まだ考えない人
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2023/10/29 (日) 21:30:40
銃弾の雨あられの中を、ハスは電力室めがけてひたすら走り続けていた。
「…おい!いったい、あとどのぐらいで電力室なんだ!?」
「もうすぐだ! 走り続けろ!」
「…ああ、畜生!」
電力室が見えてきた。
中にどれだけ敵がいるかはわからないが、とにかくバンパーと合流するしか手段がない。
ドアをぶち破り、中に制圧射撃をしながら突っ込む。
…中には数十体の死体と、バンパーしかいなかった。
恐らく電力室はとっくに制圧済みだったんだろう。
「バンパー! バンパー!」
「…何だ? 仁を救出するんじゃなかったのか!?」
「計画変更だ! 装甲車が被弾して使い物にならなくなった、リアムも撃たれてる!」
俺たちにできることは、向こうの監視カメラが復旧するまで耐え忍ぶことだけだ!」
「何ぃ!?」
「もうすぐこっちにも敵が来る! このままだと袋の鼠だぞ!」
「…ああ、分かった。 その前にここから出るか。」
すぐさま外に引き返し、適当なところに逃げる。
少しすると敵の兵士が追いかけてきたが、
手榴弾を投げつつ物陰から銃だけ出して適当に撃ちまくり、動きを止める。
「止め続けろ! 弾薬は死体から奪い取ったのを使え!」
「それでも足りなくなってきそうだぞ!」
「止められるだけ止めろ!」
さらにヘリのローター音が近づいてきた。
恐らくさっきの戦闘ヘリだろう…。
「ヘリが来るぞ! どっかの室内に逃げろ!」
「畜生!」
通報 ...
近くにあった収容所に飛び込んだ…途端、重機関銃の射撃を受ける。
「収容所内もコレかよ!?」
条件反射的に手榴弾を銃眼に向かって投げ込んだが、射撃はほんの少しだけ止まっただけだった…
が、そのほんの少しの時間を利用して銃眼内に射撃を叩きこみ、完全に沈黙させる。
「よし、邪魔なものはとりあえず片付いたが…ここからどうするか…」
…その時。突然無線通信が聞こえてきた。
「…おい!、監視カメラを復旧できたぞ!
仁が収容されているキャンプは、…今お前がいる、まさにその場所だ! 運がいいな!」
「…装甲車を失ってる時点で、かなり悪運だと思うんだが?」
「………まあいい。 気にしないで、仁を救出に言ってくれ…。」
後ろから大量の兵士が走ってくる音が聞こえてくる。
なるべく早く仁を救出しなければ、自分たちまでここに入れられる羽目になりそうだ…。
「マクスフェルト大佐、朗報です。」
「…何だ? あの野郎どもを、ようやく皆殺しにしたのか?」
「いえ、彼らの一人を捕虜にできたとのことです。
また、救出チームがキャンプ・ベータに侵入しました。」
「そうか。 捕虜にしたやつはひとまず野戦病院に入れろ。 何か有益な情報が手に入るかもしれん。
それから、ほぼすべての兵力をキャンプ・ベータに送れ。 適当なところで入り口を封鎖しろ。」
「了解しました、大佐。 直ちに命令しておきます。」
「…ああ、もう一つ」
「はい?」
「あの狙撃小隊とやらを、出入り口に送っておいてくれ。」
「何故、そんなことを?」
「彼らが救出に成功したときの最終防衛戦として使う。
何人か、マークスマンも送っておいてくれ。」
「了解。すぐに展開させます。」