私たちは いつでも一緒だった・・・
だから「ジャパリパークを巡る旅」は、どちらも大変だったけど楽しかった。
そしてこの「ろっじ」での事件は、一生忘れることはないだろう…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
................. .............. ................. ..............
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
[12.ⅹ話]ろっじ Aパート-1
[12.ⅹ話]ろっじ Aパート-1
[12.ⅹ話]ろっじ Aパート-1
............... .............. ................. ..............
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
きこきこ… きこきこ…
アライ「ろっじに とうちゃーく! なのだー」
フェネ「は~いよっと」
アライ「今日は事前に予約を入れておいたのだ。 大船に乗った気分でいるのだ!」
フェネ「おお~、泥舟じゃないといいね~」
アライ「アライさんはタヌキじゃないのだぁ!」
フェネ「よく『かちかちやま』のことだと分かったね~」
アライ「ふはははは。 『かばんさんの読み聞かせ会』で培った知識はダテじゃないのだ!」
からん からん~
アリツカゲラ「いらっしゃ~い。 ようこそ『ろっじアリツ…ッカ』へ~」
アライ「ん? 今ツッカえなかったか?」 フェネ「・・・」
アリツ
「もう! タイリクオオカミさんが私のことを『アリツさん』って呼ぶものですから、つい・・・
コホン 今日はどうされましたか~?」
アライ「何を言ってるのだ。 お泊りに決まってるのだ」
アリツ「あらまぁ。 ですが今日は生憎と満室でして...」
フェネ「アライさ~ん、まt…
アライ「そんなはずないのだ! ちゃんとボスネットで・・・」
アリツ「ご予約のお名前は?」
アライ「アライさん、で2名様なのだ」
アリツ「アライさ…ん...と。 確かに承っておりますが、すでにいらしてチェックインを済ませてますよ?」
アライ「えぇ... なのだ…」
フェネ「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本作は(特に今回)演出にこだわっておりますので、畳みラベルの使用は控えさせて頂きます。
今後は(外部コンテンツの埋め込み等)必要に応じて使おうと思います。
ご了承ください。
アライ
「・・・そうなのだ! そいつはニセモノに違いないのだ。 アライさんはアライさんだけなのだぁ!」
フェネ「まあまあ、落ち着いて~」
アリツ「ですけど、顔は確かにアライさんでしたし… そう言えば、おキレイな方でしたね」
アライ「アライさんだって毎朝ちゃんと顔を洗ってるし、身体も毎日ぴっかぴかなのだー!」
フェネ(意味を取り違えてるね~)
「予約が2人だったのに、1人で来たんだよね~」
アリツ
「そういうことは時々あることなので… 増えると困りますけど。
でもこちらから『ご予約のアライさまですね』って話しかけたら驚いているようだったので、
その時にきちんと確認するべきでしたね。 すみません」
フェネ「さて、どうしようか~」
アリツ「! 思い出しました。 お部屋『のざらし』にご案内しますので、しばらくお待ち下さい」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そう言うとアリツさんは、1階の倉庫のような場所に来た。
ガチャガチャ… ぎーーーーーぃ
アリツ「え~と、確かこの辺りに・・・」
ごそごそ…
フェネ「ずいぶん古そうな倉庫だね~」
アライさんは外で何やら している。「くんくん…」
アリツ
「建物自体が古いですから~。 あちこち建て付けが悪かったり、鍵が壊れてたりで…
今度ビーバーさんとプレーリーさんに改修を頼もうかと・・・あ、ありました!」
そう言うと何か折り畳まれたモノを持って外にやってきた。
アリツ「じゃあ手伝ってもらえますか?」
アライ「楽しそうなのだー!」
アリツ「まずこの棒を立てて、次にこの布を・・・」
フェネ「は~いよっと」
アリツ「じゃ~ん! 『てんと』の完成です~」
フェネ「へ~ こんなのがあるんだ~」
アリツ「以前かばんさんたちが『きゃんぷ』をしてみたいとおっしゃって…」
フェネ「それって言いだしっぺは博士たちじゃ...」
アリツ「はい、博士&と助手さんもいらしてましたね。 皆でカレーを作って・・・楽しかったですよ?」
アライ「早速中に入ってみるのだ!」
ごそごそ
アライ「あ! 床が破けて地面が見えてるのだ!」
アリツ「あ~、それはサーバルさんが爪研ぎをしてしまって… 端っこなので大丈夫かと…」
アライ「アライさんは細かいことは気にしないのだ」
アリツ「ではこちらのお部屋でよろしいですか?」
アライ「アライさんはココでいいのだ」
フェネ「いつも野宿みたいなものだったからね~。 むしろ屋根と壁があるなんてセイタクだよ~」
アリツ(ほっ)「では、ごゆっくり~」
アライ「ほらフェネックも入るのだ」
フェネ「まだ寝るには早いよ~」
アライ「じゃあ荷物を置いて、ろっじの中を探検するのだ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フェネ「はいよ〜・・・と言いたいところだけど、ちょっと気になることがあるんだよね〜」
アライ
「そうなのか? じゃあフェネックはそ『気になること』を片付けるのだ。
アライさんは1人で探検してるのだ。 実はさっきからお宝の匂いがするのだ!」
フェネ「そうか〜。 でもあんまり遠くに行っちゃダメだよ〜」
アライ「分かったのだー!」…走
内心ホッとしていた。
どう単独行動に持っていくか、考えあぐねていたからだ。
こういう時「いつも一緒に行動」しているので難しい。
実は『ぺぱぷらいぶ』で見掛けた時から「キレイなアライさん」の存在は気掛かりだった。
SFではないが、2人のアライさんを引き合わせると「良くない事が起こる」ではないか、と。
だから、まずは情報収集だ。
フェネ「アライさんなら真っ先に会いに行っちゃうんだろうな〜」 (⌒-⌒; ) クス
まずフロントにやって来た。
アリツ「あら、お1人ですか?」
フェネ「まあね〜。 ちょっと『キレイなアライさん』のことで訊きたいんだけどね〜」
アリツ「そう言えば先程いらして、おかしなことを聞かれましたねぇ」
フェネ「! なんて?」
アリツ「本当に、このパークにアライさんは1人しか居ないのかしら? ーと」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
................. .............. ................. ..............
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
[12.ⅹ話]ろっじ Aパート-2
[12.ⅹ話]ろっじ Aパート-2
[12.ⅹ話]ろっじ Aパート-2
............... .............. ................. ..............
サロンにやってきた。
<あなたは!
<・・・フェネックじゃない。 相方はどうしたの?
タイリク「確かに。 珍しいこともあるものだね」
フェネ「・・・ 別行動だよ~。 ところでキレイなアライさんについて聞きたいんだけど…」
アミメ
「あなたはヤギね! って言ったら、 ( ´_ゝ`)『そうかもね、ふふ…』って返されたわ。 怪しい...」
フェネ「・・・」
タイリク
「わたしも、このロッジで寝ると夢の中に紫色のセルリアンが・・・と振ってみたんだが
(´・∀・`)『あら、怖い』と軽く躱されてしまった。 いやぁ、いい顔を頂き損ねてしまったよ」
フェネ「・・・」
他のフレンズにも聞き込みをしてみた。
もぶフレンズA「確かにキレイな人だったなぁ。 言葉使いも丁寧で...」
もぶフレンズB「私も訊かれたよ。 他のアライさんを見てないか、って」
ツチノコ
「どうやら目的地を間違えたらしい、と言ってたな。 タウンがどーのこーの...
ところでアライグマのヤツは? いや、会いたいとかじゃねぇよ、面倒だし」
スナネコ
「ケンカでもしたんですか? え? キレイなアライさん?
ちょっと慌ててるみたいだったよ。 『こうしてはいられない』とかなんとか…」
どうやら思っている以上に、私たちはコンビとしての印象が強いらしい。
こう見えて、私にも独りだった時期がある。
でもアライさんと出会ってからは、どこに行くにもずっと一緒だった・・・
アリツ「あら、フェネックさん」
曲がり角でぶつかりそうになってしまった。
フェネ「おっと、考え事をしていてね~。 なにかな~?」
アリツ「実は『例のアライさん』が、突然宿泊をキャンセルをしてしまいまして・・・」
フェネ「!」
アリツ「お部屋が空いたので移られてはどうかと。 ちょっと雲行きが怪しくなってきましたし~」
よく見ると、まだ午後なのに窓の外が暗い。 風も出てきたようでガタガタ言っている。
フェネ「じゃあアライさんに・・・」
アリツ
「アライさんにはすでにお伝えしました。 すると、
『アライさんはココが気に入ったのだ。 だからフェネックは1人で部屋を使うといいのだ』
とおっしゃていました。 それとコレ。 お預かりしておいたフェネックさんの荷物です」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
こんなことは初めてだった。
気が付くとベッドに横たわっていた。
倒れた訳じゃない。
ちゃんと荷物も受け取ったし、自分の足で部屋に向かい、ベッドに横になり、
今もこうして何をやるでもなく、眠るでもなく、ゴロゴロしている。
考えも ちっともまとまらない。
キレイなアライさんは何者だったのか?
なんの目的でアライさんを探しているのか?
元々はそれが気がかりのはずだったのに・・・
アライさんは、どうして自分と距離を置こうとしているのか?
いや、そういうことじゃない……と思う。
アライさんの考えていることが分からない・・・
ただ『らしくない』行動なのは確かだ。
じゃあアライさんらしい行動とは何か・・・?
いや、今は自分の方こそ『らしくない』ことをしている気もする。
こんな感じでずっと、頭の中は堂々巡りを続けていた。
フェネ「ねぇ、アライさ~ん」
何もない空間相手に呟いてみた…
その声は静寂に吸い込まれていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
いつもなら夜中でもアライさんはゴソゴソしていたり、寝相が悪かったり、寝言を言ってたりする。
そんな物音が、私にとっての安眠材料だったと、今更ながら思い知らされた夜だった。
その晩はほとんど寝れなかった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
................. .............. ................. ..............
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
[12.ⅹ話]ろっじ Bパート-1
[12.ⅹ話]ろっじ Bパート-1
[12.ⅹ話]ろっじ Bパート-1
............... .............. ................. ..............
朝、と言うより明け方。
「のざらしの間」と言うか、テントが目の前にある。
アライさんは普段お寝坊さんだから、まだ眠っているはずだ。
それならそれでいい。
一目寝顔を見れたら、この気持ちも落ち着くだろう。
ぽすぽす…
フェネ「アライさん、起きてる~?」
念のため小さく声を掛ける。
ノックも声を掛けるのも、単なるアリバイ作りだ。
アライ「ヘ…へねっくぅ!? ま…マズいのだ…」
フェネ「!?」
起きてるなんて全くの想定外だった。
ジーーー
ファスナーを一部だけ開けてアライさんが顔だけを覗かせた。
<どうしたのだ? フェネック・・・
フェネ「!!??」
一晩とは思えないほど、その顔はやつれていた。
声を絞り出して、なんとか軽口を叩いてみる。
フェネ「お…おはよ~、アライさ~ん。 目の下にクマができてるよ~」
アライ「そ、そんなことないのだ。 アライさんは元気が取り柄なのだ」
やはりおかしい。
いつもなら「アライさんはクマじゃないのだ!」などと返していたはずだ。
恐らく昨夜は一睡もしていないのだろう。
このままでは伝統芸の危機なのだ。
フェネ「アライさん、ちょっと中に…」
アライ感染 すと悪いのだ。
「ダメなのだ! えっと、ほらアライさんはちょっとカゼ気味で...
ちょっと横になれば治るから心配は要らないのだ」
そう言うと顔を引っ込め、ファスナーを閉じてしまった。
私は呆気に取られると同時にショックで頭の中は真っ白だった。
私に対して明らかなウソをつき、頼る気もない、ということに・・・
私はフラフラとその場を離れた。 そのことを認めたくなかったからだと思う。
無かったことになる筈もないのに。
後ろでアリツさんの声が聞こえた気がする。
アリツ「アライさん、朝ごはんをお持ちしました~。 どうしたんですか、その顔? 大丈夫ですか?」
ポツ… ポツポツ... サーーー
一歩早く空に泣き出されたので、私は泣く機会を失ってしまった・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
................. .............. ................. ..............
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
【アラフェネぶらり旅 さすぺんす劇場】
[12.ⅹ話]ろっじ Bパート-2
[12.ⅹ話]ろっじ Bパート-2
[12.ⅹ話]ろっじ Bパート-2
............... .............. ................. ..............
雨と風が強くなってきた。 台風が近付いているらしい。
私はサロンに居た。
目の前ではアリツさんからアライさんの様子を聞いたフレンズたちが、各々好き勝手なことを言っていた。
もちろん悪気があるとは思っていない。
むしろ、いつもなら自分もそこに加わって、ある事ない事、茶々を入れていたことだろう。
でも今はとてもそんな気分にはなれない。
かと言って部屋に引き篭もっていても、考えが悪い方にしか向きそうにないので仕方なかった。
アリツ「アライさんは顔を押さえながら『軽いガンだから心配いらないのだ』と言ってましたが・・・」
ツチノコ「ツッコんでいいのか、真剣に受け取るべきなのか反応に困るな…」
タイリク「呪いのアイテムでも拾ったのかもしれないよ」
物理的にも精神的にも立ち直りの早い、ある意味「無敵」なアライさんが、
病気や呪いでどうにかなるとは信じられなかったが、前例が無いのでなんとも言えない・・・
スナネコ「何か悪いものでも拾い食いしたのではー?」
アライさんは、ああ見えて『ぐるめ』だ。 感覚も鋭い。
毒のあるものや腐ったものは感覚的に避けているし、触われば確実に分かるらしい。
原作の頃の感覚がフレンズ化で更に研ぎ澄まされているらしい…
アミメ「やはりキレイなアライさんが・・・」
ツチノコ「でも2人は接触してないんd・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目の前では「あーでもない、こーでもない」と議論が始まっていたが、ほとんど耳に入ってこない。
また頭の中で「考え」が独り歩きし始めた。
アライさんは「あんな」だからすぐどこかへ飛び出す。
アリツ「食料庫から食材が1つ無くなっていたのですが・・・関係ありますかね?」
それを見失わないよう、私はいつもアライさんを視界に捉えていた。
スナネコ「それは野生のイノシシかシカじゃないんですか?」
アミメ「犯人はヤギね!」
そう、いつもアライさんは前を見ていた。
そして私はその背中を追いかけていた。
タイリク「害獣に扮したセルリアンかもしれないよ?」
アリツ「でしたらハンターさんを呼ばないと…」
でも今ここにアライさんの姿は無い。
どこを見回しても・・・
ふと床が波打ったように感じた。 違う、体の方がフラついているのだ。
足元がおぼつかない。
アリツ「大丈夫ですか? フェネックさん」
タイリク「顔色が悪いな」
どうやら私は周りから計算高いとか、頭が切れると思われているらしい。
でも今まで余裕ぶって、強キャラを演じられていたのは・・・アライさんが居たからだ。
アライさんが居ないと、こんなにも自分は弱い。
「不安」 そんな得体の知れないものが津波のように押し寄せてきたように感じた。
怖い。
このままアライさんが居なくなってしまったら・・・
怖い!
私は思わず駆け出していた。
ツチノコ「おい! どうした!」
とにかくその場から・・・すべてから逃げ出したかった。
アライさんを助けたいのに誰もアテにならない。
なにより自分自身の役立たずぶりに無力感を覚えた。
こんな時、頼りにできるのは・・・
一瞬ボスが、視界に映った。
乱暴に引っ掴み、ボスネットを掛ける。
・・・相手はなかなか出ない。
イライラして、思わず悪態を付きそうになった。
時間だけが過ぎる・・・
博士「どうしのです? 緊急回線など使って」
助手「何か用なのですか?」
フェネ「かばんさんを! 今すぐ かばんさんを『ろっじ』に呼んで!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・