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『おはようございます。ルェンさん』
「...、何の真似?」
『今日の実験は食性に関する実験なので...。アイントプフと呼ばれる我が国伝統の家庭料理です。私が直々に調理したのですよ?もちろん、優先順位の低い実験項目ではあるので今日のところはパスしていただいても構いませんが...「貸して」』
「...」モグモグ
『これは...、毒を疑わないのですか?』
「君は騙して盛るより、直接飲ませるタイプだろう」
『そうですね。あぁ、ただ一つだけ...』
『胃腸の動きを見せてください』
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『おはようございます。ルェンさん』
「...」
『視察口をつけたことはお許しください。こちらの方が体内の観察を効率的に行うことが可能なので』
「...」
『その視察口の取り付けには苦労しました。貴女の再生能力はあまりにも強力なので...。埋め込んだ視察口をことごとく体外へ排出してしまうのですよ。返しを設けることでようやく定着してくれました』
「...」
『さぁ、お話はこの辺りで...。早速始めましょうか』
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『こんにちは。ルェンさん』
「また私の腹を裂く気?」
『今日は違いますよ。貴女にお礼を言いたいという方がおりまして...。直接話すことはできませんがビデオを持ってきました』
『「もうちょっとそっち行ってよ」「ちょ、おすなよ」』
「これは?」
『私の勤務地にある孤児院の子供たちです。可愛らしいでしょう?』
『「──────ルェンさん、モヒガンさんありがとうございます!!」』
『この映像に映っている3人の中で、真ん中に立っている少女。彼女は一時期、外傷で一種の脳死状態となっていたのですよ』
「......」ジトッ
『そのような目で見ないでください。私とて愛らしい子供たちを無意味に傷つけたりなどしません』
「...、それでこのビデオに映る少女は健康そのものに見えるけど?」
『えぇ、モヒガンさんの脳を活用しました』
「...は?」
『ここ最近は貴女に付きっきりだったもので...。彼を治療に使うだけの余裕が生まれたのです。貴女のおかげですよ?多少、術後の後遺症は残りましたが施設の子供たちは『彼女』を暖かく迎え入れてくれました。感動的な友愛です』
「......。」
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『こんばんは。ルェンさん』
「ついに夜中にまで来るようになったか...」
『いえ、是非貴女に見てもらいたいものがございまして』
「そのブリキの筒のこと?」
『えぇ、ここについているツマミを捻ると...』
ゴォッ
『炎が吹き上がります』
「待て、もしかしてそれは...」
『中に貴女の脊椎から腕にかけての部分をまるまる詰め込んであります。燃料の代わりに栄養剤を補給して電気信号を送ればこの通り、軍用火炎放射器にも劣らない火力を発揮することが出来ます。ただ生体部品ゆえ、消費期限の短さは避けられませんが...』
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