「伏せろ! 撃たれるぞ!」
1発発砲。
放たれた銃弾は彼らの車両にまっすぐ飛んでいき、ヘッドライトに命中。
そのままヘッドライトともどもぶっ壊れた。
「××××!」
ここにはとても書けないようなアルファベット4文字を叫びつつ、後部座席のユリアーンがショットガンを何のためらいもなく発砲している。
何発か銃弾が命中し、相手の車のバックミラーやハザードランプがぶっ壊れた。
「撃ちまくれ! 相手に射撃する暇を与えるな!」
「分かってる!」
何せ、こちらには何も遮蔽物がないのである。とにかく撃ちまくって、相手に射撃させない以外に方法がない。
お互いの銃を交互に撃ちまくり、相手に射撃の暇を与えず少しずつ接近していく。
相手も一応撃ち返してはるが、手しか出していないためろくに狙いを定められていない。
やがて弾丸が尽きたのか、全く撃ってこなくなった。
「いい加減に諦めろ!」
…その言葉むなしく、逃走車は今度は逆にスピードを上げていく。
「畜生… この向こうはワインディングロードだぞ!?
下手すりゃ、事故って病院行きだぜ!?」
「それでも追っかけるさ!」
2台の車両は熾烈なカーチェイスを展開しつつ、超高速で道路を突っ走っていく。
恐らく何も知らない他人が見たら、映画の撮影と勘違いするだろう。
「いったいどうするんだよ!? このままじゃ一向に追いつけないぞ!」
「おい、まだ散弾銃の弾残ってるか?」
「あと12発残ってる、1マカジンと少しだ!
いったい何やるつもりなんだよ!?」
「タイヤを撃ち抜け! 手はそれしかない!」
「無茶だ!」
「いいか、この向こうにヘアピンカーブがある!
そこで絶対速度を落とすはずだから、そこを狙って撃ちぬけ!」
「…畜生! 撃ちゃいいんだろ、撃ちゃ!」
だが、逃走車はスピードを落とす気配もなくまっすぐカーブへと突入していく。
「…馬鹿野郎め! 確実に事故って病院行きだ!」