ヤマノスしゃべり場

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湯沢城下の町で、五人ほどの子供が、高木を囲んで騒いでいた。
そのうち一人の少女は、今にも泣き出しそうな顔だ。
そこに、男が近寄って行く。
足を引きずり、歩みは遅い。

「ドウシた、お前タチ」
ひどくかすれた声だった。
体のあちこちに包帯を巻き、左腕は欠損していた。
異様な風貌だが、子供たちは慣れているらしく、怖がる素振りもない。

「あっ、おじさん」
「こいつの毬が、引っかかったんだ」
指さす方を見ると、高い枝のところに、色鮮やかな毬があった。
「アレか」

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