南昌昌北国際空港の滑走路にて各国の輪送機が次々と着陸していき、その光景はあたかも流れる水滴のようだった。それらは今では貨物ターミナルに整然と並んでいる。機体にはモルトラヴィス帝国や北米独立国家連合を始めとした各国のの国章が刻まれ、それぞれの企業の紋章の付いた航空貨物を次から次へと吐き出していく。輸送機の砲銀色よりもそれぞれの紋章の色の方が輝いていた。
また木箱と一緒に各企業の代表者らもやって来て、欧人の監督の下、大勢の国家憲兵隊員や华人の男達が忙しなく動き回っていた。福建の港湾労働者や人夫がターミナルの影から用心深く見守る中、男達は手際良くトラックに貨物を積み込んでいっている。その様子は工場のベルトコンベア宛らの光景であった。
南昌内部ではバスやリムジンそして国憲隊のトラックで構成された車列が空っぽとなったの前に停車し、の紋章は度重なる雨や日光でコンクリートに染み込まずくっきりと見えていた。珠人と欧人は恐ろしき兵隊に護られながら欧州の男達と共に新しい巣穴に入り、南昌の街角に潜り込んで行く。
その夜、南昌のエリート達は集まりの企業の社長らを迎えた。
「お集りの皆様に乾杯」
と楊煌明は明らかに疲れ切っている様子で乾杯の音頭を挙げ、まるで練習していたかのような感性もその疲れの様子を完全には拭え切れなかった。各社の代表がそれぞれの意思で握手をし、シャンパンを片手に談話をする中、マクスフェルド大佐は減多に見せる事のない笑顔を浮かべており、その笑顔を見た翁敬黎はついにその場から去り彼らに対する不満の声を漏らした。
企業国家はまだ生きている。
・楊煌明(よう こうめい)
福江国(元トラスト)の行政長官。合理化による経済成長を目指し翁敬黎と対立している。
モデルは井深大
・マクスフェルド大佐
福江国家憲兵隊の司令官。在中利軍襲撃事件にてWOLF勢力の対処をした。
・翁敬黎(おう けいれい)
楊煌明の旧友。現在では福江国の国家方針の相違により仲違いし、現地人に寄り添った政治を支持している。
マクスフェルドの笑顔を見て不満を言ったのは他国企業の更なる進出により現地人の労働環境が悪化する可能性を思ってこと。
モデルは盛田昭夫
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