「おい!なんで反撃しないんだ!?」
もう一つの分隊の下士官がライフルを握りしめながら、半狂乱になって叫ぶ。
ライラが、先ほど地面に刺さった一発の弾丸を下士官に向かって投げ渡した。
「…14.5mm弾、最大有効射程は1500m以上。
反撃は一応できますが、
プロの狙撃手相手に居場所を探すのは無理に等しいですよ」
「畜生! 煙幕と弾幕貼れ、俺がヴァスィルを引っ張ってくる!」
スモークグレネードが宙を舞い、
それと同時にマークスマンライフルから分隊支援火器まで
あらゆる火器をフルオートで乱射する。
続いて、分隊長が片手に銃を持ちながら飛び出していった。
「おい、しっかりしろ!
すぐに助けが来るぞ!」
撃たれた一人の兵士を安全地帯まで引っ張っていく。
幸いにも、撃たれることはなくどうにか帰ってこれた。
「救急ヘリを要請しろ!
そいつを何としてでも生きて帰らせるんだ!」
狙撃銃をリロードしながら、デニスがライラに話しかけた。
「どうだ、ライラ?こっから生きて帰れると思うか?」
「そういう事は帰ってから考える方がいいですよ…」
赤十字が架かれた1機の汎用ヘリと、
それを護衛する2機の戦闘ヘリコプターが近づいてくる。
この任務が一週間も続くことを、
まだ彼女…ライラ・ニーニコスキは
知る由もなかった。
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