~少し前~
「ダッハッハッハッハァ!! 今年の絶対に笑ってはいけないエルメロイ教室24時も面白いなぁ!!
まさか時計塔の麒麟児キリシュタリアまで呼んでくるとは思わなかったぞ! 驚いたものよなぁ両石ィ!!」
「いや知らないし……私時計塔関係知らないから。てかなんでアンタは分かるのよ」
ふぅむ? と分かっているんだかわからないんだかの生返事を返す霧六岡
「しかし、年末というのにこうして家から出ないというのも、些か平穏すぎやぁしないか?」
「そうね、あんたが来るまでは平穏だったわね」
「ああ? この前破壊した玄関は俺が全面修理してやったろう? 何が不満だ!?」
「悪趣味が過ぎるのよ! 何あの黄金の髑髏の装飾! 剥ぐのにどれだけかかったと!?」
呵々と両石の講義を嗤って流しながらビールでから揚げを流し込む霧六岡
年越し蕎麦の為の出汁の準備を片手間に済ませ、今の彼はすっかり年越し晩酌モードだ
「む? おい両石天ぷら粉はどこにいった?」
「いやそんなあって当たり前なこと言われても常備してないんだけど」
「ナニィ!?」
ガタリ!! と勢いよく立ち上がり手に持っていた麒麟百番搾りの空き缶を握り締める
「年越しそばと言ったらカラリと揚ったかき揚げの乗ったそばであろうがァ! それを貴様ぁ!!!!!!」
「うるさいマジで五月蠅い。頼むからその声帯を切り離してハードオフで売っ払って来て」
「天ぷらの無い年越しなどあっては我が狂気が曇るというもの……!! いくぞ両石!! 出征の時だ!」
そう言って男はもこもこのファーのついたコートを両石に投げつけ、自分もコートを羽織った。
両石は心底めんどくさそうな顔をするが、ここで反対をするとめんどくさい事になるのはよく理解しているので、
仕方なく彼の行動についていくことにした。もちろん、彼の狂気を諫める理由もあるが、理由はもう一つある
この霧六岡は、いわゆるトラブルメーカー体質。それはつまり、似たような破天荒な少年少女を呼び寄せる意味も持つ。
つまり
「(今夜紅白で出るアルス君みたいな、可愛い美男美女拾えるかもね。拾えたら、いい奴隷玩具になりそう…)」
つまるところ、彼女も自分の狂気の為に、霧六岡の狂気についていくことを選んだのだ