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泥モザイク市

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───それは、輝かしき夢の影差す新世界───

───昔、大きな戦争があった。

私が生まれる前のことだ。

しかし、戦争が終わっても、平和には影が落ち続けた。

誰しもが“聖杯”を持ち、運命の示すサーヴァントを喚ぶ。

安寧からはあまりにも離れた狂騒の中で、それでも、私達は生きている。

それは、「秋葉原」から遠く離れた、影に包まれる繁栄の世界。

(泥Requiem世界を舞台としたロールスレッドです。)

kagemiya
作成: 2019/12/15 (日) 18:54:45
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53
影見ツクシ/スバル 2019/12/31 (火) 19:50:20

年の暮れなど、彼女の暮らしには関係なかった。仕事があれば関係なく引き受けるし、仕事がなくても、別段特別なことをするわけではない。
年越しそばなど、彼女が小学校に入る前に食べたっきりだ。だから、今年もそうするものだと思っていた。
……だが、今はスバルがいる。何も知らない、本当の子供のような同居人(サーヴァント)が。この子に、それまでと同じ、“普通ではない”年越しをさせるのは、少し気が引けた。
という訳で、影見ツクシは、もこもことしたコートに身を包み、スバルにはもっともこもこしたジャンパーを着せ、「天王寺」の天王寺町にある住吉大社へと足を運んでいた。
此処では、毎年年越しを共に祝うイベントが開かれている。ちょっとした出店じみたものなどもあり、その雰囲気はお祭り宛らだ。

「……こんな風になってたんだ」
「ひとがたくさんです。みんな、なにをしているのですか?」
「もうちょっと待ってれば、分かるよ」

そうして、あちこちを見やるスバルの手を引き、彼女は境内をふらふらと彷徨っていた。其処此処に、見覚えのある顔がある。

54
影見ツクシ/スバル 2019/12/31 (火) 19:50:52

/絡み待ちです。他の都市泥の方もどんどん自分なりの年越しイベントを起こしてみて下さい。

55

年末の難波、道頓堀。
過ぎゆく年を楽しく祝おうと、人混みで賑わう繁華街にて。

「……ぅ、ひっく……」

人混みから少し離れるように歩く、千鳥足の少女が一人。
いつもは仏頂面のその顔は仄かに赤く染まり、固く締まっているはずの口元も、今日はどこか緩んでいる様子。
堅苦しい雰囲気はどこへやら、着崩されたシャツの胸元からは、僅かに肌色が覗いている。

……数時間前、彼女、鴈鉄アズキが所属する武装警邏隊で年内最後の忘年会が行われた。
周りは一回り以上も離れた年上の男性ばかり。そんな中に、娘のような年齢の少女が放り込まれればどうなるか。
あれ飲めこれ飲めそれ食べろ、と。蝶よ花よと愛でられて……そんな雰囲気に流されてしまった結果……
軽い気持ちで飲んだハイボール一杯で、まさかここまで酔ってしまうなんて。

「ふらふらする……あつい……はやく、かえらないと……ぅ、ぷ……」

覚束ない足取り、酩酊が見て取れる表情は、この人混みの中でも一際目だって見える。

56

>> 55
「……大丈夫ですか?」
そんなアズキに、声をかけるものがいた。寒空の下、更に寒さを感じさせるような冷めた色のパーカーに、丈の長いスカートを身につけた少女。
顔を見てみれば、それを何処かで見たことがあるのにも気がつくだろう。しかし、それを何処で見たのだったか。中々思い出せない。そんな、地味な顔立ちであった。
それが、無表情なまま、いつの間にか立っている。声をかける割りには、その声音に心配の色はない。青い瞳が、透明な輝きを湛えているばかり。

57

>> 55
そんな彼女の下に、近づく影が一つ。

「……おい、大丈夫か?」

普段羽織っているレインコートはなく、代わりに赤いジャージをセーラー服の上から着込み。
何時も携えていた無骨な機巧刀の代わりにチューハイの空き缶や日本酒の空き瓶がぎっしり詰まったビニール袋を持った。
そんな如何にも飲み会帰りな彼女の名は、逆神朱音。今目の前で酔いどれているアズキと同年代の少女である。
その袋の内容から、彼女もまた相当な量を飲んでいる筈なのだが……一杯でふらふらになってしまった彼女とは異なり、特に酩酊した様子もなく、顔はぽうっと赤くなってはいるものの、その足つきは確かなものであった。

「ほら、肩を貸してやるから……ここからだとウチが近いな、キツそうなら一辺吐いたほうがいいぞ」

慣れた手つきで今にも倒れそうなアズキの腕を取って体勢を支える。というのも彼女、実は先程まで雀荘で大暴れしており、そんな彼女に一足先にお年玉を振り込んだ挙句ヤケ酒で酔い潰れた、最近知り合った青年を送り届けていたのだ。
ぐでぐでヨットマンを丁寧にベッドに寝かせ、わざわざ律義にゴミを持ち帰っている最中に、こうして同じく酔っ払った彼女と出会い、いつものようにお節介を焼きに近寄ったのだ。

58
アルス/XXXI:紅白会場 2019/12/31 (火) 20:59:58

特設のステージで、男が吠える。
飛び上がるように激しく、浮遊するように夢見心地のエクスペリエンス。
彼を知らぬ者の多くは話題性だけのアイドルと言い、彼を知る者の全てはKAWAIIと言う。確かにKAWAIIとしか言いようがない。
この舞台に選ばれた彼の実力は、本物だ。
自然と拳に力が籠る。それは感動ゆえか、あるいは。
しかして今は駆け出すべきではない。今の自分には何よりもやるべき使命がある。

「彼谷パルヴァライザーさんの『飛行型完全体』ありがとうございました!!」

時は大晦日。このステージはこの地域に古くから伝わる祭事―――紅白歌合戦の中心にある。そして、司会の大役を自分が務めているのだ。

「さて、そろそろ中間発表の時間であるな!今の段階では……白組が優勢である!皆の者ありがとう!」

ここで折り返し。しかしまだまだ気は抜けない。今年を駆け抜けた流星の如きアイドル達を代表し、自分はここに立つ。
側に立つ己の騎士は、今は紅組の司会……この一夜だけはライバルを名乗らせてもらいたい。
その気負いが眼差しに宿っていたのか、パーシヴァルもまた本気の視線を返す。

今年もあと僅か。1年間の想いを込めた、熱唱を此処に!

59

天王寺
「ご馳走さん! こっちの蕎麦も悪くねぇな。 しかし、蕎麦湯ねぇのが信じられねぇ
蕎麦湯まで飲んでこそ蕎麦ってもんだろうが」
年季の入った蕎麦屋から、上機嫌で出てきた男がいた。
男、水木トウマの顔は赤い、年越し蕎麦のついでに一杯引っ掻けたようだ。
あーだこーだ言いつつも蕎麦の味には満足だったらしくいつになく上機嫌で街を歩く。
相棒であるケルベロスは寒い中外には出たくないと家に籠っている。
年末の街中というのはどこも店は閉まり、人がいないと言うのにどことなく祝い事のような雰囲気があってトウマはそれが好きだった。
「ん……確かこっちは?」
だが、そんな独特の雰囲気とは違う賑やかな気配を感じトウマは首を傾げた。
方向と声のする距離を頭の中に入れた地図で照らし合わせ何があったか推察する。
「あっちは住吉大社か……二年詣りには早いが行ってみるか」
(あ……ボスが出てるのに紅白見るの忘れてた。ま、ケルベロスが録ってるだろ……)
トウマは軽やかな足取りで鼻歌なんて口ずさみつつ住吉大社へと向かった

60

>> 53
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ。
エンドレス咀嚼音を響かせリスのように頬を膨らませながら出店の食材をモグる少女がそこにいた。
彼女はリット。モザイク市を旅する新世代ワルキューレサーヴァントであり、
最近は羽休めとして天王寺に滞在し、そして今は住吉大社の屋台を食欲のままに食い荒らすリス系美少女である。

「……ん?お、ツクシちゃんにスバルくんや。やっほー、楽しんどるー?」

やってきた二人に気づき、顔を向け挨拶するも、食事の手は止まらない。
ちなみに彼女の隣で普段羽ばたいている白鳥のローちゃんと烏のメーちゃんは買った食事が詰め込まれたビニール袋を咥えているため会話に参加できない。断じて喋らせるのが面倒とかそういう理由ではない。いいね?

61
皇ハルナ:天使町 2019/12/31 (火) 21:13:28

「…………」

テレビを消す。
外から入ってくる情報は、いつも心底辛い時の励みになるものだ。
ただ、時間の流れを感じるものだけはいただけない。
「神戸」ができてから何年経っただろう。
事故が起こってから
私たちに羽が生えてから
私達は、これで何年この鳥籠に閉じ込められているんだろうか。

コンテナを漁り、銃を手に取る。
こんな時期に仕事なんて、風情もへったくれもない。というか、組合は依頼を出して貰えるだろうか?
それでも、過去を懐かしむよりは、今に埋没してしまいたい。
仕事に意識を集中させていきたい。
何も考えたくない。

「――――――はぁ」

空振り。
組合長―――『最初の回収業者』が応対に出てきて、直々に断られた。
曰く、休める時に休めなくなると命が危ないですよとか。相変わらず呑気な人だ。
結局はHCUがバタバタしてるのもあって、直営も個人も今日明日と勝手に動くな。ということだ。
こうしてヤケクソを即座に禁止されてしまった訳だが、果たして如何に時間を潰すべきか。

「―――ラーメン、食べようかな」

まぁ、自堕落に発砲するよりはまだ健全だろう。
とりあえず掴んでいた銃を仕舞いなおして、町の中にあるラーメン屋に脚を運んだ。

62
影見ツクシ/スバル 2019/12/31 (火) 21:14:29

>> 60
「……年越しそばじゃなくて年越しうどん? 強欲な……」
「? としこし? うどん ごうよく?」
「ああ。この年越しそばっていうのはね……」
年越しそばならぬ年越しうどんを売る出店がふと目に留まり、つい零した言葉を一々とスバルに解説する。こういうのはセンセイの役割じゃないかなあ、とぼんやり思ったツクシが、掛けられた声に振り返ると、見覚えのある顔がいた。

「ああ……リットさん。こんばんは」
「こんばんはです。やっほー?」
控えめに会釈をするツクシに対し、スバルはふりふりと手を振る。あまり意味は分かっていないようだが、楽しそうな顔をしている。
「リットさんも、年越しを待っていらっしゃるんですか?」
もぐもぐと食べ続ける少女と、それを支える二羽の鳥を見比べ、鳥達に同情の目線を送りながら、それとなく問いかける。いつもこんなに食べているのだろうか。

63
皇ハルナ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:16:55

「……天使ラーメン。醤油あっさり細麺、それと二枚羽餃子2人前」

66
アルメア・ギャレット 2019/12/31 (火) 21:34:54 >> 63

 独り言を呟き呟き、暖簾をくぐった男は皇ハルナのすぐ隣で立ち止まる。
「ところでそこの麗しいお嬢さん。お隣よろしいかな? 見ての通り、他に空席が見当たらないんだ」
 ハルナの返事を聞く前に男は図々しくも右隣にどっかと腰を下ろした。脂臭いラーメン屋にそぐわない薔薇の薫香が冬のホタルのようにほんのりと、本当に幽かだが漂ってくる。
「天使ラーメン小。硬めで頼むよ。それとセットに二枚羽餃子一人前を」

64
アルメア・ギャレット 2019/12/31 (火) 21:27:34

「んっんっん〜。ツバメくんのヤツめ、自分から誘っておいて……急用が入るとはね。いやはや務め人とは辛いものだ」

65

>> 56
「ふぇ」

思いがけない声が背後より投げかけられ、素っ頓狂な声を上げてしまう。
振り返るとそこに立っていたのは、白い髪の美しい青い瞳の少女―――――。

「え、っと……あなたは……ぅ、っ」

見覚えのある顔の筈なのに、肝心の名前を思い出せないのは、今体を巡っているアルコールのせいなのだろうか?
思考を巡らせるも言葉は出ない。アズキは眉間にシワを寄せながら……こみ上げる吐き気をこらえながら、俯きつつ沈黙を引き伸ばす。

>> 57
そんな時、またも見知った声が投げかけられた。
がちゃがちゃ、がさがさと、膨らんだビニール袋に缶を詰め込んでいるその少女は

「ぇ……アカネ……アカネぇ……?」

難波都市軍に所属する「剣士」、逆神朱音その人。
自我を失う寸前にあっても、見知った彼女の名は思い出せた。
ここ難波でも何度顔を合わせたことのある相手で……こんな姿を見られたくなかった相手。

「だ……大丈夫ですよ……この程度で、私が酔っ払うわけ……うぇ……」

情けない姿は見せられないと、精一杯の虚勢を張ってはみるが……言い終えるよりも前に崩れかける。
そんなアズキの姿を見かねてか、倒れる寸前で腕を差し伸べ、抵抗することも出来ぬまま彼女に体を預ける形となってしまった。

「…………それ……それ、アカネが全部飲んだの……?」

そんな中で、彼女が手にしていたビニール袋――の中に詰め込まれていた、空き瓶や空き缶の数々が目に入った。
アズキからしてみれば到底信じられない量の酒。これを、彼女が一人で飲み干したというのだろうか……?
口に出すつもりはなかった。だが朧気な思考回路ではその声を心のうちに留めることは出来ず、驚愕と畏れが混じった声色で言葉を零してしまった。

67
神坂シヅキ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:37:11

「ナハハハハハハ!!年の暮れで酒が美味いわー!!」
年末。アタシは毎年一日だけ…と言うほどでもないが、この日はだいぶはっちゃけてもいい日やと自分を許している。
こういう時にツれないロベスピには適当な理由を付けて家で待ってて貰って、システィナと一緒にここに飲みに来るのがいつものパターンだった。
「……つっても一人じゃ盛り上がりに欠けるんよなぁ、はぁ……ラーメンうま」
しかし、今年はシスティナがいない。
HCUの方が回収業者に暇を出したと知った途端、独自調査のチャンスだとか言ってどっか行ってしまった。
激辛味噌ラーメンの美味さは相変わらずだが、ツッコミがいないのにボケるのも意味がない。
微妙に空回りするテンションに若干の白い目が向けられるのを感じて声のボリュームを下げながら、ずるずると麺をすすりジョッキ三杯目の合成生中を流し込む。
「ぶはー……。はーぁ、誰か来んかなー、来たらこのノリで無駄に絡んでやるんに……お?」
と、ぼやいたあたりで視界の隅に映ったのは、いつも通りのゴツいコートを着た女…皇ハルナ。

>> 63

「……けっけけけ、今日アタシの前に現れたのが運のツキやでハルナちゃん……!」
ふらり、と千鳥足の自覚を持ちつつ立ち上がり、注目を済ませ一息ついたのを確認してから、後ろから近づいて。
「ハルナちゃーん!こっちで飲もうでー!!!」
がばっと。誘いをかけつつ抱き付くなどということを試みてみた。

68
霧六岡六霧/両石閻霧:両石自宅@難波出張所 2019/12/31 (火) 21:37:57

~少し前~
「ダッハッハッハッハァ!! 今年の絶対に笑ってはいけないエルメロイ教室24時も面白いなぁ!! 
 まさか時計塔の麒麟児キリシュタリアまで呼んでくるとは思わなかったぞ! 驚いたものよなぁ両石ィ!!」
「いや知らないし……私時計塔関係知らないから。てかなんでアンタは分かるのよ」

ふぅむ? と分かっているんだかわからないんだかの生返事を返す霧六岡

「しかし、年末というのにこうして家から出ないというのも、些か平穏すぎやぁしないか?」
「そうね、あんたが来るまでは平穏だったわね」
「ああ? この前破壊した玄関は俺が全面修理してやったろう? 何が不満だ!?」
「悪趣味が過ぎるのよ! 何あの黄金の髑髏の装飾! 剥ぐのにどれだけかかったと!?」

呵々と両石の講義を嗤って流しながらビールでから揚げを流し込む霧六岡
年越し蕎麦の為の出汁の準備を片手間に済ませ、今の彼はすっかり年越し晩酌モードだ

「む? おい両石天ぷら粉はどこにいった?」
「いやそんなあって当たり前なこと言われても常備してないんだけど」
「ナニィ!?」

ガタリ!! と勢いよく立ち上がり手に持っていた麒麟百番搾りの空き缶を握り締める

「年越しそばと言ったらカラリと揚ったかき揚げの乗ったそばであろうがァ! それを貴様ぁ!!!!!!」
「うるさいマジで五月蠅い。頼むからその声帯を切り離してハードオフで売っ払って来て」
「天ぷらの無い年越しなどあっては我が狂気が曇るというもの……!! いくぞ両石!! 出征の時だ!」

そう言って男はもこもこのファーのついたコートを両石に投げつけ、自分もコートを羽織った。
両石は心底めんどくさそうな顔をするが、ここで反対をするとめんどくさい事になるのはよく理解しているので、
仕方なく彼の行動についていくことにした。もちろん、彼の狂気を諫める理由もあるが、理由はもう一つある

この霧六岡は、いわゆるトラブルメーカー体質。それはつまり、似たような破天荒な少年少女を呼び寄せる意味も持つ。
つまり

「(今夜紅白で出るアルス君みたいな、可愛い美男美女拾えるかもね。拾えたら、いい奴隷玩具になりそう…)」

つまるところ、彼女も自分の狂気の為に、霧六岡の狂気についていくことを選んだのだ

69
神坂シヅキ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:43:10

>> 67
(注目→注文)

70
皇ハルナ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:43:33

>> 66
「あなた、奏金の……誰だっけ?」
チラとアルメアの方を見て身なりを確認し、すぐに視線をラーメンに戻す。
いざラーメンを食べに行くとなると、あまり同業者と顔を並べながら食べるのは気が進まないのだが。
多分気にしないだろうなぁ彼。話聞かなさそうな感じがすごい。

>> 67
後方からの衝撃。顔をがくりと前に倒し、すぐに戻す。
そして少し恨めしそうにシヅキに視線を向けた。

「シヅキ、今食べてるから」

そして、アルメアのいない方の席を軽く叩いた。

71

>> 57
>> 65
「……成る程。お知り合いの方がいらっしゃいましたか」
相も変わらず無表情で、どうにも、感情が読み取れない。
倒れかかっていったアズキを横合いから見つつ、少女は言葉を続けた。
「私と貴方の間に面識はありませんが、体調不良のようでしたので、勝手ながら介抱した方が宜しいかと思いお声掛けした次第です」
しかし、と、首をアカネの方へ傾けて、
「どうやら無用のことだったようです。失礼致しました」
スカートの裾をつまみ、小さく頭を下げる。決して洗練された動きではないが、謝罪の手段として、誠意が込められていることだけは、何とか読み取れる。そんな、ややぎこちないものだった。

72
パーシヴァル 2019/12/31 (火) 21:50:31

>> 58
アルスくんが、マスター闘志を燃やしている。
それはとても素敵で成長が嬉しいのですが、私は今素直に成長やその凛々しい姿を喜んでいる余裕がありません。
あれは一ヶ月ほど前、マネージャーさんの持ってきた紅白の仕事に一も二もなく「紅組で!」とか抜かしたら歌う方ではなく司会だったのですから。
これは不味い!と気付いて何とかしようとするも、時既に遅し。着々と話は進んでしまい、先王に思わず愚痴を零すと「てめぇは昔から人の話聞かねぇな!」とケ…鸚鵡に罵られ「じゃあやってみせますよ!」と啖呵を切ったのが2週間前。
そしていま私は紅組司会として大舞台に立っている。
正直頭に叩き込んだ台本をそのまま言うのが精一杯です。
アドリブする余裕なんてありません!……大物芸人の方!アドリブでこっちに振るの早めてください!
しかし、ここでトチれば主であるアルスくんや仕事をとって来てくれたマネージャーさnはじめとしたプロダクションの方、それにプロデューサーに恥をかかせることになります!
ここはなんとしてでもやり遂げてみせます!
そう言えばプロデューサー今朝見た時、死にそうな顔してましたけど大丈夫なんですかね、あの人

73
神坂シヅキ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 21:52:34

>> 70
「あぁ、ごめんなぁー」
席に辿り着くまでに飯が来てしまっていたようで、恨めしそうな目線を貰ってしまう。
それはそれとして構って貰えたのが嬉しいので、席からラーメンとジョッキを持ってきて、場所を動く旨を店員に伝えた。
「……へへへへ」
思いの外心細かったようで、隣に知己がいるだけで笑みが零れてしまう。
……が。

>> 66
「……で、そっちの成金優男はなんや。アタシはまだハルナちゃんを嫁に出す気はあらへんでー」

74
霧六岡六霧/両石閻霧:難波 2019/12/31 (火) 21:57:13

「んんん? あれは、酔っぱらいか? あれは」
興味深そうに人の形をした災害霧六岡が、酔っていたアズキとその周囲を囲む少女達を見つける
「よぉ!そこの女子(おなご)共!何かあったか?」
「ちょっと……あら、かわいい子達」
じゅるり、と後ろに立っていた、モコモコファーのコートを纏った両石が舌なめずりをする
その胸元には、閉まりきらないほどの乳房がすこし見え隠れしていた

75
皇ハルナ:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 22:01:17

>> 73

「直営の人だよ。多分。奏金の」
小声でシヅキに耳打ちする。
彼女の出自を考慮して、少し思案を回す。
そ知らぬ顔でラーメンを啜ってもいいのだが、奏金の人間に思うところがあるのなら席でも変えるべきだろうか。

それはそれで直営の男に礼を欠きそうではあるが……彼そういうの気にするのか?
……あまり他人の思考には疎い。変に気を回すよりさっさと食事を済ませたほうがいいか。

76
アルメア・ギャレット:天使ラーメン 2019/12/31 (火) 22:04:52

「私はまだまだラーメン初心者だからね」
 誰に言い訳するわけでもなくペラペラとアルメアは並べ立てる。隣にいるハルナに向けたセリフとも言えない、独り言もどき。
「曰く、一年食べつけるまではミニラーメンを注文しなければならない。
 非合理的な理屈だと思うが郷に入っては郷に従えとの格言もある。それが店のルールなら従うさ」
 ……それはアルメアがラーメンを食べたことがないと聞いたカグヤの吹き込んだ嘘だった。
 アルメアが信じているのか、それともふざけているだけか、表面上からは読み取れなかったのでツバメはスルーを決め込んでいたが、あいにくと今回ばかりは本気で信じていたアルメアはこうして毎度毎度ミニラーメンを注文している。
 今のセリフはようやく疑いが鎌首もたげてきたアルメアがそれとなくラーメン上級者っぽいハルナに出したSOS信号だったりした。
 しかし、そんな事情を知らずに聞いているハルナにすればまったくもって意味不明なセリフでしかなかったのだが。

>> 70
「おっと」
 ハルナの言葉にアルメアは軽く眉を上げた。
「はじめまして。自己紹介が遅れたね。私はアルメア・ギャレット、ご察しの通り奏金の直営だ。そういう君は……皇ハルナさんだったかな? 活躍は耳にしているよ」

>> 73
 声が耳に届く。アルメアはそちらを一瞥し、それとなく手袋を外した。金の指輪が品のない光を反射する。
(神坂シヅキ……独立派の中心人物か。奏金のリストに入っていたはずだ。……意向に従うなら捕縛しておくべきかもしれないが……)
 小さく鼻を鳴らし、アルメアはやれやれと首を降った。今日は大晦日。仕事納めは終えている。働く必要はない。
「こんばんは美しいレディ。第一印象で決めました。結婚を前提としてお付き合いを申し込みたい。……お返事をいただけるかな?」

77

>> 65
「ん?あー……………いや流石にこんな飲めねえ。一、二缶程度だよ」

嘘である。この少女、瓶こそ空けていないものの缶に関しては半分以上飲み切っている。
しかしアカネは(本人は認めないだろうが)気遣いができる人である。自分に向けられた視線に乗せられた感情と、そしてその奥に隠されたアズキの考えを読み取った彼女は、少々言い淀みながらも嘘をついた。
……逆神アカネは嘘をつくのが下手な部類だ。加えて長い付き合いであるアズキに嘘が通じたことは一度もない。
しかし今の彼女は酔っ払い、正常な思考を保っていないだろう。だからこそ言い放った嘘であった。

「……私の勘違いかもしれないけど。一応、一つだけ言っておく。
 酒が飲めないことは、別に恥ずかしいことでもなんでもない。むしろ無理して飲んで酔っ払うほうが恥ずかしい」

アズキと目を合わせず、彼女を運びながら語る。

「私は5
「ん?あー……………いや流石にこんな飲めねえ。一、二缶程度だよ」

嘘である。この少女、瓶こそ空けていないものの缶に関しては半分以上飲み切っている。
しかしアカネは(本人は認めないだろうが)気遣いができる人である。自分に向けられた視線に乗せられた感情と、そしてその奥に隠されたアズキの考えを読み取った彼女は、少々言い淀みながらも嘘をついた。
……逆神アカネは嘘をつくのが下手な部類だ。加えて長い付き合いであるアズキに嘘が通じたことは一度もない。
しかし今の彼女は酔っ払い、正常な思考を保っていないだろう。だからこそ言い放った嘘であった。

「……私の勘違いかもしれないけど。一応、一つだけ言っておく。
 酒が飲めないことは、別に恥ずかしいことでもなんでもない。むしろ無理して飲んで酔っ払うほうが恥ずかしい」

アズキと目を合わせず、彼女を運びながら語る。

「どんだけ豪華なご馳走並べてもよ、美味く食えなきゃ意味がない。
 無理して腹に詰め込んで、後で吐かれでもしたら、食ったほうもそうだし作ったほうだってつらい気持ちになる。
 だから……あー、そうだな。とにかく苦手なモンは断って好きなモン頼めばいいんだよ。雰囲気やら責任感やらに振り回されるなんてお前らしくもねえだろうに……」

>> 71
「……あー、悪いな。こっちは私に任せて、お前も年末年始ゆっくり過ごせよ。
 天王寺じゃあ何かやってるみたいだし、こっちも新年はお祭り騒ぎだからよ」

そう、ぶっきらぼうに返すアカネであった。

>> 74
「……………」

面倒くせぇ、と内心舌打ちするアカネだったが、ギリギリ暴言を吐くことは我慢できた。
ただでさえ隣には今にも吐きそうな少女がいる。そんな隣で騒げば決壊してしまうかもしれない。
それだけは避けねばならなかった。被るであろう自分としてもそうだが、年明け前に彼女に苦い思い出を残させたくないという気遣いの気持ちのほうが強かった。

「……こっちはもう大丈夫だから、あっち行っててくれ」

しっし、追いやるように手を振る。彼女にしては珍しく、穏便にことを解決しようとしていた。

78

>> 62
「ん……あれは」
どこぞの屋台で買ったのかワンカップを片手に住吉大社の境内を見て回っていた見覚えのある三人と二羽に気付いた。
「おぉう! 逃……影見のおじょうちゃんにハービンジャーじゃないかぁ! それにワルキューレの嬢ちゃんにそのお供!」
その声は上ずり、顔は真っ赤になっている。
「夕飯は食べたか? 小腹は空いてないかおじさんがおごってやるぞぉ! ってワルキューレの嬢ちゃんは食ってるとこかヒック」
泥酔状態のトウマはしゃっくりをして酒臭い息を吐きながら二組に話しかけた