「今回のミッションオブジェクティブだが…」
暗い部屋の中、モニターだけが明るく光る。11人のメンバーがモニターに体を向け、椅子に座っている。隊長らしき男が画面の横に立ち、説明を行っている。
「ユニオン、取り分けレイナードが主導で開発したAI、その開発データの回収だ。時期が来たら、ヘリで封鎖区域内に入り、『ラボ』に向かう。」
寡黙な兵士の1人が手をあげる。
「ハンス。」
「別勢力がデータを持って行った場合は?」
「ぶっ殺して奪う。取引を持ちかけてきたら場合によっては応じる。」
「なるほど。」
「この時点で他に質問は?」
手を挙げるものはいない。説明は次の段階へ移行する。
「使用する装備は、まぁ基本はいつも通りだ。」
モニターの画面が地図から変わる。様々な装備が映し出される。FASTヘルメット、アーマーリグ、NVG、通信機器。だがどれも統一された特徴がある。
『黒い』、とにかく黒かった。だが完全な黒ではなく、闇夜に溶け込むよう巧妙に調整された黒だった。
「だが基本的には、だ。本ミッションではユニオンから提供された、この端末を使う。」
画面を上書きするようにウィンドウ現れ、そこに一つの端末が表示される。通常のディスプレイに、キーボードが配置されたそれは、画面上で兵士が腕に装着する様子を描かれた。
「こいつは肘から手首の間につける。簡単に言うと戦術データリンクの歩兵版だ。敵味方の識別、マップの表示、部隊内の情報共有を行える。まさに夢の端末だ。」
数人の兵士が感嘆の声をあげる。それを置いてブリーフィングは最後の段階を迎える。
「銃はいつものでいい。間違ってもショットガン使おうなんざ考えるな。俺がマチェーテでそのバレル叩き折るぞ。まぁ、以上だ。ユニオンは俺たちに最大級の支援をしている、期待に応えるぞ。」
その声を最後に次々と兵士が退席していく。誰もいなくなった部屋にはモニターのみが残った。画面には文字が浮かんでいる。
First Special Operation Forces
DELTA