北米独立国家連合 あーねむ
b92cc25641
2024/09/24 (火) 11:37:43
「ゲリラの元幹部を殺害…か。よくここまで隠したものだ」
無機質な蛍光灯が照らすオフィスの一角で、かつて№2と呼ばれた女は独り言ちる。手にはタブレット型端末を持ち、ニュースを読んでいるようだった。
「これで№1は死亡、くだらん革命ごっこも終わり…ではないか。しかし最後の言葉がなんとも情けない」
デルタフォースから上がってきた報告の中にあった、撃たれる直前の№1を笑いつつ、アリシアは思い出す。シュガートと呼ばれ、多くの財団職員に慕われていた壮年の男を。
「まだ終わらないか…№1が死んだ今、シュガートが動くかもしれないな。奴を殺すまで私も死ねん」
脳裏にバーを去っていくヘンダーソンの姿が映る。曲がりなりにも信頼していた部下を誑かした革命家連中を、彼は恨んでいるだろうか。否、恨んではいないだろう。危ういな。誰かを恨んでいると、ある意味それが生きる目的にもなる。彼は何を見て生きるのか。自らの頭を埋め尽くす思考に嫌気が差し、一度画面から目を離す。
突然、断続的なヘリのローター音が聞こえてきた。席を立ち、窓の外に目を向けると、一機のUH-3が頭上を通り、夕陽に染まる後ろ姿をこちらに晒していた。
「一体どこに…あぁ、国防総省か」
ここからは見えない五角形の建物を思い浮かべながら、席に戻る。コーヒーを一口飲んで、タブレットへと意識を戻した。
通報 ...