立ててみます。
お正月SS 神隠し異聞 シロとタタラ 亜久利子異聞 バレンタイン (笑顔がまぶしい) 珠玉 Boy's Nap (元絵と) 天目一箇神異聞 (暗躍する動物) 野狐は巷間を彷徨う
兵庫県、多可郡。 朝霧に覆われた山道を、一人の女が歩いていた。 トレーナーにジーンズ、スニーカーという軽装である。 ショートカットの髪が、風を受けてなびいた。
早朝、薄闇の中に光が差してくる。 霧が徐々に晴れ、目を凝らすと、南の方に家並が見えた。 「もうすぐだな」 張り詰めた顔で、女は呟いた。
****
しばらくして、町の中に困り顔の女がいた。 女には、捜し物があった。 町に入って色々と巡ったが、それが見当たらないのだ。 空はすっかり明るくなっていた。
(ここにあると思ったんだけど) やはり、誰かをつかまえて尋ねるべきだろうか。 ともかくもう少し探してみようと、女は早足になった。 そして、四つ角に差し掛かったところで、何かとぶつかった。
見ると、ジャンパースカート姿の少女が、尻餅をついていた。 ものもらいでもあるのか、右目にガーゼの眼帯をしている。 「おっと…大丈夫?」 女が心配すると、少女はスカートを払いながら立ち上がった。
「危ないやんか、姉さん。気ぃつけや」 「ご、ごめん」 少女のしっかりした様子に、女はたじろいだ。 余所者と察し、少女はじっと女を見つめている。
居心地の悪さに堪えきれず、女が口を開いた。 「ところでさ、この辺に神社はないかな」 「神社?」 「天目一神社っていうんだけど…」
子供に聞くようなことではないな、と我ながら思った。 「知っとるよ」 事も無げに答えると、少女はすたすたと歩いて行く。 どうやら案内するつもりらしい。
女が慌てて後を追う。 「あ、オレはアオっていうんだ。お嬢ちゃんは?」 少女は振り返り、にっこりと微笑んだ。 「ハジメ」
アオとハジメは、田舎道を北へ向かっていた。 「へえ、わざわざ秋田から。お願いでもするん?」 「まあ、そんなところ」 故郷のこと、道中のこと、アオの話をハジメは興味深く聞いていた。
「しかし、割と外れた場所にあるんだな」 周辺は緑が多く、田畑もあちこちに見える。 「てっきり町の中心に建ってると思ってたよ」 アオがそう言うと、ハジメは複雑な表情をした。
すると、前方の藪が分かれて、一頭の猪が現れた。 「あれは」 「ここらでは珍しいもんやあらへんよ。けど、刺激せんように…」 その言葉が終わらぬうちに、猪は二人に猛進して来た。
「ハジメ!」 アオはハジメを突き飛ばし、自分も身をかわした。 猪はすさまじい勢いで通り過ぎる。 牙がアオの足をかすめ、ジーンズの太ももが裂けた。
「な…なんで…」 草の上に転がったハジメが、放心している。 アオは、猪の異様な雰囲気を感じ取った。 (妖か)
猪はゆっくりと向き直り、暗い瞳でアオを見た。 互いの視線が交錯すると、猪は再び疾走した。 (こいつはオレたちを獲物に決めた。やるしかねえ!) アオは右足を突き出し、猪の牙を正面から受け止めた。
両者は膠着状態になったが、それは数秒と続かなかった。 猪は首を捻ると、アオの右足を銜え、放り投げた。 アオは受身を取り、すぐさま立ち上がる。 ジーンズが膝から千切れ、スニーカーも脱げていた。
「アオさん、その足…」 ハジメがひどく驚いた顔をしている。 露わになったアオの右足は、馬の足の形をしていたのだ。 蹄に付けた蹄鉄が、鈍い輝きを放っていた。
「説明は後だ、ハジメ。ここはオレが何とかする」 アオの動きは、まさしく馬のように素早かった。 襲いくる牙を蹄鉄で防ぎつつ、アオは猪に何発も蹴りを入れた。 しかし、猪は全くこたえる気配がない。
次第にアオの息が上がってきた。 (なんて頑丈さだ、こいつ) 猪は、じれったそうに前足で地面を掻いた。 すると、見る見る牙が巨大化した。
(今から本気かよ…!) アオの首筋に、冷たい汗が流れた。 「アオさん無茶や!逃げて!」 ハジメが、思わず草叢から飛び出した。
「馬鹿、隠れてろ!」 猪がすかさずハジメに照準を変え、走り出した。 アオは全力で走り、ハジメを抱きしめた。 次の瞬間、猪は二人を撥ね飛ばした。
二人は、大木の幹に叩きつけられた。 庇われたハジメは軽傷だったが、アオは動けずにいる。 それでもどうにか身を起こし、口に溜まった血を吐いた。 この間も、猪はじりじりと二人に迫っていた。
アオの心は、まだ折れてはいなかった。 「オレは…強くなるために、ここまで来た…」 「あいつを見返して…認めさせてやるんだ…」 「絶対に…諦めてたまるか!」
アオは這いつくばり、立とうとしてもがいた。 その時、アオの右足を衝撃が貫いた。 振り返ると、ハジメが蹄鉄を殴りつけていた。 「しゃあないなあ」
アオは、突然、体の内側が熱くなるのを感じた。 なぜか右目の視界は遮られたが、全身に力がみなぎっていた。 「これは…」 「長くは持たんで。決めや!」
アオは立ち上がり、猪の方を鋭く睨んだ。 雷のような速さで距離を詰め、そして、跳んだ。 「ウラアアア!」 アオの右足は猪の牙を蹴り砕き、顔面に深々と食い込んだ。
「天目一箇神の、分御霊かあ」 地べたに座り込んだアオが、驚きの声を上げた。 「そっちこそ、蒼前さんとは思わんかったわ」 ハジメは、懐から取り出したハート柄の眼帯を付けた。
「それにしても、すごい神懸りだったな…」 神の神格をまとう神懸り――その力でアオは猪を倒したのだ。 「さっきは蹄鉄を通じてうちの神格を貸したけど、 専用の神器を作れば、もっと強うなるはずやで」
アオは顔を輝かせた。 「そういうのをオレは教わりたいんだ!早く案内してくれよ!」 「うちら怪我人やん。も少し休憩して…」 渋るハジメを強引に背負い、アオは威勢よく駆け出した。
ゆえふーさんのコーデ良い → 採用 ラブちゃんかわいい → 採用(偽名) と、思いっきり趣味に走りました。
ロケハン的なこともしたかったけど、このご時世なので Googleマップで見たふわっとしたイメージで書いてます (その気になれば、頑張れば行けなくもない距離ではある)。
どうも失礼しました。
ゆえふーさんの普段着イラストのやーつ! あらやだ懐かしい!!
東北の民は関西弁に弱い💓のでハジメちゃんは推せる!!(ありがとうございました!)
上着は元絵だとセーターっぽいけど、バトらせるならトレーナーかなと変更。 とにかくアオにジーンズというのが格好良すぎでしょう!
ボーイッシュの極みスね!!
ボロボロになりたる姿もいとおかし(ニッコリ
一定期間ならTOP以外でも修正できるのね。 (↑未だに機能をきちんと把握してない人)
新年度の新体制でとっちらかった頭に良い刺激だぜ…ありがとうございます。 ファッションセンスとか動物とか、こう料理するかって感じw
コーデ画像は、自分も書く前に改めて見ようとしたら「消えてる!?」 と思ったのですが、pixivの方に収録されていました。 https://www.pixiv.net/artworks/62020051
ハジメのキャラはラブショッカーズちゃんを意識したものですが (ポイズンとノイズには似合わない役?)、 そもそも時代背景から変なパラレル世界なので自由に解釈して下さってOKよー
で、そのイメージの源泉となったのは、アオとマヒトツたちの別れの場面、 他の分御霊sが平常運転なのに対してこの娘だけ
こうですよ! 絶対こいつら何かあっただろ…(またアオがモテてしまったのか)
まあそんな邪な妄想までいかずとも、 ちょっと特別な繋がりがあったのかなと考えてみた次第です。
そのカットでそこまで深読みしちゃう!? 作者冥利に尽きますでえ~~~ ちなあのカットは、なに考えてるかわからない天才肌と鍛冶場の超短気親父とは合わなさそうだけど多度ちゃん(仮名)は京都の心(意味深)がアレなだけなのでまあまあ合いそうだと思って。
さておき、芸術肌はいなかったのでハートがサタデーナイトしているような子をイメージさせてもらいました。 ジャガー(悪の動物)は・・・ SSの空気をコミカルにしちゃってごめんねーー
コーデ画像。 名前が変わってる??転生してたのね。
転生してだいぶたってるみたいだしタイミングを逃がした感もあるので見なかったことにします(困
フランクに久闊を叙しても、お相手も別に悪い気はしないと思いますけどね。
多度…って、ええトコに就職してる? 兵庫まで出歩いてて大丈夫なのかしらん。
転生してから神セカに触れてないということは、離れたのかもしれないんで難しいねー
多度については構想の一つなので未確定? 正直3部はまだまだぼんやりとしている状態なので、マヒトツ周りをどこまでやるかで変わってくる予感です。
キツネはパレオを巻いててそこから傷跡がチラッとしてたらいいよね。 当人は気にしてないというかむしろ名誉の負傷と思ってて見せびらかしたいぐらいなんだけど、 ヒトツメが勧めるから巻いてるんだよ (´◡`)
ふふふ。
夏なのでこういうキャラの元デザインを残した水着の神セカ女子グラビア画像集が作りたいという走り書き。#神様セカンドライフ pic.twitter.com/nR5XO2Vjps— さくま銀丸/2件作業中 (@SakumaGinmaru) June 22, 2022
夏なのでこういうキャラの元デザインを残した水着の神セカ女子グラビア画像集が作りたいという走り書き。#神様セカンドライフ pic.twitter.com/nR5XO2Vjps
こう改めて見ると、水着にわら靴を取り合わせようだなんて発想、 尋常じゃないよね。
元デザインを残してるからですね〜。おこうさんは基本冬服なので。 夏はどんな格好してるんだろ。 7月、半夏生に田代神社は例祭。巫女服着るんだろうか?
みんなで海に来たが、ヒトツメが遠慮がちにしている。 →キツネ、自分が傷跡を気にするのではとヒトツメが心配しているのを察する。 →「バカね、隠せばいいじゃない。さあ行くわよ」 こういう流れもいいかな。
あと、「あいつ(タタラ)が気に病んだら面倒だしね…」 なんて思いもちょびっとはあったりして。
またSSめいたものが👍
ネタはなんぼあってもいいですからね。 寝かせつつ発酵させていくのです(なおその期間は読めない模様)
仕事が山を一つ越えたと思ったら別件が発生するのはなんでだろう~🎶
本日届いてました~。ありがとうございます!
無事届いてよかったです! これからも神セカをよろしくね!
ええから寝てなせい👍
zzz・・・
春にスマホデビューしたけど、滅多に写真撮らない人間なので カメラの性能が上がったとかで恩恵はないんですよね。 まあ移動中にネットができるだけで個人的にはお釣りがくるんですが。
画像は先代の仕事ぶり(想像)です。 「ホラ、もう放すナよ」
江戸時代に風船…? 気にしてはいけない!
名なしの頭! ありがとうございます!!
彼は見た目にインパクトがあるだけの善人、穏やかに暮らしてほしい・・・
「実は子供好き」的なギャップだけのネタですw ほぼ情報がないキャラですが、だからこそ想像の余地はありますよね。 なんか現代でも自発的に町の見回りとかしてて、お沢に「もういい…!休めっ…!」て思われてそう。
逆に休めって言われてたりして。 そろそろ暇をもらわないと取り返しがつかなくなるぞ、ってね。
なるほど、自分みたいになる前に。 後輩を気に掛ける、やはり善人なのね。
先代さまのイラスト可愛い!!
ありがとうございます&恐縮です。 それがこう↓なるとは自分でも読めなかった😅 コメントがヒントになりました。
ネタとして引っ張るつもりは元々なかったんですが、 折角なのでちょっと考えてみました。
「野狐は巷間を彷徨う」
湯沢城下の町で、五人ほどの子供が、高木を囲んで騒いでいた。 そのうち一人の少女は、今にも泣き出しそうな顔だ。 そこに、男が近寄って行く。 足を引きずり、歩みは遅い。
「ドウシた、お前タチ」 ひどくかすれた声だった。 体のあちこちに包帯を巻き、左腕は欠損していた。 異様な風貌だが、子供たちは慣れているらしく、怖がる素振りもない。
「あっ、おじさん」 「こいつの毬が、引っかかったんだ」 指さす方を見ると、高い枝のところに、色鮮やかな毬があった。 「アレか」
やや年かさの少年が、気まずそうに俯いた。 「ちいっとふざけてたら、飛んでっちまって……」 少女の頭を撫で、懸命になだめようとしている。 恐らく、この少年が“犯人”なのだろう。
「サガッてイろ」 男は足を引きずりながら、ゆっくりと木の真下まで進んだ。 すると、一瞬で木の枝に跳び上がるや、毬を手に降りてきた。 その間、枝は微動だにせず、葉の一枚すら落ちることはなかった。
男が、少女に毬を差し出した。 「ホラ、もう飛ばすナヨ」 男の顔は包帯で覆われ、表情など読み取れない。 しかし、隙間から覗く右目は、笑っているようだった。
少女は、嬉しそうに毬を受け取った。 「ありがとう、おじさん!」 子供たちは口々に礼を言うと、どこかへ駆けて行った。 その姿が見えなくなるまで、男はじっと見送っていた。
塀の後ろから女が現れ、男の側にやって来た。 「息災でなにより」 「お前カ」
女は、この地の稲荷頭――お沢稲荷。 そして男は、先代の頭であった。 「頭は私が継いだんだ。大人しく隠居していれば良いものを」 「ソウ言うな。コンナなりデモ相手してクレルのは、子供グライだ」
なおも不服そうなお沢を、男が遮った。 「お前、引退シタラ、やりたいコトはアルか?」 「……わからないな、そんな先の話は」 男は、当惑するお沢に、気遣うような眼差しを向けた。
「精々、早ク後進に譲ルコトだ。俺のヨウにナッテハ、旅行も出来ン」 「それで町の“散歩”か……邪魔をした」 お沢は片手を上げ、去って行った。 男も、また足を引きずりながら、通りを歩き始めた。
旅行もできんなんてつれないこと言ってるけど、たくさん世話を焼いたからこそのこの姿。 旅行に行きたがってるぞと、耳に入れば助けられた御狐たちが我も我もと世話焼きにくること間違いなし! 身体を壊して大変かもしれないけど、そうならなければ見えない地平もあるわけで・・・なんてことを思いましたで!
ありがとうございました!!
狐たちが駕籠でえっさほいさ(かわヨ
先代は他人の手を煩わせるのが嫌で、周囲もそれをわかってるから 過剰な申し出はしにくい、なんてこともあったりして。
それは、デイサービスが来ているのに「おれ行かね!」とヘソ曲げてる年寄りと、玄関でどうしようとたむろってるデイの人たちを思い出すので素直に行ってほしいゾヨ
あ~そういうこともありますか😅 まあ先代に関しては、自分からあれこれ要求しないだけで、 相手の厚意はきちんと汲み取って受け入れると思います。
なんでしょう、身体を壊してから可愛げのある病人とそうじゃない病人の違いとか壊したからこそわかる振る舞い方とかわかっちゃって。 先代は可愛げのある病人路線でいてほしい~~
偏屈とかでは全然ないですよね。 足ることを知っていて、それこそ穏やかな暮らしが一番という感じ。
お沢さんちょくちょく登場しますね(玲子さんに押しつけたのも含めて4つ目)。 どうも失礼しました。
先代さま子ども好きなの良いですねえ。ほっこり…。🤗
善人だと明言してくれましたからね。 ここは推していこうと。
痩せるには動くことよ! (でも体調との兼ね合いもあるもんね…)
一応DIYリハビリ(ひと汗かくまで動く)はやってるんですが、ひと汗かく程度のカロリー以上に入れてる状態で。 なんだろう、旬の野菜っておいしいですよね!
食事を抑えたが故に体調が悪くなられても困る~。 いっぱい食べていっぱい動くのが理想ですが、なかなか…ね。
自分の実感として、テレワーク期間はじわじわとウエストがやばくなってたけど、 また外へ仕事に出ているうちに気付いたら元のサイズに戻ってました。 摂取と消費のバランス大事だなと。
やはりウォーキング・・・ウォーキングがすべてを解決するんですね
ヒトツメよ、キツネだけで飽き足らず姉まで毒牙にかけたんか…
参照:39話より、氏子と農業と権利
ン!? 見覚えあるけど身に覚えないで!
証拠だってあるんだから(震え声
ちょっ…ピンハネしすぎでは…(震え声)
また見覚えがあるのに知らん絵が😰
た、多分まだ封筒に入ってるんじゃないですかねえ。
不適切なコンテンツとして通報するには以下の「送信」ボタンを押して下さい。 管理チームへ匿名通報が送信されます。あなたが誰であるかを管理チームに特定されることはありません。
どのように不適切か説明したい場合、メッセージをご記入下さい。空白のままでも通報は送信されます。
通報履歴 で、あなたの通報と対応時のメッセージを確認できます。
トピックをWIKIWIKIに埋め込む
次のコードをWIKIWIKIのページに埋め込むと最新のコメントがその場に表示されます。
// generating...
プレビュー
ここまでがあなたのコンテンツ
ここからもあなたのコンテンツ
兵庫県、多可郡。
朝霧に覆われた山道を、一人の女が歩いていた。
トレーナーにジーンズ、スニーカーという軽装である。
ショートカットの髪が、風を受けてなびいた。
早朝、薄闇の中に光が差してくる。
霧が徐々に晴れ、目を凝らすと、南の方に家並が見えた。
「もうすぐだな」
張り詰めた顔で、女は呟いた。
****
しばらくして、町の中に困り顔の女がいた。
女には、捜し物があった。
町に入って色々と巡ったが、それが見当たらないのだ。
空はすっかり明るくなっていた。
(ここにあると思ったんだけど)
やはり、誰かをつかまえて尋ねるべきだろうか。
ともかくもう少し探してみようと、女は早足になった。
そして、四つ角に差し掛かったところで、何かとぶつかった。
見ると、ジャンパースカート姿の少女が、尻餅をついていた。
ものもらいでもあるのか、右目にガーゼの眼帯をしている。
「おっと…大丈夫?」
女が心配すると、少女はスカートを払いながら立ち上がった。
「危ないやんか、姉さん。気ぃつけや」
「ご、ごめん」
少女のしっかりした様子に、女はたじろいだ。
余所者と察し、少女はじっと女を見つめている。
居心地の悪さに堪えきれず、女が口を開いた。
「ところでさ、この辺に神社はないかな」
「神社?」
「天目一神社っていうんだけど…」
子供に聞くようなことではないな、と我ながら思った。
「知っとるよ」
事も無げに答えると、少女はすたすたと歩いて行く。
どうやら案内するつもりらしい。
女が慌てて後を追う。
「あ、オレはアオっていうんだ。お嬢ちゃんは?」
少女は振り返り、にっこりと微笑んだ。
「ハジメ」
アオとハジメは、田舎道を北へ向かっていた。
「へえ、わざわざ秋田から。お願いでもするん?」
「まあ、そんなところ」
故郷のこと、道中のこと、アオの話をハジメは興味深く聞いていた。
「しかし、割と外れた場所にあるんだな」
周辺は緑が多く、田畑もあちこちに見える。
「てっきり町の中心に建ってると思ってたよ」
アオがそう言うと、ハジメは複雑な表情をした。
すると、前方の藪が分かれて、一頭の猪が現れた。
「あれは」
「ここらでは珍しいもんやあらへんよ。けど、刺激せんように…」
その言葉が終わらぬうちに、猪は二人に猛進して来た。
「ハジメ!」
アオはハジメを突き飛ばし、自分も身をかわした。
猪はすさまじい勢いで通り過ぎる。
牙がアオの足をかすめ、ジーンズの太ももが裂けた。
「な…なんで…」
草の上に転がったハジメが、放心している。
アオは、猪の異様な雰囲気を感じ取った。
(妖か)
猪はゆっくりと向き直り、暗い瞳でアオを見た。
互いの視線が交錯すると、猪は再び疾走した。
(こいつはオレたちを獲物に決めた。やるしかねえ!)
アオは右足を突き出し、猪の牙を正面から受け止めた。
両者は膠着状態になったが、それは数秒と続かなかった。
猪は首を捻ると、アオの右足を銜え、放り投げた。
アオは受身を取り、すぐさま立ち上がる。
ジーンズが膝から千切れ、スニーカーも脱げていた。
「アオさん、その足…」
ハジメがひどく驚いた顔をしている。
露わになったアオの右足は、馬の足の形をしていたのだ。
蹄に付けた蹄鉄が、鈍い輝きを放っていた。
「説明は後だ、ハジメ。ここはオレが何とかする」
アオの動きは、まさしく馬のように素早かった。
襲いくる牙を蹄鉄で防ぎつつ、アオは猪に何発も蹴りを入れた。
しかし、猪は全くこたえる気配がない。
次第にアオの息が上がってきた。
(なんて頑丈さだ、こいつ)
猪は、じれったそうに前足で地面を掻いた。
すると、見る見る牙が巨大化した。
(今から本気かよ…!)
アオの首筋に、冷たい汗が流れた。
「アオさん無茶や!逃げて!」
ハジメが、思わず草叢から飛び出した。
「馬鹿、隠れてろ!」
猪がすかさずハジメに照準を変え、走り出した。
アオは全力で走り、ハジメを抱きしめた。
次の瞬間、猪は二人を撥ね飛ばした。
二人は、大木の幹に叩きつけられた。
庇われたハジメは軽傷だったが、アオは動けずにいる。
それでもどうにか身を起こし、口に溜まった血を吐いた。
この間も、猪はじりじりと二人に迫っていた。
アオの心は、まだ折れてはいなかった。
「オレは…強くなるために、ここまで来た…」
「あいつを見返して…認めさせてやるんだ…」
「絶対に…諦めてたまるか!」
アオは這いつくばり、立とうとしてもがいた。
その時、アオの右足を衝撃が貫いた。
振り返ると、ハジメが蹄鉄を殴りつけていた。
「しゃあないなあ」
アオは、突然、体の内側が熱くなるのを感じた。
なぜか右目の視界は遮られたが、全身に力がみなぎっていた。
「これは…」
「長くは持たんで。決めや!」
アオは立ち上がり、猪の方を鋭く睨んだ。
雷のような速さで距離を詰め、そして、跳んだ。
「ウラアアア!」
アオの右足は猪の牙を蹴り砕き、顔面に深々と食い込んだ。
****
「天目一箇神の、分御霊かあ」
地べたに座り込んだアオが、驚きの声を上げた。
「そっちこそ、蒼前さんとは思わんかったわ」
ハジメは、懐から取り出したハート柄の眼帯を付けた。
「それにしても、すごい神懸りだったな…」
神の神格をまとう神懸り――その力でアオは猪を倒したのだ。
「さっきは蹄鉄を通じてうちの神格を貸したけど、
専用の神器を作れば、もっと強うなるはずやで」
アオは顔を輝かせた。
「そういうのをオレは教わりたいんだ!早く案内してくれよ!」
「うちら怪我人やん。も少し休憩して…」
渋るハジメを強引に背負い、アオは威勢よく駆け出した。
ゆえふーさんのコーデ良い → 採用
ラブちゃんかわいい → 採用(偽名)
と、思いっきり趣味に走りました。
ロケハン的なこともしたかったけど、このご時世なので
Googleマップで見たふわっとしたイメージで書いてます
(その気になれば、頑張れば行けなくもない距離ではある)。
どうも失礼しました。
ゆえふーさんの普段着イラストのやーつ!
あらやだ懐かしい!!
東北の民は関西弁に弱い💓のでハジメちゃんは推せる!!(ありがとうございました!)
上着は元絵だとセーターっぽいけど、バトらせるならトレーナーかなと変更。
とにかくアオにジーンズというのが格好良すぎでしょう!
ボーイッシュの極みスね!!
ボロボロになりたる姿もいとおかし(ニッコリ
一定期間ならTOP以外でも修正できるのね。
(↑未だに機能をきちんと把握してない人)
新年度の新体制でとっちらかった頭に良い刺激だぜ…ありがとうございます。
ファッションセンスとか動物とか、こう料理するかって感じw
コーデ画像は、自分も書く前に改めて見ようとしたら「消えてる!?」
と思ったのですが、pixivの方に収録されていました。
https://www.pixiv.net/artworks/62020051
ハジメのキャラはラブショッカーズちゃんを意識したものですが
(ポイズンとノイズには似合わない役?)、
そもそも時代背景から変なパラレル世界なので自由に解釈して下さってOKよー
で、そのイメージの源泉となったのは、アオとマヒトツたちの別れの場面、
他の分御霊sが平常運転なのに対してこの娘だけ
こうですよ!
絶対こいつら何かあっただろ…(
またアオがモテてしまったのか)まあそんな邪な妄想までいかずとも、
ちょっと特別な繋がりがあったのかなと考えてみた次第です。
そのカットでそこまで深読みしちゃう!?
作者冥利に尽きますでえ~~~
ちなあのカットは、なに考えてるかわからない天才肌と鍛冶場の超短気親父とは合わなさそうだけど多度ちゃん(仮名)は京都の心(意味深)がアレなだけなのでまあまあ合いそうだと思って。
さておき、芸術肌はいなかったのでハートがサタデーナイトしているような子をイメージさせてもらいました。
ジャガー(悪の動物)は・・・
SSの空気をコミカルにしちゃってごめんねーー
コーデ画像。
名前が変わってる??転生してたのね。
転生してだいぶたってるみたいだしタイミングを逃がした感もあるので見なかったことにします(困
フランクに久闊を叙しても、お相手も別に悪い気はしないと思いますけどね。
多度…って、ええトコに就職してる?
兵庫まで出歩いてて大丈夫なのかしらん。
転生してから神セカに触れてないということは、離れたのかもしれないんで難しいねー
多度については構想の一つなので未確定?
正直3部はまだまだぼんやりとしている状態なので、マヒトツ周りをどこまでやるかで変わってくる予感です。
キツネはパレオを巻いててそこから傷跡がチラッとしてたらいいよね。
当人は気にしてないというかむしろ名誉の負傷と思ってて見せびらかしたいぐらいなんだけど、
ヒトツメが勧めるから巻いてるんだよ (´◡`)
ふふふ。
こう改めて見ると、水着にわら靴を取り合わせようだなんて発想、
尋常じゃないよね。
元デザインを残してるからですね〜。おこうさんは基本冬服なので。
夏はどんな格好してるんだろ。
7月、半夏生に田代神社は例祭。巫女服着るんだろうか?
みんなで海に来たが、ヒトツメが遠慮がちにしている。
→キツネ、自分が傷跡を気にするのではとヒトツメが心配しているのを察する。
→「バカね、隠せばいいじゃない。さあ行くわよ」
こういう流れもいいかな。
あと、「あいつ(タタラ)が気に病んだら面倒だしね…」
なんて思いもちょびっとはあったりして。
またSSめいたものが👍
ネタはなんぼあってもいいですからね。
寝かせつつ発酵させていくのです(なおその期間は読めない模様)
仕事が山を一つ越えたと思ったら別件が発生するのはなんでだろう~🎶
本日届いてました~。ありがとうございます!
無事届いてよかったです!
これからも神セカをよろしくね!
ええから寝てなせい👍
zzz・・・
春にスマホデビューしたけど、滅多に写真撮らない人間なので
カメラの性能が上がったとかで恩恵はないんですよね。
まあ移動中にネットができるだけで個人的にはお釣りがくるんですが。
画像は先代の仕事ぶり(想像)です。
「ホラ、もう放すナよ」
江戸時代に風船…?
気にしてはいけない!
名なしの頭!
ありがとうございます!!
彼は見た目にインパクトがあるだけの善人、穏やかに暮らしてほしい・・・
「実は子供好き」的なギャップだけのネタですw
ほぼ情報がないキャラですが、だからこそ想像の余地はありますよね。
なんか現代でも自発的に町の見回りとかしてて、お沢に「もういい…!休めっ…!」て思われてそう。
逆に休めって言われてたりして。
そろそろ暇をもらわないと取り返しがつかなくなるぞ、ってね。
なるほど、自分みたいになる前に。
後輩を気に掛ける、やはり善人なのね。
先代さまのイラスト可愛い!!
ありがとうございます&恐縮です。
それがこう↓なるとは自分でも読めなかった😅
コメントがヒントになりました。
ネタとして引っ張るつもりは元々なかったんですが、
折角なのでちょっと考えてみました。
「野狐は巷間を彷徨う」
湯沢城下の町で、五人ほどの子供が、高木を囲んで騒いでいた。
そのうち一人の少女は、今にも泣き出しそうな顔だ。
そこに、男が近寄って行く。
足を引きずり、歩みは遅い。
「ドウシた、お前タチ」
ひどくかすれた声だった。
体のあちこちに包帯を巻き、左腕は欠損していた。
異様な風貌だが、子供たちは慣れているらしく、怖がる素振りもない。
「あっ、おじさん」
「こいつの毬が、引っかかったんだ」
指さす方を見ると、高い枝のところに、色鮮やかな毬があった。
「アレか」
やや年かさの少年が、気まずそうに俯いた。
「ちいっとふざけてたら、飛んでっちまって……」
少女の頭を撫で、懸命になだめようとしている。
恐らく、この少年が“犯人”なのだろう。
「サガッてイろ」
男は足を引きずりながら、ゆっくりと木の真下まで進んだ。
すると、一瞬で木の枝に跳び上がるや、毬を手に降りてきた。
その間、枝は微動だにせず、葉の一枚すら落ちることはなかった。
男が、少女に毬を差し出した。
「ホラ、もう飛ばすナヨ」
男の顔は包帯で覆われ、表情など読み取れない。
しかし、隙間から覗く右目は、笑っているようだった。
少女は、嬉しそうに毬を受け取った。
「ありがとう、おじさん!」
子供たちは口々に礼を言うと、どこかへ駆けて行った。
その姿が見えなくなるまで、男はじっと見送っていた。
塀の後ろから女が現れ、男の側にやって来た。
「息災でなにより」
「お前カ」
女は、この地の稲荷頭――お沢稲荷。
そして男は、先代の頭であった。
「頭は私が継いだんだ。大人しく隠居していれば良いものを」
「ソウ言うな。コンナなりデモ相手してクレルのは、子供グライだ」
なおも不服そうなお沢を、男が遮った。
「お前、引退シタラ、やりたいコトはアルか?」
「……わからないな、そんな先の話は」
男は、当惑するお沢に、気遣うような眼差しを向けた。
「精々、早ク後進に譲ルコトだ。俺のヨウにナッテハ、旅行も出来ン」
「それで町の“散歩”か……邪魔をした」
お沢は片手を上げ、去って行った。
男も、また足を引きずりながら、通りを歩き始めた。
旅行もできんなんてつれないこと言ってるけど、たくさん世話を焼いたからこそのこの姿。
旅行に行きたがってるぞと、耳に入れば助けられた御狐たちが我も我もと世話焼きにくること間違いなし!
身体を壊して大変かもしれないけど、そうならなければ見えない地平もあるわけで・・・なんてことを思いましたで!
ありがとうございました!!
狐たちが駕籠でえっさほいさ(かわヨ
先代は他人の手を煩わせるのが嫌で、周囲もそれをわかってるから
過剰な申し出はしにくい、なんてこともあったりして。
それは、デイサービスが来ているのに「おれ行かね!」とヘソ曲げてる年寄りと、玄関でどうしようとたむろってるデイの人たちを思い出すので素直に行ってほしいゾヨ
あ~そういうこともありますか😅
まあ先代に関しては、自分からあれこれ要求しないだけで、
相手の厚意はきちんと汲み取って受け入れると思います。
なんでしょう、身体を壊してから可愛げのある病人とそうじゃない病人の違いとか壊したからこそわかる振る舞い方とかわかっちゃって。
先代は可愛げのある病人路線でいてほしい~~
偏屈とかでは全然ないですよね。
足ることを知っていて、それこそ穏やかな暮らしが一番という感じ。
お沢さんちょくちょく登場しますね(玲子さんに押しつけたのも含めて4つ目)。
どうも失礼しました。
先代さま子ども好きなの良いですねえ。ほっこり…。🤗
善人だと明言してくれましたからね。
ここは推していこうと。
痩せるには動くことよ!
(でも体調との兼ね合いもあるもんね…)
一応DIYリハビリ(ひと汗かくまで動く)はやってるんですが、ひと汗かく程度のカロリー以上に入れてる状態で。
なんだろう、旬の野菜っておいしいですよね!
食事を抑えたが故に体調が悪くなられても困る~。
いっぱい食べていっぱい動くのが理想ですが、なかなか…ね。
自分の実感として、テレワーク期間はじわじわとウエストがやばくなってたけど、
また外へ仕事に出ているうちに気付いたら元のサイズに戻ってました。
摂取と消費のバランス大事だなと。
やはりウォーキング・・・ウォーキングがすべてを解決するんですね
ヒトツメよ、キツネだけで飽き足らず姉まで毒牙にかけたんか…
参照:39話より、氏子と農業と権利
ン!?
見覚えあるけど身に覚えないで!
証拠だってあるんだから(震え声
ちょっ…ピンハネしすぎでは…(震え声)
また見覚えがあるのに知らん絵が😰
た、多分まだ封筒に入ってるんじゃないですかねえ。