kagemiya@なりきり

泥モザイク市 / 57

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>> 55
そんな彼女の下に、近づく影が一つ。

「……おい、大丈夫か?」

普段羽織っているレインコートはなく、代わりに赤いジャージをセーラー服の上から着込み。
何時も携えていた無骨な機巧刀の代わりにチューハイの空き缶や日本酒の空き瓶がぎっしり詰まったビニール袋を持った。
そんな如何にも飲み会帰りな彼女の名は、逆神朱音。今目の前で酔いどれているアズキと同年代の少女である。
その袋の内容から、彼女もまた相当な量を飲んでいる筈なのだが……一杯でふらふらになってしまった彼女とは異なり、特に酩酊した様子もなく、顔はぽうっと赤くなってはいるものの、その足つきは確かなものであった。

「ほら、肩を貸してやるから……ここからだとウチが近いな、キツそうなら一辺吐いたほうがいいぞ」

慣れた手つきで今にも倒れそうなアズキの腕を取って体勢を支える。というのも彼女、実は先程まで雀荘で大暴れしており、そんな彼女に一足先にお年玉を振り込んだ挙句ヤケ酒で酔い潰れた、最近知り合った青年を送り届けていたのだ。
ぐでぐでヨットマンを丁寧にベッドに寝かせ、わざわざ律義にゴミを持ち帰っている最中に、こうして同じく酔っ払った彼女と出会い、いつものようにお節介を焼きに近寄ったのだ。

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