ヤマノスしゃべり場

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最近には珍しく、爽やかな冬晴れの午後だった。
二月十四日、氏子の家に三稲荷が集まり、車座になっていた。
泉光院が、キツネと与次郎を呼び出したのである。
二人にはそれぞれ、リボンで結ばれた袋が渡された。

「チョコレートねえ…」
ベッドに腰掛けたキツネが、手の平で袋をぽんぽんと弾ませた。

「店長に厨房を借りてな。調温して、型抜きした程度だが」
「いやあ、いけるよこれ」
泉光院の話もそこそこに、与次郎は早速食べている。
丸、三角、四角、星――中にはナッツやドライフルーツが入っていた。

「お沢様とアグリコ様には、もう差し上げた。お前たちも…まあ仲間だし」
泉光院が照れくさそうに顔を背ける。
(ツンデレかな?)
与次郎は心の中で思った。

「ま、くれるっていうなら、ありがたく頂戴するわ」
「サンキューな」
礼を言われて、泉光院は軽く咳払いをした。

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