ヤマノスしゃべり場

SSスレ / 175

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穏やかな日和の下、アグリコが濡れ縁に腰掛けていた。
誰かが入って来る音がして間もなく、泉光院が現れた。
「アグリコ様、いらしてたんですか」
「おかえり」

辺りを見回して、泉光院が尋ねる。
「お沢様はいないようですね?」
「ええ。私が来てすぐに、急用が入って出かけたの」
アグリコは肩をすくめた。

「そうですか。私も報告があったのですが」
生真面目な顔になった泉光院を見て、アグリコは微笑んだ。
いつまでも“小僧ちゃん”ではないとわかっているが、
稲荷として役に励み、成長していることに感慨を覚えた。

泉光院が出直そうかと思ったところ、アグリコに袖を掴まれた。
「ねえ、ただ待つのも退屈だし、話し相手になってちょうだい」
「はあ…」
断ることなどできない雰囲気が漂っていた。

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