リバティニア
補助龍 6641dc4fb6
2024/05/12 (日) 23:49:56
平凡な1日だった。
家の外で愛国歌を流しトラスト侵攻の成功を喜ぶ市民を横目に、エマは夫の帰りをひたすら待っていた。今まで何度もこのような事はあったため、待っていることには慣れていると思っていたが、それにしても今回は長い。
息子はもうアンカレジに出て行ってしまっているため、とりあえず軽く昼食を済ませ、休日までとっておいた映画をコーヒーを飲みながら楽しんでいると、突然玄関のチャイムがなった。おそらく配達か何かだろう。ゆっくりとソファーから立ち上がり、最近あまり動いていなかったツケが周ってきたのを感じる。
ドアノブを掴んで、いつものように軽く捻り扉を開けるとそこにいたのは、予想とは違い迷彩服を着て三色旗を持っている知らない男だった。よく見てみると白い布地の上に日光が反射し銀色に光るドッグタグが見える。「まさか?」そう思ったのが始まりとなり段々心の芯から不安が込み上げてきた。
「お悔やみ申し上げます」
男の一言でエマは父に何があったのかを全て理解した。だが、彼女の脳がそれを拒んでいた。
「私は貴女の旦那様の最も親しい戦友でございました。ご遺体の方につきましては現在飛行機で運ばれております」
声を出そうにしても全くもって声を出すことができない。というよりも体がまるで金縛りにでもあったかのように何一つ動かすことすら出来ないのだ。ただ1秒1秒進むごとに速くなっていく心臓の鼓動と様々な感情と記憶が心の底から湧いてくるのを感じる。
涙で視界が段々ぼやけてくる中、目の前の男が三色旗を彼女に手渡した後、エマはやっと1人になり、悲しみに打ちひしがれて嗚咽を漏らしながら泣き崩れるようになった。
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ううう...愛する人との死別は悲しい...(泣)