「あー、レーダースパイク、2時方向、NA-6。スピア0-3、ディフェンディングイースt…くそっ、撃たれた!」
RWRがけたたましく鳴り響き、操縦桿を一気に引き、急上昇をする。鳴り止まない。2時方向、遠くに噴射煙が見える。カウンターメジャーが作動しないことは音でわかった。
「……!!…ぐぅっ…」
強烈なGに呻き声が漏れる。HUD上に『9G』の文字が見える。視界がブラックアウトしかけた瞬間、一気に操縦桿をきり、フットペダルを操作する。視界が反転し、頭上に茶色い大地が見える。操縦桿を引き、慣性に逆らうように降下する。頭上の大地の解像度が増していくと共に、すぐに後ろでミサイルが通る音が聞こえた。避けたはずなのに、RWRは鳴り止まない。機体をもとに戻し、再び青い空が上に現れる。
「一体どこから…ホーリーシット。スピア0-3、方位1-7-0から3基のNA-6にロックされた。
いい終わるとともに、レーダーディスプレイに『6―3』と表示される。3発かよ。警報音がコックピットを支配し、瞬間的に反転急降下をする。地上が再び現れ、また近づく。地面から20mのところで機体を戻し、急上昇する。背後で爆発音が聞こえ、安心せず操縦桿を一気に左に傾け、急旋回する。機体の振動を感じ、視界の隅にはヴェイパーが映り、目の前でロケットモーターの音が横切った。
「ノーズかよアブねぇな…あと一発はどこだ!?」
すると無線から声が聞こえる。無線のノイズでは正確な年を当てられないだろうが、それなりに若い女性のようだ。
≪スピア0-3!チェック6、チェック6!!≫
今更味方かという呆れと味方がいたという驚きが混じるが、それは今考えることではない。
一瞬でスロットルを最大まで上げ、アフターバーナーにする。エンジン回転数表示が上がっていく様子を見ながら、余裕を見せて無線に応答する。
「ロケットモーターを燃焼しきったミサイルは、ただの滑空する棒ですよ、マム。回避しながらしれっとSAMの射程から外れることができたようです。」
無線から先程の女性が出る。
≪大丈夫ですか?スピア0-3。かなりの数を回避していたようですが。≫
「ざっと4発。チャフもフレアも出ないなんて、整備士は俺に恨みでもあるんでしょう。241のテルミドールです。」
≪142のファンションです。チェックアウトしてキャンプオスカーに戻るところなのですが、そちらは?≫
「オスカーか、奇遇だな。最後の一発を教えてくれたお礼に一杯どうです?もちろん私がもちますので。」
≪デブリーフィングが終わり次第カフェテリアで。≫
テキーラにしよう。そう思いながら、テルミドールは気持ちを表すかのように高度を上げた。
絶対誤字があると思いますが、眠いので明日に()