんだな…
確かに、意に反して何かをやらせても伸びないだろうからなぁ。
その点、我が軍は安泰だ」
かばん
「ヘラジカさんは今度、ライオンさんに『はたしじょー』を書くそうです」
プリンセス
「変われば変わるものねw」
かばん
「どうです? 参考になりましたか?」
プリンセス
「え? え?」
かばん
「物事の教え方と、どうすれば付いてきてくれるか、を相談しにきたんじゃ…?
これが正解、というものは無いんですけどね」
プリンセス
「どうして?」
かばん
「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私はPPPのリーダーに相応 しくないんじゃないだろうか?
強力なリーダーシップで、ぐいぐい引っ張るタイプのプリンセスの方が向いてるんじゃないだろうか?
最初はプリンセスに唐突に指名され、断る機会もないまま受けてしまった。
何度かリーダー交代も打診したが、受け流されズルズルここまで来た。
だが決してイヤなわけじゃないんだ。
むしろ今では誇りを持って引き受けている。
ーそう思っていた。
彼女には才能がある。
それは眩しくて、いつも背中を追い掛けてきた。
そして手を差し伸べてくれる。
いつも彼女に引き上げられてPPPはここまで来た。
でももっと自由に羽ばたいて欲しい。
煩 わしくさせて、その才能を曇らせたくないから。
舞台で華を咲かせて欲しい。
彼女が振り向かなくて済むように…
そのために私はリーダーを続けている...そのつもりだった。
だが、今の我々は足枷になってしまっている。
そんな気がしてしまうんだ。
コウテイ
「はは… 自分でも何を言ってるのか分からなくなってきたよ」
かばん
「コウテイさん、いま出来ることをしましょう」
コウテイ
「ーと言うと?」
かばん
「ミラーニューロン(>> 66)の話、覚えてます?」
コウテイ
「・・・ああ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
初代のリーダーだったから、という理由でコウテイに押し付けてしまった。
そのあと、何度かリーダーの交代を打診されたけど断った。
私はリーダーに相応しくないと思ったから。
私は呑み込みが早いだけ。
ジェーンが速く泳げるのと一緒で、みんなを置いて行ってしまう。
どうしても先走ってしまう。
みんな努力してくれてるのに、それ以上を求めてしまう。
コウテイがリーダーとして調整やまとめ役をしてくれなかったら、PPPは とっくに解散していたと思うの。
だからコウテイには感謝してるわ。
プリンセス
「ごめんなさい、一人でベラベラ喋っちゃって…」
かばん
「PPPの皆さんって良いチームですよね」
プリンセス
「何よ// いきなり」
かばん
「その気持ちは僕じゃなくて、皆さんに言ってあげてください。
話せばわかり合えますよ。 みんな同じ方を向いてるんですから」
プリンセス
「そう… かしら? でも、少しスッキリしたわ」
サーバル「かばんちゃ~ん、どこぉ?」
かばん
「あ、は~い! じゃあ、また何かあったら いつでもどうぞ」
プリンセス
「ありがとう、かばん」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・