見ると、ジャンパースカート姿の少女が、尻餅をついていた。
ものもらいでもあるのか、右目にガーゼの眼帯をしている。
「おっと…大丈夫?」
女が心配すると、少女はスカートを払いながら立ち上がった。
「危ないやんか、姉さん。気ぃつけや」
「ご、ごめん」
少女のしっかりした様子に、女はたじろいだ。
余所者と察し、少女はじっと女を見つめている。
居心地の悪さに堪えきれず、女が口を開いた。
「ところでさ、この辺に神社はないかな」
「神社?」
「天目一神社っていうんだけど…」
子供に聞くようなことではないな、と我ながら思った。
「知っとるよ」
事も無げに答えると、少女はすたすたと歩いて行く。
どうやら案内するつもりらしい。
女が慌てて後を追う。
「あ、オレはアオっていうんだ。お嬢ちゃんは?」
少女は振り返り、にっこりと微笑んだ。
「ハジメ」
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