シェーン・レミックは、実に平凡な男だった。ある時までは。そこそこの大学を出てから、就職をしようとしたものの、彼は日々の生活から何かが足りないと感じた。「刺激」である。生と死の間を綱渡りし、一歩踏み間違えれば深淵に転げ落ちるところでタップダンスをする。そんな「刺激」を彼は欲していた。
そこからは早かった。まずは州軍広報センターの門を叩き、ニューヨーク州軍で2年間訓練と警備を行った。そして今、彼は州軍から引き抜かれてイラク・サウジ国境付近にいた。肩書はこうだ。『北アメリカ陸軍第6歩兵師団第42歩兵大隊E中隊第17分遣隊長』
強い風が砂を巻き上げ、汗ばんだ肌に少し張り付く。双眼鏡から覗くサウジ方向の景色には、アルゴン第三帝国陸軍の戦車部隊が映る。レミックの隣には部下であるスティール軍曹が同じように双眼鏡を覗いていた。
「なんと言うか…第三帝国陸軍というのは…不思議な雰囲気ですよね。不気味というか、かっこいいと言うか」
「ジャパニーズアニメの秘密組織みたいだな。
「ここから最寄りのキャンプ・デルタアルファまでなら」
レミックは双眼鏡から目を離し、時計に目をやる。短針は14:00を指していた。
「そろそろ戻る。全員呼んでとっとと帰ろうか」
「了解です少尉」
小さく頷くスティールを横目に、双眼鏡をしまって支給されたM6(プロジェクト時XM6.8)のスリングベルトに肩を通す。置いてあったバッグを背負い、20m離れた車両に向けて歩き出しながら無線で伝える。
「こちらチャーリー1アクチュアル。車両に戻れ、2分後にRTB」
言い終わると同時に空から聞こえる音に気づき、ヘルメットで重量が増した頭を動かす。
「空ってのは羨ましいもんだ。ゴミの掃き溜めみてぇな地上を見ることなく、悠々と飛びやがる。楽そうなもんだよな」
CAPをしているのか、我が物顔で空を漂う空軍のF-13CXを見て、レミックはそんな羨望とも憧れとも似つかない感情を抱いた。漆黒の戦車達が進軍を始めるところを尻目に、砂丘を去る。
どこぞのパイロット「航空機ってのは落ちたら終わりなんだ」
…エスコン0かなんかのセリフだった気がするんですが、うろ覚えなので教えてくれると助かります()
エリッヒ・ヒレンベランドさん、「シュネー1」さんの言葉ですね。彼の戦闘機乗りとしての生き様はかっちょいいですね…
(*゚Д゚)オォォ...クォレハ。
アルゴンの良さをよく分かっているじゃないですか(自賛)