2024年2月、トラスト地方。
戦火真っただ中のこの場所で、
チェコ最高の狙撃手のライラ・ニーニコスキは
窓一つない部屋の中で同じく精鋭兵と共に簡素なパイプ椅子に座っていた。
その視線の先では、壁に設置されたスクリーンを操作している
彼女の上官… ハンネス・コイヴランタ少将が立っている。
「やあ、諸君。 わざわざ遠くからここに来てくれてありがとう。
早速だが、今回の作戦のブリーフィングを始めさせてもらう…」
リモコンのボタンを押すと、、
少将はこの精鋭たちにブリーフィングを始めた。
スクリーンに、不鮮明な中国系の一人の写真が映し出される。
「まず…今回の標的、刘梓萱(リウ ズシュエン)だ。
今のうちに顔を覚えておくといい」」
「刘梓萱? 誰だ、そいつは?」
ライラの隣に座っている、一人のビリー・ゼイン似の男が質問する。
すぐさま少将が回答した。
「ああ、すまん。説明を間違えた…
最近チェコ軍でよく噂されている「南昌の暗殺者」の事だ。
情報部がどっかから本名を見つけてきたらしい。」
「あの、見えない所から正確に敵を射抜くとか言う「南昌の暗殺者」か?
てっきりプロパガンダかと思ってたぜ」
「今回の標的はそのプロパガンダだ。
上層部もただの噂だと思っていたんだが、スパイが向こうの政府官僚から聞きだしてきてな…
後で説明するが、証拠もちゃんとある。」
「でも、いる場所が分からないですよね?
いったいどうやって見つけるんですか?」
今度はライラが質問する。
「使用銃だ」
「…使用銃?」
「標的は鹵獲品のチェコ製のCz.07対物ライフルを使ってる。
14.5㎜弾を使用する大型の銃で、その薬莢をうちの空挺兵が先日発見した…
龍虎山、要は山岳地帯でな」
「…山岳地帯であの銃を?
二組に分解しなければ持ち運べないほど重い銃ですけど…」
「それがな、どうやら…
あー… 彼女は、人間じゃないらしい」
「人間じゃない?」
「どういう事だ? まさか嘘じゃないだろうな」
「そんなことあり得るのか? ここはマンガじゃないぜ」
口々に声が上がるが、それをさえぎるように少将が言った。
「最初は私も嘘だと思っていたんだが…現地部隊の話を聞くにどうやら本当らしい。
現に、チェコ空軍の無人偵察機がそれを一人で持ち運ぶ様子を撮影してる。」
「それで殺せなかったんですか?」
「いや、直後に撃墜された。
エンジンを対物ライフルで撃ちぬかれたと説明してる。」
「…その人、本当に人間なんですか?」
「ああ…さっきも言ったが、人間じゃない。
人外とか、そういう類の奴らしい。」
「成程…だから、私を含めて色々な部隊から精鋭狙撃手が引き抜かれたんですか」
色褪せたベレー帽をかぶった、初老のランディ・クートゥア似の男が言った。
「ええ、その通りです。
場所は高地地帯で、通常とは環境が違う。
そこで、軍の上層部はこんな場所でも狙撃ができる
精鋭狙撃手チームを編成しました。
…それで、現地で指揮を執ってもらうのが貴方と言うわけです」
少将が敬意を表しながら回答した。
「さて…それでは、今回の作戦に参加する隊員を紹介させてもらう。
えーと、右から…
チェコ最高の狙撃手、ライラ・ニーニコスキ。
(ニョック・リ似(フルメタル・ジャケットのベトコン狙撃兵))
空挺軍所属のマークスマン、エルヴィーン・ロハーチェク。(アントニオ・バンデラス似)
担当は狙撃手。
海兵隊偵察部隊所属の精鋭兵、デニス・シュルツ。(ビリー・ゼイン似)
担当はポイントマン。
特殊部隊員、ラドヴァン・シュチェルバ。(ケラン・ラッツ似)
担当は衛生兵。
高地部隊所属のグエン・ヴァン・クアン、(タイ・ホア似)
それと現地ベテラン狙撃手、チャン・バー・ビエン。(クアン・ス似)
両者とも担当はスポッターだ。
最後にチェコ軍教官、テオドル・リネク。(初老、ランディ・クートゥア似)
担当は現地作戦指揮。」
「たった7人? 少なすぎませんか?」
「安心しろ、ライラ。
コマンド迫撃砲装備の一個中隊を護衛に着けておくから、
機関銃手や通信兵、衛生兵とかはこっから引っ張ってくるといい。
それから…」
「それから?」
「あー、驚かないで聞いてほしいんだが…
今回の作戦に当たって、こっちも人外を投入することが決定した」
正体を現したな!チェコの人外め!!!
いろいろ人外が増えてきましたね()