影見ツクシ/スバル
2019/12/31 (火) 19:50:20
年の暮れなど、彼女の暮らしには関係なかった。仕事があれば関係なく引き受けるし、仕事がなくても、別段特別なことをするわけではない。
年越しそばなど、彼女が小学校に入る前に食べたっきりだ。だから、今年もそうするものだと思っていた。
……だが、今はスバルがいる。何も知らない、本当の子供のような
という訳で、影見ツクシは、もこもことしたコートに身を包み、スバルにはもっともこもこしたジャンパーを着せ、「天王寺」の天王寺町にある住吉大社へと足を運んでいた。
此処では、毎年年越しを共に祝うイベントが開かれている。ちょっとした出店じみたものなどもあり、その雰囲気はお祭り宛らだ。
「……こんな風になってたんだ」
「ひとがたくさんです。みんな、なにをしているのですか?」
「もうちょっと待ってれば、分かるよ」
そうして、あちこちを見やるスバルの手を引き、彼女は境内をふらふらと彷徨っていた。其処此処に、見覚えのある顔がある。
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