ジョン・クリーパー元大佐、軍を去ってから数年たったころ久々に旧友に会いに行った。飛行機を一回乗り継ぎスカーレット連邦へ。最後にあったのはいつだろうかと考えながら今年で60代になる退役軍人の彼は傭兵会社「WBF社」の社長室の前についた。
コンコンッ
「入ってくれ、カギはかかってない」
社長室に入るとそこには顔の古傷が目立つ、70もありそうな老人が椅子に座っていた。いかにも歴戦の戦士の雰囲気をかましているが近寄りがたい雰囲気もなく何も知らない人から見たら思わず「イケオジ」と言ってしまいそうな人だった。
「薄々気が付いていたが、まさか本当に来るとはな。ジョン」
『前に言ったじゃないか、会いに来るって』
そういってジョンは目の前のWBF社社長のハドルフ・D・ジョージアを見た。足は机に隠れて見えないが話によると片方義足になっているそうだが。ジョンはあえて話に出さなかった。彼らの間では相手が負った傷について話を聞くのは良くないこととしているからだ。
『ところで彼はどうしている?』
「聞くと思ったよ、多分もうすぐこっちに来るからそれまで待っとけ」
『わかったよ。でもお前の会社の兵士はどれも明るいやからだな』
ジョンは窓の外から眼下に広がる射撃訓練場の方を見つめていった。そこには兵士の怒号と笑い声、けたたましい銃声が鳴り響いていた。昔ジョンが所属していた帝国軍と比べて明らかに違う。当時の帝国軍はまさに大日本帝国軍と同じようなものだった。
「みんな馬鹿だが、面白いやつらだ。ただの傭兵と思われては困るよ」
『そう。ところでお前の機動部隊、かなり面白いやつがそろっているようだな』
「彼らはそこらにいる兵士とは違のだよ。どれも特殊な経歴持ちだよ」
そんなことで談笑していた時誰かが扉をノックする音が聞こえた。
《すみません~、広報部の月夜ですが入ってもよろしいでしょうか?》
「入りたまえ。それと君に会いたがっている人もいるぞ」
《失礼しま~す》
そういって入ってきたのは男性にしては長く灰色の髪、赤の瞳がある獣人が入ってきた。そんな彼が手に持っていたのは何かの資料。どうやらジョージアンに見せに来たようだ。
『よぉ、仁君。覚えているか?』
《あ!クリーパー大佐!お久しぶりです!》
そういって仁はジョンに抱きついた。いくら退役軍人のジョンでもこの突撃はどうやら予想外だったらしい。
『OKOK、うれしいのはわかったからいったん離れろ!』
《あ、ごめんなさい。嬉しすぎてついつい…あ!そうだ!》
仁はふと思い出したかのように持っていた今月の広報誌をジョージアンに渡した。
「どれどれ……あ、お前らは話の続きしていいから」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『ところでお前…相変わらずだな』
《例えば何がありますか?クリーパー大佐》
『その見た目とか、狙撃の技量とか』
《なんで狙撃までわかるんですか!》
『お前の狙撃の師匠だからな。それとクリーパー大佐ってもう呼ぶな。退役したし、お前の上司でもなくなったしな』
《了解で~す。ただ、なんか心配している顔ですけど…》
『そう見えるか……いやそうか…』
『実際にそうかもな』
クリーパー大佐… あんた退役してたのか…
仁がいなくなった後に退役しました()