(今から本気かよ…!)
アオの首筋に、冷たい汗が流れた。
「アオさん無茶や!逃げて!」
ハジメが、思わず草叢から飛び出した。
「馬鹿、隠れてろ!」
猪がすかさずハジメに照準を変え、走り出した。
アオは全力で走り、ハジメを抱きしめた。
次の瞬間、猪は二人を撥ね飛ばした。
二人は、大木の幹に叩きつけられた。
庇われたハジメは軽傷だったが、アオは動けずにいる。
それでもどうにか身を起こし、口に溜まった血を吐いた。
この間も、猪はじりじりと二人に迫っていた。
アオの心は、まだ折れてはいなかった。
「オレは…強くなるために、ここまで来た…」
「あいつを見返して…認めさせてやるんだ…」
「絶対に…諦めてたまるか!」
アオは這いつくばり、立とうとしてもがいた。
その時、アオの右足を衝撃が貫いた。
振り返ると、ハジメが蹄鉄を殴りつけていた。
「しゃあないなあ」
通報 ...